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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
悪魔が死神と出会う時編
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魔王の演説 4

遠い過去に死別した最愛の人にして、つい今出会ったばかりの人かつ、最後の敵である女の子の顔と声を持つ男の子。

これ、もうわかんねーなー


 正明は振り向く事無く、魔法を発動させた。

 自分を守るものではない、加々美の身体能力を底上げする強化魔法だ。その直後に彼の背後で金属がぶつかる音が響いて、加々美が吹き飛ばされた。


<キミガ、アタラシイ船長ナノカ?>

「そう、初めまして・・・・・・ん? いや、そうだな初代に代表してこう答えようかな」


 正明は仮面を外すと、振り返る。

 そこには男が1人立っていた。顔には仮面、腰には二本の剣、その内の一本は右手に持っている状態だ。その他は特に兵装は無い。

 パワードスーツも、魔具の様な兵器すらも携えていない。


「久しぶりだね、下衆野郎」

<ハッ、アア・・・・・・キミダ、ホントウノ・・・・・・何年モ、キミヲユメミテイタ>

「気が合うね、僕も会いたくて仕方なかった。やっとだ」

<アノ、ヒトノタマシイトオナジダ。ホントウノ、ウマレカワリ!>


 正明はホルスターを放り投げて空中に小瓶を拡散させる。

 それと同時に、八雲が正明の前に割って入る。その瞬間に剣の切っ先が彼の斧と触れると凄まじい衝撃波が空中へと逃れる。

 そして、がら空きになった男のわき腹に志雄の拳が飛ぶ。

 人間なら真っ二つにする拳は届く前に剣の切っ先が志雄の腹部に突き刺さる事で止まってしまった。


<強イ、部下ダ。ダガ>


 男は舞う様に剣を志雄から引き抜くと、八雲へと回し蹴りを放ちながら奥で使い魔を呼び出していた京子へと剣を投げる。剣は彼女の肩口に付き刺さると、そこからマグマを噴き出して彼女を焼いた。


「ああああああ!」


 京子の叫びと同時に八雲の斧が蹴りで破壊され、彼も斬りあげられる。

 多重に防御魔法を張り巡らせ、魔法を不完全状態にする八雲だが、まるで攻撃を防いでいないかのように切り伏せられる。


<甘イ、仲良シコヨシ、アマチュアダ>

「そうかい? ならお前は傲慢なだけの屑だな」


 正明は指を鳴らす。

 それと同時に空中の小瓶に魔力が素早く充填される。そして、それらがそれぞれの攻撃魔法を撃ち放つ。

 男はそれをいとも簡単に残った剣で弾いて行く。が、その中の一発に剣を撃ち弾かれた。


「命中! 鈍いんじゃねーの!?」


 宗次郎の矢が男の剣を弾いたが、男は転移魔法で宗次郎と距離を詰めると彼に赤熱化した手を伸ばす。あの軌道は心臓をえぐり取ろうと言う動きだが、宗次郎の身体の外側から大鎌が現れて彼の腕に突き刺さる。


「くたばれ」

<ドク、カ。キカナイナ、オレノ薬ノ方ガヨク効ク>

「霊薬? チッ、避けろ」

「間に合わねぇ!!」


 宗次郎が再び矢を放とうとするが、その前に弓が真っ二つになって宗次郎は武装を破壊され、ノーアクション、無詠唱で放たれた爆裂魔法に吹き飛ばされた。

 そして、続けざまに放った水の槍が蛇の様に動いてアイリスを貫いた。


<コレデ、2人ッキリ>

「仮面を外せ、声が聞き取り辛い」

<アア、ソウダネ・・・・・・久シブリダ>


 正明の言葉に男は仮面を外す。

 そこには紅い瞳に涼し気な顔立ちのイケメンがいた。だが、若々しいが年齢は40代手前程だろう。そして、その顔は何処となく翔太郎や黒岳、椿、そして、巧の面影がある。


「・・・・・・巧や、翔太郎君の実父なのはホントなのか?」

「必要な事だったんだ。でも、君とこの時代で出会えるなんて思っていなかった」


 静かな声だ、だが、身体に沈み込んでくるような響きがある。

 正明はニコッと笑顔を見せる。すると、男はとても幸せそうな表情を見せた。


「その笑顔、口の悪さ、そして氷の様に冷たくて蒼いその瞳。遥か過去に見たそれと同じだ・・・・・・意地悪なその笑顔をまた見れるなんて」

「僕はお前を知らない。でも、あの船に乗った時からお前を知っていたよ。歴史上最高の魔法使い、始まりの男、そして」

「それは、2人の秘密だろ?」

「僕はその約束は知っているよ。本に乗っていた、正確には彼女の日記に」


 正明がそう言うと、男は正明の前までに迫って来ていた。

 転移魔法じゃない、普通に素早く動いただけだ。加々美よりも速い、正明は左目のスキャンで魔法を使っていない事を理解するのが精一杯だった。

 体格は当然男の方が大きい。身長は185㎝を越えているだろう、正明が見上げるほどだ。


「彼女は口は堅かったよ? 似ていないとダメじゃないか、君は彼女と同じなんだから」


 男は微笑むと正明の顔を愛おしそうに撫でる。

 全身に寒気にも似た嫌悪感が走るのを正明は感じる。身体が、この男を拒んでいるのが本能で解った。


「まるで、僕を物みたいに見ているんだね? 彼女の代用品、コピー程度にしか見ていない」


 正明のその言葉に男の顔から笑みが消えた。正明はその感情を読み解くと、更に言葉を上乗せする。


「本当は・・・・・・誰も愛した事が無いクセに」

「ほ、本当に似ているよ・・・・・・彼女に、そう言われて、そう言って、離れて行った」


 悲しそうな声に正明は更に続ける。


「それに、残念だったな。僕は、男だ」


 満面の笑み。

 正明はそう言うと、両手を広げて見せる。


「ほら、魔法で透視しろよ。僕の身体は、女じゃないぞ?」

「一目で解っていたよ。そんなことは些細な事だ、必要なのは君が彼女と同じ魂だと言うことだけ」

「あー、またこのパターンだよ。解っていたけどね」


 正明は即死魔法を発動させる。

 だが、男は倒れない。


「な、なに・・・・・・効かない? 嘘だ。そんなはず!」

「効かないさ、君をもう一度手にいれるまで死ぬわけにはいかないからな」


 男の顔が深い笑顔に満たされていく。

奇跡はある

出会いは突然訪れる

君を死の匂いがする地下で見た

太陽を受けて立つ君は美しかった

蒼い瞳はそのまま


ただ、昔より少し暖かかった

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