第一話 コスプレプール
コスプレプールって何かで使われてたネタだったような?
確実に存在しているけど、書いている途中でこのネタが過去の記憶とわかった衝撃よ。
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なんだぁ? このプールは?
水着に着替えた俺の目に飛び込んで来たのはプールサイドに立つメイドや、何かのアニメのキャラクターを模した格好の人々。コスプレって奴をしている奴らだった。
なんだか、俺だけ間違えたのか? 普通の水着って、どうしようパワードスーツでも着るか? 俺のは身体の中にある手甲から召喚できるから可能だが。
見渡すが隊員達はまだ来ていない。仕方ない、アウェー感から逃げるために。
装置!
「よし、これで浮かないぞ」
白いパワードスーツをまとうと、俺は美樹達を待とうと壁に背中をつけていたが、なんか、視線を感じるな。
皆、俺を見てないか?
「あの、それ何のコスプレですか!? 凄いカッコいい! 写真お願いしていいですか!?」
そうこうしているとチャイナドレスを着た女の子とその友達か、皆色と少し個性が違うドレスを着ている。
「いや、これは・・・・・・オリジナルだよ。俺のオリジナル、キャラ?」
苦しいか?
「神センスですね! 良いですか! 写真」
「あ、あぁ。良いよ、写真ぐらい」
「ありがとうございます!」
俺は何故かセンターで彼女達の写真に写ることになった。
女の子が魔法でデバイスを浮かせようとしているが、上手く行ってない。
どれ、手伝ってやるか。
「俺が浮かせるよ」
ひょいっと浮かせてやると、女の子達はビックリしたような表情を浮かべる。
「魔法、お上手なんですね」
「これぐらいは何ともないよ。撮るよ」
「あっ、はい!」
写真には笑顔の女の子達と、パワードスーツ姿の俺。
なんだか、照れ臭いな。
「ありがとうございましたー!」
去っていく女の子達に手を降って送り出した俺だが、確かにこの格好は何かのヒーローかロボットに見えるな。
その時だった。
「ん? うわ! パワードスーツじゃん、真っ白!」
俺の前を通りすがった女の子がそう大きめの声で言った。その子は髪の毛がぴょこんと犬の耳のように跳ねていて、活発そうな表情で、笑顔から牙のような犬歯が少し覗いている。犬のような女の子だな。
しかし、凄い格好だな。忍者をイメージしているのか、脚には網目のタイツにレオタード型の水着には着物の襟風の装飾がなされている。うえから丈が短いズボンをはいているが、短すぎて太ももは強調されている。
「気合い入ってるね! お兄さん、それが勝負服なの?」
「ん、まぁ勝負服? なのか」
「へぇ、ベッドが吹き飛びそうな勝負服だね」
「あ、まぁ・・・・・・吹き飛ばせるだろうな」
「女の子が壊れちゃうよ、ヤるときは脱がないとね!」
犬の様な女の子は人差し指と中指の間に親指を突っ込むジェスチャーをする。
なんて、女の子だ。とんでもないぞ?
「女の子が男にそんな事言うもんじゃないぞ? 勘違いされるかも」
「お兄さんは勘違いするの? 食べてみる? おっぱいはそうでもないけど脚には自信あるよ?」
「俺は勘違いしない! あっ! やめろ! 水着の胸元を引っ張るな」
「うへへ、ウブやのぉ」
俺はパワードスーツを解除すると、彼女に向き直る。雑談したいだけのようだからマスクをして話すのは失礼だろうな。
そしたら、犬の様な女の子が顔を突然真っ赤に染めて固まってしまった。
「ん? どうしたんだ?」
「あ、あいや・・・・・・その、は、裸って」
「上はそうだろ? 水着なんだから」
「あ、あぅ、その、さいなら」
彼女はぎこちない動きで振り向くと、プールの中に入って何処かへと去っていった。
なんだったんだ?
他人にウブとか言っていたくせに自分が一番のウブじゃねぇか。
そんなこんなで、美樹達の声が聴こえて来た。
やっと来たか、さて俺も羽を伸ばすとしようか。
「翔太郎! やっぱり速いわね、男だから当たり前か」
「翔!」
美樹は大人っぽいビキニ、魔理はスク水!? アイツ、なんで律儀に校則守ってんだ?
