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俺と彼女の異世界冒険記   作者: 仲遥悠
04771を求めて…編
246/411

企むクロ! 生乾きの炬燵布団!!

 草原を歩く。

 少しずつ近付いて来る目的地を視界の中心に入れて、ただ前へ。

 高度が高いためか少々寒く、酸素の薄い空間を歩きながら弓弦は先程の話の続きをしていた。


『…本当に分からにゃいのかにゃ?』


「あぁ。特にこれと言って意味のあるようなメロディじゃないんだが……」


 話題はシテロが吹いていた曲についてだ。

 リズムこそ少し早くはあったが、彼女が何を吹いていたのか分からない彼ではない。

 しかしどうして吹いていたのか、は分からなかったようだ。


『ニブチンにも程があるのにゃ。どうして分からにゃいのかが僕には分からにゃいのにゃ』


「そんなことを言われてもな。分からないものは分からないんだ。…吹く練習とかをするような曲じゃない」


『別に誰がにゃにを吹こうが誰かの勝手にゃ。理由にゃんて、考えるだけ無駄にゃのにゃ』


 話を打ち切ったのは、それ以上弓弦に考えさせても無駄だということが分かったからだ。

 「そうだな」と相槌を打った弓弦もそれが分かったのか、それ以上話を掘り下げない。


「そう言えばさ。シテロの奴妙に薬草詳しいが…やっぱり属性を司っている以上、その分野に詳しかったりするのか?」


 代わりに別の話をすることに。

 シテロは周囲に生えるあらゆる植物についての知識を有しているようだった。


『詳しい…と言うよりは、幾星霜の時の落し物にゃ。久遠とは言わずまでも、多くの時を生きていることの証明。…記憶に自然と刻まれた軌跡…。そんにゃところにゃ』


 同意する雰囲気を感じた。

 他の悪魔も同意しているのだろうか。


「覚えたくて覚えた訳じゃないが、気が付いたら覚えていた…そんな感じか」


 欠落していく記憶もあれば、定着する記憶もあると言うことだろうか。妙に大仰な言い方をするものだ。


『にゃはは。だから僕が氷のことばかり知っているのって言うと、そうでもにゃいのにゃ』


『どうでも良いことも良く知っているな』


『ぐっ、『空間の断ち手』…どうでも良いとは酷い言い草にゃ。じゃあ『支配の王者』の蜜柑の知識はどうにゃのにゃっ、無駄だと思わにゃいのかにゃ!?』


 五月蝿くなりそうな気配が漂う。


『…その辺りで止めておくと良いだろう。然龍が眉を顰めた』


 ヴェアルの諌める声が頼もしい。

 全くその通りだ。眠れる龍を起こすと自分の身が危ないはずなのに。

 賑やかなものだと嘆息する。

 嫌いではない。嫌いではないのだが頭の中での会話は止めてほしい。せめて出て来てくれないだろうか。


「そろそろ静かにしてくれよ。…洞窟だ」


 少し離れた所に見え、口を開けていた洞窟の入口が眼の前に。

 一見すると、下へ下へと続く洞窟といったところか。この先に銃弾の送り主は居るのだろうか。

 クロが静かになる。


「(何だ…?)」


 足を踏み入れると、既視感に囚われた。

 ここに来たことはない。断言出来る。

 だがどこかで見たことがあるような気がした。


『疑問があるのならば。先へ進んでみると良いだろう』


「そうさせてもら…っと」


 岩壁をまじまじと見ていると、ぶつかりそうになった。

 未然で済んだが打つかってはとんだ笑草なので、前方注意を怠らないように進んで行く。


『笑草だな』


「笑草なのか……」


 バアゼルからすれば、打つからなくとも笑草のようで、これ以上同じことを繰り返すのは避けたい。


『照らせ』


 入口からの光が消え掛かっているので、“ライト”の魔法を使って洞窟の闇を照らす。


「念のためこれも使っておくか」


 続いて別の魔法の詠唱に入る。


『…その効果、永続とわに持続せん!』


 展開された魔法陣から発せられた魔力マナが、詠唱の完成と共に光球を包み込む。

