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前編

タイトル詐欺で。


シリアスくないです、ギャグにしたかったです。


ボーイズラブも実は好きなので、久しぶりに書きたくなって、ざまぁ要素も足して書いてて、迷走しました。


少しだけ公開して、消すかも知りません。


あと、R指定で引っかかって消される可能性も……。


とりあえず、私は主人公が愛されてる作品が好きです←

「ごめんなさい……あたし、真の愛に気付いてしまったの!」




 俺の前で、そう一方的にまくし立てて、泣きながら弱々しく崩れ落ちるのは、金色の髪をした美少女だ。

 

 数日前、俺が戦闘へ出る時には、



「死なないで……っ、必ず勝って帰って来て……」



 そう泣きそうな顔で見送ってくれた、俺の恋人だった筈の美少女だ。



「はぁ」



 思わず間の抜けた声が出た俺は悪くないよな?

 どうでもいい話になるが、俺は前世の記憶っぽいものがあった。

 この世界は魔法やモンスターが存在する、いわゆる『ファンタジー』ってやつだと、ふとした瞬間に思って──。

 あれ? っとなったのが、前世を思い出したきっかけだ。

 一度思い出してしまえば、芋づる式に色々思い出し、色々納得した。

 どうりで幼い頃から、妙な既視感とか、妙な知識とかあった訳だ。

 この世界は、前世の記憶でいう『ファンタジー』なだけではなく、その前世でやっていたタクティカルなRPGの世界に似ていたから。

 その知識があったおかげで、俺は大切な仲間を得れて、仲間たちとここまで来れた。

 気付いた時には、お頭的な立ち位置に担ぎ上げられてたのだけは、今でも抗議したいが。

 で、今の俺達が世間的には何かというと、どっかの国の騎士団とかではなく、傭兵団みたいなもんだ。

 今回は縁あって、目の前で泣きながら弱々しく崩れ落ち、メイドに介抱されながらこちらをチラチラ見てる美少女を助ける事になった。

 この美少女は、今にも滅びそうなこの国のお姫様で、お城の奥に引っ込んで震えてたりせず、前線近くで兵や騎士を鼓舞するような勝ち気な美少女で。

 まぁ、ラノベ的にはテンプレ乙とか言われそうだが、俺と彼女は恋仲になって、かなり濃厚な恋仲だったと思ってたんだが……。

 もう普通にいたしてたし。



「だーんちょ、いいでしょ?」



 俺が少しだけ複雑──ちなみにほぼ最終決戦だよな? って戦闘から帰って来たとこだ──な気分で元カノとなったらしいお姫様を見つめていると、背後から音符が付いてそうな楽しそうな声が聞こえてくる。

 振り返るまでも無く相手を悟り、俺はゆるく、しかしハッキリと首を横に振る。

「駄目だ」

 かなり不服そうな気配と共に、背後からのしかかるように抱きついてくる長身の男。鼻から上を覆うような仮面を着けて、顔を隠している。

「──依頼料がもらえなくなるだろ」

 そう言いながら、肩あたりに埋まっている頭を撫でてやると、嬉しそうにぐふぐふ笑っている。

「うん、そーだね〜」

 薄情と言われようが、俺がもうお姫様に未練も何もない事を、傷ついたりしてないと言外に示したから、彼は満足してくれたらしい。

「ねぇ、あとでコッソリ殺してイイ?」

 あー、駄目だった。

「あとでだろうが、コッソリだろうが、止めてくれ。頼むから」

 耳元で囁かれた台詞に小声で返すと、不満そうに耳を甘噛みされた。

 ひとまずそれで満足したのか、彼はおとなしく俺の隣に笑顔で控える。



「別に謝罪はいらない。依頼料さえ、きちんと払ってくれれば──「はっ! 金か、本当に薄汚い奴らだ。姫様、私の言った通りでしょう? こいつはしょせんただの傭兵。あなた様のような高貴な方には相応しくないのです!」──はぁ、金は払ってくれるんだろうな?」



 せっかくおとなしくさせた彼がノーモーションで飛びかかりそうなのを、手を握って捕まえながら、俺はお姫様の背後から現れた偉そうな騎士を見やってダルく言い放つ。

 最終決戦的な戦いの後だというのに、傷一つなく、返り血一つなく、ホコリすら被ってないキラキラな鎧をまとった騎士を見つめ。

 というか、何かお姫様と二人揃って、石鹸の匂いがしてくるんだが、ナニしてたんだろうねぇ。

 こっちは命がけで城を守り、お話し合いまでして、敵を追い払ったんだけどなぁ。

 少しだけ恨めしくなり、お姫様をジトッと見つめると、何か勘違いされたのか、お姫様の頬が染まり、モジモジされる。

「ごめんなさい、あたしには、もう……」

 その反応を見た騎士が、キッと俺を睨みつける。

「汚らわしい目で姫様を見るな! いくら姫様が美しく魅力的だろうが、貴様には触れることすら許されない相手なのだからな!」



「あー、確かに可愛らしいとは思ってたが、俺が好ましく思ってたのは、共に戦おうとし、俺達を見下さなかったからだからな? ──それに、美しく魅力的な相手なら、間に合ってるし?」



