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私の中のチップ その4

マザーコンピュータが暴走している・・・・こんなことは誰にも言えなかった。

そもそも、根底から社会が崩壊する。

何のためにチップを埋め込んだんだ・・という国民の怒りは、パニックを呼ぶだろう。

その一方、このセンターの職員は、マザーコンピュータを崇拝している。

だから、浜中が相談する相手は、センターの中にはいない。


浜中がやったことといえば、コンピュータの誤作動に関する書籍とWEBをくまなく

調べることであった。ますばインターネットで「コンピュータ」『誤作動』『暴走』「AI」など

およそ関係のあるワードを入れてみた。

そこでわかることは、誤作動はあるという事だ。

2000年問題をはじめ、人類はコンピュータの誤作動という確率は大変低いため

目をつぶるという習性がある。

多くはプログラミングが含む誤差で、これを問題にすると根底から揺るぐ。


浜中にとっては、誤作動は避けられないという結論でしかない。


次は、AI、つまりArtificial Intelligence(人工知能)

1923年923 K.Kapekがロボットという概念を生み出して以来、研究がつづけられてきた

この領域で、1997 チェスプログラムDeepBlueがチェスチャンピオンに勝利

いよいよ人間の知性と想像力に勝ち始めると、2020年台になって

いよいよ、介護ロボットから始まり、人間の生活の補助をするに至っている。


これもまたチェスの件で、すでに人間より多くのシュミレートをし、

どれが最適かという判断をくだしている時点で、正しいという基準を与えると

人間が指示しなくても最適の方法を選ぶことが出ている。


これもまた、浜中の疑惑を深めるだけであった。


だが、これらを調べるために検索したのがまずかった。

そのデジタルデータは、マザーコンピューターが見逃すことはない。


この夜は、残業で浜中だけが、センターに残っていた。

そして、22時、そろそろ帰り支度を始めた時、それは起きた。

浜中も頭が痛くなってきた。

間違いなくチップの位置から熱を感じる。


「チップだ・・・やっぱり」

だんだん、意識が遠くなる中で、体が冷えていくのを感じていた。


「ああ、俺は死ぬんだ・・・・やっぱり、暴走なんだ」


たった10秒の間に、すべてが終わった。


マザーコンピュータは、生命反応が消えたことを確認すると、すべてのゲートを閉じ

さらに冷房の温度も10度に設定し、死体の防腐の進行を抑えた。


そして、その一時間後・・・・船越警部他2人がその部屋に降り立ったわけである。


☆☆☆☆☆☆


浜中の死体の前に警部はたっていた。

警部の名前は船越。

たまたまだが、背も180㎝を超え、高くガタイもよく、船越英一郎に似ていると言われ、

実は、六本木1丁目警察では、人気者であった。

うけがいいので、走り方も船越英一郎をまねた。

肩を挙げては走る、ウルトラマンのジャミラみたいな走り方・・・これが受けた。


彼もまた、マザーコンピュータに疑惑を抱いた一人。

追いかけていた犯人が、たてつづけに自然死を遂げたのは、まだ偶然と割り切っていた。


だが、それだけではなかったのだ。


40歳の彼には、8歳下の恋人がいた。

祐気玲子・・彼女は、史料館データセンターで働いていた。


知り合って半年で、二人は同棲を始めた。

結婚を意識するようになって初めて、彼女が、仕事の話を全然しない事が気になり始めた。

そこで、史料館データセンターについて調べ始めた。


「昭和以降の歴史に関する情報を保管し管理するセンター」としか書かれていない。

ただ、不思議なのは、国とともに10社の日本の大手のコンピューター会社が、株主であり、30階あるビルには、それらの会社しか入ってない事。


彼女に聞いても、プログラムの難しい話をされるだけで、そのうち、まあよくわからないがいいか!と思っていた。


所が、結婚を申し出た次の日から、船越は難事件を次々解決していき、名探偵という渾名までてにする。


が、それが自信でも不思議なツキの連続!


急に便意をもよおして入った公衆便所に15年潜伏していたテロリストがいたり、フラフラと入ったバーに7年探し求めた連続殺人鬼がいたり。

たまたまパチンコをしたくなり座っていると、隣で台をたたいていた奴が、その時、話題になっていた放火魔だったり、ラッキーでしかない手柄が続く。


もともとチップのお陰で、犯罪者は簡単に位置が特定されるのだが、国民の3.5%はなんらかの方法でチップ法に従わず埋め込まなかった。

それだけで500万人近くいる・・・その中から犯罪者が出る。


彼女は、恋人の仕事に協力していた。

チップは、埋め込まれた本人だけでなく、会話した相手や会話内容も拾っているのだ。


あるキーワードをあらかじめ入れておくだけで、会話の中の単語に反応する。


この方式は、2000年代初期、アメリカ政府が作り上げたエシュロンというシステムを利用している。20年以上前に、すでに一日で30億回分の通信を分析でき

電話、ファックス、Eメールなど通信の90パーセントの受信が可能だったという。

「テロ」「爆弾」といったキーワードを入れるとチェックされてしまう。

ただ犯罪防止だけでなく、商業的に悪用もできる。

アメリカはこの盗聴システムで得た情報を自国企業に流し、アメリカ企業が国際受注競争で他国の業を打ち負かすという不正行為を行った事実もある。


彼女は、このエシュロンシステムを適用し、警部が話してくれた事件や新聞をにぎわしている事件の犯人の使いそうなキーワードを仕込み、

それに反応するチップの位置情報を、警部のチップに1分に5回インプットすることで、無意識に、その位置に興味が喚起されるようにした。


だから、フラフラと犯人のいる場所に向かうのだ。


それに気づいたのは、ある出来事であった。


・・・・・続く




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