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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
内通者と四人目編
63/289

四人目 3

続きです!

ご意見や感想があれば遠慮せずにお願いします!

3


 辺りが騒がしくなり、武装した人間が出てきてから真紀は身を隠していた。翔太郎や魔理、美樹は強い魔法を使えるが真紀は自分の実力を隠すようにしていた。と言うより、正明にそう言われていたのだ。

 身を隠しは良いが、次々とゲートは閉じて彼女だけ取り残されたと言うわけだった。

 今は子猫に化けて観賞植物の茂みで丸まっている。

 下手に動くのは危険と判断したのだろう。その時、彼女の頭上を何かが猛スピードで通り過ぎ、その風圧で子猫の真紀は舞い上がられてしまった。


「みゃー」

「え!? 猫?」


 通り過ぎたのはヴァルキュリアを着た魔理だった。プールサイドに転がって鳴いている真紀を見つけると彼女は抱き上げる。


「もしかして、真紀?」

「うにゃあ? みにゃー」

「うーん、違うのかなぁ? 彼女ってなんか不思議なんだよね。この前だってこんな子猫が翔の肩に乗って来たし、全く同じ猫に見えるんだよね。てか、微妙に言葉通じているし」

「みー、みー」


 魔理は子猫を魔法で肩から落ちないようにして乗せると、戦闘音の激しい方を向く。

 子猫を連れていく訳にはいかないが、まだテロリストはいるだろう。

 周辺を警戒して銃を構えようとしたその時だった。突然巨大な乗り物が壁を通り抜けて現れたのだ。破壊ではない、スルリと壁を抜けて現れたのだ。

 それに乗っていたのは蒼と黒の鎧を着た戦士の姿。それはまるでおとぎ話の中で語られる魔王の様に見えた。が、魔理はこの存在を知っている。


「死神の飼い猫!? なんで、こんな所に」

「そんな顔をされたのは今日で二度目だな。杉崎魔理、力を貸せ」


 姿は知っていた。だが、声が違う。

 その声は女の子ではない、まるで一国の主かのように低く、しかしはっきりと聴こえて何処か優しさを感じさせた。なのに不思議と魔理は知っている飼い猫とは別人と思えなかったのだ。


「え?」

「強大な魔法使いが集まり、遠くない未来に戦いが起こる。その立役者が四人、三神翔太郎はその内の一人だ。その四人が全て集まった。三神翔太郎を救い出さなければ、奴は暴走する」

「し、翔が? な、何の事かさっぱりだよ!」

「アイツは独りにしてはいけない、奴の力は史上最強。暴走させれば悲劇を生む、今が分岐の一つ。彼を救う、その為には君の力が必要だ。誰よりも彼を知る君が、さぁ乗れ!」


 叫ぶその姿は以前に優しく自分を導いた(彼女)ではなく、威厳がある一人の(男性)のモノだった。魔理は手を取るとモービルの後部座席に乗り込んだ。


「君のお父さんとお母さんに約束した。これから、戦況がどう転ぼうと僕は君の味方だ」


 魔理はその言葉で理解した、この彼だか彼女だかは解らないが、この魔王が両親の前で礼をしていたのは約束をしたからだろう。そして、償い。この人は過去か、これからの多くの過ちに対して償って行くのだろう。魔理も飼い猫に魔具を埋め込まれたことで両親を失った。

 だが、独りではない。両親を失った現実には一人で立ち向かわなければならないが、彼女は独りではない。翔太郎、真紀、いちご、美樹、そして飼い猫。奇妙だが、彼女はこの殺人鬼にすら支えられている。

 レバーを押し込んで、死神の飼い猫は猛スピードで施設内を爆走する。



 場は混乱のそれだった。

 飼い猫が去った後、スタンロッドの男が突然襲い掛かって来やがった。日本刀の女の子が直ぐに闘い始めたが、素の技術が桁違いだ!

