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俺と彼女の異世界冒険記   作者: 仲遥悠
04771を求めて…編
268/411

止めろ弓弦! 絶望の奔流!!

 陽が、落ちかけている。

 木々の影が伸びている丘に、弓弦は立っていた。


「着いた……」


 辿り着くことが出来た喜びが吐息に混じる。

 彼が見詰める先には、大きな穴ーーー洞窟が湿気の多い空気を吐いていた。

 洞窟の正確な場所を少女アイから聞き忘れていた彼は、町の人々から聞き込みを行った。

 幸い広く知られた洞窟であったため、すぐに場所は分かったのだがーーー


「まさか…あんな穴があるなんてなぁ」


 途中深い落とし穴にはまってしまい、這い出すのに時間を要してしまったのだ。

 子ども達が仕掛けたものなのだろうか。随分と都合良くある落とし穴だった。


「…気を落としてもいられないか。さて、行かないとな」


 洞窟の中へ。

 静かで一見何も無いような洞窟は、延々と地下に潜らされた壁画の洞窟を思い起こさせる。

 ただ一つ違うのはーーー


「……」


 危機感。そう、違和感ではなく危機感だ。

 闇の奥で、胎動しているものがある。


「ッ」


 急がなければ。

 焦る気持ちに背中を押され、弓弦は洞窟の中へと走る。


「(…居た!!)」


 そこまで深い洞窟ではなかったためか、すぐに探し人らしき人物は見付かった。


「おい! ちょっと待ってくれないか!」


 その男は、集中した様子で洞窟の奥に腰を下ろしていた。

 誰の眼にも明らかな探検家衣装の男が、ゴソゴソと何かをしようとしている度に弓弦の中で警鐘が鳴らされた。


「おい! 聞こえないのか!?」


 何をするつもりなのかは知らないが、あのまま好きにさせるつもりはない。

 “クイック”で加速した弓弦は、男の肩を掴み自分の方へ倒そうとした。


「なっ」


 だがそれよりも、男が作業を終える方が速かった。


「おお!!」


 壁に亀裂が入る。

 弓弦にとって見覚えのあるような縦光が走る光景に、男が歓喜の声を上げた。


「本は正しかった! やはりここには古代の神秘が眠っているのだ! やったぞアイ! パパは正しかったんだ!!」


 長年の悲願だったのだろう。

 仰向けに倒れ込み、涙まで流している男を見た弓弦は同情の念を禁じえなかった。

 ーーー次の瞬間までは。


「ッ!?」


 壁の奥に封じ込められていたものが、一斉に奔流と化した。


「俺の後ろから動くなよッ!!」


 男の前に立ち、銃剣を抜く。


「(嫌な予感的中か、くそっ!!)」


 正中に構えられた剣が奔流を斬り裂く。

 押し戻されるような手応えを感じる中、一歩も引き退ることはなかった。


「うぉぉぉぉぉッ!!」


 装束がはためく。

 剣が振るわれると共に奔流は断たれ、弓弦は耐え切った。


「…あ、アンタ…こんな辺鄙な所に何のようだ…?」


 開かれてしまった扉を閉ざし、銃剣を鞘に戻す。


「……」


 娘のために夢を目指した男の手が夢に届こうとしている。それを否定しなければならないのだから。

 だが、言わなければならない。頭を掻くと、弓弦は口を開いた。


「何てことをしてくれたんだ。お前は」


 男に文句を言おうと振り返った、その時だった。


「…ひ…ひぃぃ……」


 男に、異変が起きていた。


「か、身体に何か入って…っ!? あ、頭が…頭が痛い、痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイ?!?!」


