表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

 金曜日、午後に一つだけある授業を終えるとすぐに、シェイナたちは用意していた荷物を持って寮を出た。バスと電車を乗り継ぎ、およそ一時間半。慣れた経路ではあるが、いつもとは違う大人数に新鮮な気持ちを味わいつつ、シェリンガム邸の最寄駅に到着した。


「シェイナ」


 改札を出ると、馴染のある低い声で名前を呼ばれる。声の方を向くと、やはりロイドが立っていた。その隣には、母のオリビアが並んでいる。


「よく来たわね。疲れたでしょう」


「お待ちしておりました」


 駆け寄って二人と軽くハグをした後、ロイドがすぐにシェイナの手荷物を取り上げてしまう。いつものことなのだが、今日はキールたちもいるため車までは自分で持つと主張したけれど、あっさりと断られてしまった。最初のうちはシェイナを甘やかすなと小言を漏らしていた母も、最近では諦めてしまったのか、呆れたような目を彼に向けるだけだ。


「ロイド、シェイナの荷物を持つなら、女の子たちみんなの荷物を持ちなさいよ」


「……承知しました」


 表情を変えないまま、ロイドはルースとマリアの荷物も預かる。マリアは遠慮していたが、ルースに促されて鞄を差し出した。その様子を、キールとウィリアムが呆然と見つめる。


「驚かせてごめんなさいね。いつものことだから気にしないで。はじめまして、私はシェイナたちの母親でオリビア・グレイス、こっちは私たちの友人でロイド・バリー。会えて嬉しいわ、よろしくね」


 差し出された手を緊張した面持ちで握り返し、キールたちがそれぞれに挨拶をする。その様子を見ているのが、なんだかくすぐったかった。


「デイルの家までは車で十五分程度かかるの。三人は私の車に、残りはロイドのワゴンに乗って」


 ロイドに荷物を預けた女子三人は、そのまま彼のワゴンに乗ることになり、そこにキールとウィリアムも加わった。駐車場で母と兄たち、エリックと別れ、車に乗り込む。シェイナは助手席に、二列目にルースとマリア、三列目にキールとウィリアムがそれぞれおさまった。助手席側のドリンクホルダーには、シェイナがシェリンガム邸に滞在するときに使っているタンブラーが置かれており、そこにはアイスティーがたっぷりと入っていた。一口飲んでみると、ほのかにオレンジの味がして、さっぱりとした甘さが心地良い。


「ありがとうございます。これもすごく美味しい」


「気に入っていただけたようで良かったです」


 シートベルトを締め、少し嬉しそうにしながらロイドは車を発進させる。シェイナを迎えに来るときにいつも用意されているタンブラーは、その日によって中身が違う。その日の天気や、シェイナの好みを考えてロイドが決めてくれているのだが、不思議なことにいつもシェイナの気分と一致するのだ。


「夕食の時間には、ジョージもこちらに着くそうですよ」


「え? お父さん来られるんですか?」


 昨日メールしたときには、用事があるので夜遅くか翌朝になりそうだと言っていたはずだ。


「『用事』の内容が、スタンリー夫妻との食事会というのがオリビアにばれて、キャンセルさせられたんです」


「「……え?」」


 シェイナと、後部座席にいたルースの声が重なる。


「おじさん、うちの親と食事会なんていつでもできるじゃない。何でそっちを優先させようとしたわけ?」


「娘の恋人に会う前に、心の準備をしたかったのでしょう」


 聞けば最近、ルースの父アルバートとはよく、娘の成長という悲劇について相談し合っているらしい。


「おじさんのそういうところって、本当にそのままエドとショーンに引き継がれているわよね」


「私に言わせれば、アルバートも良い勝負ですよ」


 その意見に、シェイナも頷く。ルースが相手にしていないだけで、アルバートはかなりの子煩悩だ。ルースにエリック以外の男の子との噂が立つと、よくシェイナの家に来て父と酒を飲んでいたくらいなのだから。


 しばらく車を走らせると、背の高いフェンスに囲まれた土地が続く。このフェンスの向こうがシェリンガム邸だと教えると、キールたちが感嘆の声を上げた。


 ロイドの車を認識した重厚な門が開く。シェイナたちが滞在する本館までは、更に数分車を走らせる必要があった。しかし、門をくぐればやはり気が休まる。この敷地に入ってしまえば、シェイナはもうルナシーであることを隠す必要はないのだから。ただの自分でいられる。


