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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
内通者と四人目編
54/289

コスプレプール 2

次回、海賊王射殺事件!

嘘です

2


 逃げおおせた正明と真紀は流れるプールのエリアに来ていた。大きな洞窟をイメージして作られているのだろう。入り口があり、洞窟の中に入って一週してくるか、そこから別のルートへ進んでいくかなどちょっとした迷路になっている。

 迷子なんか魔法を使えば見つかるので、少し複雑な構造をしていてもいいのだろう。

 正明は元の水着姿に戻ると、ホットパンツを普通の水着に戻す。


「これで落ち着くよ」

「ホットパンツ嫌いなの?」

「パーカー脱いだら間抜けでしょ? 僕は男なんだから」

「おっぱいない私だね」

「そう、と言っても真紀だって貧乳だけどね」

「大きくするもん」

「心配しないで、20歳ぐらいなら志雄と同じ位になるから」

「あっ、変身で私の大人になった姿になれるんだった」


 真紀はそう言うとプールに足をつける。正明も同じく足をつけるとプールサイドに座っていると、聞き覚えのある声がした。


「翔! 凄い、これ何処に続いているのかな!?」

「さぁな。一週して回って来るのか?」

「いえ、中に別のエリアに向かう道もあるそうよ? 冒険気分で楽しそうね」


 言わずもがな、三神翔太郎と杉崎魔理、北条美樹の三人だった。正明は無言で浅い場所で姿を隠すが、真紀は友達を見つけて向かって行ってしまった。


「魔理ちゃん! 偶然! どうしたの!?」

「ん? 真紀ちゃん! 凄い、偶然だね!」

「おに、じゃなくて、お姉ちゃんと後は仲間と来てたんだ。あれ? お姉ちゃん?」


 真紀が辺りを見渡す姿に正明は浮き輪を魔法で取り出してプカプカと浮いてくる。


「浮き輪借りてきた。僕は泳げないからね」

「本当に、そっくりね。翔太郎やウワサでは聴いてたけど、鏡写しじゃない」


 正明の姿を見た美樹は興味深いと言わんばかりに正明と真紀を見比べている。

 真紀は浮き輪に乗る正明の顔をむにむにといじっている。

 そして正明は翔太郎を見る。


「お前達も遊びに来てたのか?」

「そうだよ。でも、なんだかねー。仲間達とはぐれてさー」


 気の抜けた返事をした正明は流れに身を任せて洞窟へと流され始める。


「僕はみんなを探すよ。真紀、探したかったら呼べば行くよー」


 どんぶらこどんぶらこと流され行く正明は集団と離れると、洞窟の中で早速危険因子を発見した。

 アイリスだ。プールサイドに立って何かを確かめるように水に触れている。

 正明はすーっと音もなく近づいて彼女を流れるプールへと引き込んだ。いきなりの事に驚いた様だが、大きくは表情を代えずに彼女は正明と大きな浮き輪の中に入る事になった。

 アイリスはジトッとした目で正明を睨むが、彼は彼女の頭をポコッと殴る。


「何をしてたの?」

「水質調査」

「必要ないよね? ここの水なんて常時、浄化魔法でキレイにされてるよ」

「混ざるかなーって、これ」


 そう言うとアイリスは水着のなかから試験管を取り出す。中身はメタリックグリーン色の奇妙な液体だ。

 正明は左目でスキャンするが、どうやら身体強化の魔法薬らしい。だが、なんでこんな物を彼女は使おうとしているのか。


「身体能力、上がる。みんな、ハッピー」

「ボケ! バイオテロだぞ!」

「ガボガボ」


 無表情でハッピーとか言ったクソウサギをプールに沈めて引き上げると、正明は薬を没収して転移魔法で空間へとしまってしまう。

 人体に無害でもぶちまけられたら最悪だ。


「ほら、他のみんなも探しに行くよ」

「私、泳げない」

「浮き輪があれば楽勝だよ。身体が小さい僕達なら二人でも大丈夫、大型だしね」


 正明とアイリスは一週回るルートを外して別のエリアに向かう道をさかのぼると、どうやらアスレチックが置かれた場所に出た。


「うわぁ、凄いね。あれがウォータースライダー?」


 正明は辺りを見渡しながら一際目立つ巨大な滑り台を指差した。

 その時だった。


「いだぁ! な、なんだよ! 魔力で調整って、少しだけでこんな威力だすなよ!」


 なにやら小さいプール? いや、エリアで騒ぐ声が聴こえた。

 そこにはジャグジーと言うのだろうか、高圧でエアーが噴出される浅いプールで涙目で背中を抑える巧の姿があった。


「兄弟達の一人が常人な訳ないでしょ。巧の魔力は高密度の質が良いのなんだから」


 浮き輪を抱えて彼女の元に正明とアイリスが近づくと、巧は少し顔を赤くする。


「み、見たか?」

「痛そうだったね」

「見んじゃねーよ、クソカッコわりぃ」


 巧はビキニに下には正明が履いていたホットパンツと同じ物を着ている。だが、頭には相変わらず帽子を乗っけている。今はバッチつきのキャップだ。

 タバコは流石に持ち込めないので今は左脚、右腹部と左肩にルーン文字をあしらったタトゥーシールに術式を込めて精神汚染を抑え込んでいる。

 だが、そのせいでヤンキーぶりに拍車がかかっている。


「ヤンキー」

「あ?」


 アイリスのボソッと呟いた言葉に巧は自分の姿を見るが、どこも変じゃないと言わんばかりに胸を張る。


「ふん、ここはコスプレしてOKなんだろ? なら少し奇抜じゃねーと浮いちまうだろ、それにな。ここには敵も来るんだろ? ビビらせねーと」

「可愛い。て言うか、カッコイイ」

「可愛い? お前の美意識は鬼が可愛いとか言う京子と変わらねぇな」


 巧はそう言うと、突然瞳を紅く光らせた。

 それに答えるように正明も左目を蒼く光らせる。警戒する様に辺りを見渡すが、誰もこちらを見ている様子はない。

 

