就職
魔王と勇者パーティの激闘から280年の月日が流れた。
あれからも幾度とエルフ族、ドワーフ族等様々な種族の職業:勇者が誕生したが、結果は振るわず魔王軍の経験値となっていき魔王軍はその勢力を着実に伸ばしていった。
魔王代理である邪骸騎士のもと新たに三天王が誕生し、魔王健在当時に近い勢力となった。
邪骸騎士「あれから280年の月日が経った。ようやく当時の魔王軍に近い勢力まで復活出来たようだ。
」
雷閃魔女「今の魔王軍より更に強大だったなんて…噂の魔王様は信じられないほどのお方でしたのね。」
堕落天人「私も当時は天界にいたものだから噂程度にしか聞いてませんが、その魔王様を追い詰めた勇者パーティといい恐ろしい時代だったのね。」
炎腕猿人「魔王代理さんよぉ、その勇者パーティももいねぇんだ…もういいじゃねぇか…一気に侵攻しちまおうぜぇ。」
この3名が現在の三天王、雷の魔法を得意とした魔女:雷閃魔女、天使から堕落した僧侶:堕落天人、前四天王、剛腕猿人の子孫である戦士:炎腕猿人、そして騎士:邪骸騎士をいれて新生四天王である。
邪骸騎士「まあ慌てるな炎腕猿人よ。後20年で魔王様もお目覚めになられる。そうすればこの争いも終わり我々魔族の時代がやってくるのだ。」
堕落天人「それでその与奪士でしたっけ?以来本当に出現してないの?」
当時魔王は眠りにつく前、出せる力全てを出しこの世から職業:与奪士を消し去った。
邪骸騎士「それぞれの種族にスパイを忍ばせているが、そのような報告は受けていない。」
雷閃魔女「与奪士…まさか職業まで入れ替え出来ちゃうなんて…消えてくれて良かったわね。」
炎腕猿人「職業を消滅させちまうなんてとんでもねぇな。」
邪骸騎士「与奪士が消滅した今もはや魔王軍に敵は居らぬ。しかし油断は出来ぬ故各自警戒を怠らぬよう頼みたい。」
ーー警戒はしていた。現状あの勇者パーティ、与奪士を知っているのは最早魔王様と私のみ。当時最弱と言われていた与奪士があそこまで化けたのだ。もしかしたらそれ以外の職業も何があるかわからん。そう…警戒はしていたのだ。しかし私はまさか職業:与奪士があの日保存されていたとは予想もしていなかった。
産婆「元気な男の子ですよ。」
父親「そうか!よく頑張ったな!」
母親「死ぬかと思ったわ!」
ここは⚪︎⚪︎国領土の⚪︎⚪︎村。
今日僕は産まれた。
母親「名前は決まってるの?」
父親「ああ!その昔魔王を長い眠りにまで追い込んだパーティの勇者、アレンにしよう!」
アレン「おぎゃあ!おらぁ!おぎゃあ!」
この年、⚪︎⚪︎村にはアレン以外に二人の男女が産まれた。
ーー⚪︎⚪︎山
???「…この気配は…そうか…これも運命か…。」
産まれて10年が経った。その間に勇者パーティは2回代替りをした。結果は炎腕猿人の領地を一部奪還。魔王軍の侵攻を数年は遅らせる事に成功した。
しかし、快挙とはいえない。何故ならば炎腕猿人の獲得経験値の方が実績に比べて大きいからだ。次に侵攻する時は前より強力となっている。
アレン「待ってよぉ!」
カロリ「アレンあなた男の子でしょ!踏ん張りなさい!」
ランド「そんなんじゃ勇者の名前が泣くぜ?」
同じ年に産まれた僕らはいつも一緒にいた。男勝りのカロリ、兄貴分のランド、そして小心者の僕アレンだ。僕たちは20歳の年に就職する。そしたらこの三人で冒険に出発するんだ。
カロリ「私は魔女か僧侶になれたらいいなぁ。」
ランド「カロリはどう考えても戦士だろ?」
カロリをからかってランドが殴られる。いつもの日常だ。
アレン「僕は…。」
ランド「アレンは当然勇者だろ?まあ就職時に勇者が不在ならだけどな。」
カロリ「そうよ。勇者じゃ無かったら名前を変えなさい。」
アレン「そんな無茶な…でも戦闘職ならなんでもいいなかぁ。無職だけはやだ。」
そう、必ずしも就職出来るとは限らない。とはいっても職業のひとつなのだが職業:無職というものがある。これは何も長けている分野が無く、何をやっても中途半端どころか足を引っ張るだけの為世間から忌み嫌われていた。労働力には一応なるからか奴隷として売り払われる事が多い。就職先はランダムと言われてはいるが確かではない為皆は身体を鍛えたり勉学に励んだりとその職業に関連するものを頑張っていた。
カロリ「でもまあ就職先は分からないんだし今はとにかく勉強と筋トレよ。就職したら皆で冒険よ?わかった?」
ランド「ああ!目指せ打倒三天王ってか!」
アレン「せやな!」
そして10年後、⚪︎⚪︎国教会にて面接が始まった。
これは運命か、この年、勇者パーティは敗北した。各王国、種族は自国に勇者誕生を期待していた。
神官「貴方は就職を希望しますか?」
モブ「はい!」
神官「ではこの宝玉に手を…」
宝玉が光り、その後宝玉の上に職業が浮かび上がった。
職業:戦士に就職
モブ「やった!俺も冒険者だ!」
ざわざわワイワイがやがや
カロリ「そろそろ私たちの番ね。」
ランド「たとえ戦闘職以外でも冒険には身一緒だからな!」
アレン「緊張するなぁ…」
そうこうしているうちに僕らの番がやってきた。
神官「では手を…。」
最初は僕だ宝玉に手をかざす。
宝玉が光った。今日一番の輝きを放っている。
神官「おおっ…!」
ランド「ま、まさかアレン…!まさか名前の通り本当に…?」
職業:無職に転職