 幻属性中級魔法“パーマネンティ”。効果は発動されている魔法の効果の延長だ。

 まだ魔物の気配は感じられないが、もしもの時に備えておいても悪いことはないだろう。


「不思議だな」


『何がだ?』


 アデウスの声が聞こえた。


「洞窟だって言うのに、魔物の一匹も居やしない。それっておかしくないか?」


『奇妙と言うことはないだろう。別にあっても良いはずだ』


 嫌な予感がする。感じる魔力マナが穏やか過ぎるのだ。

 洞窟なのに、闇属性の魔力マナが活性化していない。他の魔力マナも同じだ。


「…まぁ、先に進めば分かるか」


『キシャ』


 一本道の洞窟。

 念のために他の道が無いか探っているが、今のところは他に道が見受けられない。


「階段だな」


 奥まで進むと、地下へと続く階段があった。

 見立て通り、どうやら地下へ地下へと洞窟は続いているようだ。


「先は長そうだなぁ」


 階段を降りると、奥まで道が続いているのか、風が吹き付けてきた。


「……?」


 風の香りには、どこかで嗅いだことがあるような懐かしさがある。

 やはり、見たことがあるような気がする。

 それにこの胸が騒ぐような違和感は一体ーーー?

 兎に角進まなければ。進んだ先に何かがあるのは間違い無いのだから。


「…何か寒気がしてきたな」


 氷の魔力マナにも異常は無い。

 あくまでふと覚えた直感的なものだ。


『…弓弦、ビビっているのかにゃ?』


「…。そうだな。どうにも落ち着かない」


 周りが奇妙なまでに落ち着いているのが、余計に落ち着かなくさせてくる。

 心細く思っているからだろうか。

 当たり前のようにあった女性陣の存在にこれまでは甘えていたのか?


「…寂しがりなのか。やっぱり」


 なんだかんだいって甘えていた部分はあるのだろう。

 情けない話だ。格好なんて、とても付けられたものじゃない。


「俺は主人公とか、隊長とか、そう言う誰かに頼られるには到底向いていない人間だと、つくづく思い知らされる。…平和な暮らしがしたいなぁ」


 独り言が多くなる。

 寂しさを紛らわせるための独り言に悪魔達が言葉を返すことはなかった。


「…ま、誰かに頼られるのって悪くないよな。自分なんかを頼ってくれる人が居るんだって誇らしく思えてくる。…なんかって言っていたらあいつらに怒られてしまう…か。…さ、待っててくれる皆のためにも、さっさと奥に行って確かめてやらないとな」


 弓弦は胸に溜まったものを一通り吐き出してから、呼吸を整えて先を急ぐ。


「と言うか、暇だ…っ。一体いつになったら奥に到着するんだ…?」


 洞窟に入ってかなりのじかんが経過した。

 降りて行く際に数えた階段の数は数え知れない。だが、道はまだ続いている。

 洞窟で一人分の足音が、静かに闇に呑まれていくーーー


* * *


独言どくげんが過ぎる」


 バアゼルは、弓弦の精神空間である『炬燵空間』でテレビを見ながら蜜柑を頬張った。


「にゃはは。人間寂しくにゃる時ぐらいあるのにゃ」


 最近廃棄予定の段ボールでベッドを作ったクロが、本を捲りながら欠伸をする。


「何故往かない。儘猫じんびょう、先ず以って貴様が往くべきだろうに」


「今良いところにゃのにゃっ。邪魔しにゃいでほしいのにゃ」


 この猫、正に悪魔である。

 弓弦をまるで玩具のように弄している様にヴェアルが嘆息する。


「煽っておいて、それか。冷たい悪魔だ」


「氷の悪魔だけに、冷たい。座布団は貰いたい」


 あげられるはずがないクオリティである。

 氷のように寒い洒落を言ったアデウスが貰ったのは、二悪魔分の溜息だ。


「…見るに堪えん。我が往く」


 溜息を吐いた片方であるバアゼルが蜜柑を片付け、外に出る用意をする。

 話し手が居なく、暗闇の中で光源を切らさないようにひたすら降りて行く。確かに作業染みて気が滅入るだろう。ともすれば、同じ所をグルグルと回っているような錯覚さえ覚えさせるような構造をあの洞窟はしているようだ。