 玄関前に車が横付けされると、それぞれ車から降りる。


「驚いた?」


 呆気にとられたように屋敷を見上げるキールに声をかけると、彼は照れ臭そうに笑う。


「あぁ、ここまでとは思ってなかったよ」


 学校と同じくらいの広さではないのかと、マリアとウィリアムも驚いた様子だ。



「部屋に案内するわ。荷物を置いたらお茶にしよう。お母さんがたくさんお菓子を用意してくれているんだって」


 そう言えば、隣で聞いていたウィリアムが嬉しそうに小さくガッツポーズをする。余程前回のお菓子を気に入ったらしい。


 シェイナの分の荷物はロイドが部屋に運んでおいてくれるので、タンブラーだけを持って屋敷の中へと彼らを案内する。客人の部屋は離れに用意されることが多いのだが、今回は本館に用意されていた。本館は長方形をくり抜いたような形になっており、来客用の部屋やデイルの仕事場は正面玄関側に位置している。中庭を挟んで反対側はプライベート用で、メインの食堂やデイルの私室があり、三階の南側はシェイナたちグレイス一家のために常に整えられていた。北側にはロイドの居住スペースの他、滅多にないがルースやエリックのように親しい友人が宿泊するときに使用されるゲストルームがある。しかし、最初からこのフロアに通されるのはキールたちが初めてだった。


「男の子たちの部屋は此処。バスルームは一つだけど、寝室は二名用が二つあるから、割り当ては相談して決めて」


 この部屋は普段、エリックとルースが宿泊する際に使用しており、寝るだけならばルースとマリアも一緒に使える広さはあるのだが、バスルームが足りないということで男女別の部屋を用意している。


「マリアとルースはこの隣の部屋ね。片づけが終わったら、南側まで来て」


 グレイス家のスペースへと繋がる扉には、限られた者しか開けられないように鍵が掛かっている。そのためルースとエリックに彼らを連れてくるように頼んでから、みんなと別れてシェイナは自室へと向かった。


 シェイナの部屋は、三階南側の一番端にある最も広い部屋だ。専用のバスルームだけでなく、簡易キッチンまで備えられており、冷蔵庫にはいつもロイドが飲み物や軽い食べ物を用意してくれている。この部屋を使うのは長期休暇か、今回のように週末と満月の日が重なったときくらいなのだが、常にロイドが綺麗に保ってくれているのだ。


 部屋に入ると、シェイナが鞄に入れていた服をロイドがハンガーに掛けてクローゼットに仕舞っているところだった。


「シェイナ、片付けならもう終わるところですよ」


 わざわざ部屋に寄らずとも、そのままリビングルームに向かえば良かったのに、とロイドに言われる。


「ちょっと、聞きたいことがって」


「何ですか?」


「……私に隠していること、ないですか?」


 そう切り出せば、ロイドはクローゼットの扉を閉めてからこちらへと向き直る。


「隠し事? 何をいきなり」


「キールたちの部屋、どうしてこの階なんですか?」


「何か不都合でも?」


「そうじゃないけど……、ルースたちでさえ最初は西側の部屋だったでしょう? なのにキールたちはいきなり東側のこの階だなんて、いつもならありえない。何か企んでいるんじゃないですか? キールに、何かさせようと考えてません?」


 部屋のことを決めたのはデイルだろうから、ロイドを責めるのは間違いかもしれない。だが、いくらシェイナがキールを信頼していたとしても、普段の彼ならば反対したはずだ。


「部屋のことはオリビアの主張ですよ。その結果、ルースとエリックをそれぞれ彼らと同室にすることで落ち着いたんです」


 それに、と彼は続ける。


「キール・ハーコートに関しては、我々もある程度信用していますので」


「……どうして?」


「実は二日前、彼の両親に会ってきました。ジョージとオリビアも一緒に」


 シェイナが自分からルナシーであることをカミングアウトしたのは初めてのことだったし、それを受け入れたキールたちも信用に足る人物であるとは分かった。しかし、二人の気持ちが本気であるのならばなおさら、キールの両親も息子の恋人について知っておく必要がある。そう判断してのことだと、呆然と口を開けたままのシェイナにロイドは告げる。


「……それで、キールの両親は何て?」


「シェイナなしでば今のキールはなかっただろうから、ルナシーだからとシェイナを否定すれば、自分の息子までも否定することになると」


「それってつまり……」


「シェイナがルナシーであれ、そんなことは問題ではないと言っていました。それと、ぜひ遊びに来て欲しいと」


 それを聞いて、一気に胸が軽くなる。大丈夫だと言うキールたちのことばを信じてはいたが、確証はなく、自分のせいで彼が家族との間に確執を抱えることになったらと思うと不安だった。


「良かったですね」


「……ごめんなさい、変に疑ったりして」


「仕方がないですよ。気にしないでください」


 シェイナの荷物を全て片付け終えた彼は、優しく頭を撫でてくれる。細身ではあるが、成人した男性である彼の手は大きい。いつもシェイナを守ってくれるこの手に触れられるだけで、心から安堵できた。






