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とある高〇生の青春ハレルヤ  作者: 深夜テンション
3/3

友達作り

衝撃の入学式が終わり、教室に戻ると黒板にはでかでかと「終わり! 解散!」との文字。

山田。マジで俺らお前のこと何も知らないんだけど。それでいいのか担任。


まぁいい。

俺は青春を謳歌したいのだから、無駄に拘束される時間がないというのは良いことだ。

さて、青春に必要なものといえば…、やはりまずは友人だろう。

最終的な目標は彼女を作りウハウハすることではあるが、学校内で彼女を作るのは物理的に無理そうと分かった時点で友人からの紹介や、合コンなどのつながりが最重要になる。

よって、いまこの場で俺がするべきことは周りと会話し、友人を作ることだ。


周りを見ると、黒板の字にざわつきながらも各々自分の席で帰る準備をしたり、隣の席のやつと歓談したり、ガンプラに塗装をしたり、アニメのキャラクターが裸の運動会をする薄い雑誌を広げたりしている。

……後半2つはさすがにおかしくない?

学校にガンプラ持ち込むどころか、塗料持ち出して塗ってるんだけど。

周りみんな初対面のはずなのにエロ本広げてるんだけど。


あそこの人たちとはちょっと関わらないようにしよう……。


とすると、まずは隣の席の彼だろう。

スポーツをやっているのだろうか、健康的に焼けた肌に大柄な体、さらに髪を短く切り揃えている。

しかし、その印象とは裏腹にニコニコと楽しそうに何か本を読んでいる。

失礼かもしれないが、意外なギャップを持っている彼だ。

まぁ、こんなことで今更意外だなんてことは思わないわけだが、文学的な一面もある彼に興味が沸く。

スポーツと彼女は切っても切れない関係にあるし、女の子の知り合いも多そうだ。


「さっきの入学式すごかったね、俺は岡崎 亮。これから隣の席になることだし、よろしくね。ところでなんの本を読んでるの?」


差し当たりのない会話。会話のジャブとしては最尤であろう。

相手が答える間に、会話を続けるためにも次の話題に思考をめぐらす。


「よろしくにゃん。僕は菊池 俊平これはアイドルスターっていうライトノベルにゃん」


思考が飛んだ。

え。これは今何と言った? 語尾に「にゃん」?

聞き間違いだろうか。


「そ、そうなんだ。俺ライトノベル? ってあまり読んだことないんだけど、アイドルスターっていうのは面白いの?」

「おもしろいにゃん! かわいい女の子たちが弱小プロジェクトで必死に頑張るサクセスストーリにゃ! しかも、この本は」


なにか琴線に触れたのか、堰を切ったように話し始める。

全く理解ができない内容に置いてけぼりになった感覚に陥る。


しかし、ようし。考える時間ができたようだぞ。

もう一度隣の彼、菊池くんについてよく考えよう。


スポーツをやっているのだろうか、健康的に焼けた肌に大柄な体、さらに髪を短く切り揃えている。

しかし、その印象とは裏腹にニコニコと楽しそうにライトノベルについて語っている。

失礼かもしれないが、意外なギャップを持っている彼だ。

さらに、意外なギャップを持つ彼。なんと語尾に「にゃん」と付けるのだ!

スポーツマンぽい彼のこのギャップ!!

こんなギャップに女の子はメロメロ! これは紹介や合コンも期待できるな!


……いや、期待できるかぁ!!

リアルで大柄な男がにゃんにゃん言うなんて普通ありえないだろ。

高校デビューか? 本当に意味が分からない。というか、怖い。

人間本当に未知数なものに直面したとき、思考を放棄してただただ恐怖するとかなんかで聞いたことあるけど本当にそうらしい。

一刻も早く会話を終わらせてこの場から逃げ去りたい。


「で、このキャラがだんだん成長をする過程でね、あっここからネタバレにゃんだけど、この同じグループの女の子たちがにゃんと」

「ちょ、ちょ、ちょっと待って! 俺も読んでみたいからネタバレはやめてほしいな! ありがとう! 話面白かった!」


無理矢理に話を終わらせて席を立つ。

ちょっと強引で感じが悪かっただろうか。菊池くんに悪いことをしてしまったかもしれない。

話のきっかけは俺だけど、聞いたこと以上の内容を延々と話し続けられネタバレも躊躇なく話してくるのはやめてほしい。


ちらと菊池くんを見ると、何も気にせずまたニコニコ顔で本を読んでいる。


いや大丈夫だ、あれ。

自分のこと話せて満足している顔だ。

申し訳ないけど、ほどほどの関わりにしよう…。


こうなったらすでに歓談しているグループに混ぜてもらえば…!


「あのAV女優がさ~」

「わかる、でもあのアニメキャラは~」

「でも最近の論文によると~」


っと、危ない。あれは混ざってはいけない。

会話が高レベルすぎる。

あれは歓談しているように見せかけて、各々が話したいことを話すだけの場所だ。

なんで会話が成り立っている風で話しているんだ。

高レベルすぎる。いろんな意味で。


帰るか……。


自席に戻ると、菊池くんがチラ、チラとこちらを見てくるが断じて目を合わせないぞ。

お前は恐怖の対象だ。まだ関わるときではない。ステイッ。


席を立って教室を後にしようとしたときにふと思い出す。

そういえば、うちのクラスには女子がいるんだっけ。

どんな人だろ…う。


髪の長さは肩にかかるくらいだろうか。目にかかるあたりでばっさりと切りそろえられた重そうな前髪。手首になぜかまかれている白い包帯。

そして、新しく買ったであろう制服がゴスゴスロリロリの改造が施されている。

もう別に驚きはしない。

ただ、なんか、よく漫画で見る地雷系という感じがよく似合いそうな子だ。

よく見ると何かを一心不乱に書いている。


目を凝らすと、それは絵だった。

きれいな絵だ。

山田先生と浅田会長にそっくりな男性2人が裸で夜の運動をしているようだ。

将来は漫画家さんかな。有望な人材だ。

なによりこの場で描けるそのメンタル。非常に素晴らしい。評価します。



……もうやだこの学校。

女の子もちょっとどこか変わってるのかよ。高専という学校に救いなんてものはないのかよ。

……はぁ、もう寮に帰って荷物を片付けよう。俺の青春ってどこへ行ったんだろう。



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