表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
新オーダー設立編
30/289

第四話 蒼いヴァルキュリア

君のままでいてくれ、善良な人間のまま

お待たせしました。なんか、設定ミスしてたのに気付いたので直して回ります

1


 ふと目を覚ますと白い天井と、電子音が魔理の心音を奏でていた。身体は溶かされた鉛を被せられたように重苦しい。窓の外は暗くなり、すっかり真夜中だろう。

 それなのに、白い天井とわかったのは部屋が明るくなっているからだ。

 何とか回りを見渡そうにも、体が動かず声も十分に出せない。

 その時だった。

 仕切りとなっているカーテンの向こうからくぐもった女の子の声が聴こえてきた。何処かで聴いたことがあるが、どうも思い出す事が出来ない。


「悪かった。背格好の似た一般人が巻き込まれて、君は生死の境をさ迷った。俺の責任だ」


 俺? と魔理は疑問に感じたが、それでもカーテンの向こう側の人物は立て続けに話をする。


「だから俺は君にお詫びに来た。君が心の奥に飼っている怪物から、君を救い出せる力をね」


 何でも、知っている。

 この姿の見えないおそらく女性は自分の事は何でも知っているのだろうと、直感で理解した。


「三神翔太郎、君は彼を愛してるね? だけど、理不尽な現実が彼を私から遠ざけた。許せない、私から彼を奪い取る者はみんな死ねば良い。そう、思っているんだろ?」

「んー! んんー!」


 喋れてないが、彼女は叫んでいた。

 「違う!」と。

 だが、心の外装は容赦ない追撃に砕け散ることになる。


「彼の愛情が、欲しい。独り占めしたい。私が生まれてから積み上げたテリトリーを踏み荒らした、憎い、憎い、殺してやるって」


 違う。

 そう願うだけ、そう、願うことしか出来ないのだ。

 何故か? カーテンの向こうにいる人物の言う通りなのだから。

 新しい友人を持って、少し心が楽になった。

 だが、彼への想いと内に秘めている恐ろしい狂気は健在だった。正直に言えば彼女は憎かった、彼のそばにいる女の子達が、友達になったいちごや真紀がそうなっても自分は恨んでしまうだろう。

 それが、堪らなく悲しい。


「もう、悲しまなくていい。そう思うのは、自分を愛してあげられてないからだよ? 大丈夫、心配しなくて良い」


 シルエットが動いて、カーテンの隙間から細くて白い指が覗いた。それは、ゆっくりとカーテンを開いていく。

 現れたのは、下顎に怪物のような牙が並び、顔の全面を覆う部分は左目だけが蒼く輝き、その他に装飾のない不気味な仮面を着けた少女だった。

 この人物は一般人の魔理でも知っている。


「自分の気持ちに気付けたね? 今は、好きになる相手が違うだけ」


 真紀が、言っていたような事を言う彼女は右掌に青い炎の様に輝くキューブを出現させる。

 それはまるで、忌むべき色であることなど気にもしてないかのように、ただただひたすらに美しかった。


「君は置いて行かれたりしない力を選ぶ権利がある。どうする? 怖いし、不幸を呼ぶかも、この光に群がる虫は多い。どうする? 手に入れる? それとも」


 彼女はキューブとは逆の左手をかざす。


「好きな人の記憶を薄くする? 忘れる訳じゃ無いけど、君の恋は死ぬよ」


 魔理は手を伸ばす。

 左手を選びたくなったが、彼女は手放す事が出来なかった。彼への想いと、思い出を。

 彼女の右手に手が触れる。

 

「後悔はしてもいいよ。僕を恨んでも、これだけは約束して欲しい」


 彼女は優しくそう言うと、魔理の頬を撫でる。


「身勝手な殺しは絶対にしないで、優しいままの君でいて」


 魔理は自然と泣いていた。

 わからないが、何かが心の中に流れ込んで来たのだ。


「おやすみ」


 そこで魔理の意識は深い闇に沈んだ。

残酷な運命が生まれた

未来はわからない

ただ、人は光に群がる

お願いします、神よ

彼女を見捨てないで

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