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第3話 - 野良の造物

カイたちは砂埃を蹴り上げながら道を進んでいた。乾燥した風が彼らの髪をかすめ、遠くには荒涼とした大地がどこまでも広がっている。朝から歩き続け、少し疲れが見え始めたが、それでも三人は足を止めようとはしなかった。

「ここら辺は本当に何もないな。」ユウリが呟いた。周囲には木々の影もなく、草地がところどころに広がるだけ。タカシも続けて言った。「まっすぐ進むしかないけど、ちょっと退屈だよね。」


「退屈の方がいいさ。」カイが前を向いたまま答える。「下手に野良の造物なんかと遭遇したくはないだろ?」


その言葉が不意を突いたように、風に混じって奇妙な音が聞こえてきた。カシャリ、カシャリ……。金属が擦れるような嫌な音だ。カイは立ち止まり、耳を澄ました。

「……聞こえる?」ユウリが低い声で言った。

タカシも顔を強ばらせて、辺りを見回す。「何かが近くにいる……?」


音の方角を探りながら、三人は注意深く足を進めた。すると、荒れた地面の先に、ぼろぼろの外見をした造物が姿を現した。鋭利な爪のような脚、光の消えかけた目、ところどころひび割れた装甲。3体の造物がゆっくりとした動きで集まっていた。


「こいつら、ずいぶん傷んでるな。」カイが低くつぶやいた。

ユウリが肩越しに答える。「もともと、造物側が侵攻のために作った大量生産品だと思うわ。戦争が代理戦争に切り替わって、こいつらの役目はなくなった。それで管理されなくなって、たまにこうして野良化して現れる。」


「でも野良っていっても、油断はできないんだよね?」タカシが双剣を構えながら不安げに聞いた。

ユウリが短く頷く。「ええ。管理されてない分、行動が予測できない。感情はないけど、元々殺戮を目的に作られた存在だから。下手に近づくと一瞬で襲われるわよ。」


その瞬間、造物の一体がこちらを向き、光の消えかけた目が一瞬だけ青く輝いた。

「来るぞ!」

カイが叫ぶと同時に、造物たちが一斉に動き出した。金属の脚が砂をかき分け、凄まじい勢いで突進してくる。


「タカシ、右を頼む!ユウリは左!」

カイが命令を飛ばし、正面に立ちはだかる。タカシは双剣を構え、右側から回り込むように動いた。ユウリは素早く左側に身を投げ、造物の爪が彼女を掠めた。


「ここからは力で見せるだけだ!」

カイは腰から剣を抜き、光の波動を意識する。薄い輝きが刃を覆い始める。造物の一体が目の前に迫ると、彼はその刃を振り抜き、光の残像が生まれた。その瞬間、造物の一部が切り裂かれ、倒れる。


「まだだ!」

ユウリが後方に薙刀を振り抜き、別の造物の脚を切断する。金属の甲殻が飛び散る音が響き、ユウリはさらに間合いを詰めた。


タカシも、自分より大きな造物の脚を双剣で叩き切る。たとえ力が足りなくても、何度も何度も攻撃を重ねて、確実に相手を弱らせていく。その姿に、カイとユウリは目を細める。


「タカシ、お前も少し強くなったな!」カイが声を飛ばすと、タカシは息を切らしながら小さく笑った。「まだまだだよ……でも、ちゃんと戦えるようになりたいんだ!」


最終的に、3体の野良造物は力尽き、地面に沈黙した。カイたちは荒い息をつきながら、周囲を見渡した。


「これが野良か……」カイがつぶやく。「普段は見かけないけど、やっぱり厄介だな。」


ユウリが息を整えながら「でも、これくらいならどうにかなる」と短く答える。その声には、少しだけ自信が混じっていた。


タカシも笑みを浮かべ、「またいつ出くわすか分からないけど、次はもっと上手くやってみせるよ」と小さくつぶやいた。


3人は再び砂埃を蹴り上げ、前へと歩き始めた。その背中には、少しだけ成長した姿が映っていた。

今回もお読みいただきありがとうございます。

とうとう3人の戦闘シーンが描かれましたね。

3人の武器、本当に悩みました笑

こういうのを考えるのもたのしいですね。


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