だが、魔理は白に翼の模様が入ったパーカーを羽織っている。
コスプレってコンセプトガン無視だな。
「今日は俺のお祝いって訳だけど、誰がチケットくれたんだ?」
「御堂よ。どんな風の吹き回しかしら? 人数分のよ? 結構な値段になると思うんだけど?」
「御堂は金持ちだからな。好意に甘えようぜ」
俺はみんなを連れて更に奥の方へと向かった。
*
「なんでオーダーが来てるんじゃい!」
プールから引き上げられた正明はぐったりと大の字になってぶっ倒れながら叫ぶ。
水着は普通のもの。
ではなく、ホットパンツ型の水着にうえから猫耳パーカーを羽織っている姿だ。大きめのパーカーなせいで水着はスカートのように隠れてしまっている。胸元は彼のさじ加減で空いており、彼を女の子としてみるならばエロい格好である。
現に彼の姿を通りすぎる人々は二度見していく。
「さぁ? 私には解りませんよ。いきなりここに連れてこられたのですから」
志雄は男装? と言うのだろうか? 髪をコンパクトにまとめ、軍服、軍帽にステッキまで持っている。勿論その下に水着は着ているが。
「皆は?」
「加々美さん意外はいますよ?」
「あの人だかり?」
「そうですね、真紀さんは抜けて来ましたが」
「お兄ちゃん、泳げないのにプール入ったの?」
同じ格好の真紀は正明を上から覗き込むと、彼のおでこを指でくすぐる。
正明はのそりと起き上がると、周りを人に囲まれている事に気が付いた。
何処か、ヤバい趣味を持ってそうなおっさんズが正明と真紀をガン見している。志雄が目付きを鋭くするが、おっさんズは綺麗に頭を下げて叫んだ。
「そちらの双子さんの、撮影よろしいでしょうかぁああ!」
「死にたくないなら消えなさい。私の妹分です、怯えさせたらひっぱたきますよ」
「そう言わずに、お姉さん! 触れませんよ! この一つの芸術の様な二人、お触りなんておこがましい!」
どうやら正明と真紀が一緒にいる所を見て彼らの癖が刺激されたのだろう。
真紀は首を傾げているが、正明は白目を剥いている。
だが、ここで追い返すのも後々面倒臭くなると正明は考えると真紀に耳打ちする。
それを聞いた真紀はイタズラっぽい笑みを浮かべる。その顔は本当に正明そっくりだ。
正明は志雄の前に立つとおっさんズに一言。
「リクエストは、ありますか?」
そのセリフにおっさんズのリーダーであろう、薄い本の悪役みたいなおっさんがリクエストを出す。
「セーラー服から!」
「衣装転換!」
「衣装転換」
真紀が魔法を使うと同時に正明もパーカーのポケットに入っている小瓶で同じ魔法を唱える。
二人は同じだが、細部に違いがあるセーラー服姿になる。
正明は半ズボン、真紀はミニスカートだ。
手を繋いで明るい表情で左右対象でピースサインをおっさんズに送るとおびただしいフラッシュが二人を襲った。
「お兄ちゃん」
「なに?」
「なんか、変な気分だね。モデルさんみたい」
「モデルには背が低すぎるよ、僕達は」
「次は、メイド服で!」
「定番だね、衣装転換」
真紀は白を、正明は黒を主張したメイド服姿に変わる。
「凄い! まるで鏡写しだ! これは、はかどりますなぁ! 何がとは言わぬが!」
その後もドレスや、コート、忍者、ブレザーなど様々な格好をさせられた二人は最後に仕掛けていた魔法を発動する。
すると彼らの持っていたカメラの術式が組み換えられた。
確認しないと解らないが、猫が二人の顔を隠すようにしたのだ。
そして、二人は魔法で煙幕を張るとその場から転移魔法で逃げてしまった。
「あっ! 逃げられた!」
「あれ? 写真が猫に! いや、猫が絶妙な邪魔を!」
「あの二人は逸材ですぞ! 何処に!」
「お姉さん! 二人の知り合いですよな! あの二人はどちらに!?」
女の子に囲まれていた志雄が、くすりと笑って一言。
「さぁ? 猫は気まぐれなので」
水辺を子猫が歩く、ため息つく鬼が見守る
羊は流され、狐は迷子に
カラスは沈み、狼は目を伏せる
ウサギは人に愛でられる
紅い瞳はジャグジーに負けた
隣の敵を無視しながら




