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動く信仰と眠る猫 2

続きです。

少し時間が開きましたが、今回は少し長めのお話になりそうですね。


 正明はアイリスの施術台の上でうつ伏せになっていた。動けないぐらいにだるい身体はただでさえ体力の無い正明には辛いもので、彼は正面で同じようにうつ伏せの状態で自分を見ている真紀を見る。彼女は傷があるが正明より元気そうだ。

 左目のスキャンで真紀の魔力の状態をみると、正明はホッとした。かなりの魔法を放ってはいるはずだが身体の状態は良好だ。少し無茶のある訓練ではあったが、アイリスのリスク管理と正明のスキャンでの魔力管理の賜物だろう。他の仲間達もそれを理解して真紀の相手をしてくれている。

 真紀は現状でも魔法使いとしては非常に優秀な人材だ。特に、正明の予想通りの才能が開花しつつある。


「即死魔法は・・・・・・僕の力」

「お兄ちゃん?」

「本来はこの力は同じ魔法で、表裏一体・・・・・・蘇生魔法は真紀の力になったか。僕にはどうしても一人じゃ出来なかった。沢山の人間を殺して、魂を研究して、他人の技術を奪って、ようやく術式を見つけたって感じで」

「お兄ちゃん? どうしたの?」

「でも・・・・・・この力は、即死魔法よりも沢山の人間を狂わせるかもしれない。その力でおかしくなった人間を知っているよ、奴は自分を神だと言った。真紀、これから君は死んだ人間を蘇らせる力を得ることになる」


 正明の言葉に真紀は呆然としている。

 突然の兄の言葉に困惑しているんだろう。正明は真紀の手を握る。


「これは僕の我儘だ。その力は真紀の物だよ、でも、絶対に人前で使わないで欲しい! 特に力のある人間の前では、そして、誰にも言わないで欲しい。僕や仲間達、華音はその魔法は当然知っている・・・・・・でも、たとえ友達でも隠してくれ、たとえ愛した人でも」


 正明の言葉は警告でも命令でもない、懇願だった。


「お兄ちゃん・・・・・・そんな力があるなら、私は人を助けたいよ」

「ダメだ!!! 例え子供でもその魔法で助けるな! そうなると、周りの人間はそれ以上の人間を殺すぞ! 人間は自分の願いの為なら自分の家族も殺すんだ、俺みたいに! 仲間達の様に! その魔法は人間以外に使え」

「でも、見殺しにするなんて」

「それが、君の背負った代償だ。残酷な人間達に渡るぐらいなら、君は残酷にならないといけない」


 正明はそう言うと顔を伏せた。

 即死魔法が人々から畏怖され、断罪の対象になる破壊の力なら。蘇生魔法は数多の人間に危険な欲望と衝動を撒き散らすどす黒い希望の力。

 この魔法を何故初代の船長は生み出したのだろうか、正明も使用人達も執事長やメイド長も知らない。

 真紀はそんな正明を見て、悲し気な顔を見せる。兄の小さな背中には余りにも濃くて深い人間の業がのしかかっているのだろう。そして、その業を体現する者の一人でもあるのだろうと。

 無目的の力を振るうのは神の所業だ。


「僕達は、元々は1つの命」

「私達は、2人で1人の力」

「夜はやがて明けるよ・・・・・・真紀、その朝に君は誰よりも強くなる」

「ふふっ、無理だよ。お兄ちゃんには勝てないよ」


 真紀はそう言うと笑った。

 その笑顔は兄の予言めいて、不吉極まりない言葉が持つ雰囲気をかき消すための物だった。



「双葉!」


 俺は病室に入ると、そこには点滴のチューブを繋いで身体に回復魔法の魔法陣を浮かした状態でベッドに横たわる彼女の姿を見た。

 その他にもオーダーの隊員達が怪我を負って運ばれてきていた。

 よく死者が出なかったものだ。殺意の高い魔法や武器での襲撃だったようだが、何故か俺のリストバンド型の魔具が異常を知らせてくれなかったのは何故だ?


