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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
内通者と四人目編
61/289

第四話 四人目

唐突に登場する新たなチートになるであろう奴の入場です

1


 サイサリスは俺の様子を見ると含み笑いの様な、不気味な顔をしていた。

 俺の背後では飼い猫が何かはわからないが魔法を組み上げている。美樹も俺の隣に並び立った。


「おい、お前は」

「良いのよ。私は貴方の師匠、弟子が危険な奴と戦うんだから黙っていられないわ!」


 美樹はライフルを構えて空中に浮き上がった。高速移動で撹乱、俺の攻撃力で奴を抑える。決して倒してはならない戦いか、きついな。

 飼い猫の仲間達は武器を納めて下がった。

 どういう事だ? 味方をするわけでは無いのか?


「兄弟、俺はね。お前達の席に着きたいんだよ」

「は?」


 サイサリスはそう言うと、右腕の時計に魔方陣を重ねる。すると奴の身体に以前の男子隊員達が俺を襲った時と似ているパワードスーツが装着された。


「人間、それぞれが何かしらの椅子に座っている。料理人は料理人の、平社員には平社員の、医者には医者の、王には王の。お前達は王の椅子に座っている。俺はその一つ下だ、我慢出来るか!? 俺もスキルに目覚めている! 人を操り、心を壊すスキルが! 王に相応しい力だ!」

「長話の暇、無いのはお前だぞ?」

「お前を殺して、俺はその椅子を手に入れる!」


 俺は魔方陣を展開すると、突っ込んでくる奴へとカウンターの火球を撃ち込む。パワードスーツの防御魔法への牽制のつもりだったが、威力が強すぎたのか装甲が溶けてしまった。


「げっ、これでも溶けるのかよ!」

「バカが! 魔法のコントロールが効かないなら殴れ! お前の防御力なら安全だ! 北条は関節を低出力で狙え!」


 後ろから飼い猫の怒号が飛ぶ。

 俺は言われた通りに奴に接近すると格闘戦にもつれ込むが、奴は腕に仕込まれていたマシンガンから弾丸をばらまいて来た。俺は奴の腕を殴りあげて銃口をそらすと、拳で奴の装備を破壊する。


「出来れば拘束しろ! 北条、体勢を」

「言われなくても!」


 美樹の援護射撃はサイサリスの体勢を崩し、俺はその隙に奴の関節を決めて床へと倒す。

 

「ぐっ、嘘だろぉ? なんて、奴だよ俺のパワードスーツはそこいらのオモチャとは違うぞ!? なんで溶かせる、なんでこんなに差があるんだ!」


 その台詞に俺は鼻で笑うだけで応える。こいつには本気を出すまでもない。


「最後まで油断するな。どうやら、スキルの発動には制限があるようだな。例えば、意識外の対象にしか能力の影響下に置けないとか」


 飼い猫はそう言うとマスクを魔法で剥がしてサイサリスの頭を裸足で踏みつけた。

 容赦ないな、尊厳とかプライドとかも積極的に傷つけるか。嫌な奴だな。


「攻略は掴んだ。もうお前は俺達に勝てない、いや、この小さな俺にすら手も足も出ないだろう」


 飼い猫の言葉の後に正体不明の魔法が発動する。だが、サイサリスは苦しむ様子も無くきょとんとしている。

 が、次の瞬間。


「ふん、やっぱりな。その子の他にも配下に置いた一般人はかなりの数だ、このクズめ。自由だ、みんな逃げろ」


 飼い猫は一人で何やら言うと腕を一振りする。そこでサイサリスが焦った様な声を挙げた。


「ま、まさか・・・・・・お前!」

「さて、返すよ。俺のを返せ」

「おい、何をしたんだ? どういう事だ?」


 俺がそう言うと、飼い猫は素足でサイサリスの首を踏みつけて締める。奴が気絶するとあっさりと教えてくれた。


「一時的にスキルを交換した」

「それが、お前のスキルか?」

「違う、これは魔法だ。名付けるなら、再現術式かな? 既存のスキルが起こす現象を短い間だが、七割ほど実現させる。性能はがた落ち、時間は短い、素肌での接触が必須、バカみたいに消費される魔力など問題点ばかりの出来損ないだが」


 へぇ、そんな魔法もあったのか。

 知らない魔法もあるが、俺のスキルは人に渡したくないな。


「あり得ないわよ! スキルの交換!? それに、スキルを魔法で再現ですって!? スキルはまだ正体すら掴めていないのよ!?」


 美樹が騒ぐが、俺には良く解らん。

 俺が持つスキルも謎だらけだ。それに、この街は普通の人間が集まる様な場所じゃないだろ?