 口に、鼻に弓弦が斬り裂いたものが入り込んでいったかと思うと、突然のたうち回り始めた。

 そして「イタイ」と何度も繰り返し、壁、地面に頭を打つけ続ける内に男の身体から血と、黒いモノが噴き出した。


「な、なぁっ!?」


 悍ましい光景が眼前で繰り広げられ、流石の弓弦も一歩後ろに下がった。


「ひぎゃぁぁぁぁぁぁあアアアア!?!?」


 男の存在が、変質する。

 人としての生を全うする前に、新たな異質への生へと移行させられる。


「許せよッ」


 弓弦の身体は動いていた。

 抜き放たれた斬撃が男の首を斬り飛ばす。

 人間である間にその命を絶つ。

 恨みは無いが、この男をこのまま放っておく訳にはいかなった。


「(ごめんな…アイちゃん)」


 こんな予感を薄々感じていたような気がする。

 壁の奥に封じ込められていたものが一連の悲劇へのきっかけならば、悲劇の幕開け手の命は初期の段階で失われていてもおかしくない。

 この男の死は、必然。悲劇は、この男の命を代償として幕を開けるのだ。

 だが、いずれ死すべき運命だったとしても。今自分が少女の父親をその手にかけてしまったその事実は、変わらない。

 せめて祈りの一つでも捧げなければ、と閉じかけた視界に見えるものがあった。

 そう、首を失っても動こうとする肉体が。


「嘘だろ…おいっ」


 男は不死者と化していた。

 理由は考えるまでもない。壁に封じられていた物質ーーーそう、不死者の首から漏れ出ている黒い、『陰』だ。

 弓弦は「またなのか」と、続け様に言ってしまう。今回はつくづくある不死者との縁に、嘆息せずにはいられなかった。


「文句も言ってられない…か!」


 構えた銃剣に焔を灯す。

 煌々と燃える致死の一撃が、構えられる。


「“烈焔波”!」


 斬撃に宿った焔が放たれる。

 地を駆ける一撃は赤の軌跡を残して直進し、不死者の身を焼き尽くす。

 洞窟の薄暗い闇を照らす篝火は、送り火。哀れなるモノを等しく天上に還す情けだった。


「…急がないと!」


 弓弦は洞窟を脱出すると町への道を急ぐ。

 既に事は起こってしまっている。時間制限の存在を踏まえると、少々悠長にし過ぎたか。

 『陰』に慈悲は無い。ありとあらゆる存在を呑み込む闇と異なる事象は、刻一刻と運命をなぞっているだろう。

 自分に出来ることは何か。それをハッキリさせなければならない。

 弓弦は襲い掛かる魔物を斬り捨て、草原を駆け抜けた。


「ーーー!!」


 あの平和そのものの空間から切り離され、異様な気配を漂わせた町が見えた。


「ッ!!」


 躊躇うことなく、突入する。

 噴き出すように至る所より生じる陰や瘴気の只中においても、身体は通常通り動いてくれる。ここが過去であるためか。

 瘴気の漂う町中に跋扈するのは、既に人ではないモノ達。

 共喰いすらしている不死者共の殆どが、人であった原型を残しているだけに趣味の悪い夢を見せられている気分だ。ユリなら気絶したまま眼を覚ますことがなさそうだ。


「わーい…なんて、遠い眼する訳にもいかないよな!」


 託されたものが、ある。

 だからおちおち現実逃避することが出来るはずもない。


「(だが…片っ端から片付ける訳にもいかないしなぁ。死人とは言っても眼覚めが悪くなりそうだ)」


 不死者を斬り刻む半ば、そんなことを考える。

 どうにかしてティアとニアンを見付けなければならないが、二人の気配は感じられない。

 あの二人が絶望に堕ちるのを防ぐため、今この場に居るというのに。この状況は危険だ。

 打つ手が無い。あるのかもしれないが、良い案が浮かばなかった。


ーーーたすけてぇぇっ!!!!


 その声を聞くまでは。


「…まさか」


 良い案が浮かばなかったのは、諦めが背景にある。

 弓弦は、町人が全滅したと諦めていた。だから、滅んだ町を見てティアとニアンが絶望に堕とされたと考えた。だがこの考えが違うのだとすれば。


「(そう言うことかっ)」


 悲鳴が聞こえた方角へと向かい、通った覚えのある道を走る。

 本当に取り返しのつかないことが、この先で起ころうとしているのだ。

 後手に回り続けているのだとしても、それだけは先手を打たねばならない。

 運命から、あの小さな女の子を守らなければーーーッ!!


