四人目 5
レールガンはロマン。近代兵器は魔法には負けないぞ!
5
戦いは案外速く決着を見せた。
俺は炎を勢い良く放出して攻撃と目眩ましを同時に行う。が、そんなに甘い奴らじゃないか。
「待て! 俺じゃない。奴をやれ!」
「なんだ? この魔力量!? 流石、そんなに未熟なままセフィラに加入出来る訳だ!」
「関係ねーよ! 魔理! 帰るぞ、来い!」
「待って、翔! 私まだ」
「口を閉じろ、舌を噛むぞ」
飼い猫の言葉に魔理が素直に歯を喰いしばると、奴の乗るモービルは真横に滑るように移動すると壁をまるで吸い付いているようにかけ上がってその場で停止した。
そこでモービルのアームが大量の武装を俺とスタンロッドの男へと向ける。マシンガンやバズーカとか、トンでもない兵器が一斉に発射される。俺はパワードスーツの防御力で効かないが、スタンロッドの男はどうだ?
「ほう、この鎧は強いな。これだけの攻撃を受けてもダメージがない」
「撃て」
感心する男だったが、次に飛んできた青い光線に吹き飛ばされた。
これ、一見ビームだが実際は弾丸を青い光が尾を引いていただけだ。俺は飼い猫を見上げると、後部座席の魔理が変形したライフルを構えていた。
多分あれから撃ったな。
「よし、命中した。次弾を装填しておけ、奴にはこの武装でも十分じゃない」
「は、はい!」
飼い猫は壁を走りながらスタンロッドの男を追撃するが、突如として凄まじい雷が何本にも枝分かれしながらモービルを襲った。
くそ、魔理も巻き込まれる!
「やめろ!」
「邪魔をするなら貴様から排除するか、三神翔太郎」
俺とスタンロッドの男は炎と雷の力でぶつかり合う。余波でプールの水が蒸発し、雷が壁に穴を明けて炎が支柱を溶かして行く。こいつ相手には、手加減出来ない!
「翔が! どうしようあんな力、見たことない!」
「落ち着け、大丈夫だ。ヴァルキュリアの対電撃用術式を発動しろ、奴の身体に撃っても防がれる。頭を狙え、今の奴にはこの弾速は追えない」
「でも殺しちゃうよ!」
「アイツをそれで殺せるならお前を連れてきていない。嫌なら右肩を狙え、突っ込むぞ」
背後からの声に俺は冷や汗をかく。パワードスーツの集音性の高さにもビックリだが、魔理は多分撃つだろうな!
アイツは俺の事になると冷静じゃなくなる!
「三神翔太郎、お前は何者だ? こんな出鱈目があるか、スキルだけでは説明がつかない。何故、耐えられる?」
「なに!? そんなの知るかよ! 勝手に巻き込んで、勝手に好き勝手しやがって!」
背後から来る。
俺は魔力を腕に集中して、封印術式を奴へ施す。こいつは少しの間動けないはずだ!
「封印、術式。さっきから魔具や魔法が不規則なのは、貴様のせいか」
「魔理! 撃て!」
俺が叫ぶと、俺の顔の横スレスレを青い弾丸が通り過ぎて奴の肩口に直撃した。
「逃げるぞ、三神翔太郎。長期戦だと不利だ」
「魔理に関わるな。お前の世界に彼女は連れて行かせない!」
俺はモービルに飛び乗ると拳を飼い猫に構えるが、突然モービルが消えた。
なにかを考える隙すらなく俺と魔理はオーダーの隊員達の待つ避難所に転移魔法で飛ばされた。
もちろん飼い猫も一緒だ。奴は転移魔法を阻害して拳を構える俺を見る。
「女は沢山いるが、誰が特別とでもないか。杉崎魔理、お前の協力に感謝する。戻るが良い、お前の心が誤る事がないように祈る」
「は、はい! こちらこそ、ありがとうございました!」
「魔理! こいつは殺人鬼だぞ!」
「で、でもなんか先生見たいで・・・・・・それに、私に力の使い方を教えてくれるし」
魔理は困った顔でそう言っている。
困るのは俺だ。確かに単にイカれている奴じゃないのは知ってるが、それでも何人も殺している殺人犯だ。
「三神の言う通りだ。俺は殺人鬼、君は竜王の剣部隊。相容れない」
「みゃー」
飼い猫がそう言うと魔理の肩から白い子猫が降りて来た。それはトコトコと飼い猫の足元に頭をスリスリさせて何処かへと走って行った。
なんか、今だと白い子猫の方が死神の飼い猫っぽかったな。
その時だった。
「飼い猫! ここに優が来てるな! 何処だ! さっきまで会っていたのか!?」
由希子が突拍子もなく襲いかかって来た。飼い猫は彼女の剣を盾を召喚して受け流す。
「優か・・・・・・俺の仲間に聞かなかったのか?」
「教えてくれない、お前がさっきまで戦っていたのでは無いのか!?」
「戦っていたが、それがなんだ? 昔の、お前を捨てた男だろ?」
「違う! 彼は私を捨てた訳じゃない、無責任に女を捨てる男じゃない事は私が一番良く知ってる!」
由希子は更に斬撃を放つが、飼い猫は黒字に金の装飾がされた剣を何本も召喚してさばいている。二人とも本気で戦っていないな? 話すために戦っている。
「確かにいた。隠すことはないな、奴は化け物になっていたよ。強大な魔法使いに心酔し、人間を捨てて、兄弟達の手引きをしている」
「嘘だ! 優はそんな男じゃない! もしそうなら、お前にあの日に殺されていたはずだ!」
「由希子さん、君は強い。彼を忘れて前を向け、知ってる男はあの夜に俺が殺したんだ」
それだけ告げると飼い猫は右手をつきだして由希子を波動で怯ませると、霧のなかへと歩いて消えて行った。
それを見ていたのか、奴の仲間達も霧へと歩いていく。
「待て! 飼い猫、行くな! 待ってくれ、待てったら!」
取り乱した由希子は必死に霧を掴むが、何も掴めずにその場に崩れた。
その手に光る、ロケットを握りしめて。
黒い仔猫にこばんわ
金の蝶に良い朝ね
恋する乙女に1日はこれからよ?
迷える青年に悲劇はこれからよ?
背中の翼にはじめまして
自分の心から翔びなさい




