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俺と彼女の異世界冒険記   作者: 仲遥悠
最初の異世界
49/411

本当の悪魔は

 弓弦は繰り出される火球を切り裂く。


「ハァッ!!」


 火花が弾け、焼けた視界が開ける。

 焦げた空気を吐き、僅かに濁った空気を肺に流

し込む。


「ッ!!」


 地を踏み込むと、そのままバアゼルの懐へ。

 剣を振り被り、横一閃を走らせる──が、空を切る。


【朽ちよ!】


 背後から声が。

 バアゼルの腕から放たれた炎の蛇が、弓弦を包み込む。


「ぐ…!」


 熱い。

 皮を焼き、肉を焼く。身体の芯まで焼き尽くすような炎が轟々と唸っている。

 だが、怯むには──浅い。

 身を包む装束が、激しい炎を弾いていた。


「もらうぞッ!!」


 火属性中級魔法“フレイムイーター”が装束の魔力マナと打つかり合う中、弓弦が振り向き様に振るった刃が悪魔の腕を捉える。

 硬い手応え。

 しかし届いたのならば、力を込めるだけ。


「うぉぉッ!!」


 柄を握る手を片手から両手に変え、全力で振り抜く。


【ッ!】


 バアゼルが後ろに退いた。

 鋼のように硬い悪魔の腕に、一筋の軌跡。

 そこから、微かな血が滴っていた。


『唸れ風の刃、切り裂きなさい!』


 追い打ちに掛かる弓弦の背後から、風が吹き抜けた。

 バアゼルの傷口に向かって、刃と化した魔力マナが弧を描いて襲い掛かる。


「(良し、このまま押し切るッ!)」


 “ウィンドカッター”と共に、まずは腕を斬り飛ばす。

 愛剣を鞘に収めてから繰り出す、得意の剣術。

 弓弦の姿が、風となった。


【温いッ!】


 バアゼルが吼えた。

 魔力マナが放たれ、空間を覆う。

 弾き返される風の刃。

 指定性が上書きされたように、弓弦の身体を目掛けて襲来した。


「ッ」


 髪が、頬が、腕が切り裂かれる。

 元はフィーナが放った魔法であるが故に、装束の防御魔法を潜り抜けたようだ。

 思わぬ抜け穴を見付けられてしまった。だが弓弦は止まらない。

 既に矢は放たれたのだ。放たれた後は、突き進むのみ。

 バアゼルを目前とした位置まで踏み込み、鞘走らせる。

 抜き放って振るうは──そう、抜刀術。

 姉より教わった演舞用剣術が、異世界にて手に入れた身体能力と真剣の力で真の剣術となる。


『鋭き一撃鬼神の如し…!』


【我の間合いに迄踏み込むかッ!】


 バアゼルが炎を吐いた。

 至近距離での爆炎。触れたら身体が灰と化す程の熱量が弓弦を狙う。

 しかし弓弦は紅炎の先に、勝機を見据えていた。

 鞘走らせた刃が切り拓く、勝利への道を。


『炎を喰らうは同じく、炎(なり)!!』


 武器が淡く光る。

 斬れ味が増したかと思いきや、続け様にフィーナが魔法を放っていた。

 火属性初級魔法“レジストフレイム”。弓弦の前に不可視の障壁が出現し、炎を掻き消していく。


「(流石だ、フィー!)」


 完璧な援護に、弓弦は舌を巻いていた。

 バアゼルの攻撃は、二百年前よりも凄まじくなっている。魔法も、腕の一振りでさえ威力が桁違いに上がっているため、前回の戦闘のように“プロテクト”で対処することが出来ない。

