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操魔学園支部治安維持学生部隊オーダー 4

本日はもう一発!

少しでも楽しんでいただけたら幸いです!


 目を覚ますと俺は病院の天井を眺めていた。

 記憶があいまいで、魔力強奪犯と戦ってそして、誰かが俺の邪魔をした事しか覚えていない。


「はっ! 美樹は!」


 突然俺は美樹の事を思い出した。

 魔力強奪犯に魔力を吸い取られているはずだ! 何処に?


「彼女は隣のベッドで休んでる。魔力は何故か、動ける程度には回復していた。しかし、ショックが大きかったんだろうな」


 隣のベッドに視線を移すと、美樹が寝息を立てていた。

 そして、声の方へと向くとそこには一人の男が立っていた。随分とチャラい男だ。ラフなシャツは胸元が開いていて胸板が見えている。髪は前髪がかき上げられており、薄い青色のゴーグルのようなサングラスをかけている。右手首には銀色の腕時計、左にはブレスレットが付けられている。耳にはピアスが付けられていて、右目の下には風をイメージしたような刺青が入っている。

 なんて情報量の多い男だろう。


「あ、アンタは?」


 俺が質問すると、男はニヤリと笑うと自己紹介を始める。


「俺は御堂 衛。元オーダーの副隊長、そして今は竜王の剣部隊副隊長にて、パワードスーツ開発の権威兼操魔学園大学部魔法工学教授って感じ? まぁ、パワードスーツ・・・・・・正式名称、魔導鎧シリーズの産みの親だ」


 御堂 衛⁉ 彼が言う通りの超が付くほどの有名人だ!

 一年でパワードスーツを基礎から作り上げ、現在は量産体制まで可能となる程技術を安定させた本当の大天才。飛び級で大学を入学して間もなくで卒業して今は教授をしている男だ。

 テレビでもその姿は見たことがある。

 俺はそう言う人種とは関わる事ないだろうと意識していなかったから一目ではわからなかったんだ。

 

「なっ! なんで、アンタが⁉」

「それはね、君が」


 御堂の声色が変わる。

 ハッキリと解る怒りの感情。


「俺の親友を半殺しにしたからかな?」


 は? 俺が、人を殺しかけた?

 何が何だかわからない。


「今日の午前中の事だ、魔力強奪犯を止めるべく出動したオーダーは敗北。そこに駆け付けた新人隊員と現オーダー隊長殿は戦闘を開始。隊長はあっさりと返り討ちにあって、新人隊員は感情が高ぶって我を忘れた状態で交戦。近隣の住民は避難誘導も無しに戦い始めた君たちにさぞかし驚いた様だ」


 声に力が入っている。

 元副隊長なだけあって杜撰な行動が許せないのだろう。


「そこに、オーダー別動隊・由希子の私兵部隊である竜王の剣部隊が到着。住民と怪我人の避難に加えて、隊長の由希子が魔力強奪犯と戦闘開始。新人隊員と現オーダー隊長の安全を優先して撤退を進めるも、新人隊員はそれを拒否、由希子に強力な封印術式を浴びせた上に不意打ちで彼女を蹴り飛ばした」


 俺が、そんな事を⁉

 御堂は強く拳を握っている。どうやら、真実らしい。


「由希子は第三~第八肋骨を骨折しその骨の数本は肺に突き刺さった。強烈な打撃による内臓への被害も尋常じゃなく、パワードスーツが無ければ確実に心停止していた。おまけに、建物へと衝突した時に右の上腕骨が骨折して、全身打撲に加えて頭部に瓦礫で出来た深い切り傷まであった」


 御堂がベットの柵を強く叩く。

 そして、サングラスの縁を軽く指でなぞる。すると、ある音声が流された。


(冗談じゃねぇ! あんたみたいな傲慢な奴の言う事は聴かねぇ! 奴は俺がぶっ殺す!)

(邪魔だ! どけ!)


 ゴガッ! ドゴォン、ガリガリガリガリ! ザッ、ザァァァァァ・・・・・・

 

 何かが激しくぶつかる音とそれに、小さかったが確かに何かが潰れるような鈍い音が響いて音声は止まった。


「俺はパワードスーツに常時通信魔法を送って、彼女のバックアップをしていた。お前の言動も、行動も音声も全て記録に残っている。これは立派な殺人未遂だ!」


 御堂は叫ぶと手の平に拳銃を召喚すると、俺の額に押し付けて来る。


「今すぐ、ここでお前の腐った頭を吹き飛ばしてやりたい。だが、そんな事は由希子は望まない・・・・・・だろ! 由希子!」


 御堂は拳銃を仕舞う。

 俺は彼が向いた方角を見ると、そこにはボロボロの由希子が立っていた。見るからに立っていられない程のダメージだ。

 これを、俺が?


「由希子。寝てろよ、な? 死ぬところだったんだぞ?」

「私が間抜けだっただけだ。いつも警戒を怠るなと言う私がこの様だ、みんなに示しがつかないだろ」

「示しとかどうでもいい! お前を完璧な人間だなんて誰も思っていない!」

「衛、私の心配は良い。それよりも、三神翔太郎。混乱している様だな」


 汗まみれの苦しそうな表情で、杖を付きながら由希子は俺のベッドの前にまでやって来る。

 衛は椅子を用意すると、彼女を座らせる。


「お、俺の所為なのか? 俺がアンタをっ!」

「それは真実だが、私は君を訴えるつもりはない。そうだな、スキルの暴走と言う物だろうか? 以前にも私の後輩に、スキルの所為で少しおかしくなった奴が1人いた。君の暴走もそれに起因するものである可能性が非常に高い」

「由希子、今回は容認できないぞ? 彼女は殆ど一人で乗り越えている、コイツが同じように行くかどうかなんて保証はどこにもない! 解析結果も話しただろう! 時代が時代ならコイツは即刻死刑だ!」


 死刑⁉ 

 解析結果?