「っ」


 染み出るように現れる、陰。

 その向こうで一人走る、小さな姿は不死者に襲われている。


「ぉぉぉッ!!」


 加速。そして、跳躍。

 ハイエルフの脚が生み出す力は、一飛びで屋根の高さにまで弓弦を跳躍させた。


「いや…もう…いやぁぁぁっ!!!!」


 頼る者が居なくて、一人逃げる少女は悲鳴を上げ続けていた。

 彼女を追う不死者は、数十人規模。肉体が腐敗し続けていることが幸いしてか、少女の足でも逃走を可能としているようだ。


『凍てつけ!!』


 弓弦は空中から地上に向けて“ブリザード”を発動させると、少女の前に立ちはだかった。


「おに…さん…っ」


「お兄さんの後ろに隠れて!」


 困惑の面持ちで足を止めかけた少女が、弾かれたように背後に回り込もうとして、しゃがみ込む。


「(…相当逃げて来たんだろうな)」


 少女の足跡が、紅く染められている。見ると靴が脱げており、少女は裸足であった。

 町の道はある程度整備されているとはいえ、素足で走るには痛かったはずだ。「良く逃げ続けてくれた」と、頭を撫でてやりたかったが思い留まる。

 現状をどうにかしないことには、落ち着けるはずもない。決して事案発生の危険性を予見したからではないが、少女を安心させるためにもまずは、場の平穏を取り戻さねば。


「(奴等の位置は直線上…なら)」


 不死者は夜に彷徨う死に損ないの存在ーーー闇の眷属だ。

 弓弦は迷うことなく自身の魔力(マナ)を高めていった。


『審判の光、其は悪心抱く者を裁く聖なる裁き也!』


 詠唱が完成する。

 吹雪の中を突き進んで来た不死者に向けて、光が溢れ始めた。


「眼を閉じてて」


「…うん」


 弓弦は少女に眼を閉じさせ、展開した魔法陣へと左手を突き出した。

 微かに溢れていた魔力(マナ)が、解放される。


「‘さよならだ’」


 “圧縮された裁きの光(ジャッジメントレイ)”が、瘴気の町の大通りを一直線に駆け抜けた。

 闇のモノは光に裁かれ、存在を滅せられた結果跡形も無く消え去る。

 声無き断末魔が上がった。

 その中には少女を虐めていた少年達の姿もある。

 眼球の抜けた空洞と視線が合い、どうにも責められている気がしてならなかった。


「(石投げられた仕返し…にしては、やり過ぎだよな。はは、とんだ悪役気分だ)」


 短めに黙祷する。

 倒さなければならない相手に同情せず、割り切らねばならないとは分かっているのだが。中々難しいものである。


「…凄い」


「…ん?」


「お兄さん凄い! 敵を全部やっつけちゃったなんて…!」


「(敵…か)」


 その通りではある。その通りではあるのだが、どうにもやるせない気持ちにさせられる。

 少女の眼に映る不死者は、単なる化物でしかないということだろう。無邪気さがさせる、残酷だった。


「やっぱりお兄さんが本物の希望の妖精さんだったんだ! あんな嘘吐き達じゃないもん♪」


 引っ掛かった。

 否、既に答えに至ってしまった。


「…嘘吐き達?」


「うん、私よりちょっと大きいぐらいの二人。妖精さんって感じがしたからてっきり勘違いしちゃったけど、実はすっごい悪い奴等なんだ。きっと敵の親玉なんだよ」


 まさかだった。

 少女は既にティアとニアンを、拒絶してしまったのだ。


「どうして、そう思うんだい?」


「だって、あの二人から逃げた途端に化物達が襲い掛かって来たんだもん。親玉に違い無いよ!」


「(…まさか、もうそこまでに瘴気に侵されたのか? だとしたら……っ)」


 またしても、動くのが遅れてしまった。このままでは意味無く歴史をなぞらせる結果しか待ち受けていない。