 これまでの戦闘の中で、フィーナは幾度と無く“プロテクト”を放っていたのだが、その度に紙のように切り裂かれたのだ。

 「プロテクト」の三枚下ろしとはよくいったもの。貼れども貼れども、次の瞬間には薄くスライスされていた。

 成程。確かに二百年前は油断してくれていたようだ。

 ありがたいことではあったのだが、どの道その時その時に三途の川が近くを流れていることには変わりない。

 一歩間違えれば、「死」。冷汗ものでしかなかった。

 今の自分の実力では、半端な防御壁魔法を使っても衝撃を吸収し切れない。ならばとフィーナは、各属性に対応した防御魔法を駆使しているのだった。

 “レジストフレイム”は文字通り、火属性魔法を軽減する防御魔法。対火属性魔法ならば、“プロテクト”よりも数段防御力が高いのである。

 欠点は、対応した属性でなければそれこそ単なる壁でしかない点だ。それも、ありとあらゆる攻撃を通してしまうような。

 フィーナは周囲を漂う魔力マナの流れを的確に読み取り、次の攻撃属性を予測して防御魔法を放っているのだった。

 だから守りを任せ、攻めに専念出来る。

 炎の中に佇む悪魔の胴に、


「でぇぇぇぇぇいッッ!!」


 雄叫びを上げながら一閃。

 振り抜かれた切先は既に、バアゼルの背後で鞘に納まりつつある。

 居合の一太刀。


【グ…】


 既で展開されたのであろう結界が、音を立てて割れていく。


「…ッ!」


 フィーナが攻撃魔法の詠唱に入った。

 今が攻め時。そう考えたのだろう。

 狙いは恐らく、人の倍以上はある悪魔の体躯に走る、横一文字の斬撃痕だ。

 傷口を抉り、致命傷とする。堅実な攻撃法だ。


「(浅いかッ!?)」


 しかし、最初の一太刀自体が決定的な一撃には程遠かった。

 浅い手応えと、背中を危機感が撫でるのを感じた弓弦は再び剣を抜き放つ。

 振り向き様の斬撃が、悪魔の放った真空の刃と衝突する。


「ぐぅっ!?」


 衝撃を殺し切れない。

 弾き飛ばされた弓弦の背後に、風が吹き抜けた。


「(まずっ!?)」


 空中で身体を捻った視界の先に、大きな悪魔の腕が見えた。


「(ご主人様!)」


 視界に過ったフィーナの瞳が、迷いに揺れていた。

 攻めるべきか、守り入るべきか。視線が疑問を向けていた。


「(攻めるぞ!)」


 弓弦は力強い視線を彼女に返した。

 結界を破壊して与えられた傷が、徐々に塞がり始めている。

 完全に塞がる前に強撃を見舞い、突破するためには攻撃面での援護が不可欠だった。

 今必要なのは、攻撃の手。

 防御に関しては、どうにかする。

 してみせる。


【やってくれる…!】


 フィーナが次の魔法の詠唱に戻る中、弓弦は剣を構えた。

 拳が、眼前に迫っていた。


【ぬぅんッ!!】


「っ!」


 弓弦の身体を、凄まじい衝撃が襲った。

 足場の無い空中では堪えることも出来ず、加えられた衝撃のままに吹き飛ばされた。


『裁きの鉄槌天よりきたりて』


 耳を突き抜けていく風の音に混じり、フィーナの詠唱が聞こえる。


「(そうだ、その意気だ…!)」


 考えずとも分かる、攻撃魔法の詠唱。

 彼女の周囲で高まる魔力マナは、雷の性質を有していた。


「(雷…天からの鉄槌…そうか!)」


 かつての世界での経験が、発動される魔法の予測を立てる。

 ならば、取るべき効果的な行動は一つ。

 弓弦の唇が、詠唱を紡ぎ始めた。


『思い繋ぎて…!』


 頭上から、殺気。

 制動力を掛けられないまま吹き飛び続ける弓弦の上方に、バアゼルが先回りしていた。

 振り被られた両腕が、一直線に振り下ろされる──!


「く…ッッ!!!!」


 弓弦は咄嗟に剣を頭上に構えた。


──ガギィィィィィィンッッ!!