「みんな、遠いところよく来てくれたね」


 夕食には父のジョージも間に合い、デイルを中心にみんなで食卓を囲むことができた。逃げ出そうとしていた人間とは思えないほど、ジョージはいつも通り朗らかな態度だ。母に何か言われたのか、兄たちもいつもほどキールに突っかからず、和やかな雰囲気で食事が進む。


「仕事用の部屋に入らなければ、此処に滞在している間は、好きに過ごしてくれて良いからね。こんな田舎だけど、シェイナから聞いたところによると、君たちの好きそうなものは揃っていると思うよ。ウィリアムはスポーツが好きなんだってね? 私はラグビーを観るのが好きでね、イングランド代表にも知人がいるんだ。彼からいろいろ貰ったものをコレクションしているから、良かったら後で見せてあげよう」


「ホントですか?」


 デイルの申し出に、ウィリアムが顔を輝かせる。どうやら、デイルの知り合いとやらは彼の好きな選手だったらしい。


「話の分かる友人ができて私も嬉しいよ。ロイドは私の話なんて聞いてもくれないからね」


「時間通りに仕事を片付けてくださるなら、話を聞く余裕もできるのですが」


 そう言って、シェイナの皿にデザートを取り分ける。来客にも関わらず、シェイナの隣の席を陣取って思うが儘に世話を焼くロイドに、最初のうちは両親も咎める様子を見せていたもののすでに諦めたようだ。シェイナ自身、気恥ずかしい思いはあるのだが、あとで拗ねられることを重々承知しているから何も言わずにいる。先ほどみんなでお茶をしたときも、使用人のように給仕を買って出たロイドを退室させようとして一悶着あったところだ。だからシェイナも他の面々も何も言わず、キールたちの戸惑いを感じながら夕食の席はお開きとなった。


「シェイナにとって、ロイドさんって何なの?」


 ついに痺れを切らしたのか、マリアがそう切り出したのは夕食の後でアナスタシアが使用していた部屋に案内しているときだった。


「家族のように育ったこととか、契約とか、二年ほど前にシェイナが熱中症で倒れてからすごく過保護になったことはキールからも聞いているわ。でも、本当にそれだけ?」


「……どういう意味?」


 そこまで知っているのならば、彼女は何が気になるというのだ。歩みを止めて彼女に問い掛ければ、しばし目線を彷徨わせ、意を決したようにマリアは口を開く。


「つまり……恋愛感情はないの?」


「私が? ロイドさんに?」


「……その逆もだけど」


「ありえないわ」


 きっぱりと否定したけれど、納得していない様子のマリアに苦笑する。


「私たちには確かに特別な絆があるわ。でもそれが恋愛感情になることはありえない。もし私がロイドさんを恋愛対象として好きだったとしても、契約してしまうとそんな感情は持てなくなってしまうわ」


 契約した相手とは、主従であり、親子、兄妹、親友、そしてお互の半身となる。誰よりも信頼できる存在ではあるけれど、あまりにも近すぎて、甘い感情を持つことなどできない。そこにいるのが当たり前で、好かれようとしたりとか、ときめいたりすることもない。キールに対するそれとは、まったく違うのだ。それはロイドにとっても同じだろう。


「でも、ロイドさんはシェイナのことをすごく大事にしてるわよね? まるでお姫様を扱うみたいに。それに……距離が近すぎるんじゃない? 過保護って言うか……、余程好きじゃないと嫌になるレベルだと思うんだけど」


 気を悪くしたらごめん、と断りながらも率直な言葉にシェイナは思わず吹き出す。


「そうね。契約する前からもよく面倒を見てもらってはいたけど、今みたいにべったりではなかったわ」


 親しくはあったけれど、『面倒見の良い幼馴染のお兄ちゃん』の域から出ることはなかったように思う。契約を結んだばかりの頃も、今ほどではなかった。



「きっかけは私が熱中症で倒れた時ね」


 ロイドと契約を結んでおよそ半年が経った、三年生になる前の夏休みのことだ。家族旅行で海に行き、あまりの酷暑で重度の熱中症を起こしてしまった。気が付けばシェリンガム邸に運ばれていたのでシェイナ自身はあまり記憶がないのだが、何日も意識が定まらず危険な状態だったらしい。


「半身を失うかもしれない、っていうのは言葉では言い表せないほどの恐怖だった。ロイドさんはそう言っていたわ」


 特にシェイナはロイドの忠誠を受ける側、つまり家族を失ったばかりの彼にとって唯一の生きがいでもあったのだ。


「逆の立場だったらどうだろう、って考えたわ。そしたら、ロイドさんの気持ちがよく分かったし、私も同じようにロイドさんを守ろうとすると思う。半身を失うっていうのは、自分の一部が消えてしまうことよ」


