白い飼い猫とナイト&パニッシャー! 2
パニッシャー!
松田ぁ!誰を撃ってる!?
2
印象は少し重い感じがしたが、それも微かな物だ。俺は剣を振ると斬撃を飛ばして双葉の顔を卑しく撫でるピザ教祖を吹き飛ばす。
すげぇ、軽く振っただけであの防御全振りみたいなスーツを吹き飛ばしたぞ!
「教祖様! よくも!」
「凄い、これがオプションパーツなのか?」
鞭の一撃を左前腕の手甲で防ごうと構える。
その瞬間に紅い魔力の半透明な盾が形成されて鞭を弾いた。これは魔力の盾だ! しかも、形も俺の自由に変えられるのか!?
反撃と言わんばかりに、俺は掌を鞭の男に向ける。すると、魔力を凝縮して放たれる衝撃波が奴を大きく吹き飛ばした。桜子がテストしていた武器だ、あの時よりも素早く、しかも鎧と一体になって邪魔になっていない!
「おいおい、なんて物を作りやがるんだよ。だけど、なんで騎士風なんだ? 昔話の紅の英雄でも気取っているのか?」
(君の趣味がつまらないのが欠点だったよ。何がフツーで良いだ! こうなれば俺の趣味をぶち込むしかないじゃん、平和を守る勇者になってくれ)
「見た目は余り重要じゃねーよ」
御堂の趣味だったのか・・・・・・桜子もノリノリで作っていたんだろうな。
体制を立て直した教祖に俺は剣を床に刺して、背中のランスを取ってかまえる。すると、コンパクトなランスはガギリッ! と言う音を立てて長く伸びた。それでも騎乗で使う物と違って接近戦が十分に出来る程の長さに抑えられている。
左の盾を大きく展開してランスを構えた時に盾に衝撃が走った。高速移動していた奴が突撃して来たらしいが、突然現れた盾に弾かれたんだろうな。俺は盾を小さくして、そいつを思いっきり殴り飛ばした。
「双葉の分だ!」
「よそ見とは! 余裕ですねぇ!!」
教祖から光の帯が伸びて来た。
クソ、盾が間に合わない!
(あー、ランスをあのビームにぶつけろ)
御堂の言葉に、俺は反射的にランスを突き出す。ランスを通じて衝撃が俺に伝わって来る。
(魔力を流しなよ。得意技だろ?)
「な、何だってんだよ!」
俺は必死に魔力をランスに流し込んだ。すると、ランスを中心に魔力の波動が爆発する様に広がると光の帯は霧散した。
「バカな! そんな事、有り得ない!」
「あぶねぇ! その魔具、連射は効かないだろ!」
ランスを構えて俺は教祖のパワードスーツを突き刺して魔力を切っ先で破裂させる。
「貫通してよかった。そのピザスーツ、内側からの衝撃なんて想定してないだろ!」
「な、なんて性能の魔具! か、飼い猫さまぁあああ!」
弾け飛ぶスーツ、だが
「お許しください、あなたのお姿をお借りいたします」
突然ピザスーツの内部から漆黒の鎧が姿を現した。その姿は何処となく飼い猫が着るあの鎧に似ているが、何と言うかパチ物って感じが凄いな。
「アイツの真似か? 真似してもアイツにはなれねーぞ?」
「無様に死ぬことになりますよ、セフィラの少年!」
教祖の剣の一撃を盾で防ぐが、その瞬間に俺は続けざまに飛んで来た銃撃で後ろに飛ぶように下がる。殺そうと言うよりも、距離を取るための牽制射撃程度だろう。
「その形態、遠距離から飛んでくる連続攻撃には弱いと見ましたよ!」
俺は盾とランスで銃撃を防ぐ。
よく見れば、アイツの装備は古い骨董品の様な鎧姿とは裏腹に様々な火器を身体に装備した銃撃形態だ。確かに、この武装だと斬り込む時に無駄なダメージを喰らいそうだ。
(奇しくも似たようなコンセプトのパワードスーツを来た奴に出くわしたな! よぉうし! 我が弟子、桜子の火器系統への関心と実力はいかほどか試そうか。パニッシャー! モード! 発動! あっ、翔太郎が変われと命じるだけで発動するから)
「はぁ!? もう一つあるのかよ!」
(早くしろ! 鞭と素早い奴も復活する! それに鞭の奴はパニッシャーモードじゃねーと面倒だぞ!)
