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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
死神の飼い猫は正義なのか?編
73/289

自称健全な人々へ 3

炎は青い方が熱が強いんですってね

続きです!

3


 殺人が起こった。

 例のデモ隊が再び集まり、行進を行った。ただでさえ迷惑行為な上に、日頃から鬱憤うっぷんを貯めた心の捻れた連中だ。魔法が苦手なだけでゴミ扱いされ、人を怨みながら大人になった連中の集まりだ。

 それらが何も知らない一般人から批判されたとか、それが理由で一般人の女性が射たれて死んだ。


「こうなるとはな。やっぱりと言うか、解っていたと言うか」


 正明はその現場を見て仮面をつけると、女性を撃ち殺した犯人の顔を見る。普通の青年だ、これまでの人生で人を殺す程に荒むようには見えないが現実は違った訳だ。

 

「俺達を勝手に祭り上げるのは構わないが・・・・・・無関係な人間を殺して平気な奴なら。消えてもらう」


 正明はホルスターを輝かせると転移魔法で青年の目の前現れる。そして、彼の顔を左手で触れる。

 命を砕く魔法が、彼を恐怖や絶望よりも先に死を送り届けた。

 辺りが悲鳴に包まれるが、正明はすぐにその場から消え失せた。


30分後


「現行犯だった。目の前で殺しが起きたよ、あのデモ隊どうにかしないと」


 正明は隠れ家の一つであるバーで八雲と話していた。

 あのデモ隊は本物だ。正明も何度か見かけたし、メンバーの顔も覚えていた。その中で突然、もめていた女性が撃たれて死んだ。左目のスキャンで確かに心臓が撃ち抜かれる様を観たのだ。間違いはない。


「そんな事が、みんなには?」

「伝えたよ」

「そんな騒ぎが起きたんだ。もしかしたら臨時ニュースとかになるかもね」

「いくらなんでもこんなに速くは」


 八雲は軽く指をならしてテレビの術式を発動する。画面にはやはり事件現場が写し出されていた。

 辺りは赤い炎が燃え広がり、大勢の人間が血を流して倒れており、怪我人が次々と転移魔法のゲートの中に担架で運ばれて行く。


「ま、正明? ここまで、やる必要は」


 八雲は冷や汗をかいてその惨状を眺めているが、正明には全く覚えが無い。

 殺したのは一人だ。転移魔法は勿論、即死魔法は滅びの力であって破壊の力ではない。爆発なんて起きないはずだ。


「違う。僕は、一人しか殺していない! こんな、大規模破壊を僕だけでは出来ないよ! 鎧を着ないと! でも、僕は使ってないよ!」

「解った! 落ち着いて、大丈夫、何かの間違いだよ。こんなアホな事を皆を呼ばずにやる君じゃない」


 正明はそのニュースが死神の飼い猫を犯人として取り上げているのを黙って見る。


(今回のデモ隊への大規模攻撃による、大量虐殺には殺人犯・死神の飼い猫が関わっているとして警察は調査を進める方針です)


 そこには正明の姿がはっきりと写っていた。しかし、これは青年を殺した直後の映像だ。


(目撃者の話によると、飼い猫が姿を表して消えた直後に一斉に炎が襲いかかり、通行人を含めたデモ隊を巻き込んだとのことです)


 炎。

 正明は炎を良く使うが、彼の炎は赤い炎よりも熱い蒼い炎を使う。それに正明、死神の飼い猫を写した映像が綺麗すぎる。まるで来るのを待っていたかのように。


「これ、僕が綺麗に映りすぎだよ。ぶれもないし、しっかりと即死魔法を構えた所と転移魔法を使う直前の仕草」

「魔法でいくらでも加工できるよ」

「事件から30分しか立っていない。こんな速度の報道で、目撃者のインタビューまで済ませている、その上で映像と画像の加工? 可能だとしても不自然過ぎる」


 正明はソファーにぐったりと身体を沈める。悪名高くなるのは別に構わない、誤解されても構わない、が、問題はそれに大きな者の力が加わらない事が条件だ。

 明らかにおかしい。まるで、死神の飼い猫が犯人であることを一刻も速く人々に知って欲しいと言わんばかりの報道だ。


(デモ隊のほとんどが壊滅、生存者はわずかであり、今後護衛の目的で病院への警備強化を図る予定で)

「・・・・・・これは、来いって言ってるのかな?」

「さぁ? でも、どうする?」

「世間では、自分の信者すら焼き払う悪魔か。くそ、時期が速すぎるんだよ。昨日、結構叱ったばかりなのに」


 正明は、忌々しいと言わんばかりに呟く。


「少し、速いが・・・・・・真紀を強くする。魔法を使わせない様に言ってきたけど、やむおえない。彼女は強くならないといけない、僕がいなくなってから幸せに生きる為に!」


 正明は真紀が20歳の誕生日を迎えると死ぬ。

 それまでに、兄弟達の因縁に決着がつかないなら、真紀が自分を守れなくてはならない。

 因縁は仲間達が引き継いで終わらせてくれる。だが、真紀は普通に生きる事になる。それでも狙われるのだろう。その脅威から自分を守るために、彼女は正明を超えなければならない。


「正明君、もう僕達も戦いに備えて力をつけてる。彼女も、強くなるべきだ」

「忘れるな。あの子に教えるのは、生きる術だ。俺達みたいな殺しの力じゃない」


 テレビにはまだ現場が写されていた、容赦の無い攻撃に転がる死体。

 

「問題は、誰がこれをやったのか・・・・・・だな」


 まるで、戦場のようだ。と正明は考えていた。

苛烈なのは前の人だけか

くるぶる火種は導火線に燃え移る

静かな炎は突然現れる

影に灯したマッチの火

悪い子だぁれ?

火の手が、挙がる

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