 横方向から、縦方向に吹き飛び足は地へ。

 衝撃。足から骨伝いに痺れるような感覚が広がる。

 何とか着地に成功したが、一歩間違えれば地に臥せっていただろう。大いに力を使ったために膝が笑っているが、詠唱のための集中力は切らさない。


終焉おわりだ】


 バアゼルを中心として、魔力マナが集う。

 荒れ狂う風の魔力マナ。以前レオンが放った魔法とは、桁の違う密度のままに弾状の形へと集束する。


【其の命、露と散らせッ!!】『誘えッ!』


 バアゼルと弓弦の詠唱が完成したのは、奇しくも全く同じタイミングであった。

 音速を超えて迫る旋風が、“テレポート”の光を突き抜ける。

 光の後に弓弦の姿はなく、旋風は闇の中に消えた。


「(…取った!)」


 消えたはずの光は、バアゼルの上空にあった。

 稲光の満ちる、魔法陣の中に。


【む…ッ!!】


 閃光の中で、身体を捻る。


「(雷と来たら──!)」


 フィーナが次に放とうとしている魔法に対する援護として、咄嗟にこの攻撃が思い付いていた。

 まるで歴史を繰り返すような一撃。

 そうだ、あの時も上空から引導を渡した。

 そして今回も、この一撃にて止めを刺す。 


『…撃ち貫け』


 雷光が爆ぜていく。


「これで…ぇッ!」


 重力に身を任せた弓弦が、加速していく。


「…っ、覚悟しなさい!!」


 自然と頭が下になる中、剣を突き出しながら急降下。

 後方から稲光が追い縋ってきた。


【小賢しいッ】


 バアゼルが腕を伸ばした。

 放たれた魔力マナが弓弦を──


「ッ!?」


 越えた。

 無数の光は瞬く間にフィーナの魔法陣を囲い、その輝きを覆い尽くしていく。

 あれは、支配の光だ。

 魔法陣の指定を書き換え、自らのものとするつもりなのだろう。

 徐々に暗闇に覆われていく魔法陣。

 