「敵の人数を把握するのは難しい。某が叩き切ってくれたからな、死体安置所に首なら並んでいるが」


 腰に差している日本刀をカチカチとならしながら、俺と同じ約束の四人の真田 椿がそう呟く。


「犯人を殺した? それは殺人だろ! 国の部隊にいるならせめて確保に勤めろ!」

「ふん、貴様は某の上官ではない。そもそも、死神の飼い猫を殺すために作られた部隊だ、邪魔立てする愚か者は切り捨てるまで」

「イカれた奴め!」


 俺は椿の胸倉を掴もうとするが直ぐに刀が抜き放たれ、俺の首に付き尽けられる。

 やられっぱなしでたまるかと、俺も手甲を出して奴の首を掴む。


「止めなさい! 2人とも、今はそんな事を言い合う場合じゃないわ! 飼い猫の作戦かもしれないのよ!? 奴ならオーダーを襲撃する理由があるじゃない!」


 睨み合う俺達に美樹の活が飛ぶ。

 俺は舌打ちをして手を引く、椿も鼻で笑うと刀を鞘へと納める。


「飼い猫じゃないかもな。アイツは双葉を気に入っていた・・・・・・歪んでいるが、アイツは気に入った人間が殺しに手を染めない限りは攻撃しないだろう。魔理も同じだ、奴は彼女を守っている」

「やけに飼い猫の肩を持つわね」


 美樹はそう言って双葉を見ると彼女の服を突然捲りあげる。双葉のいい感じに引き締まったお腹が丸見えになるが、そこにはナイフで刺されたような傷が見えた。


「魔化しているナイフね。傷の治りが遅くなるなんて可愛い物じゃないわ、出血が止まらなくなるっていう品物よ。こんな物一般人が持てる武器じゃないわ、確実にギルドの武器よ。裏からの物資を手にしたいならその経路はギルドが全部抑えている! そのアンダーグラウンドに死神の飼い猫は存在する」


 美樹の言葉は最もだが、これは簡単に決めてはならない事だ。

 

「飼い猫が本気で来たなら全滅している。双葉でもアイツらの仲間一人にも勝てない、それぐらいあの連中は強い」


 その時に病室に黒岳豊久が入って来た。

 双葉をチラッと一瞥すると、無表情で口を開いた。


「弱いな、コイツは足手まといにしかならない。手掛かりの1つも掴めずに無様に生きながらえるとは」

「黙れよ、隊長」


 俺はそれだで身体の魔力が背中からあふれ出した。

 紅い粒子が撒き散らされる。


「コイツは必死に戦って隊員達を守った。そして、必死に生きてここに居る! お前の物差しでコイツの価値を測るんじゃねぇよ!」

「お前は一々噛みつかないと気が済まないのか? まぁ、いい。コイツらを襲ったのは五年ほど前に姿を現したカルト集団だ。この前のデモ隊の先駆けのような連中だが、きな臭い噂には事欠かない。事実、そのメンバーが起こした事件もあってだな、その実行犯は魔医学の兎に殺されている。それでも信仰心は失っていないようだ」

「は? カルト集団?」

「裏の人間っぽいが恐ろしい事にそこにいる侍女が斬り殺した連中は身元が割れている。何の変哲もない一般人として生活していた奴も混ざっていた」

「それって!」


 黒岳の言葉に美樹が驚きの声を上げた。

 そうだろうな、一般人が殺されたんだ。しかも猫狩りからな、世論が黙ってないだろうな。


「もみ消しは完璧だ。連中は、死神の飼い猫の怒りを買ってオーダーとの乱闘の際に殺された。この連中は一般人を守ろうと奴と戦った英雄だ」

「警察の、指示なのか!?」


 黒岳の言葉が俺は信じられなかった。警察がそんな事をして良い訳ない!


