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奇跡と偶然 2

続きとなります。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです

2


 見つけた、魔力強奪犯!

 他の隊員達は少し遅れるだろうが、最短の道を造った。

 俺は3~4階層の床を直線にぶち抜いて最下層のエリアまで到着していた。そこは広いドームのような場所で、真ん中に大層なガラスの球体が浮かんでいて、その中に美樹が目を閉じて浮かんでいた。その前には少し美樹に顔つきが似ている、彼女と同じ亜麻色の髪を持つ男が立っていた。


「無茶苦茶だぜ、相棒。でも、結果オーライ! 見つけたぜ、北条美樹先輩! と、犯人」


 遠山は叫ぶと、銃のグリップについているキーホルダーのようなキューブを展開し、身体にパワードスーツをまとう。その姿はミリタリー使用の迷彩柄が施されたゴッツイ見た目だった。敵の装甲や防御魔法を粉砕する目的であろう、滑空砲のような巨体な銃を抱えている。

 俺は手甲に魔力と、奴の糸を受けるために防御魔法を腕に何重も張り巡らせる。


「糞親父、しくじったか。まぁ、俺の妹も今日は調子良さそうだし問題ないか」

「美樹を離せ! 一度しか言わない。もう転移魔法は封じてある、お前はお仕舞いだ!」


 俺は心臓から沸き上がる衝動を必死で抑える。手甲のお陰でなんとか暴れていないだけだ。

 そんな俺に奴は鼻で笑いながら


「全員死ねばスッキリするだろ? 兄弟」


 パワードスーツをまとった。

 俺は一気に距離を詰める。

 空を割くように俺の拳が奴の顔面へと飛ぶが、その腕は正面から火球をぶつけられ、防御魔法が砕け散った。


「なにぃ!?」

「俺の取り柄は糸だけじゃないぜ?」


 すぐさま体勢を建て直すが、腕に絡まった糸が俺の重心を奪った。


「相棒! 避けろ!」

「は?」


 俺は遠山の声に慌てて床に伏せる。その行為に気付かなかった魔力強奪犯は硬質な音を立てて吹き飛ばされた。


「当たった! 相棒! 拘束しろ!」

「滑空砲か! よし!」


 俺は手錠を出して奴に迫るが、奴は背中のブースターで受け身をとってすぐに俺へと腰に下げたサブマシンガンを乱射してくる。

 くそ! やっぱり強い!

 俺は弾幕を天井へ飛んで、手刀を打ち込んで張り付くと電撃を辺りへとぶちまけるが、奴はパワードスーツの背中にあるブースターで電撃と、遠山が放つ銃弾を回避している。

 どんだけ機動力あんだよ!

 

「少しは戦い方がわかったか? だが、まだまだ補助輪付きの自転車のようだな」


 魔力強奪犯はそう言うと、右手の糸を俺の側の天井に取り付けると魔法で天井ごと俺を切り離して引き寄せてきた。好都合だ、この勢いのままにぶん殴ってやる。

 そう俺は殴る姿勢を取るが、奴は無言で俺へと銃口を向けた。

 しまった!


「バカだな、死ね」


 手甲でガードしようとするが、防ぎきれない。

 その時に、魔力強奪犯のサブマシンガンが弾かれた。

 俺が開けた天井の穴から華音がぶら下がって奴の銃を打って弾いたんだ! 銃の使い方上手過ぎだろ! だけど、これで3対1の状況、俺達の方が圧倒的に有利だ!


「邪魔が次々と、魔力視覚化・・・・・・あの女が最弱だな」

「不味い! 華音!」


 俺は天井にぶら下がる華音に奴が右手を伸ばそうとしている所を見て駆け寄るが、魔力強奪犯は隠れた左手で滑空砲を構えていた遠山に氷結魔法を放った。床を凍り付かせながら白い冷気か遠山へと迫って行く。


「やべぇ!」


 遠山は転がって逃れるが、奴は華音へと同時に火炎魔法を放ってそれを推進力にして凍った床を滑って遠山の間合いへと入り込むと糸を右腕に編み込んで彼を殴り飛ばした。

 華音は天井から降りて火炎魔法は回避したが、遠山が吹き飛ばされた直後に彼女へ奴の紅い糸が伸びてその身体を絡め取った。


「うぅ!」

「元有名人じゃないか? まぁ、君は退場してもらおうかな」

「させるかぁ!」


 俺は身体をひねって手刀から魔力の刃を魔力強奪犯へと放つ。始めてやって見たが案外上手くいくものだな。

 魔力強奪犯は華音から糸を戻すと慌てて斬撃を糸で防ぐ。

 おかしい。奴のパワードスーツは魔力を流し込んで防御力を上げる代物だ、それなのに律儀に糸や魔法で自分の身を守っている。未だにパワードスーツの力を借りようとはしていない。

 華音と遠山が攻撃に回ってそれを一人でさばいている奴は確かに天才だが、それにパワードスーツの機能を足せばかなりきついだろう。

 その時に俺はある事に気が付いた。

 奴は右手でしか糸を出していない! 左手でも糸を出していればもっと俺達は苦戦している! それをしないのは何か理由があるからだ、考えろ! 奴は一体何を・・・・・・もしかして、美樹!

 俺は美樹が閉じこめられている魔具を見る。

 培養液の中に浮かぶ美樹、そもそもなんのための魔具なんだ? これは、どういう目的があって?


