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第四話 蒼の魔剣と深紅の子供達よ

また、期間空いてしまいました。続きです、楽しんで頂けると幸いです!


 俺は訓練場で体術の練習をしていた。

 使い魔を召喚する魔具で召喚された敵を相手の摸擬戦だ。でも、攻撃は死なない程度と言うだけで喰らえばそれなりに痛いんだろうな。俺は一撃も受けた事が無いから知らないが、これで撃ち落とされていた女の子がいたな。

 俺は襲い掛かって来る疑似敵の首を回し蹴りの一閃で薙ぎ払う、一発で五人は床に倒れ伏す。さらに襲い来る連中を一気に距離を詰めて掌底で吹き飛ばした奴を列にぶつけて列を崩して、そこに軽く指先で生成した火球をポイッと投げ込むと、巨大な火柱の中に疑似敵は飲み込まれて消え失せた。そこに桜子が入って来た。


「す、凄い。隊長、そんなに強かったんだ?」

「やあ、桜子。どうだ? 俺の武器は」

「師匠が確保してくれた素材で何とかなりそう! これがあればもう、スクリーンの世界が現実になるのです! 最の高っ! もうここで全裸になって五体投地で喜びたい次第で!」


 師匠の御堂に似ているなぁ・・・・・・この手の話しになると別人の様だ。いつものゴーグルに作業服姿の桜子は懐からデバイスを取り出すと軽くそれを振る。すると、術式が発動して桜子の両手に装着される。

 それはガントレットの様で、掌に紅く発光する何と言うか、発射口? の様な物が取り付けられている。そこからビームでも発射するのか? 俺は近距離と中距離戦用で頼むと言ったんだがな。


「これよ! これこれ、やっべー!」

「あー、桜子。すまない、俺はビームよりは」

「まぁまぁ、これを見なさいよって! 疑似敵、かかってきなさぁーい!」

「お、おい! 俺は最大出力でやってるから敵は強いぞ!」


 俺の静止も聴かず、召喚器は使い魔を排出する。連中は容赦なく桜子へと警棒を振り上げて押し寄せて来る。

 もしもの時は俺が少しばかり本気で吹き飛ばすしかないか!


「来た来た、雑魚がわんさか! 喰らえやぁ! これが師匠と百合ちゃん考案、そして私流アレンジの超・新・作! パワーハンドビリオン!」


 ポーズを決めて桜子は右掌を疑似敵に向けると、見えない何かが敵をぶっ飛ばした。それも上半身だけが飛んでいきやがった。使い魔だからグロい感じにならないが、その余波で周りの連中も体制を崩している。その隙に桜子は踊るように腕を動かすと拳を握る。すると拳から前腕にかけて揺らめく半透明の力場が現れる。


「はっは! イエァ!」


 桜子は体制を直した敵をカンフーの様な動きで殴るが、それは躱される。が、それは大した問題ではなかった。彼女が襲われる前に腕から発生した衝撃波で躱した奴は訓練場の壁に叩き付けられて消滅する。

 更に彼女へ疑似敵の警棒が伸びるが、彼女は左腕を開いた状態で振ると力場が空間にとどまって攻撃を防ぐ。そしてその隙に桜子は姿勢を低くして、両手を合わせて掌を敵に向ける。すると紅い衝撃波が目に見えて打ち出され、敵を一斉に四散させた。


「プレゼン終わり! これが新型武器の試作品、パワーハンドビリオン!」

「うおお! スゲェ、って・・・・・・試作?」

「そう!」

「完成してないのかよ? でも、試作でも十分すぎる。貸してくれ!」

「嫌ですよ! 不完全な物を提供なんて死んでも御免! 私の更なる仕上げによって、この子は更なる汎用性を身に着けるのです! それに、隊長殿の手甲にはめ込めるようにしないといけないからもっとコンパクトにして、更に薄くしないといけないんで! じゃ、お楽しみに!」


 それだけ言うと、桜子は走り去って行った。全く、技術者は変人ばかりか?