「パニッシャーモード!」
俺の叫びにパワードスーツは一度全てのオプションパーツを外してしまった。だが、それと同時にまた天井から魔道具のポッドが降りて来る。
そして俺は背中に大型のバックパック、剣の代わりにアサルトライフルの様なマガジンが付いてショットガンについているフォアエンド(ショットガンの弾を発射位置に持って行く時に後ろへと引く場所)の様な機構が付いている。
太ももには二丁の拳銃、更には俺の周りに何か長方形のカバーを入れている装置が何機か浮遊している。
マスクは中世騎士風ではなく既存のマスクをそのままにしている。だが、俺の視界モニターにスコープのマークが追加されている。
(パニッシャーフォーム! 中・遠距離戦特化型オプションパーツシステムのコストパフォーマンスガン無視武装だ! 撃て!)
御堂の言葉に従って俺はアサルトライフルとショットガンが融合したかのような銃を手に取る。だが、教祖は装着時のバリアが消えた瞬間に弾幕を張って来やがった。
「っく!」
避けようとしたら俺の身体は滑らかな加速と軌道で弾幕を回避して奴の頭上を取った。今度は起動性とスピードが上がっている。
俺はフォアエンドを引いて引き金を引く。教祖は逃げよとするが、その前に奴の胸部装甲に散弾がぶち込まれた。
(銀の弾丸を使用している。魔力弾と違って弾切れが存在するから注意しろよ? でも、その弾丸は魔法効果の打ち消しにはもってこいだ、無力化魔法を織り込んで敵の武装や魔法をぶち壊して、無防備にな所に高濃度の魔力弾をぶち込んでやれ!)
その言葉通りに奴のパワードスーツはガクッと力が抜けた様に動きが鈍くなった。
その時に無防備な双葉の元に鞭の男が向かっていた。俺は銃を向けるが、御堂がそれを止めた。
(奴は手放しで無力化しようか! バリアビッド!)
「バリアビッド?」
俺の周りに付いて来ていた装置から小型の盾の様な魔具が飛び出して行った。計四機、半分は俺の周りにそしてもう半分は双葉の元に飛んで行った。
すると、鞭の男の攻撃を防壁となる魔力で力場を作って防いだ。ナイトフォームの盾と同じか?
でも守っているだけだといつかは突破される!
「双葉!」
(桜子と俺を信用しろ、今は教祖に目を向けろ! さっきの素早い奴は? 後ろだ!)
俺は後ろからの殺気に予備動作をして置いたおかげで素早い奴の蹴りをギリギリで回避すると、背中のブースターが変形して俺の両肩の上から前に伸びる砲身になる。そして、単発で高濃度の魔力弾をロケットランチャーの様に撃ちだす。
その魔力弾に掠った素早い男は、身体に張っていた防御魔法の破片をばら撒きながら墜落して行った。
「よし、双葉は!」
双葉は何とか動こうとしているが逃げられていない。鞭の男は一心不乱に攻撃をビッドに攻撃をしているが、その時に紅い爆発が起きた。双葉の方向へは広がらずに鞭の男に向けて扇状に広がり、奴をズタズタにした。
それでも奴は意識を保っていた。
「硬い奴め!」
俺は奴を観察すると、上着に特徴的な模様が描かれているのを見た。あれは、美樹が教えてくれた文字の魔法陣? 簡略化した呪文を書く事で魔法を使える技術だったよな?
「そうか、よし!」
俺は銃のフォアエンドを引かずに銃を撃つ。すると弾丸がフルオートで撃ちだされた。
銀と俺の魔法無力化の術式で奴の魔具は効力を無くした。
その時に、双葉がそいつの鳩尾に魔力弾を撃ち込んだ。突然の急所への衝撃で鞭の男は気を失った。
「双葉! ナイスだ!」
「ふふっ・・・・・・飼い猫さま程じゃないですが。隊長も、結構かっこいいですね」
後は教祖だけか。
「まだだ! 私はこんな所で、捕まる訳には!」
俺は教祖の特攻に気付くのが少し遅れた事で組み付かれてしまった。
「くっ! 以外にもガッツあるな!」
銃を弾かれ、この距離では背中のブースターキャノンもビッドも使えない!
