湯煙旅は旅籠屋にて
ドサ、ドサ。
どこからともなく、段ボールが落ちて来る。
「な、何だっ」
驚いたように声を上げ、アスクレピオスは間一髪難を逃れた。
後少し動くのが遅れていれば、今頃蜜柑塗れになっていただろう。
「…ク」
それと、バアゼルによる制裁を受けていたのも間違い無い。一瞬見えた鎌の切先が、鋭く反った曲線が、それはそれは恐ろしかった。
「さて…クッ、では食すとしよう…ククッ」
蜜柑の下へと移動したバアゼルは、箱を開く。すると、美味しそうな蜜柑の数々が姿を現した。
広がる香りを前に、彼はご満悦そうだ。
「…おぉ。美味だ……」
バアゼルは瞬時に皮を剥き、口に運ぶ。味にも大喜びのようだ。
素早い手付きで皮を剥かれた蜜柑が、次々と彼の口に放り込まれていった。
その光景はさながら達人の剣技が如く。
「何と…言う速さだ。正に神業……」
皮剥く様子が見えない。
神速の斬撃が物質を微塵切りにするかの如き光景に、神鳥は開いた嘴が塞がらなかった。
「…美味だ。美味だ…!! 此れは久方振りの…大当たり。クク…おぉ、何と言う、何と言う…美味か。弓弦よ! 我は此の蜜柑が入った箱をもう三箱は要求する!」
蜜柑が次々と消えていく。蝙蝠悪魔の機嫌は見る見るうちに良くなり、この空間の主を名前で呼ぶ始末。
このままのペースでは、そう時間を待たずして箱が一箱無くなるであろう。
そこまで美味いのか。バアゼルが、あまりに美味しそうに蜜柑を食べるものだから、アスクレピオスが徐々に食欲を促進されてもおかしいことではないだろう。
言うべきか、少しの間迷ったが意を決して彼はバアゼルに訊いた。
「支配の者よ、私も頂戴しても良いだろうか」
羽を伸ばし、蜜柑に触れようとする。
「ーーーッ!?」
その瞬間、鋭い殺気を感じた。
反射的に蜜柑を掴んでしまったアスクレピオスは飛び退いた。
「む?」
そんな彼の下に迫る物があった。
素晴らしい縦回転を描いている何かが、飛来して来る。
それはまるで車輪のようだーーいや、バトンだろうか。
視界の中央に捉えられるように、首を動かしていたアスクレピオスだが、ふと思った。
ーーーあの縦回転の行き着く先は、どこなのだろうか、と。
バトンはやがて弧を描く。上昇曲線は下降曲線へと変わる。回転は、止まらない。
聞こえてくるものがある。これは、風を切るような音だ。
彼はふと考えた。
ーーーバトンはこんなに鋭かっただろうか、と。
その間にもバトンは迫って来た。
華麗にキャッチしようと羽を伸ばすアスクレピオス。何の気無しの行動が明暗を分けることになるとは、つゆ知らず。
「…クッ」
「っ?!」
アスクレピオスは眼を見開いた。
あれはバトンではない。いや、バトンであったとしても、決して手に取ってはいけないような悪魔のバトンだ。
このままでは危ない。彼は伸ばした羽を引っ込め、身を翻した。
「ぬぉぁっ?!」
ガイーンッ! と、重々しい恐怖の音。
間一髪だった。
激突と同時に空間を抉ったバトンの正体は、漆黒の鎌。もし羽を伸ばしていたままならば、両断されていただろう。鋭い光を放つ刃は無慈悲の象徴だ。
「…食したければ好きにしろ」
果物の恨み、恐るべし。
たった一つの蜜柑を食べるためだけに、身体の一部分を切断されそうになるとは。
「…か、感謝する」
アスクレピオスは恐る恐ると、蜜柑の皮を剥いていく。爪で丁寧に剥いていく彼の表情は、鬼気迫っていた。
だがそれも当然かもしれない。
「……」
もう何十個目となるか分からない蜜柑を食べている蝙蝠の背中ーーーそこから放たれる威圧感が、彼を脅していた。
「堪能せねば、次は無いぞ」、と。
「(…南無阿弥陀仏っ)…いざ」
アスクレピオス、何故か念仏を唱えた。
食事とは、こうも緊迫した雰囲気で行われるようなものなのだろうか。
