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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
新オーダー設立編
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エピローグ

さて、また章が終わりました。

次回からまたよろしくお願いします!

 魔理の両親の葬儀は直ぐに行われた。

 家が燃えていて既に無かったことから、葬儀場を借りての物だった。親戚の人々が色々と手を貸してくれていたようだ。

 だが、魔理の顔には悲しみ以外の感情は見られなかった。

 俺もなじみが深い夫婦だった。


「なぁ、魔理」

「ごめん、翔・・・・・・私、何にも考えられない」


 魔理と親族が集まるまでの間、俺は待合室で魔理と一緒にいたが会話は全くない。

 その時に、待合室に二人の女の子が入って来た。


「魔理ちゃん」


 1人は真紀、もう1人はいちごだった。

 2人とも学校の制服姿だ。俺もオーダーの制服であるコートをきっちりと閉めているし、似たようなものだが。

 魔理は目の下に深いクマを作っていていつもの明るい人相ではないが、真紀は黙って彼女を抱きしめてくれた。それどころか、彼女は大粒の涙を流しくれている。

 いちごも彼女の側で肩に手を置いていてくれる。

 良い友達を持ったな、魔理。


「みんな、ありがとう」


 魔理がお礼を言って少しだけ友達に甘える余裕が出来た様だ。

 だが、彼女の家には奴も来ていた事は伏せておくべきだろうか。

 彼女は死神の飼い猫からその身に余る力を授かった。だが、それと同時に彼女は最愛の両親を失う事になったんだ。出火の原因は間違いなく放火だったそうだが、両親の死因は出血多量による多臓器不全。つまりは殺されたんだ。

 その現場に駆け付けた警察官は死神の飼い猫と二人の女性を目撃した。

 遺体の前に傅く魔王を見た・・・・・・なんて言っていたな。テレビで見たあの姿だ。


「何も言う言葉が見つからないけど、お悔やみ申し上げるわ」


 美樹も待合室に入って来る。

 いつもの高飛車な様子を見せずに、悲しい顔をしているのは彼女も両親を失っているからだろう。

 俺は魔理に手を差し出す。


「魔理、奴から貰った魔具を俺に渡せ。やっぱり、良くない。それを狙ってその、犯人が現れたとしか考えられない」

「嫌だ」


 魔理は顔を伏せて首を横に振る。

 俺はその姿に少し強く出た。


「今度はお前が狙われるぞ」

「嫌! この力は私が貰った物! あの人は、その力でみんなを助けろって。私の生き方を見つけるためにこの力はどうしても必要なの!」

「死にたいのか!」

「私は絶対に死なない」


 静かだが魔理は力強く発言した。

 その時に蒼い光が彼女の心臓辺りで輝き始めた。そして、魔力の波動を辺りへと放出する。


「これは・・・・・・」


 魔理は少し悩んだ顔をすると、突然上着を脱いでYシャツのボタンも取り始める。


「わっ、何しているの!? 魔理ちゃん!」

「怪我したの?」


 真紀といちごが心配そうに俺から隠しながら彼女を見ているが、息を飲む声が聴こえた。

 

「翔、もう私から魔具は取り出せないよ」

「魔理、一体何を・・・・・・嘘だろ」


 そこには背中に翼の様な黒字に蒼い光が走るタトゥーが刻まれていた。

 彼女の白い柔肌の上に浮かび上がっているそれはおしゃれを目的としたものではなく、魔法陣の1つだ。

 

「魔理・・・・・・それは」

「あの、キューブが私の中に入って行ったの・・・・・・それで、こんなになった」


 服を着ると、彼女は少しだけ笑顔を見せた。

 

「私みたいな人を無くしたい・・・・・・力を持つ人が多くいないのが解った気がするの。きっとこうなってしまうから、失うものが必然になるから」


 魔理は胸に手を当てて祈るようにそう呟いていた。

 まるで、警察官たちが見た死神の飼い猫をなぞるかのように。



「正明、今回のは引き金は貴方かもしれませんが・・・・・・誰かを救う事は少なからずできました」

「そうだね。でも、彼女はあの力を良い事に使ってくれるかな」

「解りません、しかし、違う道を歩む意思は曲げていません。いつかは、我々の敵になるでしょう」


 ビルの屋上から葬儀場を眺める正明は志雄の言葉に確信を得ていた。

 いつかはぶつかるだろう。


「でも、また兄弟達! 増えてない!?」

「あぁ、しかも最悪な奴だ。一般人を使ってきやがる」


 加々美と宗次郎は憤りを隠せていない。

 一般人を盾にされたのだから、それも仕方ないのかもしれない。


「僕も手が出せなかったよ」

「オレも見つかったな。流石に蹴れねぇよ」

「私も、抑えつけてはいたけど・・・・・・戦えなかった」


 巧や八雲、使い魔を使役できる京子でさえも完封されていた。

 アイリスは黙ってフードを被る。


「みんな?」


 背後にゲートが開いてそこから一人の少女が現れる。

 艶やかな金色の髪に、パッチリと開いたエメラルドグリーンの瞳が特徴的な少女。鳴神華音がやって来たのだ。


「華音」

「正明、残念だったね」

「何が? 僕は残念じゃないよ、一番最悪なのはあの子だよ」


 正明は彼女の言葉にそう返すと葬儀場を悲し気な顔で見つめる。

 

「・・・・・・ごめん」

「僕も、トゲのある言い方してごめん・・・・・・ありがとう。また救われたね、由希子さんの時も今回の事も」

「ううん、私は自分が得意な事をしてただけだよ? 正明、少し疲れてない?」

「疲れてなんかいないよ、ただ、少し辛いだけ」


 正明は華音が伸ばしてくる手を拒まず、顔を優しく撫でてもらうとゆっくりと息を吐いて少し救われたような表情になる。

 仲間達もその様子を見守ると、葬儀場を一瞥してから霧の中へと消えて行く。

 最後に残った華音と正明も霧へと沈んで行った。



「今日からここに住む!」

「は?」


 葬儀を終えて数日後に魔理はそう言って俺の家に押しかけて来た。

 

「料理も洗濯もどうせ溜まってるんでしょ! 美樹さんも家事出来る人じゃ無いし、料理も積極手にしないんだもん、翔は」

「ったく・・・・・・俺の家は下宿屋じゃねぇぞ? 来いよ、魔理」

「よろしくね、翔」


 俺は多分生涯こいつの世話になるんだろうな。

 そう思うと、複雑だが少しうれしかった。

次章

 兄さん達

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