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夢想譚
「××に宛てて」
凍りついた雫が
しんしんと 温かく 染みてゆく
会うべくして訪れた 冷徹の朝を
すぐ隣に感じてしまう
真紅の香りは貴方そのもの
その瞳に私を映して
長い睫毛を動かして
刃の牙も 凍てつくビスクも
とっくに克服してるの
気づいていたのでしょう
薔薇のワインは 美酒だったのね
貴方が消えてから 初めての一口
貴方をもっと 味わいたかった
心まで食したくせに
殻だけ残して逃げ去った
言葉に潜む 幾千の意味は
古の記憶に消えて
問いただす前に
どこまで遠くに行ったのかも
わからない




