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紫族の魔女と近衛兵  作者: 染葉 楓
1/1

1. 出会いは割と最悪

しゃべり方が特殊な主人公なので、読みにくかったらすみません。

ドタバタと廊下を走る大男達は「医務室」と書かれた部屋へ向かった。

その部屋のドアを乱暴に開け1人が叫んだ。

「失礼する!隊長が蜂に刺されて倒れた!」

医務室には白衣を着た女性が1人だけ居る。

その女性の正体を見た筋肉ムキムキの大男共(以下、ムキムキ共と略)は一瞬苦い顔をした。

白衣の女性、センリはその様子を見て短く息を吐いた。

「悪いが今は我しかいない。患者をこのベッドまで運んでくれ。」



隊長と呼ばれてた男は腕を抑えながらすごい冷や汗をかいている。刺されたと思われる腕のところが大きく膨れ、全身赤くなっており顔色も悪かった。

ムキムキ共はその男を医務室のベッドに寝かした。

「まず状況を教えてくれ。」

センリは道具を準備しながら質問した。

「外で訓練してたんだ。そうしたらかなり大きい蜂がいきなり来て・・・新人の方に突進してきて、隊長は動けなかったそいつのことをかばったら刺されちまった。そして隊長が倒れたんだ・・・なぁ、こんな具合悪そうな隊長初めてみたんだ。助かるよな?」

ムキムキの1人が不安そうにセンリに聞いた。

「他に刺されたやつはおらんな?」

「あぁ、隊長を刺した後はそのままどっかに行っちまった。」

「よし、じゃあこやつの治療で済むのじゃな。」

センリは聴診器で音を聞いたり、脈を測った。

「うーむ、かなり危険な状態だがお主は運が良かったな。今日は特効薬を作っておいたんじゃ。」

そういったセンリは小瓶の液体を出した。

ムキムキ共も少しホッとしたような顔をした。

「それじゃあこの薬を入れる準備をするからちょっと待っ・・・」

「・・・の・・・っは、いら・・・ない・・・っ」

センリが薬の準備をしようとすると今にも瀕死しそうな声で隊長とやらが何かしゃべった。

「うん?何か我に言ったか?」

センリは近くに行って声を拾った。


「・・・魔女のっ、施しは、いらない・・・!治療を、されるくらいなら、このまま死んだ方が、マシだ・・・!」


ヒュォォォォー・・・

医務室の空気の温度が10℃くらい下がった。

おかげでムキムキ共の汗はスッと乾いた(気がした)。

「・・・ハハハ、お主はどうやら本当に命知らずというやつじゃな」

声には全く感情がなく、じわじわと怒りがムキムキ共には伝わったのか、この空気が寒すぎるのか震えているムキムキもいた。

「・・・えっ?」

問題発言を言った本人もさすがに何かを本能的に感じたらしくさっきの威勢が減少した。

「・・・笑わせてくれるじゃないか。医者として誇りを持っている我に対してそのような発言が出来るとはな。隊長騎士様にはよっぽどの度胸をお持ちとみた。

・・・ふざけるな!覚えておけ、自分の命を粗末にするようなやつに王も国も、ましてや人1人守る資格なんてないと思え!

我を魔女と罵るのは構わないが、簡単に命を捨てるような発言は2度とするでない!」

かなりの大声でセンリは子供を叱るように、隊長という大の大人で大男を叱った。

その様子に隊長はポカーンとした顔をし、ムキムキ共は全員震えていた。

「そこの筋肉共!」

「「「「・・・うっ、は、はいっ!」」」」

ムキムキ共は整列の時のように背筋をピッと伸ばした。

「今からそのバカに注射をするから暴れないように抑えておけ!」

「「「「ら、ラジャー!!」」」」

「お、おいお前ら!?」

たじろぐ隊長を無視し、4人のムキムキに隊長は全身を押さえられた。

「ククク、残念だったなぁ・・・お主の要望には答えることが出来ぬ。」

悪者のような顔で注射を片手にセンリがじわじわ隊長に近づく。

「ちゅ、注射!・・・ヒッ!やめろ!」

「我は決めたことがある。今日はお主の言うことは絶対に聞かぬ。諦めろ。」

どこにそんな元気があるのかジタバタと動く隊長に冷たくセンリは言い放った。

そして、ズズッっと予告なく腕に注射を刺した。

「うっ!・・・いった・・・!!」

そう言った隊長は目をぎゅっとつむり静かになった。



その後特効薬が効いてきたのか、隊長の症状は改善し(色々な)疲れで眠ってしまった。

「だいぶ脈や呼吸も安定してきたから、もう安心しろ。手伝ってくれてありがとうな。そろそろ戻っても良いぞ?」

「いえっ!こちらこそありがとうございました!」

「これからは何か手伝えることがあれば言って下さい!姐さん!」

ムキムキ共が上司の対応と同じようにセンリと接するようになった。

最初の苦い顔で見てきた初対面からの急展開に今度はセンリが苦笑いになった。

「なんだその呼び方は。・・・まぁなんでも良いが、また明日様子見に顔でも出しとくれ。きっとあやつも喜ぶ。」

「「「「ラジャー!!」」」」

ピシッと敬礼を決め、ムキムキ共は戻って行った。

ふぅっと息を吐き、寝ている患者の顔を見てセンリは一言、

「さすがに、やり過ぎたな・・・」

ボソリと言い仕事に戻ることにした。

蜂に刺された時の治療はきっとこんな簡単ではありませんが、ファンタジーでフィクションなので許して下さい。

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