プロローグ③
勇者「いくぞおおぉおぉ!」
…あれからどれくらいの時間が過ぎたのだろうか。
魔王の片腕は無く、出血が激しかった。もう少しだった。本当にもう少しだったのだと思う。魔王以外誰も立っていなかった。勇者の下半身は無かった。魔女の胸には大きな穴が空いていた。僕は爆発の衝撃で瓦礫の下敷きになっていた。唯一の生き残りは僕だけだった。でももうダメなんだと思う。どうやら魔王は全員死んだと思っているのだろう。大きな喋り始めた。
魔王「フハハハハハッ!倒してやったぞ覚醒勇者供!我も上位職になった今敵なし!と言いたい所だが世の中何があるかわからん。念には念を…だ。」
そういうと魔王は召喚魔法を使用した。
召喚されたのは四天王:邪骸騎士だった。
邪骸騎士「おぉ魔王様。二度私を召喚していただき大変光栄でございます。」
魔王「うむ、勇者パーティは全滅した。我も無事では無かった。紛れもなく過去最強の敵だった。そこで我は最後の一仕事をした後300年の眠りにつくことにしたのだ。その間お前を魔王代理として魔王軍を立て直すのだ。」
どうやら魔王も重傷のようだ。眠りにつくこの期間は紛れもなくチャンスだろう。
邪骸騎士「承知いたしました。この邪骸騎士、命に換えても使命を全ういたしましょう。して最後の一仕事とは?」
魔王「この戦いで分かった事がある。勇者は勿論だが与奪士とやらが非常に厄介だった。だから今出せる力でこの世から職業:与奪士を消し去ってやるのだ。」
なんだと?そんな事が可能なのか?あくまで僕の考えだと与奪士なくして覚醒魔王には敵わない。おそらく四天王すら突破は出来ないだろう。事実過去の勇者パーティは敗北か相打ちが殆どだった。与奪士なくして勝利はない。それも覚醒与奪士だ。敗北の最中考えた最後の足掻きをしなくては。
魔王「おらあ!」
魔王の口から出た黒い閃光が空で弾けた。
空がひび割れた気がした。何かが近づいているのかわかる。多分職業:与奪士が壊されるのだろう。急がなくては。
僕はカバンから例の録音アイテムを取り出した。これは賭けだ。これがダメなら世界は魔族の物になる。
与奪士「職業:覚醒与奪士を録音アイテムへ…。」
ポゥ…ッ…成功した。覚醒与奪士のスキル:鑑定でこのアイテムの正式名称は保存玉と知った。
眠くなってきた。もう寝よう。
与奪士「あ…とは…頼んだ…友よ…未来…の…皆…。」
ーー遥か遠くの地に保存玉が転移した。
???「…与奪士…。」
魔王「ハアハア…与奪士は消えた…これで300年後の世界は我々魔族のものだ!」
魔王は拡散魔法を唱えた。
魔王「聞けぃ!魔族以外の物供よ!我は魔王…覚醒魔王なり!勇者パーティは死んだ!しかし我も無事ではない!300年時間をやろう!その間精々邪骸騎士の軍勢に耐えるといい!」
邪骸騎士「それでは魔王様、300年後を楽しみにお休みくださいませ。」
魔王「頼んだぞ。見事やりきってみせい。」
魔王は魔法で作った水晶に覆われて眠りについた。
邪骸騎士「この邪骸騎士、必ずややり切ってみせましょう。まずは生存者を集めて…ブツブツ…。」
ーーそして279年後、物語が始まるーー