「たった今、前に会った侍女がこの施設内に入ったな。強くなっている、格段にだ・・・・・・もしかしたらこの前はスキルが無かったんじゃないか?」

「それは無い。僕はハッキリ見た、彼女の身体は異質なものだった。アレは、スキルに目覚めていない方がおかしい。クソ、せめて宗次郎がいれば」

「宗次郎、さっき海賊の格好して、JKと遊んでた。洞窟の入り口前にある、この、ジャグジーが床から出るタイプの、プールで」


 アイリスの言葉で正明は流れて来た方向を振り返ると般若の形相で空間から巨大な水鉄砲を重たそうに引っ張り出すと、両端に鎧の腕だけを空間から伸ばして水鉄砲を持つ。


「スケベガラスを狩るか。よりにもよって近くに居やがったのか!」


 正明はプールサイドを歩いて来た道を戻り始めた。

 短く笑うと巧とアイリスは彼の後に続いた。



「なんだ? 正明か? なんであんな、ってか! カッコいいなあの魔具!」


 俺はさっき流されて行った正明がデカい水鉄砲をパワードスーツの腕だけを空間から伸ばして持って鬼の形相で逆走していく姿を見た。

 その後ろにはこの前俺をクセ毛の男子と一緒に蹴り飛ばした女子生徒。うわ、タトゥーとかマジかよ。マジの不良だったのか。それと、あの丸眼鏡に銀髪の女の子は始めて見たな。


「あの顔は怒ってるなー、お姉ちゃん」

「いや、見ればわかるわよ! 何よアレ! なんて物持ってんのよ! 凄いお金持ちなの? 貴女の家」


 のんきに正明の様子をみる真紀に美樹が蒼い顔をしてツッコんでいる。

 あの術式もきっと魔具だろうが、あのデカい水鉄砲も相当にいい値段するはずだ。


「お金持ちぃ? うーん・・・・・・執事さんが住んでいる人より多いかな? メイドさんも沢山いるし、でもおにいちゃ、違った。お姉ちゃんはこの前買った車がぶっ壊れた! って叫んでいたし、パワードスーツが七機もダメにして数百万ぶっ飛んだって爆笑してたね」

「成金だぁ! ダメな金持ちだぁ!」


 魔理が叫ぶ。それもそうだ、彼女は節約魔だ。

 俺も正明の金使いの悪さには付いて行けない。高校生なのに車を買ってぶっ壊すなんて、どんな遊びをしているんだ!?

 

「え? 普通じゃないの? 今はそんな贅沢できないけど、私も実家暮らしだった時は夏休みに一千万は使ったわよ?」

「おい! 俺の家にいるうちは千円でも大金だからな! あぁ、そうだ。二人も増えたからな、父さんの仕送りじゃ限界だ。オーダーの収入もパワードスーツとヴァルキュリアのメンテナンスで殆ど消えるんだからな!」

「大丈夫だよ翔、遺産を斬り崩せば」

「やめてぇ! おじさんとおばさんの遺産はお前の進学とかに使うって決めたろ!」


 俺はだんだん不安になって来た。

 金銭感覚が狂った奴が懐にいると気付いた途端に頭痛がして来た。真紀はそんな俺達を尻目に一言。


「まぁ、私の家も金欠なんだけどね? 稼いだうちから消えて行くから」

「お父さんもお母さんも凄いな。高名な魔法使いなのか?」

「二人とも死んだよ?」


 場が凍り付いた。

 この子も、両親がいないのか・・・・・・


「今はお姉ちゃんが仲間とお金稼ぎしてるよ。毎日大騒ぎで、ケンカばかりで楽しそう」

「なんか、犯罪的な感じがするんだが・・・・・・」

「怪しい家ね・・・・・・私が言えた義理じゃないけどね、父親が武器商人とかよくある話だし」


 真紀は人懐っこい笑みで美樹とも仲良くしている様だ。姉の正明とは違う魅力を彼女から感じる、何と言うか、わかってくれるような。

 安らぎの様な物を感じる。


「向こうにはアスレチックのエリアがあるんだって」


 真紀が指さす先には分岐があって、その先からは楽しそうな声が聴こえて来る。

 てか、彼女はここに来たことがあるのか?


「真紀はここには何回か来ていたのか?」

「壁にある見取り図がさっきあったから解ったんだよ?」


 いつ見ていたんだ? 意外と抜け目がないな。楽しそうに話していたのに、周りをしっかりと見ている。

 ここら辺は姉に似ているな。

 少しずつだが、俺はこの姉妹に興味を持ち始めているのかもしれないな。

 真紀と魔理のパーカー組はハイテンションで分岐へと泳ぎ始めた。

集うは悪の種

芽吹く前にある災害の孤児

暗がりの彼方に見えるは蝋燭の炎

水へと投げ込むは過去か

神でも掴めぬ四つの賽か

揺らぐ写し世に猫が前足を突っ込んだ

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