 そうすれば、もはや自分自身ではなくなってしまう。


「それに、私もロイドさんといると落ち着くの。だからロイドさんを嫌だと思うことはないわ」


 大切な半身だ。彼と居ると落ち着くし、遠慮もいらない。ロイドもルナシーということもあり、他の人には相談できないようなことも話せる。


「……契約って、よくあることなの?」


「私たちの他は、大昔の例しか聞いたことがないわ。魔力の優劣だけが問題じゃないの。契約してしまうと、それまでの関係が変わってしまう。お互いにその覚悟がないと、上手くはいかないから」


 いくら半身と言えども、契約をすれば自動的に主従関係が成り立ち、対等ではなくなってしまう。


「……気味が悪いと思う?」


 彼女には縁のなかった話だろう。嫌悪されても仕方がないと思いながら尋ねると、緩やかに首を振って否定される。


「確かに想像もつかない話だけど、事実なんでしょ? シェイナがそんな重大な契約をロイドさんと結ぶには、勇気がいったはずだもの。それを気持ち悪いとは思わない」


 血縁者だからだろうか、きっぱりとそう告げる彼女の表情はどこかキールに似ている。


「私はただ、本当にシェイナがキールを好きでいてくれるならそれで良いの」


 ロイドへの気持ちが叶わないから、キールを身代りにしているのではと危惧したのだと告げられ、呆気にとられる。そんなことは絶対にありえないと何度も念を押すと、彼女も気が抜けたように表情を崩した。


「ごめんなさい。でも、未だにキールの初恋が上手くいくなんて信じられなくて」


 自分たちは幼い頃から一緒にいたから、キールの情けない部分をたくさん知っている。でもキールのことを好きだと言う女子たちは、その部分を知ろうとはしていなかったとマリアは言う。


「キールはみんなが言うようにかっこよくなんかない。ヘタレで優柔不断で、きっとエリックやロイドさんの方が頼り甲斐があると思う。だから、シェイナがキールを選んでくれたのが夢みたいなの」


「私の方こそ、夢みたいよ」


 ゆっくりと再び歩き出しながら、彼女に倣い感情を口にする。


「ルナシーであることを受け入れてもらえるなんて、そうあることじゃないもの」


 やっと納得してくれたのか、マリアが反論することはなく、和やかな雰囲気でアナスタシアの部屋を目指す。ルース以外に同年代の女の子とこんな風に話す機会は滅多になかったので、すこしくすぐったいような妙な感覚があるが、それ以上に嬉しさがシェイナの心を占める。


「ここがアナさんの部屋。ほとんど昔のままよ」


 ロイドの居住スペースはマリアたちが使用している部屋の近くだが、アナスタシアが練習室として使用していた部屋はちょうどその真下である二階に位置し、ロイドの居住スペースに設置されている階段からも、この部屋に辿り着くことができる造りになっている。


 部屋にはグランドピアノ、楽譜やCDが納められている棚、テーブルやソファのレイアウトは昔のままだ。ソファの上にはアナスタシアが愛用していた臙脂色のブランケットが未だに残されている。


「好きに見てもらって大丈夫よ。ピアノも、定期的に調律しているから弾けるはずだし。楽譜とかはいくらでも貸してあげるってロイドさんが言っていたわ。必要ならコピーをとっても構わないって」


「……良いの?」


 目を輝かせ、僅かに震えた声でマリアが問う。その様子に、本当にアナスタシアを敬愛してくれているのが伝わってきて、思わず笑みがこぼれる。


「もちろん。アナさんも喜ぶと思う」


 マリアは嬉々として、棚にある楽譜を手に取っていく。アナスタシアがコレクションしていたものだけでなく、彼女自身が作り上げたものも多くある。



「どうして、アナさんのファンに?」


 かつていた多くのファンのほとんどは、引退後にはすっかり消えてしまった。ルナシーであることを知ってもなお、敬愛し続けるほどの理由が何なのかが気になっていたのだ。それほどまでに、何が彼女を引き付けるのか。


「ルナシーを拒絶しないのはおかしなこと?」


「……っ! そうじゃないけど……、不思議だったから」


 確かに先ほどの言い方は、シェイナ自身がルナシーを差別しているようだったかもしれない。


「ごめん。わたしこそちょっと意地悪な言い方だったわね」


 慌てるシェイナをなだめるように、マリアは苦笑する。


「私は昔からピアノをやっていて、小さい頃からコンクールにも出て成績を残していたわ。でも、スランプになったときがあったの」


 どれだけ練習しても思うように弾けず、どのように演奏するのが正解なのかさえ分からなくなった。家族に苛立ちをぶつけ、ピアノなんてもう弾きたくないと困らせた。その時、気晴らしにと両親に連れて行かれたのがアナスタシア・バリーのコンサートだった。