そんなはずはない。心落ち着く時間であるはずだ。
様々な世界の食卓を遠眼に眺めてきたが、監視されての食事程退屈そうなものはなかった。
どこの異世界だっただろうか。雑用係として母や姉達に虐げられていた女子のことを彼は思い出した。
真面な食事を摂らせてももらえず、ロクな寝床すら与えられることなく、まるで人として扱われることのなかった女性が居た。いつか陽の当たる世界に行けることを願っていた彼女のため、美しく着飾らせて一晩限りの晴れ舞台へと誘ったことが、かつてあった。
その後は家庭を持ち、日々を慎ましやかに送っていると風の知らせで聞いたが、今はどうしているのだろうか。
「…?」
風が乱れた。
これまでに運んだ数多の希望を回顧しているアスクレピオスの下に、再び迫る物質があった。
「…何のつもりだ」
何とかキャッチした物質は、新たな蜜柑だった。投げて寄越した存在は、一悪魔しか居ない。
「『流離の双子風』代理、貴様…揺らいでいるな?」
「…?」
何を突然。
虚を突かれたアスクレピオスは、先程とは打って変わり静かな声音になったバアゼルを見詰めた。
「……」
背中から放たれていた威圧感が、薄れている。
何と穏やかなのだろうか。こうも穏やかであると、嵐の前の静けさを思わされる。
「蜜柑を涙ながら食す者に、性悪者は存在し得ないと心得ている。食せ」
支配の者は何を言っているのか。アスクレピオスは言葉の意味が理解出来ず、新たに渡された蜜柑を見詰める。
「…?」
すると、蜜柑に雫が落ちた。
「…ッ」
理解が追い付く。
アスクレピオスは、何故か泣いていた。
どうして泣いているのか、その理由は分からない。
「クッ、我と志を同じくする存在が、唯一貴様のみとは…随分と皮肉が効いている」
バアゼルの中では、涙するアスクレピオスを蜜柑を愛する同士として認めてしまったようだ。
神鳥は羽で眼を拭い、暫し瞬かせる。
何故、涙を流しているのか。
確かにこの蜜柑は美味だ。だが涙を流すまでのものではないというのに。
「美味か」
「…美味だ」
それでもまさか、感動しているというのか。感動させてしまうまでに、この蜜柑は美味だとーーー
アスクレピオスは新しい蜜柑を剥き始めた。
「……」
ぐぎゅるる。音が鳴った。
「(…成程)」
空腹は最大の調味料とは、どこで聞いた話か。
涙の訳が空腹だとすれば、相当な時間空腹状態だったのだろう。喉元を過ぎる蜜柑は恵みの果実か。
「…食したければ好きなだけ食せ」
蜜柑を食べるアスクレピオスの羽は、空腹振りに反して緩慢だ。
食べるよりも先に気にしなければならないことがあったのだ。バアゼルを怒らせてしまったのでは、と少し心配していたために。
だがそんな彼の心配を他所に、彼が食べ終わったのを見計らったように新たな蜜柑が飛んで来る。
怒らせてはいないようだ。アスクレピオスは安心すると、食事に集中した。
「ありがたく頂戴しよう…!」
蜜柑に入れ込むバアゼルを彼は少しだけ、理解出来た。
蜜柑を片羽に離れていた距離を縮め、炬燵を挟んだ反対側に腰を下ろす。
感謝の言葉が自然と出てきた。アスクレピオスは蜜柑を剥くと、食べ始める。
「……」
少々、飽きてきた。
* * *
「はぁ~、着いたっすねぇ」
蜜柑がギッシリと詰め込まれた段ボールをバアゼルの下へと送った二人は、今回の異世界旅の終着点、旅籠屋に到着していた。
「良いお部屋っすねぇ」
オルレアは荷物を下ろし、大きく伸びをすると腰を下ろした。
座布団は彼女の臀部を優しく支え、静かに形を変えた。
座布団と組み合わさっている背凭れに身体を預けると、視界に天井が映った。
「(…バアゼル、喜んでいるみたいっす。アスクレピオスも、何か打ち解けているみたいだし、蜜柑は偉大っす…)」
