鏡よ鏡、119
ひとみはシャツをたくし上げてはりつめた腹を露出させた。
「さわってみて」
誠は右手を弧がまだ緩い曲線に沿わせた。
「冷たい手してんのね」 「あったかい腹してんな」
「男はね、女の身体の外だろうが中だろうが射精すんのに差はないよね。女はこうやってお腹が出てくんの。このプレミア感を経験したくてさ。」
「ほう。そういうもんか」
「産んだらまた普通の女に戻るわけだから、妊娠している間だけでも、私に優しくしなさいよ。あんたの子じゃなくてもね」
「おれは優しいだろ。優しいほうだろ」
「じゃあもっと優しくして。産んだらわがままは控えめにするからさ」
「うん。いいよ」
「…じゃあ脱がせて…」




