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糸と針と、わたしたち。  作者: 南蛇井
高校3年生

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124/150

第124話「わかりあえなくても、つながれる」

主役:かなえ(先輩)・ゆら・律・さゆり(集合回)

舞台:部室、放課後の振り返りミーティング風


放課後の部室に、ちょっと懐かしい足音が響く。

「……おじゃまします」

ドアをそっと開けたのは、久しぶりに顔を見せた3年の先輩、かなえだった。


「かなえ先輩!」「おひさしぶりです!」

律も、さゆりも、ゆらも、笑顔で迎える。


「ふふっ、にぎやかになったね。いい空気」


テーブルの上には、途中までできあがった刺繍布たちが並んでいた。

淡いグラデーションの一枚。爆発するようなカラフルな一枚。静かに言葉が縫われた布。


「みんな……ずいぶん、違う方向に進んでるのね」

かなえが目を丸くして笑う。


ゆらがぽつりと呟いた。

「同じ手芸部なのに、やってることバラバラかも……」


すると、かなえは迷いのない声で答える。

「バラバラだから、面白いんじゃない? 全部同じなら、部活でやる意味ないよ」


その言葉に、律が少し俯いたまま口を開く。

「でも……“表現”って、わかりあえるのかな。わたしの“迷いと希望”とか、誰かに伝わるのかなって思うと、少し怖い」


しばらく沈黙が流れる。


さゆりが、ゆっくり言葉を探すように、でも確かに口を開いた。

「……伝わらないって思っても、“伝えたい”って気持ちは、きっと……“つながる”と思う」


その場の空気がふわりとやわらぐ。

なんとなく、それぞれの図案を少しずつ机の中央へ滑らせる。


「うわ、なんか……爆発してる?」

「これは……風景? でも、感情みたい」

「これ、刺繍っていうより……詩だ」


色も構成もテーマもバラバラ。

けれど、その“バラバラ”の中に、それぞれの“らしさ”がしっかりと息づいていた。


目を合わせ、なんでもないように笑い合う四人。


ラスト台詞かなえ

「違ってるけど、一緒にいられるって、最高の部活じゃない?」

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