 人間で一人、暗闇が苦手な女子が居たはずだが、彼女が弓弦の立場に居たとすれば、とうに逃げ帰っているであろう。それだけに長時間彼は洞窟の中を潜っているのだ。精神の疲労が生じてしまうのは否めない。


「待つのにゃ『支配の王者』っ。そこで行ってしまったら意味がにゃいのにゃ」


 「弓弦を一人にしよう」と提案したのはクロだ。

 何か考えがあるらしい彼は、理由を一切言うことなく『炬燵空間』の外に行くことを禁じた。

 無視して出ようとすると五月蠅く、面倒臭くなるので放っておいたが、そろそろ大概にしてもらいたい。


「まぁ待つのにゃっ。これは大事にゃ作戦にゃのにゃ」


 バアゼルに聞く耳など持つ気はない。クロの言を無視して外に出ようと炬燵の中に入る。

 ほんのりと暑い炬燵の中心では外への出口があり、彼がそこを通過しようとすると。


「…何の真似だ」


 眼の前が凍った。


「待つのにゃ『支配の王者』」


 正確には出口が凍らされた。これでは外に出ることが出来ない。


「アシュテロのためにゃ」


 内部を凍らせたといっても、薄い氷の膜を張っただけなので、炬燵が濡れていく。


「…下らん」


 こうも濡れては炬燵が漏電するかもしれない。

 外に出たいところ実に腹立たしいが、これでは布団が生臭くなってしまう。一旦炬燵から外して干さなければならない。


「…行かないのか」


「蒲団を外さねば生乾きになる。我は生乾きの腐った蒲団を好まん。腐った蜜柑と同程度にな」


 ヴェアルの前まで蒲団を運んだバアゼルが周囲を探すも、物干し竿が無い。

 揃えの悪い空間だ。物を干すことも出来ないのか。

 出来ても困るような気はしなくもないが、後でこの精神空間の主に言っておかなければならない。


「…生乾きを腐ったとするのは些かな……」


 何とか布団を干せないかと思案するバアゼルの耳に苦言が飛び込む。


「…些か…何だと云うつもりだ、賢狼」


「恐ろしいと言うものだ。考え方がな……」


 眼の前に置かれた布団を見詰め、ヴェアルは言う。

 無菌状態であるーーーとはいえないが、この布団には臭いの元となる物質が付着していないだろう。

 今回水に濡れてしまったことでの雑菌の繁殖が否めないのは理解出来るが、水に濡れてしまったというだけで「腐った」と見做すのは、この狼悪魔からすればおかしな考え方のようだ。


「ふむ…過言か」


 犬ではないが、鼻が利く狼が「問題無い」と言うのならば、気にし過ぎなのだろう。


「生乾きとは言っても腐っている訳ではない。…エゴに当てられ過ぎた場合はその限りではないが、生き物ではないのでな。布団は長持ちする。…今はまだご退場頂く時ではないのさ」