 奴は、軍隊か何かの部隊で戦闘訓練でも積んできた様な感じだな。しかも魔力量も凄い、結構な魔法を放っているのにまだ魔力が尽きてねぇ。しかも女の子はパワードスーツを着ているが、奴はパワードスーツを着ていないのに互角に渡り合っている。


「ちぃ! ちょこざいな!」

「筋はいいな、日本刀の持つ繊細な闘いを心得ている。が、身のこなしがまだ硬い」


 男はスタンロッドを引き抜くと彼女の攻撃を捌くとカウンターでパワードスーツの顔面へと力強く叩き付けた。彼女は首を動かして肩の装甲で受けてから奴に組み付いて床に倒すが、奴の身体が何かに引っ張られる様に彼女の束縛から逃れた。


「その鎧、パワードスーツとしては不充分であると見た。貴様の強さは本物! だが、所詮は人間! パワードスーツの力には敵わぬよう!」

「確かに、この鎧が腕力や身体を強化している気配はない。が、それだけでは無いようだ。飼い猫の奴が何故ならこれを渡したかは定かでは無いが・・・・・・お前のスキルはこれのお陰で防げているのかな?」


 スタンロッドの男は会話の途中で腰の器具から何かを射出した。

 ワイヤー? でも、見えない!?

 その見えないワイヤーが日本刀の女の子に巻き付いた。と思えば、ワイヤーが巻き上げられる音と共に彼女は体制を崩しながら奴に引き寄せられてスタンロッドの突きを喰らっていた。


「っ! ぐぅううう! 出来る!」

「お前が未熟なだけだ」


 俺は身体にある刺青が発光して苦しがる女の子をみる。彼女は俺を蹴り飛ばした奴だが、一番なにもして無いのに苦しんでいる。


「何をしている? スキルを抑えているのか? 精神汚染と戦う事を拒絶したか、お前は簡単に始末できそうだ」


 男は日本刀の女の子を蹴りで吹き飛ばすと電撃をまとったスタンロッドを変形させる。それはまるで電撃で形成されたランスと言う武器にみえる。


「勘違いするなよバカが、オレはな・・・・・・一度力に飲まれた。お前達がスキルをいくら使おうが、どんなに強かろうが、知ったこっちゃあねぇ」


 ゼェセェと息をはきながら彼女は男を睨み付ける。なんて、目をしているんだ。まるで、人間じゃないみたいだ。


「血や名誉だ、正義だぁ? オレはオレだ! オレはもう自分を諦めたりなんかしねぇ! 人間を諦めたりなんかしねぇ!」

「そうか、死ね」

「嫌だね」


 彼女は不適な笑みを浮かべて男を睨み付ける。

 そのランスが叩きつけられる前に俺は彼女を抱えて空中に逃げる。


「おい! なんの事かわかんねーことで殺し合い始めるな! お前なに者だ!」

「同業者を知らないとはな。今日セフィラになったばかりだから知らないのも解るが」

「まさか、お前も?」

「俺も、セフィラだ」


 俺は彼女をプールに投げると奴の電撃から逃す。それと同時に俺は奴に突っ込んだ。反撃が来ることは簡単に解った。

 俺は火炎魔法を膨大な魔力で組み上げると奴へと吐き出す様にぶつける。

 美樹は急いで水の中に隠れた。さっきの女の子もプールの中だ、直接狙われた奴にはどうにもできないだろう。

 だが、俺の目論見は外れたな。


「くそっ、セフィラってのは化け物揃いかよ!」


 俺の魔法は奴に直撃した瞬間に紅い光の粉に変わって霧散してしまった。


「なんてパワーだ。俺にこのスキルが無ければ、どう避けていたか解らない!」


 奴は電撃のランスを構えて俺に特攻して来る。ランスの切っ先を防御魔法で防ぐ、電撃のランスは俺の防御魔法のシールドで霧散しながらも俺を刺し貫こうと迫って来る。

 俺は身体を回転させてランスの軌道を外して、息を一瞬止める。さっき、鋼夜の鬼とそして紫色の瞳の男を見て思い出したショットガンの様なパンチを実践してみる事にした。

 簡単だ、一息に一編に複数の拳を撃ちだすイメージ!

 ドッ!!

 奴の身体に六発の拳の後が浮かぶ。


「何!? この、パワーは、しかも同時に六発!? くっ!」


 奴は叫ぶと吹き飛んでいくが、その時に嫌な予感がした。

 俺は奴を追いかけるように飛ぶと、身体を空中で捻って下方へと逃げた。


「勘の良い奴め」


 さっきまで俺の首の位置にキラリと光るワイヤー、あの野郎! 俺の首を飛ばそうとしていやがったな!?

 俺は着地すると拳を構える。奴も体制を整えて着地すると腰から下げていたナイフを引き抜いて構える。

 強いな、何と言うかコイツの強さは飼い猫達の強さと似ている。場慣れしていると言うのか? それにさっきの魔法を霧散させた攻撃、コイツのスキルは魔法の無効化なのか!?


