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進化を辿る時 3

補助輪主人公ってワードが頭に浮かぶ回だなぁ

4


 オーダーは魔力強奪事件と、美樹の行方不明事件について王手をかけていた。

 無駄に広い会議室には遠山や華音を始めとしたメンバーが集結していた。俺は計らずともコイツらの席の真ん中、つまりは隊長が座る席についてしまった訳だがまるで何をしたら良いかわからん。

 

「前日のスペクターズが北条邸宅へパワードスーツを遠隔操作して襲撃した事件で、進展がありました」


 華音はそう言うと空中に魔法で資料の映像を出現させる。そこには北条邸で回収されたパワードスーツの解像データが乗せられていた。

 パワードスーツの事は父さんから教えてもらえてないが、大体は見れば理解出来る。そのパワードスーツは全部が何者かへの送るためと言わんばかりにサイズや、機体コンセプトが一緒だ。


「パワードスーツの事はさっぱりだ。つまり、何が言いたいんだ?」

「それは」

「このパワードスーツはとある個人に向けて作られている。それに、機体のコンセプトが全て統一されているな。それに、装甲の内側に発動前の魔方陣が組み込まれている。大量の魔力を流し込んで発動させる代物だ」


 華音が焦ったような声を出したからフォローに入ったが、その場にいた遠山と華音を覗いた全員が目を丸くした。


「ははっ、新隊長さんはパワードスーツのカリキュラムでも受けたのか?」

「受けてない。てか、見れば解るだろ?」

「パワードスーツの設計図なんて専門分野の領域だ! 観ただけで理解なんて普通じゃない!」


 いきなり上級生であろう隊員が声を荒げた。なにをそんなに興奮しているんだ?


「でも、解るんだよ。落ち着けよ、俺が言いたいのはこのパワードスーツは量産された試作機にしては出来が良い、だが、サイズは美樹の親父のでも、美樹のでもねぇ。第三者のものだ」

「ぐっ、これが、あの飼い猫と渡り合う男の才能だと言うのか?」


 上級生は悔しそうな表情をするが、俺は構わずに続ける。


「俺はあの時、魔力強奪犯とも戦った。その時に奴はパワードスーツを装着していたが、多分回収された物と同型だろうなだから美樹の親父は」

「まぁ、現状は北条のおっさんを拘束する理由がねぇのよ! 今は保護ってことで警察に守ってもらっている。だが、死神の飼い猫が狙うって事は裏のある人間だろうな!」


 俺の話を遠山が大声で遮る。

 目立ちたがりな奴だ。


「だからと言って、まだ事件と決めつけるには早いだろ! 状況証拠だけで動くのか!?」


 やれやれ、俺でもわかることが天才の上級生に解らないとは、オーダーも落ちたな。


「報告聴いてないのか? 美樹は海外へ行かせてるらしい。まぁ、確実に嘘だな。魔力強奪犯は俺に取り返しに来たのか? って言った。ほぼ間違いなく美樹は国内だ。それに、飼い猫が俺に見せてきた写真は即日に撮られたものだ」