「技術が素晴らしいのはもちろんだけど、彼女の演奏はひとつひとつの音が生きていて、語りかけてくるようだった。この人のように演奏したい、って心から思ったわ」


 そして再びピアノと向き合えるようになったのだと、マリアは少し恥ずかしそうに言う。


「アナスタシア・バリーは私の憧れなの」


 そう語る瞳に嘘はなかった。


 アナスタシアの功績は、葬り去られてしまっている。だけど、彼女を理解し、敬い、その音を生かし続けようとしてくれている人がいる。その事実が、シェイナをとある希望へと導く。


「この辺りは発表されていないものや、作曲途中のものよ」


 ピンク色の分厚いファイルを棚から抜き取り差し出すと、マリアは目を輝かせる。


「……中を見ても?」


「もちろん」


 手渡すと、宝物を扱うようにページをめくり、食い入るように楽譜を見る。


「マリアは、楽譜を見ただけで初めて知る曲を演奏することってできるの?」


「えぇ、練習をしないと完璧には弾けないけど、できるわ」


 その答えを聞いて、シェイナはマリアの手にあるファイルから、目当てのページをめくり、目当てのページを示す。


「この曲、弾いて欲しいの。完成はしているんだけど、ちゃんと弾いてもらう前にアナさんが亡くなってしまって……」


 アナスタシアがシェイナのためにと作曲してくれたものだ。しかしシェイナはピアノの演奏など、小学校の音楽の授業で少しかじった程度なため、自分では弾けなかった。ロイドは弾けるのだが、アナスタシアの死後、メンテナンス以外の目的でピアノに触れているのは見たことがない。シェイナが頼めば弾いてくれるかもしれないが、無理強いはしたくなかった。


「お願いマリア、アナさんが残してくれたものをちゃんと知りたいの」


 二人目の母のようであったアナスタシアが大好きだった。そんな彼女を失ったあの事件で負った傷は、時間が癒してくれた。だけど、時折ひどく痛むことがある。


「……分かったわ。私で良ければ、弾かせて欲しい」


「ありがとう!」


 嬉しさのあまり飛びつくと、マリアも驚いたようではあるがハグに応えてくれる。


 もしかしたら、ロイドは嫌がるかもしれない。だけど、どうしてもこの曲をちゃんと聴きたかった。


(きっとシェイナを導いて、守ってくれるわ)


 そう言ってアナスタシアが残してくれたもの。それをちゃんと知りたい。そうでないと、自分たちはいつまでも彼女の死を乗り越えることが出来ないような気がした。





*****





「まずは、ここに署名してくれるかな」


 夕食後それぞれが好きに過ごす中、キールはデイルの執務室に呼び出された。先日エドワードとショーンに言われたことと関連しているのだろう、部屋にはデイルとシェイナの兄たち以外にもロイドがいた。


「これからする話は、この台帳に名前のある者にしかできないようになっているんだ。本当はジョージとオリビアにも居てもらうべきなんだけど、彼らまでこっちに来るとシェイナに怪しまれるから、我々だけで話をさせてもらうよ」


 当事者であるはずのシェイナにも知られてはならない話とは何なのか、不思議に思いつつもペンを手に取りサインをする。


「シェイナと頻繁に話すようになったのは最近だね?」


 ペンを置くのとほぼ同時にデイルに尋ねられ、肯定する。今までも話してはいたが、挨拶や授業に関することばかりだった。まともに会話するようになったのは、彼女に告白してからだ。


「シェイナと話していて、何か違和感はなかったかい?」


「……どういう意味ですか?」


「例えば、一年生とか二年生の頃に君との間にあった出来事を覚えていなかったり、認識に違いがあったり」


「それは……」


 確かにそういうことがあった。一、二年生の頃からキールは密かにシェイナへアピールをしてきた。授業が一緒になった時は近くの席に座ったり、シェイナが一人でいるときに隙を見て話しかけたり。ペンケースを忘れてきた振りをして、シェイナに筆記具を借りたこともあった。だが先日、シェイナに当時のことを話したけれど、彼女は覚えていなかった。


「でもそれは仕方がないです。その頃はまだ、シェイナは俺のこと苦手だったみたいですし……」


 自分に対する印象が変わったのは、三年生になってからだと彼女は言っていた。寂しくはあるが、それ以前のキールとの出来事に関心がなくても仕方がない。


「シェイナは一年生の頃から、あなたが好きでしたよ」


 ロイドが静かに告げた言葉に驚くが、キール以外の面々は平然としていた。


「一緒の授業を受けていたエリックが風邪で休んだ時、シェイナとペアを組んだことがありましたね?」


「なぜそれを……?」


「仲が良い訳でもないのに、気にかけてくれて嬉しい。当時シェイナがそう話していました。あなたに筆記具を貸してあげた日も、話すことができたと嬉しそうにしていましたよ」