 そんな時だった俺は背後に気配を感じて拳を突き出したが、その手を直ぐに魔力でコーティングする。その直後に魔力弾が撃ち込まれた。

 そこには謎の男が立っていた。手には大型の拳銃、腰には飼い猫が鎧の姿の時に下げている剣と似た物が下げられている。

 俺は拳から火球を発射する。敵の防御魔法を叩き割ってダメージを与えるレベルの威力の物をだ。

 謎の男は魔力の障壁を張るが俺の魔法の方が威力は上だ。簡単に叩き割れた防御魔法が空中に散る、男は焦って身体をひねって躱した。


「飼い猫ファンクラブの方か? 残念ながら、この前お前のお仲間が飼い猫を怒らせていたな」

「奴は、無知だったのだ。飼い猫様が身体を張って御守りした歌姫に刃を向けたのだ」

「歌姫?」

「ん? 知らんのか。奴は鳴神華音を狙ったのだ。襲った理由は痛めつけてから穢すつもりだったのだろうな。奴はいずれは飼い猫様の制裁を受けるであろう犯罪者まがいのごろつきだ。飼い猫様は、正しき行いを見て下さる」


 俺は思わず男を見下す様に短く笑ってしまった。


「アイツは、いや、アイツらはもっと残酷だろうな。お前達やっぱり、バカのミーハー集団だ。俺は・・・・・・奇妙だけどアイツらの考えがなんとなくだが解るんだ。アイツらは殺しが嫌いなんだろうよ、自分達が沢山殺すクセに殺しをする人間が大嫌いなんだ」

「飼い猫様と、仲間の方々を侮辱するか! 彼の方々は、崇高な神の導きによって罪人を処罰し! 力無き民に手を差し伸べる希望と言う名の闇なのだ!」

「そんな中学生の妄想ノートみてーな戯言は聴き飽きた。来いよ、調度身体がほぐれて来たところだ」

「飼い猫様、ご加護を!」


 男は剣を抜き放って俺の首を迷う事無く狙って来た。

 は? なんだ? コイツ、こんなに鈍い動きで本気で殺そうとしているのか? 

 俺は手始めに、鋼夜の鬼が使っていた命名ショットガンパンチをそいつの剣を握る腕に集中して放つ。男の腕が砕ける音が聞こえる、少し強く打ち過ぎた様だな。


「ぐっ、があああああ! は、速い・・・・・・この、技! 鋼夜の鬼さまの技! なぜ貴様なんぞが!」

「おっ、この技アイツのお気に入りなんだな。俺も喰らってな、少し練習したら出来るようになった。他にも」


 俺は身体を少し低くして両足に魔力を爆発的に充填して走る。俺は瞬間移動の様に男の背後に回ると腰に下げている銃と、胸に手加減して蹴りを撃ち込む。これも同時に喰らったような感覚だろうな。


「げほっ! ぐがあああ! きょ、境界の人狼さまの速さに、似ている・・・・・・この男! 彼の方々の体術を受けたり、見ただけで再現しているのか!?」

「そんなに難しい事か? 練習すれば大体の事は出来る。スポーツみたいなものだ」

「クソがぁああああああ!!!!」


 男は身体に魔法陣を張り付けて特攻して来る。それは爆裂魔法だった、魔具で補強しているな? 爆発すればこの訓練場が壊されてしまうな。

 よし、美樹が教えてくれた魔法でも実践してみるか。

 

「上級魔法一級魔術 牢獄鎖・捕縛術式。超手加減バージョンっと」


 俺は術式を組み上げると指先で放つ。

 すると、奴の身体に紅い魔力の鎖が巻き付いて電流を流して動きを封じる。ほぉ、中々使えるな。でも、コントロールが難しいな・・・・・・下手したら潰してしまいそうだ。捕縛魔法で圧死させたら大変だ。一旦解いてやるか、もう動けないだろ。

 俺が魔法を緩めた瞬間に、男の表情を見逃すべきじゃなかった。


「バカが! 隙ありだ! 飼い猫様、万歳!」

「チッ! 往生際が」


 その瞬間、男の前に小さい影が現れる。

 白い猫耳パーカーに蒼い右目、真紀だ!