自身の内側に意識を集中してみると、感極まったようなアスクレピオスの声が聞こえた。二悪魔通じ合っているようで何よりだった。
他の存在のことを気に掛けた後で、少女の意識は自分へと向けられる。
あちらこちらと街中を回った疲れが、彼女の身体に「休め」と働き掛けている。
ほぼ二時間燥ぎっ放しだったのだ。それも無理もないかもしれない。
「御茶を淹れました。どうぞ」
少量の荷物を隅に置いて早々茶の用意をし始めていた風音により、湯呑みに緑茶が注がれる。
「ありがとっす」
差し出された茶を飲んで、一息。
少し休みたい気分だ。何か小腹を満たす物を探すと、机の上に菓子が置いてあった。
「あ、お菓子あるっすよ。どうすか?」
オルレアが隣に座る風音に勧めるも、首を横に振られた。
「是非…と言いたいのですが、夕食も近いことですし遠慮させて頂きます。オルレア様…は、もう召し上がっているのですね」
座った風音の隣では、オルレアによって煎餅が円形を崩されている。
お茶を飲み、煎餅を食べる。うら若き乙女は随分と忙しそうだ。
「そりゃ勿論っす。美味しいものは食べなくちゃ。…本当に良いんすか? 全部食べちゃうっすよ」
「はい、どうぞ御構い無き様」
ダイエットではないが、どうも食べる気になれない。
オルレアの申し出をやんわり断った風音は、自分の分のお茶が入った湯呑みを傾ける。
「美味しいのに……」
「どうぞ御一人で御堪能下さいな」
「…拗ねてるんすか?」
拗ねている訳ではない。
そんな気分になれないだけだ。
「まさか」
オルレアは納得がいかない様子だったが、引き下がった。
「(…それを拗ねている、と言うのかもしれませんね)」
風音は煎餅の欠ける音が聞こえる中自嘲する。
自分はどうにも捻くれてしまっているようだ。この自分でも良く分からない機嫌の悪さは、どうやって治せば良いのだろう。
考えれば考える程迷宮入りしてしまいそうで、焦燥が生じてきた。
「(…どうしましょう。落ち着きません)」
畳に触れてみたり、周囲を観察して気を逸らしてみるが、効果は薄い。
他に気を逸らすものは無いか、と思い部屋を見回すが、特にこれといって気を引くものはなかった。
時間も気になる。立ち上がって時計を探すべきだろうか。確か渡り廊下で一つ見掛けたはずだ。
「どうしたんすか?」
立ち上がった風音を見上げるオルレア。上から見ると、彼女のスタイルの良さが分かる。
もしこれが「彼」の趣味だとすればーーーそう考えると思わず、微笑みたくなってしまう。そうか、この体型が好みなのか、と。
「少し席を外します」
「はーいっす」
襖を開けて部屋の外へ。
「(夕食…は、六時でしたか)」
ここを訪れることに際し、チェックインするのに四時丁度を目指した。
とすると、現在は四時以降六時未満となる。
「あ……」
オルレアと風音はチェックインの後すぐに部屋に入り、今に至っている。それはつまり、そんなに時間は経っていないということだ。
「席を外す」と言ったのは正解かもしれない。「時間を見て来ます」と言って部屋を出るのは方便に近くなるためだ。
「(…四時…十五分)」
渡り廊下で時計を見ると、やはりあまり時間は経っていない。
そんなこと分かっていたはずなのに。どうして部屋を出たくなるまでに落ち着きを無くしてしまったのだろう。
「(…戻るとしましょうか)」
部屋に戻れば分かるかもしれない。
踵を返した風音は、硫黄の香りが微かに漂う渡り廊下を歩く。
硫黄が漂っているのは、渡り廊下の奥に温泉があるからだ。天然温泉特有の香りは、浴場へと誘おうとしている。
「(入浴は…もう暫くしてからにしましょうか)」
出来れば、夕食までには済ましておきたいものだ。その後の時間をより堪能するためにも。風音は小さく笑った。
茜が差し始めた旅籠屋の玄関を通り、オルレアの待つ部屋を目指す。
ーーー氏は?
