ホットドリンク
高校からの帰り道、人通りの少ない道に自動販売機がある。
自転車のブレーキを鳴らしながら傍に停め、商品を眺める。
コーラにサイダー、コーヒーと人気の商品が立ち並ぶ。
しかし、私の目当ては下の段の端っこに並べられているホットドリンクである。
全身を冷やす空気の中でホットドリンクを口にする。
冷えた身体を暖かな液体が駆け抜ける。
冷ややかな空気の中、私だけが熱を帯びているような感覚に陥る。
冷え性の私は冬が苦手だが、ホットドリンクを飲む瞬間はとても好きだ。
もうすぐ春が来る。
冬は好きになれないが、この瞬間を味わえるのならもう1年我慢してみる気になれる。