「無駄よ!」


 しかしフィーナの一喝と共に、闇は晴れた。


「私達の絆は、誰にも書き換えられないッッ!!!!」


【ぬ…!?】


 絆の一撃が、バアゼルを貫いた。


「避雷剣…受けてみろぉッ!!」


 雷鳴一閃。

 巨大な雷が弓弦を、剣を通じてバアゼルの身体を貫く。

 鼓膜を破りかねない程の轟音と、白銀の閃光が視界を白く焼く。

 しかし弓弦の身が焼かれることはない。

 正確に指定性の定まっている魔法は、バアゼルのみを対象として貫いていた。

 剣を中心に、悪魔の身体が焦げていく。

 バアゼルの膝が崩れるまで、時間は掛からなかった。


「(このまま…いくッ!)」


 伝わってきた手応えに、弓弦は己を奮起させる。

 身体を捻ってバアゼルの大きな背の上に立つと、剣の柄を握る。

 勝機、捉えたり。決着を付けるための最後の一手を構えるために剣を僅かに引き抜いた。


「シフト!」


 変形機構の機動ワードが認証され、得物は銃形態へと変形する。

 再びバアゼルの身に突き刺し、変形により生じた引鉄に指を掛ける。

 周囲に漂う活性化した雷の魔力マナに当てられ犬耳の毛が逆立つ中、指を倒す。


「ッ」


──カチッ。


零距離一斉発射ゼロレンジバーストをッ! くらえぇぇッ!!」


 けたたましい音と共に放たれる、マズルフラッシュの数々。

 激しい衝撃と共に発射された鉛弾がバアゼルの身体を、内側から喰らい尽くしていく。


「ぐっ!?」


 発射に伴って生じた反動に襲われ、弓弦の身体が吹き飛んだ。


「え!?」


 その方角には、丁度フィーナが立っていた。

 眼を丸くしたまま、どうすれば良いのかとあたふたし、着地点へと移動すると両手を差し出した。

 どうやら受け止めることにしたようだ。


「それっ!」


 しかし──位置取りを誤った。

 胴を捉えようとした腕よりも僅かに高く吹き飛んできた弓弦は、両手を通過した。


「えぇっ!?」


 そのまま、


「むぐぅっ!?」


 尻から着顔(・・)するのであった。

 視界を塞がれたフィーナは後ろに倒れ込み、帽子越しに頭を打った。

 帽子が無ければ、より痛みが走っていただろう。誰がどう見ても分かる、不時着だ。


「っ、くすぐった…っ」


 尻を撫でる生温かい息遣いに、弓弦は身体を震わせた。

 こう、ピンポイントで敏感な部分を羽で触られているような感覚だ。

 あまり感じたことのない奇妙な感覚だが、少なくとも心地良いものではない。

 転がるようにしてその場から退くと、フィーナが顔を真赤にしていた。


「…ご主人様のお尻…程良く逞しくて素敵……」


 あまり感じたことのない奇妙な感覚が、彼女は気に召したようだ。

 顔だけを動かして弓弦の臀部を視界に入れると、その瞳が蕩ける。

 どうやら、新たな楽しみを見出してしまったらしい。

 弓弦は呆れつつも気を引き締め直し、絆の一撃の成果を確認することに。


「く…」


 一体、どうなった。

 戦闘の疲れからか、身体が思うように動かない。


「シフト…っ」


 何とか剣を支えにして立ち上がろうとする弓弦。

 片膝立ちになり、両手を柄に置くと体重を掛けていった。


「うわ…っ」


 しかし力が上手く入らず、体勢が崩れた。


「ユヅルっ」


 背後から伸びた手が、前のめりになった弓弦の身体を抱き寄せる。


「大丈夫ですかご主人様?」


 二つの柔らかな感触を感じた。

 勝利の余韻に興じるにしては、あまりにも至福の感覚だった。

 それ以上に、身体に走る痛覚の奔流が凄まじかったが。


「はは、痛…これは反動が中々キツいな…」


 動かせば動かす程、痛みが走る。

 銃口を突き刺した状態であったのだ。逃げ場を失った反動の全てが両肩に襲い掛かったのだろう。

 いつだったか。銃の反動について調べたことがある。

 これまで放ってきた一斉発射フルバーストは、空中や振り回しながら用いてきたために気にならなかったが、やはり反動は大きいのだ。

 いつかは片手で扱えるようになりたいと思っていたが、流石にこのままでの零距離使用は危険が伴うか。

 強力ではあるし、見栄えも個人的には良く思える。だが、反動で肩関節を外しそうになっているようでは、格好の付くものも付かない。

 この技は必要時以外あまり使用しない方が良いだろう。つまり、奥の手である。

 心の中でそう決めながら、二つの足で地を踏み締めた。


「バアゼルは…?」


 背中を支えられながら、断末魔を上げることなく崩れ落ちた悪魔を睨み付ける。

 視線の先では、悪魔の姿が光に包まれていた。


「……見事だ」


 空間に亀裂が走り、砕け散った。

 玉座の間に戻った視界の中で、バアゼルは王の姿に戻り、膝を突く。

 傷だらけの肉体と弱り切った気配から、既に抵抗の気配は感じない。


「(終わった…のか?)」


 弓弦は剣を鞘に戻した。

 これでやっと、落ち着いて言葉を交わせる。

 弓弦はバアゼルの下に向かって歩みを進めた。


「…二百年前より弱体化しているようだが…どうやって蘇ら──」


 喉から出ようとした声が、留まった。

 何か、聞こえる。


「…!」


 バアゼルの顔が、弾かれたように上がる。

 足音だ。それも大勢の。

 異変を察知したフィーナが、足を止めた弓弦の傍に急ぐ。


──居たぞ! 賊を討て!


