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成長型魔法使いと死神の飼い猫  作者: 稲狭などか
悪魔が死神と出会う時編
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第二話 スタイン・スタイン・ルビー

スタインは、原石ー。


 俺の攻撃を受けようとしない?

 ナイトフォームの斬撃は異様に逃げ回る鋼夜の鬼が躱した事で何度も空を切った。どうとらえるべきだ? 奴には俺の攻撃が効くのか? それとも罠か? 俺の剣を怖がっている様には見えねぇ、だが反撃はしてくる。弱いパンチが数発入った程度だ。

 ならこれはどうだ!


「パニッシャー!」


 俺はフォームを変えると背中のスラスターを変形させた砲身と、両腕のショックガントレットを距離を取りながら撃ち込んだ。

 だが、奴は驚く行動に出た。

 動かない。

 今度は俺の砲撃を正面から受けやがった。


「なっ!? バカ! 死ぬぞ!?」


 俺は直ぐに照射を中止したが、彼女はグラつきもせずに攻撃を弾いてしまった。


「・・・・・・斬撃は避けて、射撃は受けるんだな」


 鋼夜の鬼は黙ったままだ。


「図星だな。それなら! ナイト!」


 俺はナイトフォームになるとランスとの二刀流で構える。鋼夜の鬼は静かに拳を前へ突き出して腰を落とすとその場に止まってしまった。


「何をしているんだ?」

「待っているんですよ?」

「待つ? 何をだよ」

「貴方が、私の攻撃に入って来るのをです」


 俺は剣とランスを前に構えると正面へと突っ込んでいく。

 小細工は無しだ! ナイトのパワーで勝負だ、鋼夜の鬼!


「勝負だ!」

「私にその気はありません」


 その言葉の直後、俺の身体が左に回転した。

 そのままの意味だ。ぐるんと、まるで側転でもするかのように空中に舞い上がった。


「な、なにっ!? これは!」

「私の能力は重力を操れます。経験したはずですが? そして、来るのは貴方です」

「くそっ! 不味い!」


 俺はパニッシャーになるが、遅かった。俺の身体は真っ逆さまに彼女の拳へと(落ちた)。

 彼女の拳はただ突き出されているだけなのに、鋼鉄の槍で思いっきり腹を突かれたような気分だ。鋼夜の鬼が突き出した拳に俺の身体が沈み込んで行くようだった。


「っ、がぁぁあ!!」

「はぁあああ・・・・・・ふっ!」


 叫ぶ俺を尻目に、鋼夜の鬼は息を勢いよく息を吐く。すると、俺の身体はまるでぬいぐるみのように吹き飛ばされて、通路に背中を擦りながら転がった。


「良いですね、そのパワードスーツ。常人なら死んでいますよ」


 なんだコイツ!? 強いとは思っていた、だが、これで死神の飼い猫の手下なのか!?


「死神の飼い猫ってのは・・・・・・本当の、天才だな。このレベルの化け物が、手下かよ」

「手下? ふふっ、そう見えますか?」

「部下じゃないのか?」

「私達はそんな事考えた事ないですね。例えるなら、飼い猫がゲームを持っている子供で私達がその遊び相手です。コントローラーだけ持ってきて、彼のゲーム機で遊んでいるって感じです」


 何言ってんだ?

 俺には彼女が言っている意味がまるで解らなかった。ゲーム機? コントローラー? 

 鋼夜の鬼は言葉を続けた。身振り手振りで話しているが、彼女には理解してほしいと言う感情が無い様だ。口調は独りよがりで、俺の疑問の表情も見て見ぬふりをしている。


「ゲーム機を持つのは飼い猫ですが、ゲームの腕にも個性が出ましてね。私は、特別身体が丈夫で力が強かったので・・・・・・前線向きと言うか、格闘家職? RPGの前衛キャラです」

「意味が解らん、お前は何を言っている?」

「解らなくても良いですよ? 私達は、理解されたいから戦う訳じゃないので」


 鋼夜の鬼はそう言うと口笛を吹き始めた。

 ご機嫌にでもなったのかと思ったが、俺は思い出していた。これは、飼い猫が魔法を使う時にする仕草と同じだ!


「上位魔法三級魔術 魔力障壁・盾」


 彼女はそう言うと身体の周りに薄いガラスの膜の様なバリアを張る。俺の攻撃を防げる魔法じゃないが、何かあるのは確かだ。

 しかし、鋼夜の鬼は魔法すらも使っていなかったんだな。

 スキルと身体能力だけ? コイツ、マジでシャレにならないだろ。


「全く・・・・・・殺すつもりで行かないとな。おい、俺はもう手加減はしねぇぞ? 本気で戦わないと後ろの2人も危ないからな!」


 俺はナイトのマントを翻してランスを背中に収納して、魔力で盾を作り出して剣を構えた。魔力は盾と剣を強化していく。そして、俺自身も更に強くなっていく!