 俺は必ず美樹を救いだす。

 かつては、俺も見下されて生きてきたからわかる。弱い、それだからって人間の価値は決まらない。自分が自分を価値がないって決めつけたら、お仕舞いだ。

 それを美樹に解らせてやる、手のかかる師匠だな。

 渋る様子を見せる上級生や他のメンバーを奮い立たせる様に俺は叫ぶ。


「仲間がさらわれた可能性があるんだぞ! オーダーは治安を守る部隊だろ! 一人で必死に戦っている女の子見捨てて、お前らそれでも男かよ!」


 上級生や他のメンバーがビリビリとした圧に耐えているかのように身体を萎縮させた。

 俺は机を叩くと号令を出す。


「トレライ・ズ・ヒカイント治安維持学生部隊操魔学園支部オーダー隊長、三神翔太郎が命令する! これより、北条美樹の捜索及び魔力強奪犯逮捕に向けて動く!」


 俺の言葉に部下達は立ち上がり、敬礼を返してきた。

 上級生も立ち上がり、しぶしぶだが敬礼を返す。


「死神の飼い猫と魔力強奪犯は、俺が抑える」


 両腕に手甲を出現させて俺はそう宣言すると、歓声が上がった。この場で死神の飼い猫と魔力強奪犯を正面から抑えられるのは俺しかいないからだろうな。

 そうだ、この力を使いこなして俺は人を救う。


「翔太郎! 俺の方で少し動いてみた! どうやらアイツ、転移魔法を使わないで逃げた様だな」

「は? どういう事だ?」

「いやぁ、それが・・・・・・ヤバい奴が」


 遠山はそう言うと自分の背後に視線を移す。

 すると、突然霧が現れてその中から二人の男女が姿を表した。其の二人は片方は以前に世話になった境界の人狼と、流線型の仮面を付けている長身の男。


「やぁ、オーダーの皆さん。魔眼の闇鴉って言う変なあざなをつけられた事をいまだに根に持っている野郎だぜ。鴉君って呼んでね」


 あの時、姿を見せなかった狙撃手! 美樹の家では簡単に倒せたから接近戦は弱いはず!

 俺は両腕の手甲に魔力を流し込む。


「まぁ、落ち着いてよ新しい隊長さん」


 鴉は両手をあげると降参のポーズをとる。人狼の方はそんな素振りみじんも見せていないが、武器を手に取ったりはしていない。

 てか、コイツら武装していないぞ!?

 俺は手甲をそのままに構えだけ解いた。


「わかってくれて良かった。で、今は北条美樹の捜索が一番大切かな? じゃあ、この俺が手伝ってやる」

「はい、お土産!」


 人狼が何かを俺に向かって投げてきた。それは一枚の写真、そこには車に乗り込む魔力強奪犯の姿があった。


「面倒な事をするな。お前達は美樹の居場所なんてもう掴んでいるんだろ?」

「あの家で間違えなかったぜ? よく探したか? 秘密の隠し通路とか」

「隠し通路? そんな物は存在しなかった」

「踊らされる所だったよ俺達も」


 鴉はそう言うと近くの椅子にどっかりと腰かける。

 人狼は長テーブルに腰かけると、やけに太ももが出ている脚を組んでいる。


「逃げたって事は別の場所にアジトがある。まぁ、そう考えるよな。実際そうだ、俺もそう思って探しに探して・・・・・・何も見つからねぇ。あれ? と思った矢先にこれだ」


 鴉はもう一枚写真を取り出す。そこには若い男がボロボロの北条邸に入って行く姿だ。

 

「いやぁ、あの屋敷。デカイ部分は丸っとダミーだ。使用人や秘書も知らねぇだろうな、地下室の存在なんて」

「地下ってワインセラーの事か? そんなのとっくに調査した」


 俺の言葉に鴉が笑った気がした。人狼はお腹が空いたのかテーブルの上に置いてあるお菓子を食べている。仮面が口を動かしていやがる、まるであの仮面が素顔みたいだな。

 鴉は仮面の目に当たる部分から光を放つとその光が見取り図になる。そこには地下に広がる施設があった。


「こればかりはオーダーだけじゃ見つけられないな。あの屋敷の地下にはかなりの大きさのラボがある」


 あ、明らかに違法じゃないか!

 兵器の開発を秘密裏に行っていたと言うのか?


「そのラボ全体に上位魔法一級魔術 人払いが施されている。まぁ、警察も何か捕まれているだろうな。最強の潜伏魔法術式だオーダーだけで見破るのは不可能だ」


 鴉はそれだけ言うと見取り図をしまう。

 コイツらの魔法技術はどんなレベルなんだ? 人払いの魔法なんて、警察どころか軍隊が戦争で作戦行動を取るときに使う戦術魔法でもある。

 それを見抜いたのか?


