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第6話 - ソラとルナ

滝の音が耳をつんざくように響く中、少年が大きな日本刀を肩に担いで、ゆっくりとカイたちの前に歩み出た。その小柄な体つきと、顔に残る幼さからは想像もできないほどの威圧感が彼から漂っている。


「君たちは領域の競宴に向かっているんだな。」

ソラと名乗った少年は、落ち着いた口調で問いかけた。


「そうだ。」カイが答える。「君がスペクトリアの一員なのか?」

ソラは静かに頷いた。


「ソラ。スペクトリアの一員だ。」

彼がその名前を告げると、カイたちは改めて目の前の少年を観察した。まだ幼さが残る顔立ちだが、その瞳にはどこか覚悟と静かな決意が宿っている。


タカシが思わず後ずさりする。「その刀……本当に君が使うの?」

ソラは微かに笑った。「大きいが、必要な力で振れば何の問題もない。君たちも、物事を大きさで測るのはやめるといい。」


カイは彼の言葉を聞きながら、「こいつ、年齢に似合わず落ち着いてるな」と思わず心の中で呟いた。


その時、滝の水しぶきの中から、さらに一人の小柄な影が現れた。肩ほどまでの黒髪を揺らしながら、8歳ほどの少女が小走りで駆け寄る。


「お兄ちゃん!」

その声を聞いた瞬間、ソラの表情が僅かに柔らいだ。


「ルナ。ここに来るなと、言っただろう。」

「でも、お兄ちゃんが戦うところが見たかったんだもん!」ルナが無邪気な笑みを浮かべながら言う。


カイたちは予想外の展開に目を見張る。

「妹……?」タカシが思わず呟くと、ソラは短く答えた。

「ああ、妹だ。こいつはこれからの戦闘には関係ない。」


「そうだろうけど……ルナちゃん、君も何かするつもりなの?」タカシが気まずそうに尋ねる。

ルナは少しだけ黙った後、笑顔を浮かべた。「まだ修行中だよ。だから今はお兄ちゃんの邪魔にならないようにしてる。……でも、いつか私も役に立てるようになるつもり。」


その言葉に、カイは静かに目を細めた。「……頑張ってるんだな。」


ソラはルナを静かに見つめ、短く言葉を添えた。「俺が望むのは、こいつが戦場に出なくても済む世界だ。だが、それはそう簡単にはいかない。」

彼の表情には、兄としての強い思いが滲んでいた。「とにかく、君たちが競宴を目指しているのなら、力を見せてもらう必要がある。」ソラがカイたちに向き直り、静かながらも鋭い口調で告げた。


カイが少し戸惑いながら「力を見せるって……どういう意味だ?」と問い返すと、ソラは背後に立てかけていた日本刀を手に取った。


「簡単な話だ。ここで一つ、剣を交えてみろ。それで君たちが進むに足る力を持っているのか確かめさせてもらう。」


タカシが怯えたように顔を引きつらせ、「そ、そんな急に戦えって……」と言いかける。ユウリは肩をすくめながら「そんなことだろうと思ったわ」と静かに言った。


カイは一度大きく息をつき、「分かった。やればいいんだな。」と短く答えた。彼の瞳には、自分たちの実力を示す決意が宿っている。


「いい返事だ。」ソラはそう言うと、巨大な刀を構えた。その刃先は決して主人公たちを脅かすものではなく、あくまで確かめるための一線を示していた。

とうとうスペクトリアの登場です。

ソラとルナ まさかの兄妹でしたね!

さて、ソラの実力が気になるところですがそれは次話で!

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