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BRAIN  作者: あき
1/1

BRAIN

書き手と投稿者が別ですが初心者なので誤字、脱字などありましたら教えて下さい。



  1



  【グエッ!】 何だ?


 痛みを感じ、目を開けると、俺の腹の上で娘がニコニコしながら俺の顔を覗いている。


『パパ起きた〜』走りながら階段を下りる娘を見ながら、毎度ながらもっと優しく起こして欲しものだと思いながら起き上がると寝室から出る。


 ヒゲを剃り、顔を洗い台所に行くと、嫁が朝食の準備をしながら『オハヨー♪』と言って来たので俺も『オハヨー』と返す。


 椅子にに座り、出された料理を見る。


 日持ちする様に硬く焼いたパンと、お情け程度に肉の入った野菜のスープだ…

 物資の流通が殆ど無い辺境の村とはいえ…毎日これだと飽きるなとは………口が裂けても言えない。


 嫁は普段おっとりして優しいが・・怒ると物凄く怖いのだ。


 食事を摂り、着替えを済ませ、家を出ようとすると、嫁と娘が見送りをしてくれる。


 娘の頭を優しく撫で、軽く手を振り職場に向かう。


 職場は地さな村の先にある。


 偶にすれ違う村の住民と挨拶を交わし、足早に職場を目指す。


 国境近くの辺境の村とはいえ・・余りにも何もないというか人が少ない、国境警備隊の方が間違いなく多い位だ。


 しばらく歩いていると国境の砦が見えてきた、岩山と岩山の間500メートル位はある横長の砦。


 岩を高く積み上げ、一切の侵入を拒む圧倒的な存在感。


 空を飛べるならまだしも、人族の侵入はまず無理だろう!などと思っている間に砦に到着する。


 この砦が自分の職場、仕事はボルティモア魔導国国境警備兵だ。


 すれ違う兵に挨拶をしながら、岩を積み上げて作られた建物に向かう。


 建物入り口前に立ち、ドアをノックし挨拶をしながら中に入る。


 部屋に入ると、大柄なヒゲを蓄えたオッサンが部屋の一番奥の事務机に備え付けられた椅子に腰掛け、珈琲を啜りながら机の上の書類に目を通してる。


 溜息を吐きながら書類を見ているオッサンがこの砦の最高責任者、国境警備隊隊長だ。


 俺はこのオッサンの補佐をやっている。


 隊長補佐と言う役職だが・・・仕事内容は雑務全般、命令伝達、王都本部に送る書類作成など面倒な仕事を一手にやっている。


 ちなみに本部に送るときは、裏に魔法陣が書いてある魔物の皮に文字を書き魔力を込めると、同じ魔法陣が書いてある魔物の皮に届く仕組みらしい。


 魔法にはレベルがあって1〜10まで在るらしいが、一般人は魔法が使えないので魔道具に魔力込めて使う。


 魔導具は可也高額なので我が家にはない。


 俺は常人より魔力が多いらしく、この仕事を任されている。


 でも魔力を使いすぎるとメッチャ疲れるので隊長に書類を溜めない様にお願いすると・・・『がははは‼︎』で終わり。


 溜まった報告書を本部に送り終えると、砦の上で少し休憩をする。


 砦の上からの景色を眺めていると、警備兵のジウが話しかけてきた。


『補佐官お疲れ様です。休憩ですか?』


 軽く頷き『本部に溜まった書類を一気に送ったので流石に疲れましたよ。』と答えると、ジウが仕事や国への不満をぼやき出す。


 簡単に言うと、国境付近は田舎で娯楽がないやら、冒険者組合が近くに無いので、魔獣が出たら警備兵が対処しなくてはいけないとか、国王が魔王国と仲がいいので、周りの国に嫌われているため、国境付近で小競り合いが絶えないなどだ。


 ウンウンと頷きながら『そろそろ転属の時期だから大きな町に異動になるといいね』となだねる。


 ジウが職務に戻るのを確認すると、兵士の愚痴を聞くのも仕事のうちか・・・心の中でぼやく。


 しかしこの国は隣接している魔王国以外の全ての国と敵対している。


 理由は簡単だ、国王と魔王がお互いに王になる前からの親友だからだ。


 普通人族は、身体能力・魔力量・異形の見た目などの理由で魔族と関わりを持とうとしない。


 一部例外で上位魔族は見た目が人族に近いらしいが。


 個人的な親友とはいえ隣国からすればこの国は異端だよな。


 しかも魔王国は人族の争いに干渉しない決まりがあるらしく、助けてはもらえない・・・

 それを知っている隣国はこの国を潰そうとしているわけだ。


 休憩を終えて職場に戻り、自分の席に着こうとすると、『話がある!』隊長が真面目な顔をして言って来た。


『はい。』 隊長のこんなに真面目な顔を初めて見た。


 隊長の机の前に立つと隊長が命令口調で話し出す。


『王都からお前に召集命令が来た』


『えっ⁉︎』 何で王都から?思考が止まる。


 自分の困惑などお構いなしに、隊長が話をつずける。


『王都配属だ、7日後に王都からの迎えの者が来るとの事だ!準備をしとけ!』

『荷物は最小限にしろとの事だ。』

 隊長は大事な要件だけ言うと席を立ち後ろを向くと、ボソリと『寂しくなるな』と言う。


 哀愁漂う隊長の背中。


『今まで有難うございました。』自然と感謝の言葉が出た。


 しかし何の取り柄もなく、家名も無い平民出の自分に王都からの召集がかかるとは?

 間違いなく栄転のはずだが・・・何かの間違いでは?

 王都に行ってから間違いでしたとか言われたら・・・不安しか無い。


 引越しの準備やら気持ちの整理が必要だろうと、隊長の計らいで出発の日まで休みを貰い、最後の仕事を済ませ、家に帰る。






感想などありましたら是非お願いします。

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