 鋼夜の鬼がどんな顔をしたかは俺からは見えないが、何となくだが、彼女も本気を出したと感じた。



「僕は~、君らの天使さま~、天の国は直ぐそこに・・・・・・なんてね」


 ズルズルと死体を引きずりながら正明は可愛らしく声を作って歌うと、突然低めの声で歌を閉めて辺りの牢屋を睨み付けた。

 だが、悲鳴や怒号は聴こえない。

 このフロアにいる連中はそこいらの屑とは訳が違うのだ。


「死神の飼い猫、何をしに来たんだ?」

「警察にあっさり捕まった豚共を笑いに来た」

「貴様ぁ!!」


 牢屋を蹴りつけたのは正明が知らない男だった。

 

「誰だ? 挑発に乗る様なタマじゃない、お前の眼には冷静な殺意を武器に出来る自信と誇りがある。そんなお前が安い挑発に感情をむき出しにする・・・・・・あぁ~、僕いや、俺に女でも殺されたか?」

「覚えていやがったのか!! 覚えていないか!? 張りつけて顔に杭を大量に打ち付けて殺した女が居ただろう!?」

「・・・・・・アイツはお前以外の男と結婚していたぞ? まぁ、結婚式の日に殺したが」

「なんで、なんで殺したんだ! 彼女は人を殺すような女性じゃなかった!」


 正明は少し首を傾げると仮面の下で笑う。

 騙された男の一人か、あの女は子供の命を物でも扱う様に金に換えた屑だ。裏にあの女に殺された男も沢山いた。この男は騙された一人だろう。


「そうだな・・・・・・あの女は見逃しても良かったかもしれない。可哀想な事をした」

「殺してやる! 勝負しろ、死神の飼い猫ぉ! 正々堂々とぉ! 殺してやる! 彼女は人殺しの俺にも微笑んでくれた」

「ふっ、あはははははは! コイツは良い! おい! 屑共! 死ぬ前にショーでも見て行かないか!?」


 正明は笑うと両手を広げて円形に広がる牢獄の中心の広場に躍り出る。


「殺して、闇に浸かり・・・・・・何も出来ずに、その才能を搾取される日々の終わりに見て見たくないか!? コイツの復讐を! 俺が、復讐者に殺される様を」


 数秒の沈黙、後に喝采が巻き上がった。

 これから希望も無く才能だけを搾取されるぐらいなら、此処の受刑者は死刑を望むだろう。正明はそんな連中の最大の天敵であり、最高の救世主でもあるのだ。

 その人生の最後に、見世物まであるとは連中には行幸だったのだ。

 正明は男の牢屋を破壊すると魔法で引き寄せて自分の前に立たせた。


「さて、フル装備の俺だと流石に非道な処刑だからな。何か武器を」


 正明はそう言うが直後には吹き飛ばされていた。常に自動で発動する防御魔法で防いでいたが本人はかなり驚いていた。凄まじい威力の魔力弾、そして、形状も丸鋸のようになっていて切断力も高い待っている。

 正明は追撃を予想して小瓶を投げて魔法を分解する術式を組み上げる。

 魔力弾を分解しながら土煙の中から蒼い光を撒き散らして飛び上がると魔法陣から雷を落とす正明だが、囚人は魔法陣を盾にして雷を防いだ。


「強いな・・・・・・さて、さてさて俺はもっと外道に攻めるか」


 正明は小さな魔法陣を喉に張る。声を相手にすんなりと通すだけの魔法だ。


「お前がどんなにあの女を嘆いても、アレはお前の事なんか覚えていないだろうな」

「ふ、お前には解らないだろう。それでも彼女が大切な存在だって言う事が大切なんだ」

「あの女は、見苦しくて仕方なったぞ? 泣きながら命乞いをして、虫けらの様に這いつくばって」


 囚人は声にならない叫びと共に巨大な氷の剣山を正明に突き出してくる。正明は蒼い炎のボールを造って一瞬だけ子猫になるとその中に隠れた。

 炎は氷を溶かしてその中に正明は入ると炎の範囲を拡大しながら人間に戻ると、氷を抜けて椅子の様に氷を彫刻してそこに座った。


「お前は見せしめにしてやる。この時に、此処にある貴様達の死体に彩られた祭壇で始まるんだ」

「何を言っていやがるんだぁ!!」


 囚人の攻撃を防ぎながら、正明は背もたれに背中を付けると言葉を続ける。


「奥のフロアにある牢屋に、爆裂魔法の天才がいる。そいつを奪い取って、パフォーマンスでもしようと思ってな」

「お前、人間の命を何だと思っているんだ? 俺は人を殺して来たが・・・・・・利用なんてしなかったぞ!」

「俺はお前以上の悪党だろうな? さて、そろそろ殺すか。ネタ切れしそうだ・・・・・・くそっ、お前攻撃魔法が強すぎだ」


 正明は囚人の攻撃を魔力に還元すると、魔装を発動する。


「吸血鬼の花嫁衣装アームズ・オブ・ヴァンパイアロード!!」


 深紅のドレスに、トライデントを装備した正明は囚人の心臓をトライデントで突き指す。

 すると囚人はド派手に血をフロア一杯に撒き散らしながら、無傷で失血死した。蒼白になって床に倒れた囚人を正明は踏みつけると蒼い炎で消し炭にしてしまった。


「地獄であの女によろしくな」


 周囲から再び喝采が沸き上がる。

 正明は魔装を解くと、両手を広げてそれに応えると深々とお辞儀をしてから顔を上げて叫ぶ。


「来たぞ! 看守長!! お前の妻は向こうで気絶してるが、俺の仲間が見張っている!」


 直後に炎で作られた竜が正明に突っ込んできた。

 正明は小瓶を5本投げて口笛を吹くと莫大な炎の本流を受け流してその小瓶に吸収する。


「やぁ、看守長。俺が、死神の飼い猫だ」


 正明は仮面の下で深い笑みを刻んだ

予期せぬ恐怖

吊るされる人生

あの女は笑う

夥しい血の泥濘で深紅のドレスが咲く

踊りませんか?


私は美しいと思ったんだ、恋をしていたかもしれないんだ

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