 声が聞こえた。

 同時に、入口側の襖が勢い良く開け放たれた。


「…何だっ!?」


 バアゼルの背後の壁が回転し、兵士達が雪崩込んできた。

 前から後ろから瞬く間に部屋は兵士で溢れ返り、弓弦とフィーナは包囲されてしまう。

 視線にて注がれる、強い憎悪の念。


「…何…なの……」


 フィーナの身が強張った。

 自分達へと向けられている強い殺意に、何か得体の知れないものが混じっている。

 いや、感情自体は混じり気のない殺意に満ちている。


「(…だがこうも憎しみに塗れれるものか? そうも親の仇みたいに……)」


 おかしいとは思った。

 まるで無理に感情を増幅されているような。そんな違和感だ。

 しかし、危機的状況にあることには変わりない。


「(…バアゼルにも動揺が見える。つまりこれは、アイツにとっても想定外のことなのか…?)」


「ご主人様…」


「…大丈夫だ」


 震えるフィーナの手を優しく握る。

 相手の出方を見て、必要なら“シグテレポ”で逃げる。

 逃走手段の存在が、不幸中の幸いであった。


「(アイツはこれを見越して俺に魔法を…? いやそれもそうだが、この感じは……ッ)」


 背筋に悪寒が走る。

 何だ、この魔力マナは。

 強い悪意。そしてあまりにも──禍々しい。

 バアゼルに匹敵? いや寧ろそれよりも──。

 得体の知れない存在の魔力マナを感じ、握る力を強め、眼を軽く見張った。 

 一体何者なのか?

 弓弦は兵の動きに気を配りつつ、姿を見せる存在を見定めようとした。


「ご無事で、何よりだね」


 果たして、姿を見せたのは小さな子どもだった。

 あどけない顔立ちの、大人しそうな子ども。

 しかし身に纏う異様な気配が、途方も無く不気味だ。


「…余計な真似を」


 バアゼルは言葉の裏に込められた嫌悪を隠そうともせずに吐き捨てた。

 短い会話ながら、互いが互いを知っていることが窺える遣り取りだった。

 しかし弓弦とフィーナの意識は、子どもと共に姿を見せた人物に釘付けされていた。


「な」


「あ、あなたは…ッ!」


 そこに居たのは、鹿風亭に居るはずの人物。

 信じられないとばかりに見開かれた眼は、両者同じ人物を中心に捉えていた。


「やぁ…また会いましたね」


 驚愕の視線を注がれた男が、顔を不気味な笑みに歪める。

 男の顔は、出で立ちは間違い無く見知った人物のもの。

 信じられない。だが、眼の前に居る。

 そこには、今頃尋問を受けているはずであった眼鏡の従業員──音弥が立っていた。

「な〜にが、『私達の絆は、誰にも書き換えられないッッ!』…よ。一体どう言う思考してたらそんな言葉が言えるんだか…けっ」


「知影ちゃん荒れてるな〜。良い戦いじゃないか〜?」


「良い戦いですよ! 良い戦いだから悔しいの…!」


「お、お〜?」


「うう…弓弦カッコ良い……え、ちょっと待って…カッコ良過ぎ……」


「…何をちょっと待つ必要があるのだ?」


「聞いてたのかユリちゃん。てっきり寝ていたものかと」


「…まぁ、知影殿がこうも荒れていてはな。ふぁ…ぁ……」


「ホント弓弦の戦い方カッコ良い。と言うか弓弦がカッコ良い! カッコ良いの大安売りですよ、もう!」


「悪魔を相手に見事な戦い振りだったからな〜」


「そうなんです! 雷と共に貫くとか…スーパーイナズマピアッシュ的な!!」


「お、お〜? さっぱり分からんぞ!」


「だな。…と言う訳で私は寝る」


「ユリちゃ〜んっ!?」


「ふぁ…ぁ…。いつ前後を取られるか分からない洞窟の中で、私がどれだけ集中力を使っていたと思うんだ…。ふぁ…ぁ寝れる内に寝る、当然のことだろう……」


「(眼を剥き出しにしてキョロキョロしてたからな〜……)」


「(ううん…スーパーよりも、ハイパーかな……)」


「…じゃあ〜寝る前に予告をだな、ユリちゃん」


「…Zzz」


「おいおい早いな〜っ!? …はぁ…予告言うか〜。『突然の襲撃に始まり、突然の現実が否応無しに迫り来る。戦い、戦い抜き、生き抜いたその先には、再び耐え難き絶望が口を開けている。抗う二人を嘲笑うように──次回、糸を手繰りしモノ』…俺も寝るか〜」


「(でもスーパーの方が語感が良いしな…うーん)」

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