第4話 - 滝の先に待つもの
どれだけ歩いただろう。カイたちはついに小さな村へとたどり着いた。周囲には古びた建物が並び、広場の中央には木製の掲示板が立っていた。村人たちは日向に腰を下ろし、道行く旅人をちらちらと観察している。
「やっと村に着いたね……。」
カイが肩で息をしながらつぶやいた。ユウリは彼の疲れ切った顔を見て、軽く肩を叩いた。「ここで少し休めるわね。でも、情報も集めないと。」
カイは掲示板の前で足を止めると、周囲の村人たちにおずおずと声をかけた。「あの……すみません、ちょっと教えてもらえますか?」
広場で寛いでいた村人たちがカイたちに気づき、じっと視線を送ってきた。最初に話しかけたのは年配の男性だった。「おや、どこへ行くんだ?」
カイは一瞬言葉に詰まりながらも、「あ……大会に向かっていて……。」と小さく答えた。
その言葉を聞いた村人たちの顔色が変わった。ざわざわと話し合いが始まり、カイたちは微妙な雰囲気を感じ取った。
「大会……だって?」
「こいつら、本当に行くつもりなのか?」
村人たちの反応にカイはおどおどと辺りを見回し、タカシも不安げな顔をする。「なんか嫌な感じだね。」
すると別の村人が口を開いた。「この先に滝がある。その手前で、スペクトラが検問を行っている。」
「スペクトラ……?」
ユウリが尋ねると、村人たちが再びひそひそと話し始める。「ああ、あいつらはこの辺りの管理を任された集団だ。大会に向かう連中が無駄に死なないように、そこで足止めして実力を測るらしい。」
別の男が口を挟む。「中でも噂されてるのが、最年少でスペクトラに加わった少年だ。なんでも、彼がいるおかげで、変なトラブルは減ってるって話だよ。」
「けど通れる保証なんてないさ。とにかく、下手に手を出すなよ。」
村人たちの声は次第に不安げになり、話題を避けるようにどんどん小さくなっていった。
「スペクトラって……やっぱり強いのかな……。」
カイが遠慮がちに聞くと、村人たちは一斉に黙り込んだ。その反応に、カイはさらに不安を募らせた。「避けて通れたら、その方がいい……かも。」
ユウリはカイの様子に眉をひそめ、「避けて通るのは危険よ。スペクトラの噂が本当なら、むしろ検問を通る方が安全かもしれない。」と静かに告げた。
カイは頷きながらも、少し頼りない声で「そ、そうだよね……分かったよ」と言った。
彼の様子を見て、タカシが「でも、もし通れなかったらどうするの?」と聞いた。
カイは少し顔を引きつらせながら、「うん……そ、そのときは……なんとかしよう、うん……。」
彼の弱気な言葉を聞いて、ユウリがため息をつきながら「じゃあ、行きましょう」と前を向いた。
村人が指した方角を見つめると、カイたちは再び歩き始めた。その背中には、まだ決意の色が見え隠れていた。
読んでいただきありがとうございます。
今回はスペクトラという謎の組織が登場しましたね。
次回はスペクトラについて何か進展があるのでしょうか?
そして最年少の少年とはいかに!