「変に騒ぎ立てないだけ、大したものだ。器はそこの北条よりは上か」

「な、なんですって!? やっぱりこのクズは生かしておけないわ」

「ここで戦っても良いが、もし今ライフルを俺に向ければ・・・・・・確実に死ぬぞ?」


 こいつは魔力を消費しないのか? いや、魔理に渡した魔具の完成品を持っているなら回復しているに違いない。

 それに、いくら俺がいてもこいつらの仲間にすら苦戦する。と言うより、こいつらは以前にも増して強くなっている様にも感じる。

 

「よせ、美樹。殺されるぞ、今は向が有利だ。仲間もいるし、それにほら、アイツ」


 俺はなに食わぬ態度でその場に立つ鬼を指差した。

 常人なら死ぬ力で殴り飛ばしたのに全く意に介していないようだ。防具も優れているが、奴自身のタフネスも化け物レベルだ。防具を封印魔法で無効化してもこれだからな。


「賢い判断だ、良いぞ。戦う時は回りに意識を飛ばし、気は常に滴に向けろそして、倒せないならその場での最善の手を使い逃げるんだ」

「うん、あれ? お母さん?」


 そう言う飼い猫の近くで気絶していた男の子が目を覚ました。


「飼い猫! その子は見逃せ! 無関係な子供だ!」


 俺は右手を奴へと向けて牽制をする。いつでも撃てるぞと。

 たが


「お母さんの所には、あのお兄さんとお姉さんが連れて行ってくれるよ」

「お姉ちゃんは、誰?」

「悪い奴だよ」


 男の子は意外にも飼い猫を怖がっていない? 見た目が少し猫っぽいからか? それとも声色が優しいからか?

 俺の所に来る男の子とすれ違う様に飼い猫の仲間達が奴の元へと集う。


「良いのですか? サイサリスは生きてます」

「連中がどうにかするだろう。本来なら殺すが、そんなことしたら」


 飼い猫の言葉に被せる様に遠くから女子隊員達の声が聴こえる。

 

「ほらな?」

「成る程、これは難しいですね」

「ヘイ皆の衆! ヤベーイ奴が来るよ!」


 マジで唐突に空間からあの夜に出会った狼が姿を表す。

 ん? 狼? なんか、引っかかる。


「これで四人か、少々時間がかかったな」


 エリアの入り口から巨大な雷が撃ち放たれ、俺はそれを魔力を流し込んで霧散させる。

 入り口からゆっくりと、一人の男が歩いてくる。

 艶のある黒髪に、刃物みたいに鋭い燐光に、腰にはスタンロッドと呼ばれる武器を下げている。黒いコートに、硬質なブーツの音が飼い猫とは違った不気味さを際立たせている。


「四人? 何の事だ?」


 俺が答えると、空間から二人の人間が現れた。

 一人は魔理を狙った紫の瞳の男。もう一人は見たことの無い女の子だったが、腰に日本刀を下げている所を見るに大人しくは無さそうだ。


「あぁ、ご子息様方! よくぞ御揃いになられました! 今この瞬間より聖なる戦いが、次の支配者を決める聖戦が火蓋を切る!」


 紫の瞳の男が叫ぶと、謎の男、日本刀の女の子、俺、そして


「っく! ふざけやがって!」


 もう一人の女の子が姿を表した。

 どうやら魔法で隠れていたようだな。って、アイツは俺を蹴っ飛ばした奴じゃないか!

 彼女も瞳が紅に輝いている。


「約束の四人」


 飼い猫が呟くとため息をついて霧の中へと消えようとした瞬間に、霧のなかから何が謎の男の身体に張り付いた。どうやら鎧のボディーアーマーの様だが、使いやすい様に形を変形させて胸部装甲とスカートアーマーになって鎧の一部は彼の口元をおおうマスクになった。


「ふん、俺を選ぶか。後悔はさせない」


 満足そうに謎の男が呟く。

 それを見届けると、飼い猫達は霧の中へと消えた。

 残された俺達は互いににらみ会う。

 約束の四人、その全ての人間が大きな可能性を秘めた力を持つことは俺でも感じ取る事が出来た。

何で来たの?

君は誰?

僕らは何?

揃いも揃った破滅の力


こんにちは、本当の兄弟達

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