第124話「わかりあえなくても、つながれる」
主役:かなえ(先輩)・ゆら・律・さゆり(集合回)
舞台:部室、放課後の振り返りミーティング風
放課後の部室に、ちょっと懐かしい足音が響く。
「……おじゃまします」
ドアをそっと開けたのは、久しぶりに顔を見せた3年の先輩、かなえだった。
「かなえ先輩!」「おひさしぶりです!」
律も、さゆりも、ゆらも、笑顔で迎える。
「ふふっ、にぎやかになったね。いい空気」
テーブルの上には、途中までできあがった刺繍布たちが並んでいた。
淡いグラデーションの一枚。爆発するようなカラフルな一枚。静かに言葉が縫われた布。
「みんな……ずいぶん、違う方向に進んでるのね」
かなえが目を丸くして笑う。
ゆらがぽつりと呟いた。
「同じ手芸部なのに、やってることバラバラかも……」
すると、かなえは迷いのない声で答える。
「バラバラだから、面白いんじゃない? 全部同じなら、部活でやる意味ないよ」
その言葉に、律が少し俯いたまま口を開く。
「でも……“表現”って、わかりあえるのかな。わたしの“迷いと希望”とか、誰かに伝わるのかなって思うと、少し怖い」
しばらく沈黙が流れる。
さゆりが、ゆっくり言葉を探すように、でも確かに口を開いた。
「……伝わらないって思っても、“伝えたい”って気持ちは、きっと……“つながる”と思う」
その場の空気がふわりとやわらぐ。
なんとなく、それぞれの図案を少しずつ机の中央へ滑らせる。
「うわ、なんか……爆発してる?」
「これは……風景? でも、感情みたい」
「これ、刺繍っていうより……詩だ」
色も構成もテーマもバラバラ。
けれど、その“バラバラ”の中に、それぞれの“らしさ”がしっかりと息づいていた。
目を合わせ、なんでもないように笑い合う四人。
ラスト台詞
「違ってるけど、一緒にいられるって、最高の部活じゃない?」




