二人とフタクミ
『ベルクノース』のそのホテルには、一回の食事場の他に、最上階層にもう一箇所食事場がある。
最上階層ということで一般人客には解放されていないが、通常より高い金を払えばその食事場を利用出来るのだ。
「(…こうも高級感ある場所だと妙に落ち着かないわね。部屋に案内するよりは良かったのかもしれないけど、貸してもらって良かったのかしら…?)」
飲んだ薬が効いているのか咳が治まっているフィーナは、場に集まっている三人の存在をチラリと見た。
一人の人間の男と、一人のハイエルフの女性、一人のハイエルフの老人。
内二人は彼女の知り合いだ。彼女としては、あまりに信じられないような現実だが、二人から感じる魔力は、確かにその二人が彼女が知る人物であることを証明していた。
「…来たようですぞ、姫様」
「そのようね」
積もる話は後回しにしていた。
話したいことはあるのだ。だが、優先事項もまた、あった。
この街の地下で蠢こうとしている存在を何とかしない限り、落ち落ちと旅行を楽しむことも出来ない。朝も昼も、夜も。
『良くこんな部屋を取れたな。…フロントの人に何か無理を言っていないと良いんだが……』
「(無理は言っていないはず。でも…その心配は分かるわ……)」
因みにこの部屋、フィーナが用意したものではない。
彼女は、どのような方法を使ったのかは謎だが、この部屋を取ってみせた男に、そして開かれた扉にもそれぞれ視線を遣った。
「ほら、着いたぞ。知り合いは居るか?」
「あぁ、居る」
二人組の男がそこに居た。
片方は知らない男だが、もう片方は彼女のハイエルフとしての夫である弓弦。彼はフィーナの下に歩み寄って、複雑な表情を向けた。
「話はどこまで?」
「大体…かしら? 本題はまだよ」
「…じゃあ、さっさと話を始めるとするか」
そして、すぐに他の一同へと視線を移すと、話を始めた。
「今この街の地下で何が起ころうとしているのか。魔力の流れを良く見れば、あるいは…そうだな。昨日と今日で、何かこの辺りで変わったことがあれば分かり易いと思うんだが…どうだ?」
「変わったこと…だと?」
「抽象的だ。テルミーモアディテイル」
男二人に訊き返され、顎に手を当てる。
「普通ならば異常気象…と言いたいんだが、この国年がら年中雪みたいだからな…。他に何か例えになるもの…「ある」…ん?」
「何も年がら年中雪が降っている訳じゃないが、最近の異常気象と言えば、ある。…昨日今日の吹雪だ」
弓弦は頷いた。求めていた類の答えであったのだ。
「吹雪…そうか。時々晴れや曇りで、吹雪ばかりの街と思っていたが、やっぱり異常気象なんだな」
「東大陸は今『花盛』の季節だ。昨日今日の悪天候になることがある時期は『玄備』…遅くとも、『花咲』には終わる。もうすぐ『青葉』の季節に変わるのだから吹雪は本来、有り得ないと言うことだ」
異世界独特の用語の連続に疑問符が、沸騰した湯の如く浮かぶ弓弦だが、大体の内容は分かるのでそのまま話を流した。
「‘…ふふっ’」
フィーナが他の面々に隠れてクスリと頬を綻ばせたのは、そんな彼の心境を覗いたためだ。
弓弦は彼女の行動を横眼でちゃっかり見ていたが、敢えて触れないようにした。
「吹雪が降ると言うことはつまり、氷の事象を司る氷の魔力に異常があると言うことだ。そしてそれは、この街の地下から生じてきている。俺達は、それを止めたい。だからそのために、せめて俺達が異常を止めに行っている間だけでも戦いを止めてほしいんだ」
本題を切り出す。
身勝手なお願いのようであるが、断る道理が無い申し出だ。
「断ると言ったらどうする。勝手に止めに行けば良いものを、わざわざこんな場所に誰かを呼ぶことに無駄に時間を費やして」
返したのはアリオール。
威圧感を放ちながらセンデルケンの隣に立っている彼の心中では、アノンの死に対する怒りの炎が燃えていた。