 生き物ではないとは、まったくもってもっともな話だ。長持ちする食物もあるが、無機物には及ばないだろう。

 蜜柑は生物なまものなのであまり長くは保たない。無論有機物であるためだ。


「お前は腐った布団じゃあないっ!」


 アデウスが何かを言っているが、誰にも相手にされない。代わりに彼等の意識は、蟷螂かまきり悪魔の声で勢い良く起き上がった小龍に向けられた。


「…びっくりしたの」


 ワンテンポ遅れた声にアデウスがハリセンを落とした。

 今更ではあるがハリセンは取り外し可能なようだ。


「…わっ、炬燵布団が外されてる。不思議なの」


 ハリセンを落としたことにも触れらなかったためか、もう片方のハリセンもアデウスの前より落下した。


「儘猫が濡らしてしまってな。干す場所が無くて困っているところだ」


「…クロル、ばっちぃの」


 ヴェアルに、眼覚まし代わりの紅茶が入ったカップを渡される。

 一口含んだシテロは、本から顔を上げているクロに冷たい視線を送った。


「…にゃにか勘違い「お布団干しに行ってくるの」されているようにゃ気が「此処に無ければ何処にも存在しない筈。何処いずこにて干すと云うつもりだ」…それよりもアシュテロ、少し見て「大丈夫。行って来るの」ほしいものがある…にゃぁぁっ!!」


 話しているのに横から話を挟まれ、無視される。あからさまに無視されると、爆発するのは当然か。クロは、布団を持ってどこかに向かうつもりの彼女の前に立ちはだかろうとベッドを飛び出すが、