「そうだ。上層部の意向で、政府も黙認している。それだけ死神の飼い猫は脅威なんだ、歴史に名前を残す程の殺人犯な上に世間が奴を支持したらこの国の秩序は崩壊するどころか、もしもギルドをアイツが統一したらどうなる? 物流や技術力を抑えられたら殺人鬼に国を支配されるぞ」

「だが、一般人の死をもみ消すなんて」

「お前も兄弟達の一人なら解るだろ? 力を何かに使うかぐらい」


 俺はその言葉に押し黙ってしまった。

 わからねぇ、この力は俺の物なのかもわからねぇし、誰かを守ろうとしても俺の力は強すぎる。振るえば誰かを、物を、命を簡単にぶち壊す力だ。

 何に使えばいいんだ? 父さんにはこの前も会えなかった・・・・・・どう使えばいいんだ!? こんな莫大な力を誰に使えばいいんだ!?


「猫狩り部隊。これよりカルト集団の調査を開始する。しかし目的が解らない・・・・・・なんのメリットがあるんだ? 飼い猫の信者なら下手に殺しをするとは思えん」

「邪魔だからに決まっておろう? 某を見て喜々として短刀を抜きよったわ、飼い猫の奴めはよう解らんが動いてるとは思えんな。あの狡猾な悪党が粗末なことはせん、某がいるのなら幹部や自分が来るだろう」


 黒岳の意見にも、椿の意見にも賛成だ。

 アイツは行動はに見えて罠や仲間の奥に隠れている、それなのに必ず自ら姿を現す奴だ。手下だけの玉砕覚悟の特攻なんてアイツらしくない。

 その時、病室にもう1人誰かが入って来た。


「やあ! 遠山タケル参上! 御取込みの所失礼! 狙いが解ったかもだぜ!」


 満面の笑みでタケルがそう言うと、手首の魔具を操作する。

 すると、突然猫狩り部隊の手首の魔具が反応した。何かの術式が切れた合図だ。寝ているオーダーの隊員達の魔具は反応してない。


「誰かがいじくりやがった。だが、内通者じゃないぜ? 魔法だ。あらかじめ目星をつけていたようだな」

「どういう事よ!?」

「美樹お嬢さん! 俺達は猫狩り部隊だぜ!? 双葉ちゃんもそうさ、連中の目的は猫狩り部隊! 当たり前だろうな、周りのオーダー諸共攻撃してちゃ混乱するだろうが。これでハッキリしたな」


 タケル、お前どんだけ行動が速いんだよ!

 俺達が動き出そうとした瞬間だった。その場にいる全員の手首の魔具が音を立てた。


「出陣か・・・・・・おい、この反応」


 その時に俺の脳裏に飼い猫の仮面の横顔が浮かんだ。それは黒岳も椿も同じだった様で、辺りを見渡している上に目つきが殺意に滲んでいた。

 なんだ? 今の奇妙な感覚!?


「奴が来る」


 誰かは解らない、俺かもしれないし黒岳か椿か解らないが。誰かがそう呟いた。



「鳴神華音さんですね? 猫狩り部隊の」


 華音は突然そう話しかけて来た男に普通じゃない雰囲気を感じ取っていた。

 彼女には言葉の抑揚から少しだけ気分や感情を読み取れる。その男の声色は、怒りの感情が押し込められている様だった。それに、その手には銀色のナイフが握られている。


「飼い猫様の未来の為、死んでもらう!」

「えっ!?」


 いきなり男のナイフが華音を襲った。一撃目は首を切ろうとしたが彼女が腕を前に出して防いだが、流れるように次の攻撃が腹部に突き立てられた。容赦のない一撃、それにその力は人間の物とは思えないほど強く、彼女の身体は浮き上がり道路に転がった。