「魔力強奪犯が屋敷に戻ったからあやしーなーって思っただけだよ?」


 俺は人狼の言葉に納得すると同時に悔しさを感じていた。


「よし、灯台もと暗しってね。じゃ、またあとでそちらの先輩から連絡来るだろうよ」


 鴉と人狼はそう言い残すと霧の中へと消えた。



 正明は会議室から聞こえる声をデバイスで聴いていた。どうやら情報の流出は上手く言ったようだ。襲撃の後に仲間達が勝手にあれやこれやと探し回り、正明が張っていた北条邸に若い男が入って行く姿を見て後を着けたら案の定だった。人払いの魔法は正明達もよく使う。可能性に気付けば解き方を理解してさえいれば彼たちの技術なら破るのは難しくない。

 仲間達は宗次郎が念写した施設、地下ラボを探していたがあてが外れたようでまた機嫌を悪くしていたが、今はオーダーをからかうのが楽しいらしい。

 正明は華音のデバイスへの通信を切ると、潜んでいたオーダー事務所の屋根で寝転がる。転移魔法で劣等クラスに戻りたいが現状では魔法を使った転移は学校側にバレてしまう。阻害する魔装を忘れた正明の落ち度だ。

 学園には転移、攻撃、掌握魔法に対しての高度な探知魔法が働いている。よって理事長及び教職員には決闘や不正な転移魔法、空間を特殊な環境にする掌握魔法を使うと一発で悟られてしまう。

 正明や仲間達が簡単に魔法を使うのは、使っている魔法を生活で使う一般的な魔法。水を浄化するとかの魔法と誤認させることで対象からはずしているのだ。彼は魔力を持っていない上に、竜崎由紀子のせいで探知魔法の精度があがっている。

 いつものように強引に人払いの魔法を使って雲隠れが出来ないのだ。


「さて、仕込みは上々。後は連中が見つけ出すまで僕達はのんびり授業でも受けて待機だね」


 欠伸をすると、隣にゲートが開いて中からは白い猫耳フードを被った真紀が現れた。彼女なら魔装で人払いの魔法が使えるから可能だ。だが、個人では一人分の魔法しか隠せない。


「お兄ちゃんむかえだよ」

「ありがとう、さて戻ろうかな」


 正明がゲートをくぐると、そこは教室の前だった。


「見つけてこいって先生に言われちゃったよ。もう、何処にいるかと思えばまた忍び込んでいたんだ」


 ほっぺを膨らませる真紀に正明は笑顔で「ごめんね」と呟くと、教室にはいる。


「正明! 何処に言っていたんだ! 劣等クラスは午後は自由じゃないぞ!」

「ごめんなさい先生、貧血で横になってました。保健室に行きたくても、あの渡り廊下を通らないと行けないので」

「貧血? まぁ、そうか次からは気を付けろよ」

「ごめんなさい」


 いつもならハンゾーと言う京子の使い魔を身代わりにしているのだが、学園内で自由に魔法が使えないのは不便だ。優等クラスならば問題ないが、正明達は劣等クラスに籍を置いている。下手に高度な魔法でも放とうものなら教職員達に取っ捕まって優等クラス行きだ。

 優等クラスの方が自由に動けるが、非常に危険だ。御高くとまった連中の吹きだまりで仲間達が大人しくするわけがない。確実に強い奴から順に優等生が消えるだろう。

 正明は席に座ると退屈そうに授業を聞き始めた。

 現状では正明達が有利たが、あちら側にヒントを与えたら後は早いだろう。そして、もしも竜王の剣部隊が動いたら正明達も本気で戦う必要が出てくる。

 そんな憂いは後回しにした正明はそのまま眠りこけて、教師のチョップが頭に入るまでそのままだった。



「よう、みんな元気してる? パワードスーツ開発局の御堂だ。回収したパワードスーツの解析が終わったぜ。どうやらアレらは大量生産ではなくオーダーメイド、個人に向けて作ったもので一部だが、パワードスーツの視覚データを復活させることが出来たぜ」


 俺は御堂が解析したデータを部下たちと観る。

 音声データはなかったようだが、そこには美樹の親子と、紅い糸でがんじがらめにされた美樹が写されている。瞬間、視界が白い空間に変わる。

 何処から見ても研究施設だ。

 そこで映像が砂嵐になって途切れた。


「強制的に自爆しやがったんだ。保護はしたけど相手さんも想定してたみたい。でも、これは言い逃れ出来ない証拠だよな。俺の仕事はここまで、頑張れよ後輩諸君!」


 モニターが切れる。


「決まりだ! 美樹を助けに行くぞ!」

おとぎ話に胸を踊らせた少女は過去の夢を見る

宿命の糸は絡まり、折り重なって行く

役者は揃わされた

舞台の上に上がるのは正義か、歪んだ愛情か

また、白い猫が私を覗いた

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