 それを防ぐためにはーーー


「その子達とは、どこで会った?」


 そう、直接対峙するしかない。


「偽物をやっつけに行くの? アイはアイの家で会ったけど」


「そうじゃないけど。お兄さんはその子達と話さないといけないことがあるから。じゃあ、行こっか」


 鍵は、この少女。

 この少女に、どう働きかけるかによって、目的は達成出来る。そんな気がした。


「うん!!」


「良し。危ないからお兄さんの背に乗って」


「は~い!」


 陰が現れ続ける町の中で、少女の家を目指す。

 移動は歩きではなく、屋根から屋根への跳躍だ。地上を歩くより時間を大きく短縮出来るため、少女の家までの道程に時間を要することはなかった。


「(…感じる…)」


 揺らめくように儚い風の魔力(マナ)が、三つ。

 穢れた魔力(マナ)が蔓延る町の中で、唯一の眩い輝きを放っている魔力(マナ)が、近くに。


「わぁ♪ もうアイの家に着いちゃった! 凄い凄い!!」


「(…向こうも気付いたか。さて、どうするか)」


 この空間を包んでいる魔力(マナ)は恐らく、アスクレピオスの魔力(マナ)

 何と気高く、清らかな魔力(マナ)であろうか。この空間に陰や化物が侵入して来ていないのも頷ける。

 何となくではあるが、少女が他の町人のようにならなかったのも説明がつくだろう。


「(ま、真正面から行くか)」


 魔力(マナ)の発生源は、家屋の裏の方だ。

 少女を背中から降ろし、左手を鞘まで持っていく。臨戦の用意だ。


ーーー止まれ。


 空間の主による制止の声が聞こえた。

 あのネガティブ鳥の声だ。彼を知らなければさぞ、威厳のある声に聞こえただろうが。


「こちらに抗戦の意思、は無い」


 どうしてか、笑いが込み上げてくる。

 上擦った声にならないように努めはしたが、変な所で言葉を区切ってしまった。

 小さな咳払いと共に気を引き締め直し、再び歩き始めた。


「お前に用は無いから安心しろ。用があるのは、お前の主人達だ」


ーーーならん。止まれ。誰かは知らんが、このままこの地より逃げると良い。…いや、待て。


 壁越しに、美しい羽が見えた。


「その少女は置いて行け」


 暴風の襲撃に、弓弦は少女の手を握りそのまま自分の下に引き寄せた。


「きゃぁっ!!」


 吹き飛ばすための、勢いだけの風だったのか、肌は切り裂かれない。

 脅迫を目的として放たれた魔力(マナ)だったようだ。


「…大きな鳥さん…どうしてアイを…?」


 アイはすっかり怯えてしまったのか、弓弦の服の裾を掴んだまま震えた声を発する。


「ただ一言、心から主達に謝罪しろ。お前は取り返しのつかないことをしてしまったのだ。せめて、それぐらいはしてもらうか」


 癒しの神鳥として、幼き命は奪えないのだろう。「謝罪しろ」とは、アスクレピオスの最大限の激怒らしい。


「…どうして…?」


「お前の言葉が主達を著しく傷付けたが故に」


 アスクレピオスから少し離れた場所に、ティアとニアンの姿が確認出来る。

 二人は、呆然とした面持ちで俯いている。

 その様子は、弓弦の精神空間の中での様子と瓜二つであった。


「やだ」


 アイは断った。まるで断固として応じないかのように弓弦の背後に隠れながら。


「だって、あの二人が町をこんなんにしたんだもん。やだ」


「それは誤解だ」


「誤解じゃないもん。じゃあどうしてここは、怖い化物だらけの町になっちゃったの? 皆はどこ? 町の皆はどこに行っちゃったの? …アイ分かった。鳥さんが食べちゃったんでしょ」


