冷血女攻略戦⑶
藤代という女の子が登場してきます。
定行君の心のオアシスとしてのキャラを確立していければなーと思います。
それにしても定行君がモテすぎている、うーむ。
まあ気楽に楽しんでくださればうれしいです。感想などもよろしくお願いします。
「うー、難しい。何なのよこのεーδ論法ってさ。こんなの必要なわけ?これ考えたやつ確実に天才過ぎてバカなんだわ。」
大津がいつものように講義で苦戦しているのを尻目に俺は課題をこなしていた。この講義は課題さえ提出したら帰ってもいいというスタイルなので俺にはもってこいなのであるが大津にしてみれば地獄なのだそう。なのでいつも俺の横に来て答えを教わりに来る。いつもは正宗も来るはずなのだが今日はどうしてかいない。あいつサボりやがったな・・・。まあサボればそれだけ後から苦労するのはあいつなんだからいいんだけど。
というわけで大津と二人で講義を受けていらのだが、
「あのー、定行君。となりいいかな?」
と女子が声をかけてきた。
腰ほどまである長くつややかな黒髪、黒縁のめがね。レンズの奥にはぱっちりとした大きな瞳がのぞいてる。雰囲気はぱっと見おっとり系に見えるが、彼女の機微の端々が抑えきれない利発さを表している。身長も女子にしては大きい方で、足もすらっと長い。くびれるべきとこはくびれ、出るとこは出ている。
まあ、端的に言ってかなりの美少女である。めがねがあるおかげでそれほど目立っていないが外したら、男たちが放っておかないだろう。
でも、そんな美少女が何のようだろう?俺名前も知らないぞ?すると大津が
「およっ?エルちゃんじゃん。何々エルちゃんも定行君に教わりに来たの?」
と聞く。こいつら知り合いなのか。
「うん。定行君、頭よくて教えるのも上手って言う評判だから。定行君、教えてもらえるかな?」
そう言って少し不安げに見つめてくる。いやっ、こんな言い方されて断れる男子がいたら教えてほしいわ。人の心を持つ俺には無理っ!できないっ!
「ああ、俺でよければ。教えるよ。」
そう答えると、エルと呼ばれる少女の顔がパアッという擬音が聞こえるぐらいに華やいだ。いやいや、喜びすぎでしょ。何なの天使なの?、俺のこと好きなの?勘違いしそうになる。落ち着けー、おちつけー俺。深呼吸 スーハー スーハー
「ありがとうございます!私藤代エルと申します。よろしくね。神楽坂定行君。」
やべー、笑顔がまぶしーい。癒やしだ。俺のオアシスかもしれん。
「ああ、こちらこそよろしくな。藤代。で、早速なんだがどこを教えてほしいんだ?」
ここと、ここと、ここ何ですけどー。あーこれはここをあーしてこうしてやればできるよ。なるほどー。
「やっぱり定行君すごいですね。すっごくわかりやすい!定行君が授業した方がいいんじゃないですか?」
「いやー照れるなー。」わっはっはー
なんて話しているとかまってくれなかったのが不満なのか、大津がむくれている。子供かっ!
「お前何むくれてるんだよ」
「むー、何でもない!」
何だ?何か気に触ることしたっけ?ま、いっか。気にしないでおこう。あとで、学食おごれば機嫌も直るだろ。そんな感じでいつも通り講義を終えた。
あの後、藤代、大津の二人と食堂へ向かった。道中、男子からの目線が突き刺さる。この二人無駄に美少女だから目立つんだよな。でも白石はこの二人以上に美少女なのだろうか?たのしみでしかたねえぜ!
食堂で定職を注文して三人で席に着く。
「定行君、テニスサークルの練習今日参加するって話本当?」
「おう、本当だよ。」
「私も参加していいかな?私も定行君たちとテニスしてみたい。」
だから、こいつのこれずるいんだって。そんな潤んだ目で上目使いされたら断れるわけなかろうが。
「いいだろ、そのサークルかなり緩いみたいだしさ。一人ぐらい体験が増えたところで何も言われねーと思うぞ。」
「そうだよね、よかったー。ありがとう、定行君。」
うーむ。藤代がかわいすぎる。惚れてまうやろー!!!
いかんいかん。思い出せ俺の目標を。俺の目標はあくまで白石千鶴だ。見失うな、俺!
「藤代は白石っていう子知ってるのか?」
「うーん、噂で聞いたことあるぐらいかな。すっごいお嬢様らしいんだよ、千鶴ちゃん。別荘をいくつも持ってるんだってー。プライベートビーチもあるらしいよ。」
「まじかっ!」
とんでもねー野郎だな。親は何者なんだ。そんなお金持ちそうそういないぞ。
「今日の練習に千鶴ちゃん来るらしいからそのときにお話聞いてみたらいいよ。」
「ああ、そうする。大津今日の練習のときには頼んだぞ。」
「任せときなさい!」
そう言って昼食も終え三人で講義へと向かうのであった。
あの後いくつかの講義をこなし、いよいよテニスサークルの練習である。テニス自体には全く興味はない。しかし、不思議なことに昔から運動もそれほど苦手ではなく、テニスはその中でも得意な競技であった。なので、テニスサークルの練習ぐらいなら軽くこなせるだろう。
「今は何の練習中なんだ?大津。」
「ラリーをしていると思うよ。最近顔出してなかったから少し変わってるかもしれないけど、基本的に練習はラリーを好きなだけペアで行うっていうシンプルなもんだからさ。疲れたら途中で帰ってもいいしね。」
「なるほど、じゃあ白石をペアに誘って俺たち四人でラリーをすればいいってことだな?」
「そういうこと」
運動を一緒にやることが仲良くなる一番の近道であることなんか小学生でも無自覚的に知っている。しかし大人になるにつれてこの基本をみんな忘れていくのだ。下手に合コンなどするよりもこういう運動でともに汗を流した方が自然とその二人の距離は縮まるということをそろそろみんな認識した方がいい。今回俺に課されたミッションは自然と仲良くなる、である。大学という場では大津がいるとしてもなかなか自然に仲良くなるシチュエーションは作り出しづらい。だからこれは限られたチャンスであり、ここをものにするかが、目標達成のための鍵を握っているのである。
こんなことを考えていたら柄にもなく少し緊張してきた。落ち着けー俺。落ち着けー俺。
「なに情けない顔してんのよ。定行君には私が着いてるでしょ。安心しなさい。」
そう言って俺を見つめてくる。なんかいつもとは比べものにならないくらい頼りになるんですけど。
「おう、ありがとな。よし!練習いくか。」
「「おーう!」」
こうして三人でテニスサークルの練習へと繰り出した。
読んでいただきありがとうございます。
次こそ白石を出すので楽しみにしといてください。
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