3話 灯油って霧状になると引火点(40℃以上)以下でも引火するんだってね、危なぁ~い
彼の名前は市川林太郎、39歳独身、職業:自宅警備員。
身長164cm、体重81kg、体脂肪率32%と肥満。
普段は自宅のパソコンでオンラインゲームをやっているプロゲーマー。
能力はRay gun User(光線銃使い)、当ゲームの番号は168番。
と、スマホに説明が書いてあるが168番が持っている銃はおもちゃらしさは一切ない。
外見だけで言うとマシンガンだ。
***
「始まってまだ数分だぞ、君たちは仲がいいんだね~」
168番はまだ理解していない。
僕達は2人で1人ってことを、そしてこのステージには異例の6人がいるってことを。
「違うよ、あたいはこの人と2人で1人なの。あなたの頭では理解できないよ」
水華が挑発の一言を真に受けた168番は威嚇で光線銃を地面に打ち付けた。
フラッシュで目を瞑ってしまった僕が見た光景は異様だった。
アスファルトの地面に直径1cmの穴が開いていて、穴の周りが真っ黒焦げになっている。
「・・・しかし、その仲もすぐに消える。この銃で」
168番はニヤリと口を歪ませて僕に銃口を向けてきた。
「神になるのは、この私一人だけだ!」
僕もニヤリと口を歪ませて突っ立っていた、躱すつもりはない。
ピシュンと銃声がなり、フラッシュで僕は目を瞑り、落ち着いたので目を開くと、
「こっちは二人組だから・・・」
168番の目が怯えていた、銃を手放すが地面に落ちない。
水華は右手で銃を掴み、銃口を少し僕からずらしていた。
僕は首を左回りにすると光の道筋がはっきりと見えていて、工場の事務所的な所に直撃して爆発した。
現在事務所は炎上している。
「バケモノかよお前・・・」
「そういう能力なの、あなたも無くしたらもう一度作れるんでしょ?この光線銃」
「あぁ・・・ぁっ・・・、嘘だろ!?」
168番は全速力で逃げ、暗闇の工場の建物に逃げた。
水華は光線銃を持って喜んでいたが、砂のように崩れ壊れた。
「壊れちゃった・・・」
「所有者以外は使えないようになってんだろうな」
僕は作戦会議を行うために矢先にあった化学製品の工場の建造物内に隠れることを提案した、今回は水華も賛成してくれた。
***
建物の中に会議室があったのでその中で話し合うことにした。
「このまま、終わらないかな・・・」
終わるはずがない、例えこのステージに強い人が居て僕以外の3人を倒しても二試合目に出場するためには空間内で1人だけにならなくてはならないのだから。
仮想とは言えこの世界、リアル過ぎて殺されることに恐怖心を抱く。
「敵が後1人になるまで隠れてたいなぁ~」
「その案いいね、何して遊ぶ?」
僕は考えた、敵が残り1人になったら挟み撃ちで倒そうと。
「僕達って運があるね、スマホがあるよ」
他の4人が頑張ってる中、僕達は遊ぶことにした。
***
1時30分の時報メールが届いて思い出した、サバイバルゲーム中だってことを。
なのに僕達はサバイバルゲームの作戦会議どころかフリーゲームの作戦会議を行なっている。
この会議室に監視カメラがあり、ある能力者がモニタリングしているのであれば、その人は僕達を恨むだろう。
「残り何人だと思う?」
僕は尋ねた。
「私達を除いて1,2人だと思うよ~」
生まれて一度たりともタバコは吸ったこと無いが、僕は喫煙者っぽく窓を開けて上半身を乗り上げた。
そして青ざめた。
「死ねェェェェェ!!」
「ぬオォォォォォ!!」
さっき168番と戦った場所で立派な大人達が殴り合いを行なっている。
左方は格闘家っぽい人で、ゲームのように殴る事に火花が散っている。
右方も格闘家っぽい人で、左方と似ていて、蹴りをする事に火花が散っている。
見られていないと信じて、窓を閉めた。
「どうしたお兄ちゃん?」
「なんで僕が選ばれたんだろう・・・・・・・な?」
僕はさっき見た光景を思い出し、絶望感に浸ってしまった。
***
格闘家同士の戦いから5分。
スマホのアプリの中に残り人数を教えてくれる物がある、それで確認したところ残り2人。
僕と蹴りか殴りのどちらかとなった。
遊べる雰囲気が皆無となった会議室で僕達は洋服掛けを解体して鉄パイプだけを取り出し、それを持って奇襲準備にかかっていた。
ハンデキャップとして僕だけががこんなに情報を得られるわけではなく、みんなはそれぞれの情報収集をしているらしい。
168番は視界の端にそれぞれの情報が得られたり(スマホ情報)、格闘家達は携帯電話(持ち歩いてた)。