「でもシェイナは覚えていないって……」


「覚えていませんよ、今は」


 ロイドの口調は淡々としたままだ。話についていけなくなっているキールを気に留める様子もない。


「私が、彼女の記憶を改ざんしました」


「改ざんって……、どうしてそんなこと……」


 記憶を操作されたとなれば、シェイナが覚えていなかったことにも頷けるが、記憶操作は禁止されており、そのやり方は、フィバースでも教えられていない。


「一年生のとき、魔法規則の授業で例外があるって習っただろ?」


 エドワードに言われ、授業の内容を思い出す。


「……対象者の心身の健康・安全を確保するため、もしくは事件の発生を未然に防ぐためだと証明され、司法局の許可が下りた場合」


「シェイナの場合、その両方に該当した」


 だから合法的に記憶操作をしたのだと言われても、納得できるものではない。シェイナがキールを好きでいることがなぜ、二つの条件を満たすことになったというのだ。


「キャロライン・フィバースとデイル・シェリンガムの話は知っているかい?」


「大まかには」


 デイルの問いかけに即座に頷く。二人の話は、フィバースの生徒ならば誰もが知っている。


 今から八百年ほど前、ルナシーは数こそ少ないが、一般的な存在だったという。ルナシーとその一族は月派、それ以外は太陽派に分けられていたが、今のような差別も存在しなかった。だが確執が全くないとは言えず、月派と太陽派の名家は婚姻により同盟を維持していた。


 月派のフィバース家と太陽派のシェリンガム家も同様だった。キャロラインとデイルの関係は、最初は良くなかったという。だが、学問に興味を示したキャロラインにデイルは向き合い、それが女性教育の門戸を開くこととなった。そして、二人は誰もが分け隔てなく、適切な教育を受けられるようにとフィバース学院を創設した。


「確かに大まかだね。まぁ、一般的に語られるのはその部分だけだから仕方がないが。鍵を握っているのは、二人の出会いと学院創設までにあった出来事なんだよ。キャロラインがルナシーだったということは知っているかい?」


「はい。詳しいことまでは知りませんが」


 ルナシーが蔑視されている中、学院側はあまりそのことを公表したがらない。古い学校なので、なんとなく知っている者は多いが、あえて調べる者もあまりいない。キールも、アナスタシアの件があってルナシーについて調べたから知っただけだ。


「キャロラインは特別なルナシーだったんだ。誰よりも強い魔力を持ち、それでいて満月の夜でさえも、姿を変えるだけで、その力に飲み込まれずに自我を保つことができた」


「……それって」


「あぁ、シェイナと同じだ」


 それがどれだけ珍しいことなのかは、この短い期間でも把握しているつもりだ。そして、恐らくそれがただの偶然ではないことも、彼らの様子から感じ取れる。


「キャロラインと同じ能力を持つ者は、他にはシェイナを除いて四人しか記録上では存在していない。そしてその四人は皆、運命に翻弄されて、幸福とは程遠い人生を送った」


「だから、シェイナもそうなると?」


「そうならないように、ロイドも我々も努力している。だけど、シェイナは君と出会ってしまった」


「……どういう意味ですか?」


「今まで、彼女たちの悲劇が始まるのはいつも、本気で愛する相手ができてからだった」


 だから記憶を操作したのかと問えば、デイルは何も答えずに立ち上がり、部屋の隅にある暖炉へと近づく。そして彼が手をかざすと、暖炉の煉瓦が動き始め、その奥に空間が現れる。促されてそこに向かえば、階段が地下へと続いていた。壁の両側には松明が灯されているが、かなり奥まで続いているのか、その先に何があるのかまでは見えない。


 デイルを先頭に、階段を下りていく。階段を下りきったところには重厚な扉があり、なにやら呪文を唱えてからデイルがそれを開く。するとそこには、講堂のような空間が広がっていた。


 壁面や天井には、なにやら細かい絵が描かれている。だがそれよりも目を惹いたのは、奥に飾られている巨大な水晶だった。大きさに驚いたのはもちろんだが、その中に入っているものがキールの意識を奪う。