「あっ、かはっ」


 肺の中の空気が強制的に体外に出され、吐き気が腹部で爆発した。華音は刺された部位を片手で抑えて腰の銃を引き抜いて襲撃者へと向ける。


「ん? パワードスーツでも貫けるはずなのに、お前の服は何で出来ているんだ!?」

「うっ、え・・・・・・ふぅ、ふぅ」


 答える余裕なんかない、恐ろしくて堪らない。突然一切のためらいも無く殺そうとしてきた人間の殺意を浴びたらこうも身体が萎縮する物なのだ。

 華音のコートや制服は正明と御堂 衛が共に開発した魔具だ。魔法陣を編み込んだ繊維を服に仕立てた上に防御魔法を表面にコーティングした代物で、衝撃を空間へと散らす効果がある。だが、その防御能力を無視してダメージを与えたという事はかなりの対魔法用の術式が組み込まれているという事。

 それに、ルーン文字が彫られているのを華音は見つけていた。

 正明が華音に話した古い魔具の製造法が記された魔導書に書かれていたルーンの言葉。現在にも伝わっているものの、原文は様々な人間が持ち去ってしまったと言う技術だ。その文字が呪文であり、魔力を吸って簡単な魔法を発動させるものだ。

 恐らく、華音が回復魔法を使っても出血が止まらない所を見ると正明が持っている吸血鬼の花嫁衣裳アームズ・オブ・ヴァンパイアロードと似た力だろう。


「まぁ、良い。次は首にあてればいいだけだ」


 辺りは大騒ぎだが、警察やオーダーの応援は間に合わないだろう。


「死ね」


 その言葉に、華音はガラにもなく。

 激昂した。


「し、死んでたまるかぁ!!!」


 男の顔面に彼女の拳がめり込んだ。軽い彼女だが、40㎏そこそこの体重が顔面にぶつけられたら鼻の骨ぐらいはへし折れるだろう。と言うか、そうなった。

 何とか体制を整えてナイフを突き立てようとするが、直ぐにもう一発顔面にいいパンチを受ける。


「簡単に死ぬか! 私の命をお前んなんかに、やってたまるか!」


 彼女の頭に浮かんだのは両親と妹の顔、そして、正明の背中だった。

 男は顔には出さないが、今は身体の中に鉛を溶かした液体をぶち込まれたような不快感にあえいでいた。口の中には痛みが広がり、酷い耳鳴りに、全身には刺すような感覚、視界は歪んで立つがやっとだ。


「ぜぇ! はぁ! な、なんだ? くそ」


 いよいよ隠せなくなって来たところに華音の拳がもう一発来る。だが、男もがむしゃらにナイフを振り回して彼女の腕や顔を切るが、構う事無く膝蹴りを顔面に撃ち込まれる。


「効くか! 刑務所にぶち込んでやる!」

「くそ! 死ね! クソアマ!」


 男は華音の太ももに深々とナイフを突き刺す。


「う! ああああああああ!」


 華音が痛みに叫び声を上げると、男の体中に鋭い痛みが走った。叫ぶことも出来ない衝撃だ。

 その時だった、アスファルトが一気に冷たくなった。そして、何処からともなく風が吹き込んで鼻孔を薬のような匂いがくすぐる。男は歪む視界で何が起きたかを見る。黒い霧に響く硬質な足音、奥からやって来る蒼い光が左目の光だと男が気付くころにはその不気味な気配の正体を理解した頃だった。

 それは身体の小さい女の子だった。

 黒い猫耳パーカーに腰からは蒼い液体で満たされた小瓶が大量にホルスターに収められている。指には魔具であろう指輪、フードを被っている上に仮面で顔が解らないが綺麗なラインの身体をしている。


