不老長寿になるたまご
やっと、やっと、辿り着いた。
大金持ちのご主人様と旅に出て5年、やっと目的地の三日月島に辿り着く。
ご主人様が何処かから聞きつけてきた、南海の三日月島という孤島に住む鳥のたまごを食べると不老長寿になるという噂。
そのたまごを求めてご主人様は私を連れて旅に出た。
大嵐に会い海賊に襲われ海の魔物のクラーケンの襲撃を受けながらも、這々の体で難を逃れて今に到る。
まったく南海の孤島では無く、難海の孤島と言った方がしっくりする旅だった。
ご主人様と私が孤島の丘の上にある鳥の巣に向けて歩き出したとき親鳥だろうか? 2羽の鳥が私たちに襲いかかってくる。
ご主人様は私にその2羽を押し付け鳥の巣に向けて走った。
そして私が人間大の大きさの大きな鳥2羽に突かれ蹴り飛ばされているうちにご主人様は巣に辿り着き、巣の中に手を伸ばして取り出したたまごを丸呑みする。
アレ? ご主人様がたまごを丸呑みしたって言うより、たまごがご主人様の口の中に飛び込んだような?
たまごを丸呑みしたご主人様は最初満足そうな顔をしていたが、段々と顔色が悪くなり藻掻き始め身体中を掻き毟りながら苦しみ始める。
ご主人様の方に気を取られていた私はその間に2羽の鳥に押さえつけられた。
苦しみ悶えていたご主人様は身体を丸めると動かなくなる。
動かなくなったご主人様の身体がどんどん縮んでいきたまごになった。
どういう事だ? と思っていると、私を押さえつけている人間大の鳥たちが話し始める。
「「食べた、食べた、これで私たちの子供たちも不老長寿に近づいたの」」
「どういう事だ?」思わず叫ぶ。
私を押さえつけている鳥の1羽が私の顔を覗き込み教えてくれた。
「人間は私たちのたまごを食べると自分が不老長寿になるって思っているようだけど、それは違うの、食べられたたまごが人間の命を頂き頂いた命の数だけたまごが不老長寿になるの」
「それじゃ私たちは誘き寄せられた餌って訳か?
たまごは1つしか無いように見えるが、それなのに子供たちって言うのは何故だ?」
「私たちは魔物だけど単為生殖生物では無いの、オスとメスがいないとたまごを産めないの。
だからたまごの中には可愛い2人の子供たちがいるの。
一卵性双生児なの。
それで、もっともっと2人を不老長寿にしたいから貴方もたまごを食べてちょうだい」
私に話していた鳥の番がいつの間にかたまごを咥えて来て、抵抗する間も与えられずに口の中にたまごを押し込められた。