8話 二戦目開始
11時50分、焼肉パーティーが終わり11人が帰宅となった。
なぜか1人だけここに泊まるようだ。
「なぁ越後」
ソファーでゴロゴロしている越後に話しかける。
「なに?」
「なんで帰らない?」
僕は思ったことをそのまま伝えた。
「エェーっと、妹達が全員お泊り会でいないから」
「それは気まずいな、家には両親しかいなんだよな・・・」
「うん」
「今頃なにしてるんだろうな・・・」
自分の親に対しての言葉でもあり、なぜか昔のことを考えてしまった。
「多分イチャイチャの加減が抑えられずにお母さんが妊娠してたりして」
この女、卑猥なことを平気で言えるんだ・・・。
「なに残念そうな顔してんだよ」
「遺産相続の時にもらえるお金が・・・」
「ブラックだなお前・・・」
随分不謹慎な気持ちになる。
「まあ親のことだし遺産残さずに死ぬんだろうな・・・」
「もうその話はやめにしよう」
この言葉で会話する気が萎え、越後はうずくまってしまった。
水華は神山のベットの上で大の字になっていて、神山は風呂にいる。
僕は久々に絶望目録を更新させることにした。
スマホをPCと繋げて、記録87683号から記録87699号を転送させて絶望目録に保存した。
PCの電源を切り、僕は床に寝っ転がった。
「なぁ水華」
「なんだよお兄ちゃん・・・」
「僕達が試合中の時、現実の方の体はどうなるんだ?」
「睡眠中のようになるんじゃない」
「そうか、なら寝ているようにしよう」
僕は目を瞑って時間の経過を過ごした。
***
どうやら僕はガチ寝していたらしく、目覚めたら森の中にいた。
僕の視界の左側には小屋があり、右側には川が流れている。
現実と仮想の時刻は同じでは無いらしく、
空は夜になりかけの夕方である。
ポケットからスマホを取り出して現在の時刻を見ると12時55分と表示されていた。
「眠・・・」
独り言の後に小屋からガチャンとドアが開く音が聞こえたのでジーと見つめると水華が出てきた。
「おっ、お兄!」
「よぉ・・・」
「後何分?」
「4分後くらいには始まるかな」
暇なのでまずは川の水の試し飲み。
「水道水と変わらないじゃん・・・」
水華には水の違いを理解できならしい。
「いや、クリアで美味しい」
僕は評論家らしく言ったが違いがわからない。
そんなことをしているうちに1時の時報メールが届いた。
どうやら始まったようだ。
***
前回のように散策しても車などは見つからず、人工的なものがあまりない。
精々あるとすればログハウスのような小屋だ。
いや、ログハウスと小屋の違いを教えてと言われても丸太がログハウスで簡単な作りで出来たものが小屋くらいしか違いがわからない。
読者の知らない所で僕たちは作戦会議をしていて、その通りにまずは作戦会議場にふさわしいログハウスの中に入ることにした。
「まぁ人はいないと思うけど、お邪魔しまーす」
僕はふざけて言ったつもりだが、
「あらいらっしゃい」
目を瞑って開けていたので他所の声が聞こえた時、目を開いてログハウスの中を見渡した。
水華は僕の肩を叩いて、
「どうするの・・・」
「逃げるわけにはいかないな・・・、入ろう」
僕は直進して椅子に座った。
水華も続いて直進し、テーブルを挟んだ向こうの椅子に座った。
「「・・・・・・・・・・・」」
沈黙、本来の目的と変わってしまった。
「えっ!2人!?」
二階から声が聞こえたので見てみると、ここのログハウスの住民のような妖精の少女がいた。
ストレートロングヘアの黒髪で、幼い顔で。
羽が生えていた。
階段を降りて椅子に座り、尋ねられた。
「お名前を教えて」
妖精の指先は僕に向けられていた。
「・・・・出雲薔薇祭次です」
偽名で通してみる。
指先は水華に変わり、
「緑院玲子です」
水華の言っていることは僕に対しての嫌がらせか、僕はスマホのモニターを見る。
そして次に妖精を見ると機械なので確認してそうにない。
考えられるのは2つ、1つは168番と同じように視界のどっかに映っているのか、2つ目は単なるここの住民か、
多分前方の方だろうとスマホの情報を見て確信する。
多分偽名はバレているだろう。
「ちょっと出雲薔薇くん、女の子同士の会話をするからログハウスから出てくれない?」
水華になにかやらかすつもりだ・・・。
「わかったよ」
僕は水華に手話で伝えた。
伝えたことはこの妖精は何か企んでると。
まぁそんなことを伝えなくてもわかっていると思うが。
僕はログハウスから出て夜空を見上げた。
日光の光が前方に残る中、スマホをいじり確認した。
衝撃的な情報に僕はスマホを落とし、
「残り3人・・・かよ・・・」
僕は震えた声で呟いた。
僕達と妖精と誰か、
その誰かは本格的に殺害行為を行なっている。
多分このサバイバルゲームをゲーム感覚で楽しんでる。