「おい、彼女に何をしたんだ?」


 口から冬を吐き出しているのか? と思うほどの冷たい声。


「なに?」


 男がそう言うと突然口の中に仮面の少女のブーツの爪先がねじ込まれる。その上、両手両足に魔法の拘束を受ける。

 そして、次にはその爪先が下に下げられる。顎が外れると思った男は首を動かして回避するが直ぐに爪先の代わりにナイフが口に突っ込まれる。


「何をしたんだ? 教えてよ。僕は、機嫌が悪いんだ」


 そう言うと、彼女はナイフを引っ込める。


「死神の飼い猫さまを狙うその女を殺しに来たんだ! お前は何者だ!」

「え? あー、そう言うことね。潜り? それともにわか君かな? 何をしたんだって聞いたのに目的を話してるね・・・・・・お返ししないと」


 そう言うと女の子は男のナイフを拾い上げる。すると気だるそうに自前のナイフと一緒に男の両手に魔法で突き刺した。


「ぐぁあああああああああ! うわあああああああああ!」

「叫ぶな」


 更に口を魔法で抑えられる。まるで拷問官だ。

 女の子は華音の前にひざまずくと声色と一変させる。


「華音! 大丈夫!? 兎、早く来て! ルーンのナイフだ、止血して!」


 霧の中からもう1人のうさ耳パーカーの女の子がかけ出て来た。そして、男は悟った目の前のこの女の子こそが。


(し、死神の飼い猫さま)

「なんだよ? お前、僕が丸くなったなんて思ってないだろうね? 拷問は止めようとしたけど、痛みと屈辱感って便利なんだよね・・・・・・逃げ出そうとする奴を縫い留めておくのにはさ」


 男はこちらを睨み付けた女の子に身体を震わせる。

 間違いなく彼女は怒っている。もう、激怒の部類だろう。


「華音、目を閉じててね。コイツ、バラバラにしてやりたくなって来たから」

「止めて! いいよ、もういいよ! 正明、大丈夫だから。私は怪我したけど、もいいよ! その人はまだ誰も殺してないよ!」

「僕の大切な人に手を出すなんてね。こんなに傷付けて・・・・・・それが、僕の為だって!? ふざけるんじゃない! 覚えていろよ、お前を送り込んだ連中も一人残らず地獄にぶち込んでやる」


 左手が男の顔面を鷲掴みにする。それと同時に男は精神が瓦解していく感覚に襲われた。


「んんん!」

「お前が第一号だ! 楽にしてやる!」

「止めて! 正明!!!」


 華音は後ろから正明と呼ばれた女の子を抱きしめる。だが、男はその時、仮面が左半分だけ消えている事に気付いた。そこには奈落の底の様に冷たい蒼い瞳、自分達が信仰していた者の正体を男は垣間見た気がした。

 死を信仰していたんだ。


「もういいよ。私は無事だから・・・・・・ね? 帰ろう、お家に帰ろ?」

「くっ・・・・・・わかったよ、華音。でも、お前の心は連れて行くからな!!!」


 男はその叫びを聴いた後に、真っ暗な空間に心を閉じ込められた。

 そう感じたのは本人だけだ。傍から見れば、男は何もない空間を見てヘラヘラと笑うだけの肉塊と化していた。こうなればもう人間とは呼べないだろう。

 人払いの魔法が切れる頃には、その場には両手にナイフを突き立てられた状態で爆笑する男だけが取り残されていた。男は暗い部屋の中で泣きながら出してほしいと懇願しながら、何年何年ものた打ち回る事になった。

 目撃者は女の子が襲われたと言うアバウトな記憶しか残っていなかった。人気のない場所、それに何かの魔法が使われたのだろう。駆け付けた警察や猫狩り部隊はロクな情報を集められなかった。

 だが、解った事は在る。この被害者の男性は手に刺さったナイフからカルト集団の一人、そして拷問の末に精神を砕かれたのだ。ほんの数分で、そんな事を出来る魔法使いがいたということだけ。約束の四人の内の三人は悟っていた。

 アイツをこのカルト集団は本気で怒らせたのだと。

深紅に滲む信じる心

思考を閉じし者たちの愚かな歌よ

昼をさ迷いし純白の乙女

夜を舐める盲信の剣よ

彼を呼べや、彼女を呼べや


死を前に膝を折って祈るが良い

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