「なぁお兄ちゃん、あたい達バレてるよ」
「嘘!?」
僕は出入り口に顔を少しだけ出して確認すると、殴りの格闘家がタバコふかして待っていた。
「正々堂々と行こう」
「OK」
僕達は建物から出て話しかけた。
「91番、佐倉栗東!」
「やっと出てくれたか、立てこもり君」
91番は咥えたタバコをペッと吐き、煙を出して、
「悪いけどおじさん、明日も試合があるんだ」
「僕も大事な夏休みがあるんだ」
「「「さっさと終わらせてもらうよ!!」」」
僕と水華と91番は揃って同じ事を言い、乱闘が始まった。
91番は少しビックリしながらも後ろにいる水華の鉄パイプを片手で掴み、
溶かした。
「ビックリした目つきだなお譲ちゃん、おじさんの能力は摩擦加熱って言いさ、摩擦を利用して熱を生み出す能力で・・・」
殴った摩擦だけで約2900℃(鉄の沸点2862℃)以上を生み出せるわけがない。
しかし超能力なら可能だ、物を取ろうと手を動かしただけで熱を帯びるのならアイスなんて一生食べれないだろう。
まぁここだけの世界だから関係ないか。
「坊主、怖い思いをしたくなかったら自殺しな」
「こんだけリアルな仮想世界の中で死のうってのは現実並みに怖いさ、だからお断りだ!」
僕は鉄パイプを投げ捨て、スマホを弄った。
「こんな時になに呑気にしてんだ、お譲ちゃんが思いをしてるんだぜ?」
水華は握っていた鉄パイプを離して逃げようとしたが91番に肩を掴まれて歯を食いしばんでいた。
To 91番
件名 絶望をなすりつける
本文:最寄りの灯油タンクが爆発する。
送信を押した僕は、
「逃げる!!」
「女を捨てるのかこのクズ!!」
これは打ち合わせ通り、これからショータイムだ。
***
「残念だったなお譲ちゃん、パートナーに見捨てられて・・・」
「そうだね、奴はそういう人間だよ」
91番は左手で水華の身体を地面に固定して、右手を後ろに引き、
「悪いけどおじさんは神になるんだ、おじさんが神になったらせめて記念の碑に名前だけでも載せて・・・」
ここで車が走行音が聞こえて言葉が止まった。
「ごめんね91番、お詫びにお墓だけでも作ってあげる!」
僕はさっきの場所から建築物で見えていなかったタンクローリーに乗り、2人のいる所に向かった。
91番は水華を立ち上がらせて左腕で首を絞め、僕にこういった。
「坊主は女を轢く覚悟はあるか!!?」
計画通りだ、これは台本通りに、
「ある!!」
僕は時速80kmで91番と水華の2人を轢いた。
実は会議室で遊びながらも僕達はタンクローリーと工場を利用した戦略を考えていた。
二人組ってのを利用して、どちらが囮になるかとかをさっき話していた。
話の結果、タンクローリーのアクセルを踏むのが大変そうな水華が囮となった。
元々の計画では水華vs誰かにして僕はタンクローリーで轢き、なすりつけを利用して倒す予定だったが、捕まってしまったので、逃げる行為をしてしまったが成功した。
感情変換の利用法がわかった、逃げたいと思った時は逃げ足が早くなったり、怪我を治したいって思った時はは怪我の治りが早くなるようだ。
それはここで証明した。
重傷の91番に比べて、水華はすでに立っている。
正直第一印象が無感情とも言われたことのある僕が活用できるのかが不安だ。
「水華、もうすぐ灯油タンクが爆発する!」
タンクローリーは灯油タンクに突っ込んでいる。
そして見事に灯油が溢れ出ている。
灯油に火を近づけても引火しないが、灯油が染み込んだ布に火を近づけると見事に引火する。
91番の着込んでいるシャツとジーンズは見事に灯油が染み込んでいる。
91番は起き上がった瞬間に摩擦加熱が働いてしまい、倒せるだろう。
さっきまで重傷だったのが嘘のように水華は走ってきた。
「ねえお兄ちゃん、なんで逃げちゃうの?」
「ちょっとエグいからな・・・」
これから人が燃えるところなんて見たくない僕は逃げようとしていた。
「わかったよ・・・、終わるまで遊んでよ」
「うん」
僕は歩いて91番のいる所から離れた。
歩いている途中に倒れこみ、目が覚めたら現実にいた。
***
現実に戻った僕はスマホを見てメールが来ているのを確認して開いた。
一試合目の勝者は125人だったらしい、宛先が神と書かれたメールにそう書いてあった。
「なんか不謹慎だなぁ・・・・」
記録87682号
91番と168番、夢に出てきそうでやな感じだ。
もしかしたら現実であって殺されるかもしれないと考えると嫌な感じだな・・・