その途中、男の声が聞こえてきた。
ーーー今は…。何かあれば愛花が…。
耳に届いたのはそんな遣り取りだった。
「(愛花…確か)」
聞くつもりはなかったのだが、耳に覚えがある人名に風音は記憶を手繰った。
確か、ここにチェックインした際に対応してくれた女将が、そんな名前だったはずだ。
不思議なことだが、和菓子屋で擦れ違ったのが彼女だったのだ。袖擦れ合うも多少の縁とは良くいったものだった。
今は姿が見えないので、誰かの接待か清掃でもしているのだろう。接待に関しては、受付の壁に貼られていた紙で判断出来た。
今は片付けられているが、多くの来客の代表者名が書かれていた中に、「飯坂 大輝」という名があった。その人物の名は、記憶違いでなければこの街の長の名前であったはず。
「へ~、偉い人も来るんすね」
同姓同名の人物などそうそう居るものではない。当人だという話をオルレアに話したのは部屋に戻ってからだ。
「でもどうしてその人のことを知っていんすか? 風音もこの街に来ることは初めてっすよね」
「クスッ」
風音はその疑問を、待っていた。
以前、情報を調べるためにイヅナに教えてもらった、ある方法。それを示す横文字。
いつまでも不得手とする訳にはいかず、個人で試行錯誤したあの瞬間ーーーそう、電源を入れることが出来た時を思い出しながら風音は得意気に言った。
「インターセプトですよ♪」
「物騒っすね」
どうやら間違えたらしい。もう一度。
「あ、インターセプターです。インターセプターに教えてもらいました」
「え、犬っすか?」
また間違えたらしい。犬の種類にあるのだろうか、インターセプター。
何故か危険な香りがするので追求するのは止める風音だ。
「犬はオルレア様です。生物ではなく物で御座います、物」
「…車?」
何故だ。
分かってもらえない風音の得意気は崩され、彼女は畳の上に崩れ落ちる。
「インター」までは間違い無い。「インターセプト」でも「インターセプター」でもない「インター」とは何なのだろうか。
風音は記憶を探る。
何度も書いて覚えたはずだ。きっと思い浮かぶはず。そう自分を信じて。
隊員の部屋にある、情報端末。
電源を入れることが出来ず、苦労した日々が思い起こされていく。
「…!」
「インター…ット…」そう、そんな響きだ。イヅナはそんな響きの言葉を確かに言っていた。
更にいうのなら、語感が良かった。口に出すとビシッと決まるような、思わず得意気になってしまうような横文字だった。
更に更に、確か五十音の「え」の列のはず。
ここまでこれば、答えを大体絞り込むことが出来る。
「(え…け…せ…て…ね…へ…め…れ…。…そうです!)」
答えはこの中にある。
そして、閃いた。
間違い無い。今度こそは間違い無い。風音はこれ以上に無い程自信満々に答えを口にした。
「インターゼットンです!」
答えは宇宙の彼方へと消えるのだった。
「…み、見てないです」
「そか。良かったぁ…。今日はちょっと、ううん、今日じゃなくても駄目なんだけど…えへへ、何か言っていることおかしいね」
「(…ごめんなさい。本当にごめんなさい……)」
「…。本当に、見てない?」
「…は、い」
「…じゃあ質問です。無回答には罰ゲームが与えられちゃいます」
「えっ!?」
「あなたのお名前何ですか? 名前が解れば、はい。解らなければ、いいえの後に分かりませんと解答してください」
「…はい、ディオルセフ・ウェン・ルクセントですっ」
「ふぁいなるあんさ~?」
「…え。(このノリ、何だろう)…ファイナルアンサー?」
「……」
「……」
「……」
「…(な、何だろうこの間)」
