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糸と針と、わたしたち。  作者: 南蛇井
高校3年生

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139/150

第139話「やりたいことと、できること」

進路指導室は、冬の光に照らされて白っぽく見えた。

 机の向こうで先生が、律のファイルをパラパラとめくっている。


「律、この記録力や構成力、すごいよ。こういうのを活かせる仕事はたくさんある」

「……そうですか」

「興味のある分野は?」

「……まだ、決められません」


 自分でも、はっきりしている。

 やりたいことが“ない”わけじゃない。

 ただ、それを職業にする想像が、まだできないだけだ。


 放課後の部室。

 卒業制作に向けて、ゆらは明るい色の布を広げ、さゆりは丁寧に下絵を描いている。

 二人とも、ためらいがない。

 自分の「形」を、もう知っているみたいだ。


 それを横目で見ながら、律はふと胸がざわつく。

 ──俺は、何を作ればいい?


 ペンを回しながら考えていると、今までの自分の作業風景が脳裏によみがえる。

 部誌のレイアウト、取材メモ、二人の作品に添えるキャプション──

 どれも、自分のためというより、誰かの良いところを見つけて、それを引き出すためにやってきたことだ。


(……あ、そうか)

 やりたいことと、できることは、別じゃない。

 その間に、ちゃんと自分の答えがある。


 ノートを開き、ペン先を置く。

 タイトルはまだ決めない。

 でも、テーマはもう決まっている──

 「誰かの力を見つけて、形にする」。

 それが、自分の作品だ。



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