「にゃ?」


 その動作が宙で静止する。


「にゃ、にゃっ!? こっ、『紅念の賢狼』僕に魔法ぉにゃぁぁぁっ!?」


 そして突然斜め下方に向けて動き始めた。


「キシャっ!?」


 その方向にはアデウスが。ワタワタと戸惑う姿勢を見せながらも、咄嗟にハリセンを拾い上げ、構えた。


「にゃぁぁぁぁぁぁっ!?!?「キシャッ!」ぐふっ」


 ストライク。バッターアウト。

 いや、マンティスアウトというべきか。


「ひ、酷い…にゃ……」


 顔から空間の床に飛び込んだクロは気を失った。


「…キ…シャ……」


 盛大に空振りをしたアデウスも、ショックのあまりかその場にひっくり返った。


「下手に打たれたくはなかったのでな。悪いが本気を出させてもらった」


 クロの身体を魔法で動かしたのはヴェアルだ。静かになった空間で二悪魔が向かい合う。


「私にも蜜柑を戴けないだろうか」


「ならば事のついでだ。我の分の蜜柑も取れ」


「良いだろう」


 向かい合う悪魔達に挟まれたダンボール箱に、蜜柑が。


「紅茶は」


「…。我の分は緑茶を淹れろ」


 バアゼルは以前の、蜜柑と紅茶の組み合わせがあまり良い思い出ではない。彼としては、蜜柑には緑茶と決めているようだ。


「意固地だな。『支配の王者』……」


「美味な甘味をより美味とするには付け合わせも必要だ。…貴様には解るまい」


 緑茶を啜りながら、蜜柑を食べる。

 至福の時だ。この二つを交互に食べる、この瞬間が。


「…ふむ、美味だ」


「…やっていることが老人だな」


 もっというのならば、熱いお茶を飲んで、溜め込んだ息を深く吐くのが良い。共に疲れまで吐き出せるようだ。


「老人のすることが我に似ているだけだ。根源を違えるな賢狼」


 どちらも大して変わらないだろう。

 屁理屈でしかなかったが、紅茶と共に言葉も飲み込んだヴェアルは蜜柑を剥く。


「気付いているか、『支配の王者』」


 湯呑みを傾けるのが止まる。


何に(・ ・)、だ」


 視線が交わる。


「…。『萠地の然龍』、アシュテロについてと、もう一つ」


「…成程、道理で貴様が気を張っている訳だ」


 ヴェアルの伝えたいことを理解したのは、同じことでバアゼルも注意をしていたためだ。


「…こちら側に然龍を引き留めていた方が良いのではないだろうか。向こうではな……」


「…意思を重んじねばれは臍を曲げかねん。留めると云うからには納得させるに値する相応の一計があるのだろうな?」


「あれば先に言うだろう。然し無くとも言わなければならない。王者、君も分かっているはずだ」


 考えは浮かばない。

 バアゼルの言葉通り、納得させる材料は恐らく誰にも用意が出来ないだろう。

 言を巧みに用いれば、その場凌ぎは可能ではある。だがその場凌ぎで済むのであればそもそも、こうして話し合う必要が無い。


「…彼に働き掛けてもらったところで、恐らく効果は見込めない。まして同調するようなことがあってはな……」


「ふむ…我等の言に傾ける耳を持たなくなるのは必定か。止めておけ」


「元より頼むつもりなどないさ、王者。いざとなれば彼女には暫く眠ってもらうことにしよう。その間に、全てを終わらせる……」


 意気込みなのか、ヴェアルの周囲を魔力マナが纏まって漂う。

 話が通じなければ、後は実力行使しかない。だから起きぬ前に起こし、終わらせる。

 その結果どうなるのかは、ただ川の如く流れに任せていく。善かれ悪しかれ、どちらかの形で沙汰は下されるのだから。


「ふむ…甘いな。後の布石とするか」


 蜜柑より甘いヴェアルの考えがもたらす沙汰。いや正確には、この精神空間の主が行き着く道の先に待つ結果か。

 どうなるかはまだ分からない。悪魔であっても、完全な先見の明は持たないのだ。


「フッ…老婆心さ」


 そして何よりも謎に包まれるのは、悪魔の心の内。

 新しく紅茶を淹れようと動く直前の狼悪魔の言葉からは、その心中を察することは不可能である。

 足音が聞こえた。

 どうやら彼女が戻って来たようだ。


「…老婆心…ふむ」


 先程までの話を当事者に聞かせる訳にはいかない。

 バアゼルは、残りの蜜柑を一度に口に運び、新たな蜜柑をダンボール箱より取り出すのだった。

「弓弦…暗闇が辛いのだな。うむ、分かるぞその気持ち…うむ。暗闇はアレだからな…な。何が出るか分からん。こ、怖い訳ではない。断じて怖い訳ではなく、疲れるのだ。…私は怖い訳じゃないぞ。そう、疲れてしまうのだ弓弦のように、うむ、うむ…。怖くない怖くない…怖くないぞぉ怖くない…うむ、うむ、うむうむ。…怖くなんかないのだ……怖くないのだ…怖くない…うむ、怖くない…心配することはない。怖くはないのだ、うむ」


「……」


「…怖くない怖くない怖くないのだ怖くない……うむ……」


「ユリ?」


「ひっ!? 助けて弓弦ぅぅぅっ!?!?」


「…わたくしですわよ」


「…り、リィル……」


「声を掛けただけでそうも驚くなんて、酷いですわ。相変わらず暗闇が苦手ですのね」


「し、しししし心配することないないなない。ととと突然辺りが暗くなったものだからどうしたものかと思ってだな!?」


「博士が変なマシンを作って艦を停電させてしまったのですわ。年に一度の予備電力の点検を行っている際に限って、とんでもないことを仕出かしてくれましたわ」


「…そ、そうか停電だったのか。うむ、私もそう思ったぞ」


「もう少ししたら復旧しますわ。それまで待ってくださいまし」


「…うむ。それでリィル。その手に持っているのは何なのだ?」


「予告ですわ。読みたいのでして?」


「そう…だな。‘気持ちが紛れるかもしれんしな、うむ’…読ませてくれ」


「はい、じゃあお願いしますわ」


「了解したぞ。『はぁ…何だろうなこの気持ち…。ひたすら暗闇暗闇、直進暗闇、階段直進暗闇魔法直進暗闇階段……何かもう、考えるのも嫌になってきた。はぁぁぁーーー次回、耐えろ弓弦! 迫り来る二つの丘!!』…どうしてこうなった…ぁっ…か。二つの丘…一体何のことだろうか、リィル」


「私にその話題を振らないでくださいまし」

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