「放っておけば終わる戦いだ。急を要するのならば無視をしろ。時間の無駄でしかない」
センデルケンは何も言わない。アリオールから何かを感じ取った彼は、一つ浮かんだ疑問を思案するために腕組みをしながら沈黙していた。
センデルケンだけではない、レティナもまた、悲しみに眼をそっと伏せる。
デイルは静かに破顔しているだけだ。
「今以上、人が死んだら困るんだ。どうやら地下で眠っている“そいつ”は、人の死が好物らしくてな。変に力を付けられたら手間だから、これ以上人に死んでほしくないんだ、これがな」
「ならばウェンドロを城より引き摺り出すんだな。そうすれば止めてやる」
「正直、そっちは面倒なんだ。それに、そこで腕組んでいる男は見ていると思うが、あの子が行っちゃったからな。どの道無理だ」
「下らん。ウェンドロが戦いを止めようとしなければ、兵は次々と送られてくる。ならば戦うまでだ。一人でも多く道連れにする…それまでだ」
押し問答だった。
「そうか。なら良い、元々無理な願いだ。好きにすれば良いさ」
なので弓弦は、それ以上押すことなく押されて折れることにした。アリオールの言葉ではないが、確かに時間の無駄ではあったからだ。
「‘…良いの?’」
フィーナの囁きに頷く。
「…さ、そうと決まれば早く終わらせに行ってくる。一人地下の最奥に向かっているどこかの馬鹿を止めに行かないといけないからな」
外の天気は再び荒れる様相を呈しようとしている。しかもその間隔は、徐々に、徐々にだが狭まっているように思えてならない。
先程、何故か帰って来ることなく少女の下で過ごしていたクロに頼み、時間を稼いでもらうようにしたが、それでもあまり時間の猶予を見込めるものではない。
「…本当に一人で行くの?」
「…あぁ。今度こそフィーは部屋で寝てるんだぞ。良いな?」
「…こほっこほ…っ、はいはい、そうね。…そうさせてもらうわよ、もうっ」
風邪さえ引いていなければ、弓弦は彼女を連れて行きたかった。フィーナもそれは分かっているが、どうにも拗ねたくなってしまう気持ちを抑えられなかった。
子どものような態度をあまり他の二人に見せたくはなかった彼女だが、微笑ましそうな二人分の視線を感じて、何ともいえない心持ちになった。
「…悪いわね、折角こんな部屋を取ってもらったのに無駄足を踏ませて」
椅子に腰を下ろしたままのフィーナは、背中を向けようとしたアリオールに声を掛ける。
彼には本来、付いて来る理由が無いのだ。なのに、一時的にでも戦いを止めて足を運んでくれたのだ。そのことに感謝が言えない程、今の彼女は人間の男を毛嫌いしようとしている訳ではない。同じ空間に居る人物の存在もあってのことではあるが。
「さ、じゃあどこかの馬鹿を止めに行って来る。もしかしたら先にイヅナが戻って来るかもしれないから、それだけ伝えとく」
「…遅くなると、そう言うことね?」
「かもしれない…ってだけだ。パパッと片付けて帰って来れるかもしれないし、そうでないかもしれない。現状、分からないからな」
「そう……」と寂しそうに眼を伏せた金髪のハイエルフを見て、レティナが一言物申そうと顔を上げる、眼の前に差し出された杖に行動を阻まれる。デイルが阻んだのだ。
「…アリオール、お前そう言えば、陛下はどうした」
「知らん」
こちらは、阻まれないアリオール。一人外に出ようとした彼だが、彼は自らの友人に止められた。
「『知らん』…? 陛下を頼んだ俺に対してどうしてその言葉が出る。まさか……」
「…その手を退けろ」
「…まさか、陛下は今ーーーッ!?」
「退けろ」
その手を押し退けて、アリオールは出て行く。どこかその足は急いでおり、すぐにその背中は見えなくなった。
「…陛下…っ!!」
この上なく恐ろしいことを理解してしまったかのように俯いたセンデルケンは、弾かれたように地を蹴ったが、数歩進んだ所で足を止めた。
「……」