その時だった。前腕に取り付けられていたカバー状の魔具からビームの様な光が伸びて教祖の肩を貫いた。
「ぎゃああああああ!? な、なんですかぁ! それはぁああああああ!」
「知らねえが、これも新装備かな?」
前腕からブレードの様に両手から伸びているこの兵器は何かは解らないが、俺は両手を合わせて思いっきり魔力を流し込むと極太の巨大なブレードになった。
死なないように威力は抑える、これは戦意喪失を狙ったこけおどしだ。
「な、なななっ!? そんな、有り得ない! 在り得ないありえない! 飼い猫さま! お助け下さい! 私をお救い下さい!」
「奴は来ない! 刑務所にぶちこんでやる!」
「ひぃえええええあああああああ!!」
俺は教祖にブレードを振り下ろす。
その時に、奴の目の前に霧が現れた事を一瞬だけ見た。
*
「人外化施術じゃない? それって、根拠はあるの?」
「ないけど、心が同じ人間っていないでしょ?」
「そうだね、有り得ないよ?」
「でもアイツ等は2人とも同じ力が備わっていたよ? それって、人外化施術とはまた」
正明は加々美の言葉に怪訝な顔をする。
そうしたのは人外化施術ではないのではなく、別の法則で行われた人外化施術の模倣である可能性を感じたのだ。
「模倣・・・・・・いや、いやいや! それでも不可能だ! WELT・SO・HEILNから技術を盗んだ!? でも書物を記憶して持ちかえる事は出来ない呪いがかけられている、それにその技術も鍵が付いている、即死魔法と蘇生魔法と同じだ。蘇生魔法と即死魔法の模倣なら解るよ、でも、人外化施術だけは不可能だ!」
正明は息を荒げてブツブツと独り言を呟いてそわそわし出した。
人外化施術の模倣にはまず大前提として人外化した人間の人を変質させる意思と遺伝子が必要だ。乗組員や使用人達は自分に船を裏切らない呪いをかけている。仲間達の中に裏切り者がいるなら正明は死んでいる、それどころか正明なら一瞬で裏切っている人間を見抜ける。勿論正明も自分の遺伝子をあげたりしないし人を変えるなんて認めたりなんかしない。
という事は、人外化施術を過去に受けた人間が裏にいる可能性が非常に高い。
「くそ、最悪だ・・・・・・即死魔法が効けばいいが。アイツ等、数が増えるかもしれないな通常の攻撃じゃ殺せないスキルを持った集団まるで・・・・・・まるで? あぁ!!」
正明はその時に電気にでも打たれたような感覚に襲われた。
そして、連中の性質と言うか特性への仮説がたった。
「ゾンビ!」
「ゾンビ?」
「そう、ゾンビ! 通常の攻撃では死なない、そして着実に数を増やして行く。もしかしたら、増えたのは人外化施術じゃなくてその能力だとしたら? 同じ存在を増やす」
「でも、能力は1人1つ」
「不死身の身体は加々美が素早く動けるようになった理屈と同じだよ。その肉体に備わった力、真の能力は自分と同じ存在を増やす事が出来る」
そうなれば、人外化施術の模倣は不完全も不完全。一人作るのでやっと、そして、その一人が増殖能力持ちだった。
それが正明の推理だった。
勿論確信はない。だが、現状はそう思っていた方がいい。その為に実験をしないといけないが、思い立ったが吉日なのかもしれない。
「連中は撤退したって言ったよね?」
「う、うん」
「まだ、そこにいると思うよ? 翔太郎が成長したって喜んでいたんだよね?」
「そうだけど?」
「その姿を見たいと思わない? 自分が可愛がっている人が成長したら」
「・・・・・・そうかも!」
「行こう! アイリス! 奴の正体を暴けるかも!」
ソファでストロベリーサンデーを食べていたアイリスはムスッとした顔をすると、氷結魔法でストロベリーサンデーを保冷してから、正明が作った霧の中に飛び込んだ。
神を見る人はどう考える?
人を神に出来ない
神は人になれない
神に人はなれない
二つは分かりあえない
人しか人を愛してはくれない