『もう済んだよ、出雲薔薇くん!』
ログハウスの中から妖精の声が聞こえたのでスマホを拾い、ドアを開けて見てみると、
「いや、105番・・・」
妖精は楽しそうに羽を使って楽しんでいた。
「パートナーをどこにやったんだ妖精、または399番!」
「2階だよ」
399番が指差す2階に向かうと、
「うっ・・・ぬぅ・・・」
鎖で結ばれ、南京錠でロックを掛けられている水華がいた。
1階から399番は、
「私と追いかけっこをして捕まえたら鍵をあげるよ、でも15分以内に捕まえられなかったらログハウスごと爆発させる」
「どうやって水華を鎖で結べたのかわからないが、捕まえてその羽を毟りとってやる!」
399番はドアノブを掴んで押し、羽を振動させて、
「飛べない人間が、私に勝てるわけがない」
一瞬のうちに逃げていった。
「絶対捕まえてやるよ!」
僕はスマホのアプリ、感情変換をどのように使うかわからないが起動させ窓を割って飛び降りた。
***
どうやらこのフィールドの最高高度は200mなのか399番は無理に上へ行かいない、399番は楽しげに空を飛んでいる。
「あら~、走ってるだけじゃ捕まえられないよ~」
そして地上で全速力で走る僕は怒りを槍に変えて飛ばしている。
一直線に飛ぶ槍は毎回外れるごとに最高高度で消滅する。
「当たらな~い、当たらな~い」
地上からの攻撃は不可と考えた僕はマークがダッシュしているアプリを起動させて地面を思いっきり蹴った。
見事に運動能力が上昇し、ジャンプの高さは399番と並んだ。
「げっ・・・!」
399番は焦りを感じ、低空飛行を始めた。
僕は武器アプリらしきものを押し、槍を飛ばした。
その槍は399番の右肩を切って地面に刺さった。
僕は重力で下に落ち、思いっきり両足で着地した。
着地地点を見るとクレーター状態になっているのを見て驚きながら399番の方へ走った。
よろよろ飛行の399番を確認して運動能力を上昇させるアプリを終了して武器アプリを起動させた。
そのばで立ち止まり、
今度は弓を出して矢を放った。
意識が朦朧してそうな399番は躱さずに矢は羽に刺さり、399番はよろよろと墜落した。
墜落する399番をお姫様抱っこでキャッチして、
「お前の負けだ、早く鍵を出せ」
「急がなくても・・・、もう大丈夫だよ・・・」
399番はネックレスを取り外し、
「鍵・・・出したよ・・・」
ここで思ったことがある。
今回、ここにはゲーム感覚で人殺しを楽しむ候補者がいる。
399番はこの先どうすればいいんだ。
「先に言うけど僕はお前を殺せそうにない」
いかにも『負けたから死ぬ』と思っていそうな399番に告げた。
現在は追いかけっこを初めてから12分、爆発というのはなんだったのだろうという疑問をかき消して。
「そんなこと・・・言われても私・・・・・・もうリタイアだよ・・」
リタイアと願ってもやめられない。
現に一回戦の時に僕はリタイアを願ったが叶わずにいる。
「この先のことは自分で考えろ」
僕は399番を小屋のベットに寝かせて水華の元に戻ることにした。
***
追いかけっこから21分、どうやら爆発というのは399番が能力を使ってさせようとしたものだろう。
僕は無言で南京錠のロックを解除して鎖を解いた。
「凄く暇だったんだけど・・・」
「そんなこと言うなよ、僕は凄く忙しかったんだよ」
ここでスマホで情報を確認すると残り2人となった。
考えられるのは3つあって、1つは右肩の出血で息を引き取ったのか、2つ目は残りの1人に殺されたか、最後は自殺したか。
どれも考えたくないことだ。
「最後の1人は危険人物だ・・・」
「なんで?」
水華は親に聞けばなんでも教えてもらえると思っている子供のように質問する。
「このサバイバルゲームを普通のゲーム感覚で楽しんでる」
「サバイバルゲームも一応ゲームだよ」
「いや、僕だけかもしれないけどただの殺し合いにしか見えない」
僕は本音を言って割れた窓から飛び降りた。
***
徒歩5分、二回戦目が始まったときはどこもほぼ変わらない景色だったが現在、
森が滅茶苦茶に荒らされている。
詳しく言えば木がなぎ倒されていて、ログハウスが壊されていて、川の水が濁っている。
肝試しに来てしまった感じがする。
それは仮想世界の予想時刻が7時30分と太陽が完全に降りたからかもしれない。
『Good evening、Mr.105th!』
この声は!?
「嘘だろ!?」
ドスドスと思い足音が後ろから聞こえ、
振り向くとガラパゴスだった。
影で顔は見えなかったが、ガラパゴスが僕達の方へ向かいついに顔が見えた。
「どうも祭ちゃ~ん」
「嘘・・・だ、ろ・・・」
どうやら仮想世界で殺害行為を楽しんでいるのは610番、来栖玲子だった。