「……シェイナ?」


 近づいて確認すると、少女が閉じ込められていた。それも、シェイナにそっくりの。


「これは?」


「よくできているだろう? キャロライン・フィバースが作った人形で、彼女の分身でもある」


「でもこの姿は……」


 瞳は閉じられているけれど、どう見てもシェイナだ。それにキャロライン・フィバースの肖像画は見たことがあるが、この人形のように赤毛ではなく茶色の髪をしていたはず。


「最も優れたルナシーだったキャロラインは、十六歳の頃、グラントという男に誘拐された。キャロラインの能力に極端に執着した彼は、彼女のレプリカを作ろうとしたんだ」


 本物のキャロラインと同じ姿をして、同じように振る舞い、同じ能力を持つレプリカ。不可能と思えることだが、満月の夜のキャロラインにはできた。


「でもどうしてそんなことを……」


「『ルナシーの女王』とも言われた彼女の能力は計り知れないものだったからね。誰よりも強い魔力を持つ彼女がその気になれば、他のルナシーや、どんなに優秀な魔法使いをも屈服させることができる。そんな彼女と同じ能力を持つ人形なんてものがあれば、世界中の権力者が欲しがるだろうね。生身の人間とは違い、寿命もないし、食事を与えなくても平気だし、病気になる心配もない。実に使い勝手のいい兵器だよ」


 急激に体温が下がったような気分がする。


 シェイナの能力については、ただ珍しく特別なものだという認識しかなかった。こういう話を聞いて、悪用される可能性のあるものだとはじめて気が付いた自分の至らなさが悔しい。


「キャロランには当時、すでにシェリンガム卿と婚約していてね。彼女自身も有力貴族の娘だったから、大規模な捜索が行われたそうだ。そしてグラントは、追手から逃れるためにレプリカを『キャロライン』として解放し、己は本物と共に行方をくらませた」


 シェリンガム卿も、キャロラインの家族も、何の疑いも持たず、『キャロライン』の帰還を喜んだ。だが、キャロライン専属の世話係であり、彼女と契約を交わしたルナシーであるルーク・バリーだけはそれが偽物だと気が付き、本物のキャロラインを取り戻し、他のレプリカが創られる前にグラントを倒した。すでにあったレプリカも、破壊こそできなかったものの、悪用されないよう封印された。そして無事に戻ったキャロラインはシェリンガム卿の元に戻り、結婚してフィバース学院を設立したという。


「だが、めでたしめでたし、とはいかなかった。グラントは執念深く、転生したキャロラインを追い続けている」


「転生って……」


「どういう訳か、彼は記憶を引き継いだまま生まれ変わり続けているらしい。そして転生したキャロラインを見つけるのはそう難しいことではない。必ず同じ能力を持つルナシーであり、なによりこのレプリカが、全く同じ姿を現して教えてくれるからね」


 キールは改めて、水晶の中の人形に目を向ける。まるでおとぎ話のようだけれど、信じない限りには辻褄が合わないことが多い。


「……シェイナは、グラントと接触したんですか?」


「まだだと考えている。二年ほど前の夏休み、シェイナは家族旅行の途中で誘拐されてね。グラントの仕業かと思ったが、犯人たちは狂信的なルナシー崇拝者ではあったけれど、彼との関係はなかった。『ルナシーの女王』ともされるシェイナの能力が目的だったらしい」


「ちょっと待ってください! 誘拐って……」


 情報が多すぎて話についていけない。それに、誘拐されたことがあるだなんて、シェイナから聞いていない。二年前の夏休みに家族旅行に行ったことは聞いたけれど、誘拐されたなどではなく、酷い熱中症で倒れたという話だった。


「救出までの間に何があったのか、詳細は把握しきれていないが、シェイナはキャロラインをはじめ前世の記憶を呼び起こされ、呑まれてしまった。ロイドが駆け付けたときには、シェイナ・グレイスという人格は完全に失われていたよ」


 目立った怪我もなかったが、中身は完全にキャロライン・フィバースに占領されてしまっていて、シェイナを取り戻すためには、記憶を書き換えるしかなかった。そしてあらゆる危険性を排除するために、キールに関する記憶も改ざんした。巻き込んでしまわないよう、キャロラインから強く要望されてとのことだったという。キャロラインの魂を継ぐ者たちはみんな、愛する者、つまりシェリンガム卿の生まれ変わりに出会ってから、グラントの巻き起こす悲劇に翻弄される運命を送っている。だから彼女のことばに反対する者はいなかった。


「だけど結局、シェイナはまた君を好きになってしまった。シェリンガム卿の魂を継ぐ君をね」


「……俺が?」


「キャロラインがそう言っていた。だからこそ我々は君を信用し、ここに招いたんだ」


 いきなりそんなことを言われても、簡単に受け入れられるはずがない。だけど彼らが自分を騙そうとして、適当なことを言っている訳ではないことは分かる。まるで小説のような話だけれど、彼らは二年前、すでに現実として突きつけられているのだから。


「……それで、俺はどうしたら良いんですか?」


「選ぶだけだよ」


「……何を?」


「このまま、覚悟の上でシェイナとの関わりを続けていくのか、それともお互いの身を守るために、互いの記憶を書き換え、すべてをなかったことにするのか。記憶操作については、君のご両親からも君の意見次第では実施して良いと許可を得ているから、法的にも問題はないよ。君の友人たちについても、我々が何とかするから心配はいらない」