 そんな女に飢えた山賊みたいな言い方されると、さすがにムカつく。

 俺の大切な仲間を馬鹿にされたみたいで。

 せっかくだから、俺にとって本当に美しく魅力的なものを、目の前で真実の愛を語り合ってるお二人に少しだけ見せてやるか。



「え?」



 きょとんするお姫様をスルーし、俺は手で合図を送る。

 まずはずっと隣に控えていた彼が、仮面を外す。

 その瞬間お姫様の頬が、さらにポッと赤くなり、まぁ、と小さく洩らして、瞳が明らかに潤む。俗に言う恋する瞳って感じ。

 そうだろ、そうだろ。

 俺にべったり張りつくこいつは、レベルが違う美形だからな。張り合おうと思う気すら起きない。

 悔しそうな騎士には、こちらかなと軽く背後へ流し目を送ると、



「だんちょー、早く帰ろうよ〜」



「団長様、皆、お帰りをお待ちしてますわ」



「団長の魅力は、あたし達だけがわかればいいんだよ」



 出番と察してくれた三人が姿を現す。


 現れたのは雰囲気や体型もそれぞれ個性的だが、いずれ劣らぬ美女と美少女だ。


 常に着けさせている仮面はすでに外されて、三人揃っていつもながら見惚れてしまう可愛らしく美しい顔を晒している。



「な……っ!」



 好みがいたのか、それとも全員に欲情したのか騎士の表情にギラギラした色が滲む。

 恋する瞳をしていたお姫様は、それに気付いたのか、不安そうに騎士の腕を掴むが、騎士の目は俺の大切な仲間から離れない。



「だんちょー」

「団長様」

「団長」



 さりがなくベリッと剥がされたイケメンが、拗ねた顔をしているが、そんな事を気にしない三人は、三方向から俺にしなだれかかる……一人は若干落としに来てるんじゃないかと疑わしいが、とりあえず隙間なく絡みつかれてる。

 鍛えていても柔らかさの残る女体と、もともとあまり鍛えられてない柔らかい女体で、なかなかふにふにと幸せな感覚だが……。

「俺臭いだろ。あまりくっつかないでくれ」

 返り血と汗で、かなり臭い自信がある。

「ぜーんぜん」

「臭くなんてありませんわ」

「団長の匂いで、興奮して来た」

 一人だけ不穏な──、

「匂いだけでイケそう……」

 二人ほど不穏な発言をしているが、そこまで臭くは無いようで何よりだ。

 お礼に一人を軽く抱き寄せると、私も私もとさらに絡みつかれる。

 今襲われたら動けないぞ、俺。

「ふ、不潔ですわ!」

 イチャイチャとしか言い様のない俺達の様子に、お姫様がこちらを睨みつけて叫んでるが気にしない。

「俺、お姫様とコイビトしてた間は、女の子とは、きちんと距離をとってたぜ?」

 男の方は、カウント外だろうし、わざわざ伝えないが。相手をしないと、お姫様を殺しかねないヤツが何人かいるし。

「今はフリーなんだから、別にいいだろ?」

 肩をすくめて、ついでに股間へ触ってこようとする手を軽く諌めながら、俺はくくく、と喉奥で笑う。

 あー、悪人っぽいなぁ、俺。

 騎士が射殺しそうな目で睨んでくる、睨んでくる。

 前世のチャットとかなら、wを撒き散らしたいとこだな。

 嫉妬の眼差しっぽいけど、お姫様が俺を気にしてるから? それとも、うちの可愛子ちゃんのせいか?

 あんまり煽らない方がいいかな、とは思いながらも、切り上げるタイミングが掴めずいると、カオスな部屋へ入ってくる勇者が現れる。

「失礼いたします。傭兵団の皆様への支払いの用意が出来ました」

 室内の空気を気にせず、クールな表情を崩さないで入って来たのは、確かこの国の騎士団の副団長。

「……どちらへお運びしますか?」

 少しだけ困った顔をしたのが、兵士達を率いていた──兵士長? とかでいいのか、肩書──その兵士長。

 二人とも平民出らしく、今俺を睨んでる騎士……一応、こいつ騎士団長だから、こいつに平民出を理由に罵倒されてる姿を何度か見た。

「あぁ、ありがとう。……おい、運んでくれ」

 運ばれてきたのは、そこそこ重そうな木箱が二つ。大きさは大人がやっと抱えられるぐらいだ。

 俺の呼びかけに、あいよ! と声が聞こえて、部屋のバルコニーの外から人影が飛び込んでくる。

 小柄で身軽そうな人影の正体は、くりくりとした目の茶色の髪をした美少年で。

 その美少年は、驚いている俺達以外を気にせず、重そうな木箱を軽々と抱えて、再びバルコニーから消える。

「嘘だ……ここは、何階だと……」

 色気に溺れていた騎士団長どのが、やっと正気づいたの、そんな事を呆然と呟いて、固まってる。

 こんなに動揺しやすくて大丈夫かね?

