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絶望目録  作者: ネガティブリストの管理人
2章、候補者予選編
8/20

1話 本番の運動会とかのスタートラインで構えている時って緊張するよね

7月29日木曜日の4時頃、玄関からボトンと物音が聞こえた。

その物音が原因で僕は目が覚め、ほぼ居候している水華と疑った僕は書斎のソファーから降りてリビングを確かめる。

リビングのソファーで『すーすー』とおとなしく寝ている水華を見て物音がした玄関に向かった。

玄関で5分ほど物音がしそうなところを探してついに物音の原因がわかった。

ポストの中に配達物がある、そこでポストの扉をそーっと開いて見ると優しさがあった。


「叔父さん・・・、新しい携帯買ってくれたんだ・・・」

先週アメリカのみで販売されたスマートフォン、『High speed type smartphone』

叔父の優しさは終わらず、標準語が日本語に改造されている。

「ありがとう・・・、本当に・・・」

僕は早速日記アプリをダウンロードしてから睡眠に戻った。


***


「さっきから無言だから何してると思いきや、なにそれ?」

リビングで5年ぶりのスマートフォンをいじっていた。

絶望日記に書くことが無いのでゲームをやっていた。

「これか?、CMでよくやってるスマートフォンだよ」

「名前の割には横デブじゃねーかよ」

ついつい鼻で笑いながら、

「賢いって意味だからな、スリムフォンだったら水華の言っていることも間違いじゃないけどな」

「そのドヤ顔ウザイな・・・」

どうやら僕はドヤ顔をしていたらしい、しょうがないんだ。

叔父がこんなに優しいとは思っていなかったのだから。


***


水華は時報の様に12時ピッタリに怒鳴った。

「昼ごはんの時間だよ!」

「そこの引き出しに5000円あるからそれで外食してくれ」

「1人で外食って周りから見たらボッチじゃん、嫌だよお兄ちゃん」

妹作戦か・・・、こんなことされ続ければ僕自身も妹がいるって洗脳されちゃうな・・・。

「3人も妹いらねぇ・・・」

「なに・・・してるの?」

「妹恋愛アプリ、ここに1人、2人、僕の隣は含めるのかな?」

「含めてよ!」

「えぇ・・・、水華を攻略したって時間が消費ェ・・・」

今日の僕は生まれて恋愛ゲームをやった、やり方の知らない僕はスタートメニューで止まったままだ。

こんなことをしているのが一番時間が無駄だろう。

「お兄ちゃん、妹は3人も要らないよね?・・・アプリ消そうか?」

水華の目は怖かった、殺気を感じたので僕はアプリを削除して店検索アプリをダウンロードした。

こんなことで殺されたら一溜まりもない。

この居候、ヤンデレのデレを見事に切り取ったに違いない。


***


1時頃、僕は寿司屋でRPGゲームをやっていた。

妹を演じている居候、水華は背中で隠している刃物を確認している。

殺気を一段とランクアップさせた理由はあの刃物だ。

さっきの妹アプリを見せつけて嫉妬させて外出させる作戦は失敗に終わったどころか、

水華に何かしらのスイッチを押してしまった感じがする。

人質ってこんな気持をするのかな?と思いながら5週目を迎えた生エビに同情した僕はそれを取った。


僕の好きな寿司ネタはホタテとサーモンだ。

水華の取っている寿司ネタを見る限り、カツオとマグロだ。

別にそんなのはどうでもいいが水華はお皿の柄が凝っているのばかり取る。

後のお会計の時、総額7000円だった。

そして僕の財布から万札が消えてゆく。


記録87672号

水華は別に大食いではない、それは目の前にある

8皿が証明している。

しかし取る皿が一皿600円なのだ。

彼女が自由きままに食事できるようにこれから絶食でもしようかな・・・。


***


財布の残金が1万円切ったので銀行に行ってお金を下ろすことにした。

そこで僕は驚いた、これは優しさと言うより恐怖だ。

叔父から来たメール通りに残金の全て、44万円を引き出し財布に入れた。

一体どんな仕事をすれば仕送りだけでこんなにお金を送れるんだ?

財布を落として44万円が喪失しても困るので39万円を自分の口座に入れて銀行からでた。

「働いてもいないプータローがなぜ銀行に行く?」

「叔父さんから仕送りだよ」

水華は軽く頷いて、

「今日の晩御飯はどうするの?」

「カレーにしようかな・・・」

僕の料理スキル1だ、しかしこのスマートフォンを使えば作り方くらいは書いてあるだろうと今日は手料理に挑戦してみることにした。


***


スーパーで買い物中に東金と秋沢に遭遇し、食材の購入後は中古店に寄り道したついでに猿人無双の違法コピーを貰った。

水華がゲーム機を買って欲しいとねだってきたので猿人無双をやるために中古のテレビゲーム機を購入。

そして協力プレーで水華と2人で狂った猿人を倒し続けた。

挿絵(By みてみん)

↑出てくる猿人のイメージ図

そこで僕はボソッと呟いた。

「なぁ晩御飯はいつ作ればいいんだ?」

「このステージが終わればいいんじゃないか・・・って、強そう」

ゲームの中の僕らより10倍はある強敵、会話を進めるとどうやらボスだ。


ゲームに没頭してついにボス猿人を倒せたのは夜の10時頃、いい加減晩御飯を作らないと立ち上がった瞬間に立ち眩みして倒れた。

そして寝ていた。


***


気づいたら昨日も来た死後の世界にいた。

今回は芝生の上で寝ていたわけではなく、皆が集まったらしき石畳の広場だった。

そして目の前にあの説明をなかなか終わらせてくれなかった白い人間が立っていた。

「こんばんわ、105番」

名前がわからないからなんて返事すればいいのか・・・?

「こんばんわ・・・、なんとかさん」

「・・・・・、私に名前は無いが神様と呼んで欲しいのが希望なんだがな・・・」

気を取り直して、

「こんばんわ神様・・・、なぜ僕はここにいる?」

「昨日行っただろ、詳しい説明は翌日個人で行うって・・・」

確かにそんなことを言ってたなぁ~と僕はあやふやな記憶を振り返った。

「ならさっさと終わらせてくれよ」

神様は苦笑いしながら頷いて、

「君の能力は感情変換だ、今思っていることをそれに適した形として物体化などにする能力」

感情を物体に変換させる?

「例えば自分の不幸を相手になすりつけるために感情を地雷にして置くとか、そうすれば相手に不幸が振りかかるってことだ」

「大体わかった、もう帰らせてくださいよ」

「最後に、明日の1時に一試合目が始まる」

「・・・・」

このまま僕は目を瞑り、元の場所に戻った。


***


目が覚めて感じたことは定期的に頭に衝撃が来ている。

少し上を見ると水華が頭を叩いている。

状況を整理するために気絶したふりをすることにした。


感情変換?、じゃあ絶望的なことをなすりつければ相手は絶望的なことになるってことか?

全然使い方がわからない・・・。

それに神様曰く、3時間後に本番なのか・・・。

いろんな意味で緊張してきた。


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