握り締めた拳が震えているのは、何かと葛藤をしているためだろうか。だが、振り払うかのように首を左右に振り、頷くと、踵を返した。
「…無理を承知で…お願いがある…!」
そして一同の下に、跪いた。
「陛下を…陛下を、助ける力となってほしい! …もし地下にあの方が居るのならば…共に地下に向かってほしい……」
“古の氷魔獣”という存在。
もし、この街の地下で蠢く何かが存在するのならば、その存在で間違い無いと彼は踏んでいた。
かつて封印されたその存在は、いつ頃封じられたのかが定かでないが、街に伝わる言い伝えでは少なくとも、二百年以上前であることは確かであった。
「陛下を…失う訳にはいかない…だから、力を貸していただきたい!」
レガーデスが今どうしているのか把握する術が無い。時間が惜しかった。
だが彼からして、この場に居る人物ーーー少なくとも二人は、味方として同行してくれるのならばこの上無く頼もしい存在。願いを訊き入れてほしかった。
「…失礼した!」
しかし、時間は有限。ただ過ぎ行く時間は残酷だ。
そう時間を掛けていられる余裕が無いセンデルケンは、すぐに身を翻した。
「「待て(ぃ)」」
その背中に、男性二人分の声が掛けられる。
「俺の話を訊いていなかったか?」
弾かれたように振り返る彼の前に、緋色の鞘を腰に帯びた弓弦が立った。
「元より俺は動くつもりだ。と言うか、動く。まぁそう一人で先走るな」
嬉しい申し出だ。少しでも戦力が欲しいセンデルケンにとって、今は。
「ーーーレティナよ」
「分かっています。…お供しましょう」
より嬉しい申し出が、“英雄”によってもたらされた。
「…だとさ。ほら、陛下とやらを助けに行くぞ」
「…感謝するッ!!」
喜びの声が、広い空間に吸い込まれた。
広々とした空間で三人が部屋を出て行き、二人が残っている。
あわよくば付いて行こうと、武器を持ち出していたフィーナは、咳き込む際に手持ち無沙汰になったばかりの左手で口を押さえた。
「…あの方が、“そう”ですかな?」
「そう言う話は後にしてほしいのだけど。…えぇ、そうよ」
「今なの?」と疑問を抱く彼女だったが、デイルは面白そうに表情を和らげるのみだ。
「良いではありませんか。年寄りの独り言に付き合ってくだされい」
「…はいはい。でもここは落ち着かないわ。場所変えても良いわね?」
孫のような、娘のような彼女による近況報告を伝えられることに、老人は鷹揚に頷いた。
* * *
「アンナさんが来たよ」
『アークドラグノフ』の食堂。今日も今日とて賑わいを見せている食堂の、中央の席に座っていたユリは、眼の前でトラブルメーカーが機能しようとしていることを理解した。
「それを私に言って何になるのだ、知影殿。このようなタイミングで言うようなことではないはずだ」
「…ま、お昼時だもんね。私もお腹空いたし何か頼もうかな。すいませ~ん!」
「‘…少し意味が違うのだが’」
元気だ。妙に元気だ。
ーーーだから、恐ろしい。
「え? 何だって?」
「…もう良い。ほら、店員が来たぞ」
「あ、じゃあ焼きそばお願いします」
逃げることは諦めた方が良いようだ。聞く耳持たずの知影が呼んだ店員が、サラサラと伝票に注文を書いていく。
「私はバニラパフェを頼むぞ…む?」
ユリも注文しようとしたのだが、その人物に見覚えがあることに気付いた。
「やっほー、主任♪」
白を基調とした生地に、所々黄色のラインが入った隊員服の上にエプロンを着用しているその人物は砕けた口調で返事した。
「シーヌ、操舵は良いのか?」
「『暫く停泊しておくから』って博士が言うから、暫く休憩でーす」
「書類は整理してあるか?」
「そりゃもち、ばっちぐーです♪ …と、呼ばれちゃったので行きます」
「うむ」
女性は厨房に居る人物の下に小走りで行った。
「…ユリちゃん…部下居たんだ。てっきり私、医療班はユリちゃんだけかと思ってたよ」
「…知影殿、その言い方は酷くないだろうか」