「中身を確認しなくて良かったのですか?」

 クールな表情の副団長が、少しだけ困惑した様子で話しかけて来たので、ニッと笑っておく。

「あなた方は信用に値する人間だからな」

 副団長の後ろで、兵士長も同じような顔してたし、二人へ向けて。

 そうだ、ついでだし。

「『話し合い』で、しばらくこの国は平和になると思うが、あなた方はこの国には相応しくないと思う」

 わざと少し間違えて言うと、副団長と兵士長は少しだけ悲しそうな顔をし、騎士団長の顔は愉悦に歪むのが見える。



 性格悪いよなぁ、俺もあんたも。



「おっとすまない。堅苦しい言葉は慣れないから間違えた。


──この国には、あなた方は勿体無い。この国は、あなた方には相応しくない。良かったら、俺達と一緒に来ないか? 傭兵が嫌だというなら、あなた方を正当に評価してくれる国を紹介しよう」

 わざとらしく言い直すと、愉悦に歪んでいた騎士団長の顔が、怒りで赤黒く染まっていく。

「なっ!」

「確かに、我が国の財政は厳しく、今は彼らに十分なお給料を払えてはいませんが、これからそれは改善できるはずですわ……」

 苛ついてる騎士団長の隣で、お姫様は目を伏せて悲しげな表情で弱々しく反論をしてる。

 でも残念お姫様。論点はそこじゃない。

「俺が与えたいのは金じゃない。あなた方の忠義に値する、国と主人だ。良かったら、考えてみてくれ」

 絶対勿体無いって、この二人、この国には。優秀だし、部下から慕われているのに、貴族からは疎まれている。

 王はすでに亡くなり、この二人が恩を感じていた相手も亡くなっているのは調査済だ。

 実際、俺の勧誘に僅かだが二人とも動揺が隠せていない。

「事後処理もあるし、俺達はあと数日この国へ滞在させてもらう予定だから、すぐに決めろとは言わない。あ、質問とかあったら、気軽に聞いてくれよ?」

 重くなった空気を無視して悪戯っぽく付け足した俺は、まとわりついている三人を引き連れてお姫様の部屋を後にする。

 その背後で、仮面を外したままの彼が、恋する瞳なお姫様へチラリと流し目をしたのが見える。

 あいつ、何してるんだか。勘違いされるぞ?

 他人事ながら、そんな事を思って歩いていたら、俺はいつの間にか三人とお風呂へ入る事になっていた。

 隅々まで洗ってもらったからには、隅々まで洗い返しておいたとだけ言っておこう。

 詳細は秘密だ。

 で、間に色々あったが数日経ち、俺達は滅びそうな国から、滅びのカウントダウンしてそうな国へとシフトチェンジした国から旅立つ事にした。

 勧誘はどうなったかって?

「ははは……増え過ぎだろ」

 結局、騎士団は副団長筆頭に、平民出身の騎士が十人。

 兵士の方は、兵士長筆頭に、俺達と一緒に前線で戦っていた兵士のほとんど。

 総勢百人ぐらい増えたんですけど?

 一般兵と九人の騎士は、少し迷っていたようだが、それぞれの上司に睨まれて新たな仕える先を紹介するので落ち着いたので、大所帯なのはしばらくで済みそうだ。

 で、残る二人は元副団長と元兵士長。



「私は、あなたに仕えたい」



「俺もです! 部下には、やっと諦めさせたんです!」



 また有能な仲間が増えたようで、何よりだ。

 この有能な二人と、勇敢な騎士と兵士がゴッソリ抜けたあの国、この先どうなるんだろうなぁ。



「知ったこっちゃないけど」



「俺のだんちょーなのに〜」



 拗ねると大変なこいつの相手をするのと新しい仲間のことで、俺はとりあえず手一杯なんで。


 一ヶ月後──。

 流れの傭兵の力を借りて持ち直した筈の何処かの国が、やっぱり滅びたらしい。そんな噂を酒場で聞いた。

サクッと始まり、サクッと終わりました。



もっと、ざまぁしたかったのですが、尻切れトンボな理由は後編見てもらうとわかります。


後編の方がボーイズラブ感強め、肌色多めなので苦手な方はご注意を。

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