「この姿だと、苦戦するか。仕方ない・・・・・・ミッション・バトル」

(OK.BATTLE・MODE)


 奴の身体にパワードスーツが装着されて行く、だが、パワードスーツと言うには何処かスマートな感じだ。追加装甲程度に考えた方が良いかもしれない。

 俺のパワードスーツと比べると無駄のない感じだな。


「さて、対象の再起不能を目的に行動を開始する」

(パワーモードを推奨します)

「それで行こう」


 俺は身構えたがその瞬間、奴は目の前に迫っていた。

 化け物かよ! 速すぎる!

 俺はブースターをふかして前方へと突っ込んだ。奴は飛び上がると俺を踏みつけるように急降下してきやがった。俺はそのまま床を砕く勢いで踏みつけられる。


「ッ! 野郎、お前! セフィラなら国と関係のある人間だろ!? なんでこんな殺し合いをする!」

「俺はミッションを遂行する。貴様等ら兄弟達の始末、精神汚染で人々を楽しみで殺す危険因子の排斥が俺に与えられた使命」

「国家の命令か!? ふざけるな、全ての兄弟達が暴走するわけじゃない!」

「お前は? 自分の何処かが狂ってないとでも?」


 奴の言葉に真紀の言葉が被った。

 (強い人間は、何処かしら狂っている)

 狂ってなんか、いない。俺は自分を保っている、俺は飲まれてなんかいない。


「お前と、一緒にするな。俺は乗り越えてこの場に立っている!」


 俺は背中から紅い翼を噴射して奴を吹き飛ばす。


「精神汚染なんていくらでも乗り越えられる。お前の一存なんか知るか、お前の雇い主が思う真実なんか俺が粉砕する!」

「お前も同じだ。俺と」


 再び俺と奴がぶつかり合う寸前に、奴の身体を何かが霞めた。それの所為で奴は壁まで人形のように吹き飛ばされた。


「ぐは! くっ! レ、レールガンか・・・・・・不意打ちとは、良い趣味をしている。だが、ダメージは」

(戦闘継続可能。九時の方角、大型モービル1、乗員二名)

「飼い猫か」


 俺はレールガンの飛んで来た方角を見る。

 そこには化け物の様なバイク? に乗った鎧姿の飼い猫とその後ろにライフルを構える魔理。


「魔理!? また奴と」


 飼い猫バイクの側方から機銃らしきものを出すとそれを惜しみなくばら撒き始めた。

 俺は飛び上がって回避するが、その数発は日本刀の女の子と紫の瞳の男、そしてスタンロッドの男にも被弾している。とんでもない兵器だ、殺すつもりで奴は攻撃している。


「ここでの勝負は俺が預かる。全員、この場は納めて散れ! それも止めないなら、懸かって来るがいい。この手で沈めてやる」

 

 飼い猫と同時にオーダーの女子隊員達もその場に到着した。


「な、なに? この状況!?」

「あれ、モービル? バイクみたいだけど」

「隊長! ご無事ですか!?」


 そこからは早かった。紫の瞳の男と日本刀の女の子は床に転がるサイサリスを引きずってゲートの中へ、そしてスタンロッドの男は一辺のためらいも無く飼い猫に襲い掛かっていた。

 電撃のランスと飼い猫の引き抜いた剣がぶつかり合い青白い光を放った。

 混乱を極めた場面で、俺は隊員達に指示を出す。


「みんな! 引いてくれ、この場にいると危険だ!」

「我々も同じオーダーです! 足手まといですか? 隊長!」

「・・・・・・そうだ。この次元の戦いにお前達は立てない! 一般人を守ってくれ! 美樹、みんなの指揮を頼む。魔理は、奴と一緒にいるが引きはがして必ず連れて帰る。みんな、行ってくれ!」


 美樹は苦い顔をすると、全員へ撤退の合図を送る。


「行くわよ! 兄弟達の戦いはスキル戦、経験が薄い私達では確かに危険よ。翔太郎! 無事に帰りなさい! これは師匠の命令よ!」


 相変わらず上からな師匠だな。


「解ったよ、師匠。さて、ラウンド2と行くか!」


 俺は魔力を体中に蓄えて二つの脅威に挑む。

驚異は突然

深淵なる懐より出で

知らず知らず世を飲み込む

かつての彼はそうならぬようにした

力を分けることで

独りを否定した

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