四人目 2
レベル1からいきなり100、1000になって行くのが翔太郎
レベル70の仲間と強力な装備で戦うレベル1が正明。
差と言えば経験値ぐらい。
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正明は普段の服装になると、身体に魔装をまとう。ホルスターも小さな物しか使えなかった上にあの場にいた翔太郎を丸め込んで前衛張らせたのは良かった。下手したらサイサリスに相当な苦戦を強いられていただろう。
仲間達も装備無しではキツい。万全で無い状態で約束の四人に囲まれた時は生きた心地がしなかったが、シレっと帰る事が出来て良かった。
正明達はプールから少し離れた場所、多分駐車場に繋いだゲートに霧を繋げて避難した人々に混ざる。
「巧は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃない。速く戻りたいけど、無限を超えた充足を使わないと殺されるかもしれない。最高攻撃力と最高速度で巧をかっさらう。その場をめちゃくちゃに掻き乱すぞ、あのスタンロッドの男には絶対に一人では襲いかかるな。アイツはプロだな、武装を結構多く隠していた」
正明はそう仲間達に言うと、人気の無い場所に行く。
何とか無限を超えた充足を起動する必要があるが、起動には瓶をフル解放して術式を組み上げ無くてはならない。
最悪な奴が最後に出てきた。
椿、巧の戦闘スキル事態は我流であり悪く言うなら素人戦法だ。翔太郎は戦闘経験が少ないだけだが、あのスタンロッドの男は今の翔太郎の上位互換とでも言うべき相手。戦闘、殺人のプロフェッショナルだろう。
今の正明達では不意討ちしないと確実に負ける。
正確には勝てる確証が無いのだ。スキルの正体も掴めていない上に化け物の様に強い。一対一では誰も勝てない。
「くそ、俺達もまだまだだな。もっと強くならねーと」
だが発動するにしても、鎧を持ってきてないなら自由に発動することは難しい。こんな事ならギルドで作動させておけば良かったと思う正明だが、アホの様に魔力を喰うのでそれは出来なかった。
最悪だと彼は毒づくと急いで魔方陣を組み立てる。歌うような気分ではないが、正明が歌おうと口を開けた瞬間。
「正明?」
背後からの声に正明は飛び上がると声の方を見る。そこには華音の姿があった。
「さっきの人達、誰?」
「見てたの? て言うか、なんで? あっ、そうかオーダーだったね」
「心臓止まるかと思ったよ、いきなり血だらけで吹き飛んで!」
「げ、幻術だよ。そんな事より、今は説明の時間は無いんだ。結構怒ってるでしょ? スキルで感覚がおかしくなるから落ち着いてよ」
正明は少し怒ってる華音のスキルで五感を少し乱されてふらふらしてしまう。
「無事なら良いけど、今どうなってるの? 真紀ちゃんは?」
「・・・・・・あっ! ま、真紀。オーダーと逃げてないのか!?」
正明はデバイスを空間に広げてスコープにすると左目のスキャンとも合わせて施設の中を見る。そこにはうろうろと周りを見渡している真紀の姿があった。
このままでは連中と鉢合わせする。
「真紀! クソ! 最悪だ、早く、早く!」
正明は息を荒くして必死に術式を組み上げる。が、焦りとメロディーの不足で術式の構築速度が遅い。
その時、華音が優しいバラード曲を歌ってくれる。
「華音?」
「手伝う、真紀ちゃんが危ないなら! 前の約束、守ってね!」
そう言うとまた歌を再開する。食事に誘う約束をまだ果たしていなかったと、正明は思い出して苦笑いをするが華音の歌で術式が高速で構築されると、空から蒼い光が正明の胸に差し込む。そして正明は叫ぶ。
「俺は願う! 飽くなき乾きを癒せ、渇れ果てた大地を海に沈めろ! 限りなき欲望へ絶望を! 無限を超えた充足! INFINITE OVER起動!」
その瞬間に空になった小瓶が送り込まれた魔力で充填され、正明は鎧の形態に、それだけでは無かった。
召喚されたのはバイクだった。だがそのバイクは辛うじてバイクと解る程普通の物とはかけ離れた見た目をしていた。
巨大なボディに複数のブースター。タイヤの無い形状、折り畳まれた機械のアームに機銃、小型のミサイルポッドなど、明らかにただ走るために作った物では無いことが解る。座席のシートはなんと2人乗りが出来るようになっており、操作はバイクと言うよりはロボットのコックピットの様に二つの操縦管が装着してある。
正明が股がるとバイクは空中に静かに浮かび上がった。
バイクの先端に装備された二本の刺突武装を構えて正明は華音を見て一言。
「今夜、噴水庭園にいて。迎えに行くから」
操縦管を押し出して正明は爆発的加速で施設へと突っ込んで言った。
残された華音は少し不安そうな顔をしていた。
「正明、あなたは一体・・・・・・何を倒そうとしているの?」
あの場にいた紅い瞳の人間達、紫の瞳をした男、兄弟達、伊達正明と仲間達。
そして、正明達の進みすぎている技術力と三神翔太郎。
良くない感じがする。華音は正明や仲間達の人外化施術は知っているが、出所を正明は話していない。
何故か解らないが、嫌な予感が離れない。
まるで、これから沢山人が死んでいく前触れの様な。
落ちる雷に時が止まる
限られた場には誰も居らず
脅威は救いへ、薬は毒へ変わる
世に争う力は消えず沸き上がる
それらも皆々様は仲が宜しゅうて
皆が行く先は、死