「正解♪ では次の質問です」
「(…正解じゃなかったら、どうなっていたんだろう。僕の存在意義が問われてたよね、地味に)」
「あなたの趣味は、何ですか? 趣味があったらはい、の後にどんな趣味か教えてください。無ければいいえ、とだけ解答してください」
「趣味? はい。(何か…お見合いみたいだ。)…剣の練習かな」
「…ふぁいなるあんさ~?」
「ファイナルアンサー」
「……」
「……(恥ずかしくなってきた)」
「……」
「(もしかして、さり気無く僕のことについて訊かれていたりするのかな…?)」
「正解♪」
「(だったら、ちゃんと答えないといけないね。多分だけどこれって、色々な人に僕のことを知ってもらうチャンスなんだろうから。よし、そうと決まれば)」
「スカートの中見ちゃった?」
「はい。(あっ、しまった…っ。あっさり引っ掛かった…!?)…い、いいえっ」
「…やっぱり見ちゃってたかぁ。ごめんね? 見たくないもの見せちゃって」
「…いえ、そんなことっ!!」
「ううん、良いの。良いんだよ。え、えへへ……」
「(な、何でそんなに謙遜するんだろ。でも…見ちゃったことバレたし…ここは)…見てしまってごめんなさい…(謝るべきだよね。後……)似合ってたと思います!! (誉めるべき…だよね?)」
「‘褒めたっ!? でぃ、ディオ君上級者……っ。スカートの中見ちゃった相手の下着を褒めるなんて……、さ、流石と言うか…これが、青春っ!? 褒めたいのは分かるけど、フォローしたいのは分かるけど……っ’」
「えっ!? に、似合ってるっ!?」
「はい! 似合っていると思います!」
「あ、あはは…っ、そんなこと言われるとは思わなかったなぁ…。予想外…」
「(あれ、困らせてる……?)」
「…ディオルセフ君って、変わった男の子だね。ごめんなさいの後に似合ってるって言ってくれる人、ユ~君に以外に初めてだよ」
「…弓弦が? (嬉しいような、嫌なような…複雑だ)」
「ユ~君もね、時々言うんだよ。うっかり下着とか、裸とか見ちゃった時に…眼を反らしてから『似合ってる』とか、『綺麗だよ』…とか。信じられる? 特に綺麗って…どうしてそんな言葉が出てきちゃうかなぁって、思うんだよね」
「‘え、綺麗とかそれ、言われたことないんだけど’」
「(綺麗っ!? 弓弦…流石だねぇっ。)それは…凄いですね」
「でも綺麗って言われるのは嬉しいんだよねぇ。素直で可愛いんだ。ユ~君って」
「…はぁ。(弓弦が可愛い…ねぇ)」
「…何か、ユ~君のことばかり話しちゃってるね。私ったら……えへへ」
「(言われてみれば確かに。アプリコット少尉、弓弦の話ばかりしてる。…やっぱりこの人も弓弦のこと好きなんだろうなぁ。良いなぁぁ)」
「…あ、そろそろお布団しまわなきゃ」
「あ。(大分話したなぁ。もう日が傾いてる)」
「ディオルセフ君。お話に付き合ってくれてありがとね。楽しかった♪」
「はい、僕も楽しかったです」
「えへへ…じゃあね♪」
「…はい、それでは。(…可愛い)」
「‘…弓弦…今度綺麗って言わせないと…化粧の練習…と…’」
「…神ヶ崎さん、アプリコット少尉帰りましたよ」
「あ、ディオ君…って、えぇぇっ!? いつの間に…あ、予告!!」
「今回は僕がやります。『天部 風音で御座います。少々、困ったことになりました。弓弦様がデリバリーの無いことを仰るのです。…私の…衣服をコーデネートしたいと仰るのですが…それが問題なのです。…凝り性なのは存じていましたがーーー次回、湯煙旅とデリカシー』…で、次からは誰と話せば良いんだい」
「…。それは、次回からのお楽しみで~す……」