「…それも、誤解だ」


「じゃあどうしてここには化物入って来ないの? 向こうの二人と、鳥さんが町をおかしくしちゃった一番悪い奴だからじゃないの!?」


「誤解だと言っているだろう! 私と主達をアレと一緒にするな!!」


「一緒! じゃあ今すぐしょーめいしてみせてよ! 悪い奴じゃないってこと!!」


 ただ謝ってほしいアスクレピオスと、何が何でも謝ろうとしないアイ。間違っているのは、アイの方になる。

 ティアとニアンを助けたい弓弦としても、アイに謝ってもらわなければならないのだが、どうやって謝らせたものか。


「この空間こそが証明! 風の香りをその身で感じろ! 瞭然しているはずだ!」


「風の香りなんて難しいもの分からないもん! もっと分かり易いのにしてよ!!」


 「そんな無茶な」とでも言わんばかりにアスクレピオスは絶句した。

 風の香りは最も分り易い指標の一つ。空気が美味しいか、そうでないかぐらい分かっても良いはずなのだが。


「悪しきモノを拒絶するこの空間の透明感が何故分からない…。誰の眼にも明らかなはずであろうに……」


 アスクレピオスは、今も昔もアスクレピオスである。深々と溜息を吐きそうな様子に一人納得していた弓弦は、小さく声を上げる。


「…?」


 疑問が声として出る。

 少女の視線を、時折感じなくなるのだ。


「じゃああそこに居るのは!? さっきから立ってるけど!!」


 振り返る。

 少女が指で示す先を視線で追う。


「…あ…れ…?」


 弓弦の眉間に、皺が寄った。

 悪しき「化物」が、立っていたのだ。


「…っ」


 アスクレピオスが気付けなかったのも頷ける。

 あの化物は、領域の外ではなく、中より生じた存在なのだから。

 弓弦にも見覚えがある存在だ。

 「彼女」を見たのは、今日の昼頃。姿形は変化しているものの、面影がある。


「ま…ま…?」


 不死者と化した、アイの母親だった。

 何故現れたのか。考えるまでもない。


「な…何故、この中に奴等が!?」


 動転するアスクレピオスの隣を抜け、その先に進む。


「決まっているだろう!」


 領域の力が薄れる。それはつまり、魔力(マナ)の発生源が穢れつつあるということ。

 そう、タイムリミットは、近いーーー!!

「時が経つのは早いもの。気が付くと…世は二月だよ」


「うむ、二月だそうだな」


「…トキ…それは流れるように」


「…うーん? それはトキはトキでも別のトキ……ゲフンゲフン」


「…時は流れるもの」


「うむ、そうだな」


「私達の時は、あの時から止まっている」


「それはセイシュウさん達」


「…そう、この世は正に、栄螺三時空。またの名を、虎南勲時空…また「ストーップ!!」…不本意」


「…セティ、ねぇセティ。セティって…OTK?」


「知影殿、何だそれは? …何かの略語か? …オーガニック…トマト…カコイ」


「…かーごーめーかーごーめー」


「わーっ! あのさ! 私はツッコミキャラじゃありません! ボケ倒して弓弦に突っ込まれるキャラです! 後ろから!」


「…おすわり!」


「…なっ、私は犬ではないぞセティ殿!」


「…はぁ。弓弦~…ゆづるるるるるるぅ……はぁ……」


「ルールルルー」


「…セティ殿が場に居ると、何故か混沌とするな」


「…この子…ヤバいよ」


「…本人の前で言うことじゃない」


「む、すまない」


「…はいはーい! 予告いこう! 『悪いこと。そんなこと、人だったら少しばかりすることはあるだろう。…ちょっとした悪なんて、そこら中に転がっているものなんだよな。…だから、その後が大事だ。転がった先で手を突くか、転がり続けるかーーー次回、説け弓弦! 誤りは謝るべし!!』…強い子だ。…強い子だ…♡ って弓弦に誉められたい今日この頃。私は空を見上げてます。そして叫ぶのです!」


「「……?」」


「か~むば~~~っく弓弦~~っ!!」


「「……」」


「か~む、ば~~~~~~っくっ!!!!」


「かーむひあ」


「…うむ。私は何も見なかった、何も聞かなかった。…さて、銃の手入れを……」

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