「危ない!」


 俺が彼女に叫ぶが、俺は忘れていた。

 真紀は男の顎先に拳をかすめて脳を揺らすと、魔法で作った尻尾でボディーブローを撃ち込むと下がって来た男の顎に回し蹴りを叩き込み、完璧に意識を刈り取ってしまった。俺と男の距離はそこまで離れていなかった。なんて身のこなしだ、かなりのアクションをしていたはずなのに非常にコンパクトにかつ素早く攻撃を繰り出していた。

 双葉も似た動きをしていたな。


「ふぅ・・・・・・翔太郎君、怪我は無い?」

「あ、あぁ大丈夫。誤解しないでくれ? 俺は別にピンチじゃなかった」

「ふふっ、うん! 解ってるよ? でも、油断大敵だよ?」


 真紀はニコッと笑う。

 初対面では結構不思議な女の子だと思ったけど、なんだ打ち解けてくれると明るくて可愛らしい女の子だ。って、俺この前も似た様な事を考えていたな。

 やべぇ、撫でたい。


「そ、そうだな」

「で、この人なんだろうね? 物騒だなぁ。あっ、腕折れてる」

「そ、それは! 力加減が難しくて、へし折っちまった」

「何だかお姉ちゃんが聴いたら呆れそう。私も言われたばっかりだもん、強い力には悪い奴が集まるって・・・・・・どうしよう? これぐらいならいいかな」


 真紀はそう言うと、男の腕に触れると何かの魔法を発動する。

 すると、男の曲がった腕が時間を戻す様に元通りに治ってしまった。


「か、回復魔法じゃない。なんだこれ」


 回復魔法は我武者羅に治してしまう魔法だ。折れた腕は曲がったまま再生され、位置のズレた内臓や血管はその場で回復する。そうなると、内出血や関節の変形の問題がある。だから医者がいるんだ。

 こんな魔法は常識外れだぜ。


「使うなって言われたけど、やっぱり私はダメだね。見てみぬふりが出来ないの」


 真紀はそう言うと、転移魔法で姿を消してしまった。


「おい! ったく・・・・・・てか、なんで劣等クラスにいるんだ? 正明もそうだ。真紀が大人しく言う事を聴くのは姉だからって理由でもないだろう。あの銀の爆弾もそうだ、アイツも相当の腕だろうな」


 俺は気絶した男をオーダー事務所の拘留室手前に転移魔法で運ぶ。

 銀と鋼鉄と対魔法術式で作られた檻の中に男をぶち込むと、俺は消えた真紀を探そうと劣等クラスに向かった。



「真紀は絶対に約束を破るだろうね」


 噴水庭園で正明はそう呟くと刑務所の図面のとある部分に丸印を付けている。その言葉に志雄が意外そうな顔をする。


「蘇生魔法ですか?」

「その通り、彼女の性格は僕が良く知っているよ。彼女は僕の持ってる優しさ、希望、慈しみの様な存在だから。敵でも、犯罪者でも、思わず手当てしちゃうだろうね」

「それは、危険なのでは?」

「とっても危険だよ。でも、もしもの時は僕が身代わりになろう。彼女から蘇生魔法の力を奪えさればいいんだけど」

「取り出す? 魔法を? それは無理ではないですか? そもそも、即死魔法をなぜ私達にも教えないのですか?」

「僕の身体が魔法の鍵だからね」

「は?」


 正明は空中に並ぶ様々な魔装のリストに正明はチェックを付けながら振り分ける。その作業をしながら説明を始める。


「即死魔法と蘇生魔法は基本は同じ。存在や魂を僕が殺すと決めた者や物、試した事は無いけど時間軸を殺してみたらその時間がスッポリと消えるんじゃないかな? 空間を殺しながら削り取れば、世界は僕の手の平分小さくなるだろうね。それが僕の即死魔法、まさに死神の持つ大鎌」


 改めて嫌な魔法だと志雄は思ったのだろう。苦笑いをしている、もし正明が気まぐれに地球を殺そうとすればどうなるのだろうか? もし、その即死魔法を常に使える様に改良しようとし始めたら? 正明が持っていて良かったと志雄は胸を撫で下ろすばかりだ。