シーヌ・ランボルト。医療班の隊員でもあるが、同時に艦の操舵士も兼任している女性だ。
ーーー因みに、医療班所属の隊員はシーヌの他に三人居る。彼女達は医療班としての活動がメインであるが、大型の任務時以外では、他の仕事をしていることが多いため、滅多に医療活動をすることは少ない。
定期的に全医療隊員を対象とした医療研修会に参加してはいるが、先の大元帥暗殺騒動によって、前回は行けてもいない。
なので次回は絶対参加しようと考えてはいるが、まだ開催の日程が決まっておらず、参加しようがなかった。
「でもさ、あまり医療班が活躍しているのを見たことないんだよね。と言うか、私達が来てから一度も無いよね、活動」
「…む、むぅ」
実際にはあった。が、基本知影達が出払っている際に活動しているので、その活動は報告書でしか伺い知ることは出来ないだろう。
もっとも活動が無くて越したことがないのが、医療班の定めだ。怪我人が居ないことは、良いことなのだから。
「普段さ、医療班の人達ってどんなことしてるの? 医療班としては活動していないんだったら、暇人になっちゃうよね」
「兼任なのだ。シーヌだったら操舵士、私だったら実行部隊のように、必要時にのみ医療班として活動するのだから、普段は別の持ち場に居る」
「…コックでパイロットとか、社長で小学生とか…かぁ。兼任って大変だろうね」
「…知影殿の例えは良く分からないが、確かに大変な時はあるな。だが、やり甲斐はあると私は思うぞ、うむ」
「やり甲斐かぁ…うん、お仕事にやり甲斐は必要だよね。あ~あ、早く弓弦の奥さんになりたいな。やり甲斐盛り沢山だよ、絶対」
「弓弦~弓弦~」と、弓弦の名前を連呼しながら、焼きそばを待つ知影。 彼女に向けるユリの視線は、どこか冷ややかだ。
「…弓弦の…奥方か。ふむ…確かに言い分は分からなくもないが…うむ」
「そう、ヤり甲斐盛り沢山♪」
「…私にリアクションを求められても困るぞ。場所を考えてくれ、知影殿」
食堂に居る隊員ーーー主に、男性隊員が、息を飲んだかのように一瞬固まっていた。
美しい女性が半ば、下ネタ染みた発言をしたのだから仕方が無いともいえるが、知影に自覚は無い。寧ろ、当たり前のように思っている彼女は本当に、困ったものだ。
以前も似たような遣り取りをしたーーーそう、『カリエンテ』でだ。あの時はその後、弓弦の気配がすると城を飛び出し、海にダイブし掛けるという事態になってしまったが、まさか今回も、今にも弓弦関連の何某かで変な事態が起こらないか、彼女は心配だった。
「思ったことを言っただけだし、変に聞き耳立てている人が酷いんじゃないかな」
「いや…聞こえてしまうものは仕方が無いと思うぞ。聞きたくても聞きたくなくても、入ってきてしまうのが声であったり音であるのだからな」
「ぐ…それはそうだけど。えぇ…弓弦への愛の語らいを止めろと言われたら、それ私に『死んじゃえ☆』と言っているようなものなんだよ? 私の呼吸の半分は、弓弦への愛の言葉を言うために有るんだから。優しさなんて明らかに胡散臭い材料で作られたと、豪語されている薬とは違うんだからさ」
頭痛に効きそうな薬である。
「…薬が優しさで作られている? そんなことがある訳ないだろう。確かに思い込みによる自己修復機能の促進は見込めないことにはないが…優しさで薬が作れたら、調剤の複雑性が半減したしまうではないか。料理とかは別だと思うが」
「料理はね…本当、そう思う。心を込めて作った方が、弓弦が喜んでくれるし」
「うむ。しかし…薬に優しさ……ううむ……」
ドツボに嵌り掛けるユリだ。
医療班の主任である彼女は、当然調剤の技術と知識を持ち合わせているが、薬の調合には複数種類の薬草の効能の把握が必要なのだが、優しさが必要なぞ見たことも聞いたこともない。
それどころか、優しさで良く分からない草から良く分からない薬を作られて、良く分からない症状に陥らされてることが恐怖で堪らなかった。
