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絶望目録  作者: ネガティブリストの管理人
1章、もう一人の筆記者
4/20

四話 I「Who is it?」 She「Do not teach」

届けられたピザを半分だけ食べて寝た僕は7月28日水曜日の午前7時に起床、

「うっ・・・夢か・・・」

久々に夢を見ていた。


今日は奇妙な夢を見た。

夢のなかの僕は幕張駅にいたらしく、そこで一本の電話に応答した。

相手は越前先生、もしもしの一言も無しに怒鳴られた。

「今八王子にいんだけどよ、こっち来てくれない?」

「嫌ですよ」と一言言ったら、

「じゃあ渋谷駅で次の東横線下りの時刻はどうなってる?」

幕張駅にいるんですけど・・・、と言いたかったがこれぞ夢。

言いたいことが素直に言えなかった。

「電光掲示板には『人身事故の影響で東横線下りの運行状態が現在停止しております』って書いてあるけど?」

「じゃあわかったよ、歩いて帰る」


ここで目が覚め、身体を触り汗だくなのに気づく。

「嫌な夢だったな~・・・、お腹減ったしピザでも食べようかなって思ったけど見失ったし・・・」

机に置いといたピザが箱だけになっていることに気づく。

「なんか嫌だな~・・・、日記でも書こう」


記録87649号

残しておいたピザが消失した、ついに食べ物にまで嫌われるようになったのか?

どうぜ消えるなら箱ごと消失して欲しかった、ゴミ捨てるの面倒くさい。


にしてもおかしいよな、半分残したところを写真で収めたはずなんだけどな。と携帯のフォルダーに映る半月形のピザを見つめる。

「今日はいい天気だし布団でも干すか」

【叩いてみた】気分転換に布団たたきをやってみた


***


「撮影してニロニロ動画にでも投稿しようかなぁ!」

干し竿に布団を掛けて叔父のゴルフバットで布団たたきをすることがこんなにも楽しいだなんて初めて知った。

「さっきからゴツゴツと生々しい音が聞こえるけど気のせいだろう」

叩く事にゴシュッ、ゴシュッっとなんかグロテスクな音が聞こえる。

僕はため息をついで思った。

「干す前は純白だったのになんか赤いなぁ~・・・」

不思議に思った僕はゴルフバットを置いて、携帯のフォルダーを見た。

「5分くらいまえは真っ白だったのになぁ~、ダニを潰すと血でも流すのかな?」

考えている時に布団の奥から声がした。

『マジ痛いんだけどよ~』

心霊現象でも起きたのかと思い、鳥肌が立った。

思考力が失い携帯を落とした。

「気のせいだろうな・・・、ちょっと何が起きてるんだよ・・・」

僕は布団をめくり見てしまった。


「ゴルフボールじゃあるまいし、ヤード単位で頭をふっ飛ばそうなんて考えんな」

外見年齢15歳、見た目は女っぽいけど口調がそれっぽくなく、黒いニット帽を被った黒色のジト目で藍色のセミロング。

「誰?」

「教えな~い」


***


「教えな~い」と生意気に言った直後にぐったりした女の子は布団みたいにベランダの柵にかかっていた。

8割ほど外に出ていて今にも落ちそうなので心優しい僕は女の子を抱えてソファーに寝かせた。

落とした携帯がフリーズしたらしく、15分間携帯を直そうとして携帯をベタベタ触っていた所に女の子は目が覚めた。

そこで僕は一言言った。

「ピザを食ったのはお前か?」

女の子はボケたまま、立ち上がりストレッチをしながら

「ぬ・・・?あぁ・・・、食べたよ」

「なんか怯えてるけど別に食ったことは別にいいんだよ、せめてこの箱に『ゴチになります』かこの箱を捨ててくれよ」

「えぇ~、ペンなんて持ってないしゴミ箱どこかわからないよ・・・」

女の子が言っていることは確かに正しいかもしれないが、何者なんだ?

「あぁ~もうピザなんてまた今度頼めばいいや、それでさ・・・何しに来たの?」

僕が質問したら女の子はワンピースのポケットを漁り、紙切れを渡してきた。

「いきなり無口っ娘になろうったって無駄だけどまぁいいや」

広げて見ると『ggrks』と書いてあった。

「検索して出てくるのかな~」

「ププ、出てくるわけ無いじゃん」

キレかけた僕は紙切れを握り潰し、今日も補習があることに気づく。

「こんなことして丸一日時間潰すのも悪くないが僕は用事があるんだ、出てってもらうよ」

「えぇ~・・・、暇」

なぜ断る?

「昨日まで何してたっつーんだよ、出てってもらわないと色々困るんだよな」

色々とは帰ってきたら金銭的なものが消えていたりとか、冷蔵庫が空になっていたりすることを考えて、何より今日の夜は叔父も帰ってくるだろうし。

「買い物とかだったらついていくよ」

「買い物じゃない」

「デートならイベント役やるよ」

「デートじゃない!」

「じゃあなんだよ?」

「補習だよ!!」

この叫びでゴミを漁っているカラスが飛んでいく感じがした。

「フッ、馬鹿なんだ?」

僕は馬鹿じゃないって言いたいが、国語が人並み以下って言うのだから言い返せない。

「色々問題はあるけど社会なら負ける気がしない、補習が終わったら相手してやる」

「お前が補習している間、あたいは何して待ってろって言うんだ?」

「古本で立ち読みでもしてろ」

「名案だそれ」

僕は鼻で笑い、

「勝手に言ってろ」


***


制服に着替えて、壊れた携帯をポケットに入れて僕は学校に向かった。

久々に紙日記か・・・、久しぶりだなぁ~


そーいや、1,2話で忘れられている存在が一人いる。

1話目の中盤で僕と同じ寝坊などをしたメンバーが4人ほどいる。と言っているが記録87629号では5人いた。

2話目の前半では越前先生が遅刻の理由を尋ねた時、僕を含めて6人のはずが5人で終わっていた。

忘れられている存在の名を神谷五五いつごと言う、彼は天才的な人物だ。

私服で登校してもバレてないし、一時期不登校生徒だったが今のところ皆勤賞になってるし。

そして何より越前先生の結婚式に招待状が来なかったらしい。


そんな影の薄い今回は珍しく“紙”日記だけに“神”谷のことを考えながら学校の正門に来ていた。

正直悲しくなってきた。

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