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糸と針と、わたしたち。  作者: 南蛇井
高校3年生

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122/150

第122話「誰かのひらめきが、私を変える」

主役:律/さゆり(対話形式) / 舞台:部室、自宅のノート整理シーン


「……また、いつも通りになっちゃった」

律は小さく呟いて、刺繍枠をテーブルに置いた。

整っていて、技術的には間違っていない。けれど、なぜか胸がしんとするような物足りなさがある。


(どうしてだろう。……“正しい”のに、私じゃない)


その日の午後。部室で、ふと隣のさゆりのノートを覗いた。

糸の見本帳に書き添えられた、詩のような言葉。

「夜に落ちていくような、静かな青を探してる」

その一文に、律の目が止まった。


「これ、さゆりの刺繍のモチーフ?」

「うん。……そんなつもりで作ってた。言葉にすると変かもだけど」

さゆりはすこし照れくさそうに笑う。


「どうして、そんな風に言葉を布にできるの?」

そう尋ねる律に、さゆりは真っ直ぐに答えた。


「ただ、“思ったこと”を、形にしようとしてるだけ。ちゃんとしたものじゃなくても、まずは言葉にしてみるの」


律はしばらく黙ったまま、さゆりの図案と刺繍を見つめていた。


その夜。律は自室の机にノートを広げる。

スケッチの隅に、感情のメモがいくつも書き込まれていた。

「焦り」「ちょっとした安心」「不安のなかの明かり」……どれも、今の自分のこと。


(……形にしなきゃ、って思いすぎてた)


“完成”に向けて、正しく作らなきゃ、とずっと思っていた。

でも、形より先に、気持ちを抱きしめてもいいのかもしれない。


律は小さく息を吐いて、ひとつのページを開いた。

そして、そこから新しい図案を描き始める。


テーマは「迷いと希望」。

ぼやけた輪郭を持った淡い糸を使い、グラデーションで感情を刺繍する。

言葉を、そのまま模様にするように。


ラスト台詞(律・独白)

「誰かのひらめきが、自分を変えることって、あるんだね」

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