 

「砕けた命や魂、消えた命や魂、死に絶えた肉体、枯れ果てた大地、無機物それらに命を吹き込んでしまうのが蘇生魔法。真紀のレベルなら消え失せた肉体も蘇らせられるし、即死魔法で死んだ存在を連れ戻す事も出来る。過去に死んだ者であっても、連れ帰れる。老人は若者に、怪我人は全快し、奇病や疫病を撃ち滅ぼすだろうな。まさに、女神の錫杖って所かな」


 本題はこれからだ。


「前に話したこの魔法は僕と真紀の身体を素材に形成される術式。即死魔法には僕の、蘇生魔法には真紀の身体が必要なんだ。この魔法のもつ魔法陣は二重螺旋構造でね、そこに刻まれているのは遠い昔の言葉でこう記されている」


 正明はデバイスの一部をペン状にして空間に文字を書く。

 その文字はルーンと見たこともない言語でつづられる。


「即死魔法には(赤子が泣き、童が歌を謳い、我が悲しみに暮れる時。汝に暗闇から伸びる手が迫り、彼方へと導かん。子らの叫びに耳を傾けよ、汝の心の鐘を鳴らすがいい、一刻と迫る移ろいを畏れよ。生まれ来る明日への希望を摘み取りし者どもよ、聴け、聞け、冷たき地を這いて近寄る絶対の足音を)ってね」

「・・・・・・う、恨みの言葉ですね。この魔法を作った人間は、もしかしなくても、初代ですよね」

「そうだね、歴史が記す以上に元旦那を恨んでいたんだね。この魔法は、自分の子供を守るための武器だったんだ。赤ちゃんが当たり前に泣けるように、子供達が笑って歌を謳えるようにってね」


 正明はそう呟くとその下にもう一文書いて行く。


「蘇生魔法には(受け継ぎし者よ、死ぬ定めになかった者よ、我の声を聴きて再び手を握れ。地に満ち行く永劫を守りたまえ、命を称えよ。朽ち果てし大地を景色に染めよ、枯れ果てし海を澄み渡る故郷へ還せ、例えそれが戦を呼び戻す角笛であろうと。生きよ、生まれよ、幸を求めよ)って書いてある」


 正明はそう言うとペンを戻す。

 そして正明は続けざまに付け足す。


「この二つの魔法は、遺伝子に組み込まれている。だから、教えらえないんだ。遺伝子に組み込まれた魔法術式で、元は1人にしか発現しない力だよ。だから言っているんだ。僕と真紀は元々は1つの命だって」


 志雄は息を大きく吐くとベンチに深く腰掛けた。


「他のみんなは、知っているんですか? こんな、重大な事」

「この前みんなで酒飲んで騒いだ時に話したよ? 志雄は羊になった八雲の上で爆睡してたから解んないだろうけど」

「こんな話を酒の席で話さないで下さい! すっごく深刻な話じゃないですか!」

「この話の後、ひとしきり即死魔法を発動した僕の鉄壁具合を一発芸として披露したよ。ロケットランチャーの弾すら即死魔法の前では塵に変えるからね。僕は全裸になれば最強だよ? まぁ、全部は脱がなかったけどね」

「・・・・・・なんでそんな伝説級の魔法を一発芸にするんですか? 信じられませんよ」

「志雄は加々美におっぱい揉みし抱かれていたけどね。八雲が背中の上でセクハラはするなって怒ってたね」

「あのアホ狼は後で石を胃袋にぶち込んで井戸に落します」


 そう話していると、突然人払いの魔法が砕かれた。


「ま、正明!」

「落着きなよ。魔力量が桁違いな奴が来て、術式が潰れたんだ」


 正明はそう言うとデバイスを一枚に収束してポケットにしまった。

 2人が見つめる先には、白いロングコートに長身の男子生徒。

 三神翔太郎が歩いて来る最中だった。

本日は普通に

次回は少しケンカする正明と三神!

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