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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
新オーダー設立編
31/289

蒼いヴァルキュリア 2

今の章の最終局面に突入しました。

2


 街には隙が存在する。

 表立って言えない技術なんて腐るほどある、その中には簡単に人払いの魔法を使える魔具なんてのもあるからだ。昼間だろうと夜中だろうと密会が開ける。

 その中で、とある雑居ビルに紫の瞳の男は現れた。

 自分の魔具を買うと言うギルドと話をするためだろう。以前契約していたギルドは鋼夜の鬼と魔医学の兎に壊滅させられた。今度はその姉妹ギルドが取引相手だ。

 二つある姉妹ギルドの一つが今回の取引先となる。


「連中に感づかれてはいるだろうな。しかし、ギルドを壊滅してからアイツらは動いてない。不気味だな」


 独り言を呟いて男はとある部屋のドアノブを回す。

 入った部屋には複数人の男女がおり、その中でも一際目立つ刺青の男がソファに座っていた。彼がギルド長だろう、最近殺されたギルド長とは旧知の仲だったらしいが、イラついているのはそのせいかもしれない。

 紫の瞳の男は中折れ帽を腰の金具に留めると、ソファに堂々と腰を下ろす。

 その態度にギルドの人間達は真顔で武器を手に取るが、ギルド長が手を挙げて制止させている。


「今回はお前たちの姉妹ギルドがやられたことで、取引はお前たちに渡った。その報告と、実際の魔具を持って来た。それで取引を」

「壊滅させられた所のボスは、俺の戦友でもあった。ガキの頃から、金持ちに憧れてな・・・・・・二人で良く暴れたものだ」


 相手方のギルド長が明るい声で話を遮った。

 紫の瞳の男は気にも留めずにその話を聴くことにした。それなりに人の人生は面白い。


「ある時な、奴に嫁が出来た。同じ世界にいる女だったが、中々に良い女だったよ。だが、つい最近だ一週間も経ってねぇ。瓦礫の中に夫婦の死体を見つけたのは」


 タバコを咥えてギルド長は物悲し気な目をする。

 その時、刺青が少し赤く光った事を紫の瞳の男は見ていたが、知らないとでも言いたげな顔をして相づちを打った。


「奴は、胴体をぶち抜かれてた。嫁は毒か、強力なものだろう目を開いたままコロリだ。確かに人は殺した。奴も、奴の妻もだが、それなりに幸せを掴む努力はしていた」


 タバコの匂いが部屋に充満していく中で、ギルド長は自分の刺青を撫でる。


「だが、死神の飼い猫。奴すら現れなかった片手間さ、簡単だ。部下のケンカやいざこざレベルの片手間で、俺の戦友は死んだ。お前が、死神の飼い猫が持っている技術を盗んだからだ」


 ギルド長はそう静かに、だが強く言うと拳を握る。

 その瞬間に紫の瞳の男は見えない力に縛りつけられてしまった。


「技術を盗んだ? 何を言っているんだ?」

「ふざけるな! 奴は言った、偽の技術に飛び付いたから殺したと! お前が、あの化け物どもを呼び寄せやがったな!」

「戦友殺した奴を信じるのか?」

「奴の、夫婦の敵だ! この場で殺して死体を通りにぶちまけてやる!」


 紫の瞳の男はニヤリと笑うと魔法を解除する術式を組んで拘束を抜けると、倒れながらソファの裏に回るとそれを蹴飛ばしてギルド長へとぶつける。その隙に懐から銃を抜きながら背後に回っていた部下に体当たりする。

 身体をぶつけた部下は肩から氷結魔法で生成した槍で貫き、もう一人は銃に破壊術式を仕込んだ弾丸で灰にしてしまう。


「死神の飼い猫は良いのか?」

「お前の後にあの女には死んでもらう!」


 ソファを切断して直撃を免れていたギルド長は腕の刺青を赤く発光させて接近してきた。紫の瞳の男はその腕を蹴り挙げて銃を腹部に向け、発砲するが弾丸は意図も簡単に弾かれてしまった。


「面白い術式だな」

「俺自身が魔法の塊さ、死ね!」


 紫の瞳の男は銃を牽制様に乱射して男から離れる。そして周りの部下達に右手から召喚した剣を投げつけて串刺しにすると、魔法で剣を回転させて次々と部下を屠っていく。

 当然ギルド長は襲い来るが紫の瞳の男は相手の高熱の右手に自身の右拳をぶつけた。

 鉄板に石をぶつけたような音が響く。

 ギルド長は目を丸くして、自分の拳の先を見る。そこには金属で出来、紫色の回路が光る義手があった。確実に日常生活を目的に造られてない。つまりは、兵器だ。


「お前の魔法よりも、使える武装だ」


 紫の瞳の男は何処からか取り出した弾丸の様な物を腕のなかに収納する。


(バレット)


 くぐもった男の声で音声が流れる。

 その瞬間、ギルド長の体が宙を舞い、機器の腕の前腕部から薬莢か排出される。

 

「な、なんだぁ!?」

「右手も無事。硬いな、通常火力では難しいか」


 紫の瞳の男は別の弾丸を前腕にセットする。


(ショットガン・バレット)


 ギルド長を咄嗟に手下が守ろうと割って入るが、次の瞬間には手下の上半身は肉塊と化した。まるで巨大な散弾銃でも浴びたようだ。

 また、薬莢が床に静かに転がる音が響く。


「外した」

「死ねぇぇぇ! 化け物がぁ!」


 高熱の火球が死体の影から飛んでくるが、紫の瞳の男は右腕を盾にして左手で銃を構えながら後退する。

 そして


(ショットガン・バレット)


 ギルド長は防御魔法を展開して身を守るが、身体中に弾丸を受けた様な衝撃に血を吐いて膝をついた。

 

「弱ったな? 今なら行けそうだ」


(バレット)


 紫の瞳の男は追撃を仕掛けようとするが、その時に部屋の窓から強烈な光が入り込んだ。


「オーダーだ! 大人しく投降しろ!」


 慣れてない脅迫が聴こえて来るが、逃げるよりも早く窓から妙に露出の高い装備を着こんだオーダーの女子隊員達が乱入してきた。


「飼い猫め、はめられたな。お互い」


 紫の瞳の男はそれだけ言い残すと、拳と銃をオーダーへと向けた。

起きたら違う貴女がいた

見た目は同じ

でも何かがおかしい

君は今、ナイフを握った。

翼を広げた天使が、病室に舞い降りる

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