「…私には無理だ…。優しさで薬が作れたのなら、色々と困ったことにはならないではないか…むぅ」
「うーん、まぁ、謳い文句だからそこまで気にしなくても良いような気がする。ほら、コマーシャルはインパクトが大切だからさ。折角高いお金払ってテレビで流してもらうのに、人の記憶に残らなかったら残念なことになっちゃうし」
「こまー…しゃる? 隊長殿ではないが、さっぱり分からないぞ」
医療に関しては様々な知識を揃えている彼女だが、異文化圏の知識に明るい訳ではないので、知影の言っていることは理解し切れなかった。
今度、弓弦から何か話でも訊いてみようと思う彼女だ。弓弦から。
「お待たせしました~♪」
シーヌによって、パフェと焼きそばが運ばれてくる。食事をしようと手を合わせる二人だったが、
「あ」
知影が突然声を上げたもので、ユリは思わずスプーンを取り落としてしまいそうになった。
「む?」
間一髪床に落ちるところをキャッチしたユリが胸を撫で下ろしている間に、知影が向けていた指を下ろしてしまった。
「…何かあったのか?」
「ん…うん」
焼きそばを口一杯に入れながら頷いた彼女は、喉につかえそうになった焼きそばを水で流していく。
「さっきそこ…あの女…アンナさんが歩いてた」
「アンナ…? アンナ殿が?」
艦で見掛けない人物の名前に首を傾げるユリだが、取り敢えずはパフェを食べたかったので、食べ進めていく。知影が最初にアンナが来たことを言ったのにそれを失念している辺り、彼女は相当パフェを食べたかったようだ。
「うむ! 美味いぞ~♪」
「…後で隊長室行った方が良いかな?」
「うむ…うむ…♪」
先程まではユリが困らされていたのだが、今度は知影が呆れることになるのだった。
「は、か、せ? ここで何をなさっていたのか、教えてくださいまし」
「い゛っ、いやぁリィル君、これはその…エスコートをしようとしていたんだよっ」
「…隊長」
「ん~?」
「(頼むレオンっ、庇ってくれっ)」
「……」
「レオン君ッ」
「シテロちゃんを、セイシュウが寝取ろうとしていた」
「き、君だって彼女を連れ帰ろうとしていたじゃないかっ!? り、りりリィル君違うんだこれはっ!!」
「……」
「……」
「レオン君は違いますわ。イヤらしい眼をしていませんもの。問題はあなたでしてよ、は、か、せ?」
「れ、レオン……」
「無駄だ~。多分全部訊かれていたぞ」
「た、頼むよ肉体派っ!!」
「頭脳派なら自分で何とかしろ~。じゃあリィルちゃん、隊長権限だ~。馬鹿を頼む」
「えぇ、畏まりましたわ」
「すぴー…すぴー…「よ…っと」…んん、すぴー……」
「ぁ…僕の……おっぐふっ!?」
「さ♪ 行きますわよ♪」
「ぐぇ!? り、りぃふくん……首っ!! 首鞭で締められ……ぇぅっ!!!!」
「…あ~あ。ありゃ完全にぶちギレてるな~! お~怖い怖い」
「…すぴー…むにゃ……」
「‘こりゃ~役得だな。胸のおっきな可愛い子ちゃんを抱けるなんて’」
「…『…ぽ、ぽん。ポンポン。…うむ、ポン♪ …~っっっ!!!!!! む、むぅ……ま、またなのか…っ!? むぅーーー次回、追うモノ』…何か変だポン。…すぅ、すぅ……」
「…ん~、確かにな。次回の予告でも何でもないぞこれは。さっぱり分からんな!!」
「…すぴー」
「本当に寝ているのか~?」
「すぴー、すぴー」
ーーーぁぁぁぁあああああああっ!?!?!?
「どわっ。せ、セイシュウ、アイツ…何されているんだ~?」
ーーーおぱぁぁぁぁぁぁぁあああいっっ!!!!
「……」
ーーー貧乳サイコォォォォォォォォォっ!!!!!! いやっほぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?!?
「…。あ~、こりゃ三日コースか~。暫く艦を停泊させとかないとな~」