 由希子は苦しそうだが、あくまで冷静に話を進めている様だ。


「君のスキルの概要を教えてやる。起源まではわからないが、君のスキルは魔力の無限増殖だ」

「は、はぁ⁉ 魔力の無限増殖⁉ てか、解析結果って何をしたんだ⁉」

「そんな事を知ってどうする? 私も、御堂も驚いたんだ。それに、私の身体に施した魔法阻害と封印術式は何処で学んだ?」

「は? 封印術式? 何だよそれ、俺はそんな魔法知らねぇよ」

「知らない? それならおかしい」

「知らない魔法を使う奴はいないからな。魔具も持っていなかったしな・・・・・・死神の飼い猫が何か細工したのかも疑ったけど、連中は必死に由希子の命を救った。隊員の話からすると、仲間や外部と協力してまでも救おうとしていたようだ」

「なに? 聴いてないぞ! 衛!」

「あ、やべ! 由希子、良いじゃないか! 結果的に後遺症も無しに治療出来たんだから!」

「い、いいわけあるか! 殺人鬼に命を救われるなんて!」

「由希子、連中とは何度も戦った。それに一年前だって、利害関係だったが協力しただろ? それに、アイツ等は罪の無い人間は殺さない。何故かはわからんが、何か思惑があったんだろう」

「くっ、まぁいい」


 由希子は荒い息を整える。

 御堂はその様子を心配そうに見ている。俺も状況が解らない、俺の力の概要は無限の魔力・・・・・・ではなく、魔力の無限増殖。

 永遠に魔力を増やせる。

 てっきり、俺はその力が封じ込まれていて抑えているのかと思った。まさか、増やしていたなんて。


「三神翔太郎、君は今の自分と向き合わなければならない。しばらく風当たりは強いだろうが、話はみんなに私の口から通しておこう。そして、美樹は優秀な人間だが戦いには不向きだ。戦闘で自分よりも強い人間と戦った事が無いからだろうな・・・・・・君には相棒と、先輩を付けてやろう」


 由希子はそう言うと、一言「入れ」とだけ言った。

 その言葉に二人の隊員が入って来た。

 一人は茶髪のベリーショートの男子だった。にこやかな顔で俺に手を振って来る。

 もう一人は見たことがある人間だった。金髪をハーフアップにしたエメラルドグリーンの瞳を持つ女の子だ。彼女は、一年前までオーダーのイメージキャラクターだった。

 鳴神華音だ。


「始めまして、三神翔太郎君。俺は操魔学園優等クラス第二学年の遠山タケルだ。名前はカタカナでタ・ケ・ルな? よろしくぅ! 今日からこの俺が君のサイドキックだ!」


 茶髪の活発そうな遠山はノリノリでポーズを決める。

 こ、コイツ・・・・・・バカなのか?


「始めまして、私は鳴神華音。スキルの事で悩んでいるなら私になんでも相談してね! って言っても経験談になっちゃうけど。今は落ち着かないだろうけど、2人でバックアップするよ!」

「華音ちゃん良い事言うねぇ! おい、任せておけって! 早速だけど、翔太郎って呼ぶからな!」


 華音はにこやかに俺へと右手を伸ばして来た。

 それに俺はためらった。


「良いのかよ、俺は総取締役を蹴り飛ばしたんだぞ? しかも、いつ暴走するかわからねぇ」

「その時は気を付ければいいんでしょ? これは受け売りだけど。人ってさ、そう簡単に独りになったりしないんだよね。独りに固執するよっぽどのバカじゃ無ければってね」


 華音は俺の右手を無理矢理にでも掴んでくる。

 遠山も笑顔で彼女の後に俺の右手を掴む。


「よし、決定だな。美樹は、そうだな・・・・・・監督不行き届きで始末書。一応翔太郎、お前も始末書だ今回の件はスキルの暴走を知りながらそれに対応できなかった私にも非がある。三神翔太郎、君をオーダーに入れたのにはこういうことが理由だ」


 由希子の言葉に御堂は大きなため息を吐いているが、その口元は緩んでいる。

 自分自身でも意味が解らない。一体、なにが自分に起きたのか、そして、その力の意味にも、ただ、これから始まるような気がした。

 物語が、動きを見せている。

 何故か、俺の中には恐怖は無かった。



「無理するからだ」

「そんなのは慣れっこだろう? 衛」

「いつからか、名前で俺を呼ぶようになったの」

「バックアップし始めたあたりからか? 少なくとも、最近だな」


 御堂は由希子に肩を貸して病院の中を歩いていた。由希子を病室まで送るためだ。

 

「なぁ、衛」

「なんだ?」

「意識飛びそうだ」

「だから無理すんなって言ったんだ!」

「おぶってくれ」

「後輩居ないから途端に弱気だな」

「うるさい」


 御堂は何も言わずに由希子を背負うと、彼女はそのまま眠るように落ちてしまった。


「ったく、優の奴め・・・・・・早く帰って来い。俺に押し付けやがって」


 笑う御堂は、手のかかるボスをやれやれと言いながら運んでいく。

人間ってのは意外と独りにならないものですよ? 独りに固執するよっぽどのバカでない限りね。

このセリフは本当に私が言われたことです(笑)

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