 後者を選んだとしても、誰も責めたりはしない。家族に心配を掛けないようにするためには仕方のないことだと、諭すようにデイルは言う。確かに、そうするべきなのかもしれない。


 数日前、エドワードとショーンに呼び出されたのも、彼らなりの思いやりだったのだろう。大事な妹だけでなく、キールが不幸にならないようにと。


 シェイナの兄たちとロイドの様子を窺う。彼らはただ黙って、静かにキールの決断を待っていた。





 シャワーを終えてスプリングの効いた上質のベッドに身を投げ出すと、一気に身体から力が抜けて、ベッドに吸い取られていくような気がする。このまま寝てしまえたら楽なのかもしれないが、脳が興奮していて出来そうにもなかった。


 あまり自分の意見を言うのは得意ではない。それも、あまり親しいとは言えない複数人が相手となれば尚更だ。だけど今日は、あの圧迫された空気の中でそれをしなければならなかった。


 ウィリアムはエリックやルースたちとサッカー中継を観るとかで、違う部屋にいる。だからこの部屋は静かなはずなのに、煩いくらいにデイルやロイド、シェイナの兄たちの声が頭の中で響く。


 間違った決断をしたとは思っていない。彼らの反応を見るに、恐らくは彼らの望む答えが出来たのだとも思う。


 俯せのままポケットから携帯電話を取り出し、連絡先の画面を開く。父と母のどちらに電話をかけるかで迷った末、携帯ではなく自宅の番号を選択した。


 数回の呼び出しコールの後、電話に出たのは母だった。


「どうしたの? 今日はお泊りでしょう?」


 みんなと一緒にいなくて良いのかと、気にした様子の母に、何から話すべきか戸惑う。


「……母さんたちもさ、デイルさんから聞いたんだろ? シェイナの……や、俺たちのこと」


「……えぇ、聞いたわ。全部ね」


 母の口調が静かなものへと変わる。いつもの明るく朗らかな様子とは異なるそれに、思わず緊張してしまう。いつまでも少女のままの様な母だが、息子を心から大切に想ってくれているのは分かっている。


「母さん、ごめん」


 できるだけ、心配を掛けるようなことはしたくない。でもこればかりは、どうしても自分の意思を通したかった。


「俺、シェイナをなかったことにしたくない」


 確かに、デイルから聞かされた話は想像もしていなかった内容だった。この先に待ち受ける困難も、どんなものなのか具体的には分からないし、十分な覚悟があるとも言い切れない。きっと、母たちを巻き込んでしまうこともあるだろう。


「だけど、可能性を捨てたくないんだ」


 思い上がりかもしれないが、デイルたちは自分に何かしらの期待をしてくれているのではないかと感じた。もしもキールがシェリンガム卿の生まれ変わりだとしても、何の力もないのだとしたら、シェイナから再び記憶を消し去れば良いだけの話だ。それをしなかったということは、何か突破口があるに違いない。


 実際、それを問うと彼らは否定しなかった。策はまだ見いだせていないとのことだが、ヒントに成り得る事柄がいくつかあり、その研究をデイルが中心となって何年も続けているらしい。今後はキールも一員として関わる予定だ。いつまで続くかは分からないし、実を結ぶ日が来るのかも謎だ。一生を左右することになるかもしれない。たった十六歳になったばかりの身で何をと馬鹿にする者もいるかもしれないが、どうしても貫きたい想いがキールにはあった。


「謝ることはないわ。間違ったことをしている訳ではないでしょう?」


「……うん」


「お母さんもお父さんも、できる限り応援する。あなたの選択を愚かだなんて思ったりしない。私の自慢の息子ですもの。それに、一人で何もかもを背負う必要なんてない。シェイナのご家族やデイルさんたちがあなたに可能性を見出して頼ってきたように、キールも私たちに頼れば良いの。皆でならきっと乗り越えられる」


 母にそう言われた瞬間、いつの間にか心の中に溜まっていた膿を押し出されたような気がした。


 小さい頃から、キールはいわゆる『出来の良い子』であった。自己主張が強く奔放なマリアの隣にいると妙に冷静になるせいか、単に感情の起伏が低く物事への関心も薄い性格だったせいかは分からないが、両親に対して何かを強請ったり助けを求めたりした記憶も特になかった。だから、今回の件についても両親に心配や迷惑を掛けることになるという気がかりはあったものの、頼ろうという考えはなかったのだ。


「ありがとう」


「良いのよ、当然のことだもの。それに私もジェイクも、あなたの力になれることが嬉しいのよ」


 母の優しい声が、胸をくすぐったくさせる。その感覚は電話を切ってからも残ったままだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