「おいおい! 兄弟! 妹に見とれたかぁ⁉」

「わけのわからない事を言うな! 美樹に兄弟はいない!」

「いるんだなぁ! 俺はそこにいる女の父親違いの兄だ! 色物だった俺の母親が遊びで産んだ失敗作が美樹だ! 俺はお陰でかなり大切に育てられたよ」


 美樹の、兄? 

 魔力強奪犯と、美樹は血の繋がった兄妹!?


「でも、俺はそれが気に喰わなかった。クソのような母親が愛していたのは、俺が持つ奴の面影だったからな。仕舞いには俺までも誘惑してきやがった、だからぶち殺してやったよ。いまでも家の天井からぶら下がっているだろうさ」


 狂っていやがる。

 コイツもそうだが、その母親も父親も・・・・・・コイツの血縁は狂ってる。

 だが、美樹が失敗作? 遊びで生まれた?


「おい、屑野郎。美樹が失敗作? 遊びで出来た子供? それはお前が決める事じゃねぇだろ?」

「はっ! まさか、妹に惚れたのか?」

「そうじゃねぇよ・・・・・・俺が言っているのはなぁ」


 俺は心臓が爆裂するような感覚に襲われる。


「てめぇの生き様が気にくわねぇってんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!」

「ひゃははははははは!!! いいねぇ! 最終決戦だ! きょおおおおおだぁあああい!!!」


 俺は全身に魔力を充填させる。それと同時に頭にモヤがかかって行く。

 スキルが発現したばかりの頃の、いやそれ以上の激情と、魔力が燃え上がっている。


「相棒! 落ち着け! 現状は俺達しかいない! 止められねぇよ!」

「翔太郎君!」


 二人の声が遠い、俺の意思でももう止められない!


「くたばれぇえええ! このクソ野郎がぁああああ!」

「楽しいぜ! どれ、俺もMAXでお前を殺してやるよ!」


 魔力強奪犯が左手を出す。

 すると、巨大な魔法陣が展開された。


「上位魔法一級魔術三重詠唱式!」

「なっ! 嘘だろ!」

「身体強化・極! 疾風争覇・極! 魔力強制解放!」


 その瞬間に俺の身体は壁へと叩き付けられていた。


「ぐぉあ!?」

「まだまだ!」


 嘘だろ? 少なくても俺は数メートルは吹き飛ばされた、そのれなのにもう目の前にいる! 不味い! 出鱈目でたらめなパワーは身体強化・極、このスピードは疾風争覇・極、そして最後の上位魔法は魔力強制解放。

 奴は力を貯めると、それを爆発的に解放する。

 それは爆発を右手に収束して放つ危険な技だ。


「くっ!」


 俺は腕をクロスさせて受けようとする。


「無駄だ! 二人分の魔力の魔力強制解放、その魔具ごとあの世行きだ!」


 深紅の光が俺を包んだ。



「おい! その身体で戦闘は無理だ! 完治って訳じゃねぇんだぞ!」

「骨は付いている、外傷もない」

「回復魔法の魔力がなじまないと後戻りだぞ!」

「その時は死ぬかもだが、よろしく頼む」


 大剣を携えて、彼女は椅子から立ち上がる。

 そんな彼女に彼は小さなキューブを投げ渡す。


「修理はした。ったく、優先輩には困ったもんだ! 見つけたら絶対に飯驕ってもらうぜ、フレンチコースか寿司か!? 回らねぇ寿司屋で腹いっぱい食ってやる! 行けよ! 止めても聞かねぇんだろ!」

「ふふっ、お前のパワードスーツが無ければ大人しくしているんだがな」


 彼女はパワードスーツを起動する。

 黒地に金色のラインが入ったデザイン、まるでクルセイダーの様だ。背中にはブースターが取り付けられており、噴射口からは魔法陣が円錐状に展開している。左腕には円状の盾、腰には数本の巻物が取り付けられている。大剣も彼女が眺めると、柄の部分に魔法陣が組み込まれており切れ味が強化してある、そしてもう一つ変形の魔法が施されている。ヘルメット越しの視界はよりクリーンになっており、自分の意思で近くの物や遠くの物を見る事が出来る。更には自動で相手の魔力残量まで見て取れる様だ。

 このレベルのパワードスーツはハッキリ言って相当の金がかかるはずだ。


「おい、このパワードスーツ」

「学校の経費で落としたんだよー。複数人の軍事訓練を経た者との戦闘および個人での敵陣営への突入と眷属招来によって懸念される召喚存在の暴走への抑止力って振り込みでさ」

「悪党め、感謝する!」


 彼女はそう言うと瞳を黄金に輝かせ、窓から飛び立って行った。

 彼は短く笑うと、彼女が座っていた椅子へと腰掛けるとデバイスから一つのメッセージを取りだすとサングラスの内側に映し出した。

 そこに書かれていたものは。


(フェーズ1完了、竜崎由希子の強化を頼む。親愛なる友人より)


 可愛らしい黒猫のイラストまで付いている。

 彼は小さく笑うと、メールに返信を送る。


「その由希子を送った」

暴走する力、沸き上がる情動は行き場を求めてさ迷う

金色の流星と蒼い闇

白い猫が行く末を見守る

出来損ないのブリキの鎧が彼の基で華開いた。その時、彼は力を手に掴む

さぁ、本編を始めよう

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