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2023  作者: 奥野鷹弘
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じゃ、

想いとして言葉に伝えられないなら、それならゼロ。

隣に居るのに呼吸をしないなら、それならノー。

なんのために生きてるのか?


俺は何のために生きているんだろう。



「康史、俺が悪かった」

春の移り変わりで屋根から雪が落ちるように、冷たくて重たい俺の言葉は床にこぼれ落とした。



この街以外ではどこかで桜は咲き散り暖かさがより増している。ここから北はどこかで山頂の雪がようやく溶け川へ流れ動物たちが活発になっていく。

その中間にいる俺たちは……。




―――――


あれから数日間、康史からの連絡が途絶えてしまった。

あいつがどこにいるかさえわからずに静かになった日常をひたすら繰り返している。


隣に誰かが居てくれるということ。

隣で誰かが笑いこけてくれるということ。

隣で真剣に怒ってくれたということ。

風邪の看病に付き合ってくれたというかけがえのないこと。

泣くときも悔しいときも誰かが居てくれて、自分の感情を認識できるということ。


だけど他の誰かで埋め合わせをしたところで、確かに築いた時間だけは変わりになるものがない。なかった…。




読者の方にお伝えしたい。


もし康史と似たような人影を見たら声を掛けてほしい。「成谷は元気でやっている」と。

そして康史の心に余裕があったら伝言してほしい。

「康史が感想をひとりで読んでいる姿が、なによりも幸せだった」と。


だけど同時に言わなくちゃいけないことがある。

それは彼の顔を良く覚えていないということ。


あいつは俺よりかなり小さくて、学生時代の頃は小学生くらいの大きさであだ名になっていたほど。なので165ぐらいの大きさ。

見た目は肩が大きい方で小さい割には骨格がしっかりしていて目立つといえば目立つ人物。

年齢までいうと詐欺に回されそうだから秘密だけど、社内人だ。


……ダメだ。ここまでしか思い出せない。

あいつは律儀だからマスク越しの3年生活だったし、目に関しては前髪を隠していて特徴を伝えられない。もしかしたら短髪になったかもしれないし、気分を変えてパーマをかけたかもしれない。


だけど読者の方ならきっとわかるはず。

なんなら見守るだけでもいい。

あいつが、康史が元気ならそれでいい。




こんな俺に付き合ってくれてありがとな。


読者の方も。







じゃ、

成谷。

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