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2023  作者: 奥野鷹弘
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フィルター

前髪で隠した眼差しをみてる

「今日は寒いね」風邪ひいた彼をみたら

私がどこにいるかわからなかった


ねぇあなたに私はいるの?


いつもの席なのに氷が溶けているわ

あなたの席なのにフィルターが掛かっているわ

あなたの影に私は居たけれども


今日の帰りは宇宙が広がる

「満月だったね」呟いてる彼をみたら

私はなにを想ったか涙がこぼれた


ねぇあなたに私はいるの?


いつもの道なのに夜が更けているわ

あなたの家なのにフィルターが掛かっているわ

あなたの傍で私はいるのだけども


私が映るその瞳に私は生きてきた

あなたが作るその目尻に私は安心した

いま別の人のことで夢中なのね


いつもの席なのに氷が溶けているわ

あなたの席なのにフィルターが掛かっているわ

あなたの影に私は居たけれども


いつもの道なのに夜が更けているわ

あなたの家なのにフィルターが掛かっているわ

あなたの傍に私はいるのだけども


あなたの傍にはあなたがいるのね。

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