My throne
私は、王。
この国の、王。
あなたたちの、王。
あなたたちの…
「おはようございます、王女様」
一日の始まりを告げるメイドの声。
温かいタオルで顔を拭いたら、パジャマを脱がせられ、お昼用の服に着替えさせられる。いつもより少しだけ大人みたいな服。
髪型も朝からきっちりと整えられる。
そう、きょうは月曜日なのね。
いつもはお部屋で朝ごはんを食べるのに、わざわざ別の部屋に行って食べなきゃいけない日。
お母さまと、叔父様と一緒のお部屋ご飯を食べる日。
それだけのために、きっちりしなくちゃならない。
自分の部屋からわざわざこの長い廊下を歩いて移動しなきゃいけないなんて。
「おはよう、ティナ」
「おはようございます、叔父様」
お部屋につくとちょうど叔父様が部屋に入る直前だった。
「どうぞ、お姫様。」
朝から笑顔な叔父様に、先にお部屋にいれてもらうと、中央の席にはもうお母さまが座っていた。
お母さまはいつみても堂々としている。
それがすこし、息苦しい。
「おはよう二人とも。ところでティナ、ジェームズにお礼は言った?」
「まだ、です。」
「礼儀と無礼を返すのに、時間を空けてはいけませんよ。」
「すみません…。」
「まあまあ姉さん。ティナはまだ5歳なのだから。」
お母さまは厳しいから苦手。
お母さまは少し怖いから、お母さまといると、どうしていいかわからなくなる。
「さ、ティア。席につこう。」
叔父様は優しい。
いつもお母さまに話しかけられて、なんて返していいかわからない時に助けてくれる。
うなずいて、自分の椅子に座ると、私たちが入ってきたドアとは反対方の扉から料理やお皿を運んだ召使いたちがたくさんやってきた。
彼らが別の机で料理をよそい、私たちのいる机に並べていく。
並べ終わったら、その中で一番偉そうな男の人がお料理の説明をする。お料理の説明なんかされなくても、目の前の料理がどんなものかは見たらわかるのに。
焼いたお肉やポテト、卵なんかが色々敷き詰められたものと、スープ。
お母さまが「おいしそうな朝食をありがとう。」といって料理人たちを下がらせたけど、改めて料理を見てみたら全然おいしそうじゃない。
色々しき詰まっている方はおいしそうだけど、スープの見た目がなんだかとても、いや。
白いスープに豆のような何かがいっぱいある。
これはなんどろう。やっぱり説明ちゃんと聞いておけばよかった…。
「では、冷めないうちに食べましょう」