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第一話 私
1話
いつも、誰とも話したくなかった。
教室の外を眺め、毎日、通う意味を考えながら
なんとかの定理だとか、なんとかの法則だ。
いつ使うかもわからない、そんな、授業を聞き流していた。
誰とも話したくなかったけど、学校に拘束されていることは
嫌いではなかった。
最近の流行ダンス、そんな刹那な、流行に乗ろうと
動画を取ってるやつの、失敗してるところとか、
好きなこととか、最近のニュースとか
その話の中の矛盾とか、世の中に溢れた間違いを
心で笑うのが、好きだった。
友達は、必要なかった。
誰も必要としていなかったし、その均衡のなかで
平衡が保たれていたし、グループを作るときは
偽善者みたいな、そんな偽善の塊のグループにいれてもらえば
その場は、なんなくしのげた。
優しさを振りまく人は、可哀相だとか、そんな目線を送っていたのかもしれないが、気を使いまくっていたのは
そっちの方で、私自身は何も感じてなかった。
もしかしたら、その空間の人間とは全く違う知性の中で
この世界を、楽しんでいたのかもしれない。